日本の夏より過ごしやすいとはいえ、オーストリアの夏も30度を超える日が6月から始まる年もあります。湿気は少ないですが、さすがに35度も超えると、クーラーのない室内では耐えられず、涼しさを求めて山に足が向いてしまうのがオーストリア人。

そんな暑い夏の日々に欠かせないのが、夏の冷たいドリンク。今日はオーストリアらしい飲み物を一挙にご紹介します。

まずはノンアルコールから。オーストリアのソフトドリンクで大人気なのが、アルムドゥドラー（Almdudler）。アルプスのハーブいっぱいの炭酸飲料 で、味はジンジャーエールに少し似ています。レストランでも注文できるので、オーストリアにいらしたら一度飲んでみてください。きりっと冷たい瓶入りのア ルムドゥドラーは夏に最高です！

そして、カフェ文化の濃いウィーンでは、アイスコーヒー（独語はアイスカフェーEiskaffee。ウィーン風に「フェー」にアクセント）も人気。日本の アイスコーヒーの様に冷たいコーヒーが出て来るわけではなく、レシピも違います。水で薄めたエスプレッソにシロップを入れ、ホイップクリームとアイスク リームをトッピングします。夏限定で、カフェでお楽しみいただけます。

こちらはカフェ・ムゼウムのアイスカフェー。

さて、お待たせしました！今度はアルコールの飲み物です♪ワイン文化もビール文化も盛んなオーストリアでは、夏の飲み物には事欠きません。

まずはビール。銘柄が沢山あり過ぎて迷ってしまいますが、夏の山や湖を眺めながらの一杯は最高ですよね。

ザルツブルクの有名な醸造所のビールStiegl。ザルツブルクのお城のある山の中腹にビアレストランがあります。

ビールは、そのままで飲むだけでなく、柑橘味の炭酸飲料や上記のアルムドゥドラーなどを混ぜてアルコール度を下げてごくごく飲む、ラードラー（Radler）もあります。「自転車乗り」の意味で、スポーツがてら一杯、という時に好まれます。

お次はワイン。白ワインが有名なオーストリアでは、キリッと冷たいグリューナーヴェルトリーナーをそのまま飲むのも美味しいですが、白ワインをガス水で半 分に割って飲むクシュプリツター（G'sprizter。日本語ではスプリッツァーとも表記されますが、原語とかなり発音が違いますし、ウィーン弁らしさ が消えてしまっています）も人気。

こちらは、ホイリゲなどで「ヴァイス・ヴァイン・クシュプリツター」と注文すると飲むことができます。「クシュプリツター」（ガス水割り）は便利な表現で、リンゴジュースのガス水割りなども「アプフェルサフト・クシュプリツター」となります。

ホイリゲでワイン畑を見ながら。手前は白ワインのガス水割りで、奥はリンゴジュースのガス水割り

この白ワインのガス水割り、季節に関わらず手軽にアルコール度を下げたワインを楽しむことができるので人気ですが、夏場は特にのど越しの良さで特に好まれます。もちろん、いいワインはストレートで飲み、安いワインを割って飲むという風に棲み分けができています。

ロゼワインで有名なシュタイヤーマルク州では、キリット冷えたロゼもお勧め。左手前はロゼのぶどうジュースのガス水割り。

最後に、イタリア産ですがオーストリア人も大好きな、夏特有の飲み物をご紹介します。

「アペロール」という、カンパリに似た飲み物ですが、これをガス水で割って飲むのが夏のイタリアの風物詩。夏はイタリアのビーチで遊ぶのが大好きなオーストリア人は、この習慣を持ち帰って、オーストリアでも大喜びで飲んでいます。写真の上のグラスがアペロールのガス水割り（アペロール・クシュプリツター）で、下の小さいグラスがアペロールの原液にレモンを浮かべたものです。

というわけで、オーストリア人に人気の、夏の冷たい飲み物をご紹介しました。この時期にオーストリアに来られる方は、ぜひ制覇してみてくださいね。