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スイスのお茶菓子クッキー、フォーゲルネストリとシュピッツブーベン

記事投稿日:2017/11/06最終更新日:2017/11/06

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スイスでは、クッキーやビスケットは割と季節菓子だ。スーパーなどではもちろん色々な種類のビスケットが年間を通して売られているし、日常的にもよく食べる。しかしその「旬」はクリスマス時期で、10月半ばぐらいになると、店頭にはクリスマス向けのデコレーション用品などと並んで、各種クリスマスクッキーやその関連商品(既に焼かれているもの、自宅で型抜きをして焼く出来合いの生地、クッキー型など)がイチ押しで陳列される。クリスマスクッキーの種類については様々なブログ等で紹介されているのでご存知の方も多いと思うが、ごく普通のスイス人が日常生活の中でどんなお菓子を食べているのかはあまり紹介されていないように思う。そこで今回は、スイス人の日常生活での典型的なお茶菓子クッキーであるフォーゲルネストリとシュピッツブーベンの2種類をご紹介したい。

「鳥の巣」クッキー、フォーゲルネストリ

フォーゲルネストリ(Vogelnestli)というのは、ドイツ語で「ちっちゃい鳥の巣」という意味を持つクッキー。丸い底生地の上に星形の口金を使って丸い枠を絞り出し、真ん中部分にジャムを乗せて焼き上げる。

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その見た目が可愛らしい鳥の巣に似た形になるので、この名前が付いている。

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使われるジャムは、きれいな赤色のラズベリージャムが王道。底生地は、ミュルベタイグ(Mürbeteig)と呼ばれるバターをふんだんに使ったクッキー生地。口金を使って絞り出される枠部分は、硬く泡立てた卵白と砂糖&挽いたヘーゼルナッツが合わさったもので、いわゆるマカロン風の食感だ。

食べられる「やんちゃ坊主」

シュピッツブーベン(Spitzbuben)は、「やんちゃ・いたずら・わんぱく坊主」という意味合いの面白い名前を持つクッキー。丸い底生地の上にジャムを塗り、その上に底と同じ大きさの生地を重ねる、いわゆるジャムサンドクッキーだ。シュピッツブーベンの大きな特徴は、上に重ねる生地に(基本的に)3つの穴が開いていること。トラディショナルなものは2つの小さい丸と1つの三日月型で、この穴からのぞくジャムと生地のコントラストでやんちゃ坊主の「顔」が作られることから、この名前が付いている。

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底生地と蓋生地は、どちらも前出のミュルベタイグ。フォーゲルネストリとは異なり、底生地と蓋生地はバラバラに分けて焼かれる。焼いた後に底生地にジャムを塗り、上に重ねられる生地に粉砂糖を振りかけ(オプション、粉砂糖無しのものもある、これをジャム面の上に重ねるという仕組みだ。ジャムは、フォーゲルネストリと同様に、鮮やかできれいな赤色が出るラズベリーやフサスグリなどが使われることが多い。3つの穴でスマイリー的な顔を作るのが基本だが、穴は3つとも丸いこともあるし、3つ以上開いている(もしくは真ん中にひとつだけ)こともあるし、クリスマス仕様に星形の穴になっていることもある。

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フォーゲルネストリやシュピッツブーベンは、スーパーなど一般的な店舗の店頭で簡単に購入することができるが、そもそもはデザート・グエツリ(Dessert-Guetzli、スイス方言のドイツ語で「デザート向けクッキー」の意)というお菓子のカテゴリーに属する。デザート・グエツリは、テレビを観ながらポリポリとつまむ感じではなく、強いて言えばランチやディナーなどの料理を愉しんだ後の仕上げに、デザートとしてコーヒーと一緒に頂くものだ。街中のコンディトライ(Konditorei:お菓子の専門店。チョコレートや多種多様な焼き菓子は作るが、ベーカリーとは異なり、パンは焼かない)では、今もお店自慢の美味しくて高品質なシュピッツブーベン&フォーゲルネストリを求めることができる。スイスならではのお土産にも最適なこのフォーゲルネストリとシュピッツブーベン、機会があったら是非一度お試し頂きたい。

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Asami AMMANN-HONDA
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記事投稿日:2017/11/06最終更新日:2017/11/06

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