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<後篇>ブラジル・サンパウロで聖なる母「カンドンブレ」に占ってもらう
サンパウロの東洋人街リベルダージのメトロ広場の片隅にある教会の近くには、アフロ・ブラジルのルーツを持つ占いを生業に傘のもとで何やら独特な道具を扱っている女性たちが目立つ。彼女達はCamdomblé(カンドンブレ)という民間宗教を信仰しており、占いのような形式で神々と交信し、訪れる人の相談に乗ったり悩みを解決する能力を持ちMãe de santaと呼ばれている。
午後からのセッションがスタートして、配られた整理券だと4番目と言うことで待ち時間を教会で潰そうとしたマンゲイラ「4番の番号札のお方!」と呼ぶ声がするので早速Mãeが座っている傘の下へ。椅子が向かい合わせに於いてあり、座ると布を掛けられてお盆のような物をお互いの膝を突き合わせた上に置かれ、そこにbuzioと呼ばれる貝を投げて占っていくらしい。その様子は消して人に見せるためのものではないので、こうやって傘で隠しているところもまた神秘的だ。
Mãeの凄いオーラと言うか形相に圧倒される。
「名前は?生年月日は?」と早速質問が来たので答える、そして今日聞きたい事を自分から言い出すと「ちょっと静かに!今私は神々と交信しているんで集中しているから」と遮られ、それは失礼したと思いかしこまっていると「あんたの去年は散々だったね」とびっくりする事を言われる。たしかに心当たりはあるので鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしてると「そのNegátivoに支配されたら、あんたの人生終わりさ。心にいつもPosítivoをもたらせてくれる象徴を置きなさい」と人生アドバイスから始まった。
さらにこの占いのシステムの説明が淡々と続き、なんでも5つまで質問していいようだ。5つの質問に答えてくれてR$50,00(日本円で約1800円程)と良心的な値段設定である。正直こういった占いをブラジルにきて初めてやってもらうので相場が全く分からなかったので倍の金額を請求されても払っていたかもしれないと思いつつ。
Mãeは質問ごとに「私の父神○○、母神○○、彼女が何何について聞きたいと申してます。答えてください。オー@※?X!◇▽」というようなスワヒリ語のような呪文を唱え、叫んだかと思うと手の中でゴリゴリと混ぜていた貝殻を投げた。この輪の中で貝がぶつかり合い落ちた角度や裏表によって占っていくようなスタイルだ。
1問~4問目までは主に自分の事を聞いたので、的確なというか励まされるような受け答えも中にはあり、占いと言うよりも人生相談に近いのかもなという印象を受けた。
最後5問目は家族の事を聞こうかと思い言ってみると「それはあんたじゃなく家族の事だから、あんたに責任はないよ。まあでも上手く行くよ。案ずる事はない」とあっさり最後を迎え帰ろうかと思った時だった。「あんた本当は不安に思っていることもう一つあるんだろ?」と言われ、また驚いていると「いいから言いなさい」とおマケしてあげると言ってくれるではないか。実は、次の日に軽い手術をする予定だったので大丈夫だとはおもうけど麻酔など不安だと言う事をつたえると「こっちにおいで、大丈夫大丈夫!全部上手く行くから心配しない」と額をくっつけてAbraço(抱擁)してくれるではないか。何とも言えない安心した気持を頂き、お礼を言って帰る事ができた。
占いの結果はまだ当たるのかどうなのかはわからないが、この神聖なMãeにご意見を頂いたというのが何よりの満足感である。そして占いに並ぶ女性達もこの路上の母に安心感を求め来ているのかもしれないなと思う次第である。
◇Ingreja santa cruz das almas dos enforcados(Mãe達の傘がならぶ教会)
住所: Praça da Liberdade, 238 - Liberdade, São Paulo - SP, 01503-010
電話: (11) 3208-7591
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マンゲイラ靖子
- 2012年よりブラジル在住。 Samba命!リオ1回、サンパウロ6回、(浅草9回)のCarnaval出場経験を持つ。現在は夫と猫3匹とでSP州に暮らし、主に日系コミュニティでの仕事に携わる。 より深いブラジル情報を発信できるよう日々模索中。