ロッテルダムを代表する美術館、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館

名作で辿る西洋美術史

オランダには、約1700万人の人口に1,000館の美術館があり、ミュージアム密度は世界最大と言われています。芸術の国とも言われるオランダ、質の高い美術館はアムステルダムだけではなく他都市にも数多く点在しますが、今回ご紹介するボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館は、14万5千点もの美術作品を所蔵するロッテルダム最大の美術館。そのコレクションには、レンブラント、ボス、ブリューゲル、モネ、ダリ、デュシャン、ロスコーなど中世から現代までのオランダをはじめとする西洋の世界的巨匠の名作が集められ、その素晴らしい作品群を鑑賞しながら西洋美術史を辿ることができます。

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ユニークで実験的な展示方法

美術館の受付を通るとすぐに目につくのがこの遊び心のあるコートかけ。訪問客があずけた色とりどりのコートが頭上に吊り下げられていて、まるでインタラクティブ・アートのようで楽しいですね。

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私が訪問した日には、「Collection as time machine」という展覧会が開催されていて、普段常設展にある作品を時代ごとに8グループに分け、それを時系列に沿わせずに展示するという新しい試みがされていました。例えば、レンブラントの作品のある17世紀の絵画セクションに、ロスコーやデ・クーニング、モンドリアンなどの近代の画家の作品が並ぶセクションがいきなり続く、という具合です。そう、教科書通りの展示ではなく、まるでタイムマシーンに乗ったように美術史を行ったり来たりする、というのがこの展覧会のコンセプトです。観客が一つの作品にもっと時間をかけて鑑賞するように考えられた構成だそうです。また、比較的無名で「新発掘」されたアーティストの作品も混ぜられていたり、ギャラリーにいつもと違う新鮮な空気が溢れていて、新しいことに意欲的なボイマンスらしい展示だなと思いました。

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ギャラリーの床から頭を出す男は、マウリッティオ・カッテランの作品「Untitled (Manhole)」。

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壁全体がアート作品の「Wall Painting No. 155」。ヤン・ヴァン・デル・ブルフ作。

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日本でお馴染みの草間彌生の作品「ミラー・ルーム」もあります。

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Yayoi Kusama, Infinity Mirror Room - Phalli's Field, 1965 (1998), Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam


ところで、この美術館のハイライトは、ブリューゲルの「バベルの塔」(写真下)、ボスの「カナの婚宴」、ファン・エイクの「墓場の三人のマリア」、レンブラントの「机の前のティトゥス」など。ブリューゲルの「バベルの塔」は今年(2017年)に日本に行ったので、知っている方が多いかもしれませんが、なんとこの小さな絵には1000人以上の人物が描かれています。見れば見るほどすごい絵なので、ロッテルダムに来たらじっくりとご鑑賞ください。

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Pieter Bruegel the Elder, The Tower of Babel, c. 1560. Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam

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親松恵子

自由の国オランダに魅せられ移住して、気がつけば18年。 現在は、フリーで執筆、翻訳、現地ガイド、各種コーディネーション等、何でもやっています。傍ら自分のアート活動も楽しんでいます。

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