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イタリア・フィレンツェの公現祭
1月6日は公現祭!
「公現祭」とは幼子キリストの誕生を祝って東方の3博士がキリストの元へと辿り着いた日であり、イタリア語ではEpifania(エピファニア)と言います。
東方3博士は星の導きによって、クリスマスから約2週間旅をしてキリストの元へとやってきました。キリスト誕生の様子を人形で再現する模型プレゼピオには、クリスマス当日に赤ちゃんのキリスト人形が、そして公現祭当日に東方3博士の人形が加わえられ、この日に完成形となります。
キリストの誕生日であるクリスマスと同じように、現代では公現祭の宗教色は薄れつつあり、クリスマスシーズン締めくくりのお祭りとしての要素の方が強くなっています。1月6日の公現祭で、イタリアの長い長いクリスマス期間も終わりを迎えます。この日を境にクリスマスツリーやイルミネーション、プレゼピオなどは少しずつ片付けられ、次の大きなイベントであるカルネヴァーレまでは少し寂しい雰囲気が街に漂います。
フィレンツェの伝統行事
フィレンツェでは1月6日の公現祭に、伝統衣装を身に纏った時代行列が行われます。午後14時頃に出発した行列はゆっくりと時間をかけて街中を練り歩き、鼓笛隊の太鼓や華やかなファンファーレが街に響き渡ります。騎士、貴族の他にお祝いを携えた東方3博士の姿も見られますよ。
世界遺産にも登録されている美しいフィレンツェの街並みをバックに、かつての人々の生活や習慣を垣間見ることができる優雅な時代行列は、この時期にイタリアを訪れることがあれば是非見ていただきたいイベントの一つです。 長いパレードの終点は、ドゥオモ前。プレゼピオに置かれた聖家族の人形に、3博士が持ってきたお祝いの品を献上して、2時間以上に渡ったパレードは終了します。
冬の大セールも見逃せない
2018年の公現祭は土曜日。ちょうど前日5日に冬の大セールが始まったばかりだったので、フィレンツェ中心街はものすごい人出になりました。私はセール目当てで街に行ったのですが、時代行列を鑑賞する観光客と買い物客の波に巻き込まれ、身動き取れなくなる時間帯もありました。
イタリアではセールは都市によって決まった日に一斉に始まることになっており、開始日は場所によって異なります。セールはイタリア語でSaldi(サルディ)。セールのスケジュールを知るには、「Saldi、都市名、年(例:2018年のフィレンツェのセール開始日を知りたい場合は Saldi Firenze 2018」などの言葉で検索して、事前に日程を調べておくと良いでしょう。イタリアの大型セールは、年始と初夏の2回です。
お菓子を配る優しい魔女ベファーナ
子供たちにとって公現祭は、お菓子がもらえるお楽しみイベント「Befana(ベファーナ)」の日でもあります。ベファーナはイボだらけの顔に長い鷲鼻の醜いボロを纏った老女ですが、彼女は良い子にはお菓子を、悪い子には炭を贈るちょっと変わった心優しき魔女なのです。魔女は靴下の中にお菓子を入れてくれるので、子供たちは前日寝る前に大きな靴下を用意しておきます。お菓子が詰められた靴下も沢山売られていて、大小様々な靴下がスーパーやお菓子屋さんの店頭に並びます。
靴下にお菓子の詰め合わせという組み合わせは、日本のクリスマスの様子に似ていますね。ここイタリアではクリスマスのプレゼントはオモチャなどの品物、靴下に入ったお菓子は1月6日、というように分かれているのが一般的です。
ベファーナは悪い子の靴下には炭を入れるという伝説にのっとって、毎年この時期に売られるお菓子がこちら。真っ黒な炭の形をした、砂糖菓子です。「悪い子だったからお菓子じゃなく炭を入れられちゃった...」と思っていたら、実は甘い甘いお菓子だったというジョークスイーツで、この時期の定番になっています。
クリスマスの贈り物と同じく、友達や知り合いの子供へのちょっとしたプレゼントとしてベファーナの靴下を贈る習慣があります。我が家にも沢山のベファーナがやって来たようで、朝起きると玄関のドアノブにお菓子でパンパンに膨れた靴下が幾つもぶら下がっていました。この日は各地で魔女が子供たちにお菓子を配るイベントも開かれます。プレゼントを貰える日が1年のうちに何度もあって、イタリアの子供たちは本当に幸せですね。
公現祭が終わると学校が始まるのが一般的。お祭り続きで浮かれた気持ちを少しずつ引き締めて、日常生活へと戻っていきます。
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佐藤 モカ
- イタリア・フィレンツェ在住。作家、フリーライター、マーケティング各種リサーチやコーディネートなど。2013年女児出産、現在育児奮闘中。