ザルツカンマーグートの皇帝の避暑地「バート・イシュル」

毎日30度超えの暑い夏が続いているオーストリアですが、今回はハプスブルク皇帝の避暑地、ザルツカンマーグートのバート・イシュル(Bad Ischl)をご紹介します。

バート・イシュルはオーストリア最古の温泉の町であると同時に、皇帝フランツヨーゼフの夏の避暑地であったことで知られています。ザルツカンマーグートの 町はアルプスの田舎らしい魅力であふれていますが、バート・イシュルは他の町より豪華でセレブな雰囲気。さすが皇帝が毎年来ていただけあります。

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アルプスを背景にしたバート・イシュルの町並み。奥の黄色い建物が特別豪華な郵便局。右手前の白い建物はトリンクハレ(Trinkhalle)と言って、温泉水を飲める飲泉場。こちらもお城のような豪華さ。

1時間ほどで歩いて周れてしまうサイズの町ですが、見所はたくさんあります。まずは皇帝の夏の別荘カイザーヴィラ(Kaiservilla)。皇帝フラン ツヨーゼフがこの地で美貌の皇后エリザベート(シシィ)に一目惚れします。その後フランツヨーゼフは結婚祝いにこの地にある宮殿カイザーヴィラを贈られ、 その後毎年ここで夏を過ごしていました。

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皇帝の夏の離宮カイザーヴィラ。所有者は皇族の末裔ですが、内部は一般公開されています。このカイザーヴィラ、広大な敷地の中に森や小城があったりして、のんびり散策するのも気持ちがいいです。皇后エリザベートが散歩した小道を歩くと、歴史を遡った気分になります。

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皇后エリザベートのために作られた大理石の小城(現在は写真博物館)へ続く散歩道。

また、このカイザーヴィラの執務室では、第一次大戦を引き起こしたサラエヴォ事件を受けて発せられた、セルビアに対する宣戦布告が署名されました。こんなのどかな田舎で世界の歴史が書き換えられていたんですね。

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狩りを好んだ皇帝フランツヨーゼフ。内部は獲物の鹿の角が至る所に飾られています。

バート・イシュルにはトラウン川とイシュル川という二つの川が流れていますが、トラウン川は町の真ん中を流れ、両脇には素敵な散歩道もあります。

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トラウン川の両側には豪邸が立ち並びます。

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メリーウィドウなどで有名なオペレッタ作曲家フランツ・レハールが晩年を過ごしたのもこのトラウン川沿い。今はレハール・ヴィラとして公開されているほか、夏には町を挙げてレハール・フェスティバルが開催されています。

町の散策の合間には、カフェで一服はどうでしょう。皇室御用達のカフェ・ツァウナー(Cafe Zauner)では、名物ツァウナー・シュトーレン(Zaunerstollen、ナッツが沢山入った生地をチョコレートでコーティングしたお菓子)がお勧め。

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K.u.K.(皇室御用達)と書かれたツァウナーの看板

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ツァウナーシュトーレンはこんなかわいらしい形。

また、もちろん温泉の町ですので、カイザーテルメ(Kaiserterme)という温泉があります。オーストリアの温泉は日本に比べると温度が低く、温水 プールに水着で入浴することになりますが、室内と屋外プールとサウナがあり、ゆっくりと楽しめます。お湯に入って体の力を抜くと、ぷかーっと全身が浮いて くるほどミネラルが濃い泉質です。

バート・イシュルはザルツブルクなどからの日帰りツアーでもよくプログラムに入っています。バート・イシュルに行かれた際には、是非ハプスブルク家の栄華に思いを馳せつつ、のんびり散策してみてくださいね。

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。

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