公開日:
最終更新日:
イタリア/チーズ好き必見!カンパーニャ州の絶品モッツァレラチーズ工場見学レポート
モッツァレラチーズの名産地「カパッチョ」
南イタリア・カンパーニャ州といえば、ナポリのピッツァや魚介料理を思い浮かべる方も多いのでは?でも、カンパーニャ州の名物でもう一つ欠かせないのが水牛のミルクで作る「モッツァレラチーズ」です。
特に水牛のモッツァレラチーズの名産地として有名な、カパッチョ地区のチーズ工場見学へ、筆者が実際に行って来ました。モッツァレラチーズや見学の様子をたっぷりとお伝えします!
カンパーニャ州の名産と言われるモッツァレラチーズ。そのモッツァレッラチーズには二つの種類があります。
一つめは「フィオーリ・ディ・ラッテ(Fiori di latte)」と呼ばれる、通常の牛乳から造られたもの。イタリア全土で食べられています。
もう一つは「モッツァレッラ・ディ・ブーファラ(Mozzarella di Bufala)」と呼ばれる、水牛の牛乳のみで造られたもの。通常の牛乳から作られたものより濃厚で、ミルキーな風味がひろがります。
モッツァレラと一言で言っても、乳牛と水牛のモッツァレラでは味わいや風味が全く異なるため、イタリアでは厳密に区別されています。
1996年、水牛のモッツァレラは「モッツァレッラ ディ ブーファラ カンパーナ」として、厳しい基準をクリアしたもののみに認められるDOP(原産地名称保護制度)を取得。カンパーニャ州を代表する食材となっており、ナポリをはじめレストランやスーパーなどでも見かけることができます。
モッツァレラチーズで有名な工場「テヌータ・ヴァンヌーロ」とは?
今回ご紹介する「テヌータ・ヴァンヌーロ(Tenuta Vannulo)」は、ナポリからさらに南下した所に位置する「カパッチョ(Capaccio)」という町にあります。
日本ではほとんど知られていない町ですが、実はモッツァレラチーズの名産地として有名です。
町を車で走ってみると、のどかな町並みのいたるところに水牛の牧場やチーズの販売所が見受けられる、まさにモッツァレラチーズの町。
そんな数ある工場の中でも、高品質なモッツァレラチーズで世界的に有名なのが「テヌータ・ヴァンヌーロ(Tenuta Vannulo)」。レストランや業者には一切卸しておらず、店舗に行かないと購入できないレアなモッツァレラチーズなんです。
ヴァンヌーロの工場見学に行ってきました!
テヌータ(=農園)・ヴァンヌーロ(=苗字)とは、"ヴァンヌーロ農園"という意味ですが、"農園"とは思えない、最新機器で管理された清潔な牧場や工場・素敵なレストランなどの空間が広がっています。
広大な敷地の中は、いくつかのパートに分かれています。まずはメインとなる牧場や宿舎・チーズ工場。その他に、レストラン、ヨーグルテリア、博物館、革製品ショップが併設されています。
チーズを購入するだけではなく、学んで・食して・お買い物までできてしまいます。
牛に優しい環境、清潔で広々とした宿舎
テヌータ・ヴァンヌーロでは、牛にストレスを与えない自発的な搾乳・飼育を行っています。牛乳の元となる水牛の餌にもこだわり、全て自社栽培した農薬を使わないオーガニック食材だけを食べさせています。
この自発性を尊重し有機飼料を与えるオーガニック農法は、厳密な基準を満たしたものだけに認定されるイタリアのオーガニック認証機関イチェア(ICEA)の認定を受けたほど。
約600頭の水牛を有する多規模な飼育場は機械化が進んでおり、水牛の体を洗う機械から搾乳機にいたるまで、すべて自動化されています。水牛たちは強制されることなく、牛乳が溜まってきたら自ら搾乳機の中に入り、自動的に搾乳を行います。
全ての牛にはICチップが付けられており、水牛の自主性を優先しつつも、一頭一頭しっかりと管理されています。さらに、牛をリラックスさせるため音楽を流したり、マッサージ機やミストシャワーなどがあったりと至れり尽くせり。
また、宿舎が汚れていては水牛の健康にも良くないため、敷地内はとても綺麗に清掃されています。動物の宿舎独特の強烈な匂いも控えめで、見学中もあまり気になりません。
見学の見どころ、モッツァレラチーズ製造工場
こちらはモッツァレラチーズの製造工場の写真です。
衛生上、中には入れませんがガラス張りになった窓から製造工程を見ることができます。モッツァレラの名前にもなっている「モッツアーレ(引きちぎる)」と呼ばれる、モッツァレラチーズをちぎりながら成型していく過程はお見逃しなく!
その日によって異なりますが、一口サイズのモッツァレラチーズ「ボッコンチ―二」や、三つ編みに編まれた「トレッチャ」などが見られることも。
濃厚で新鮮なデザートが味わえる、ヨーグルテリア
ヨーグルテリアでは、水牛の牛乳からつくられたヨーグルトやジェラートが食べられます。プレーンなヨーグルトはさっぱりした味わい。ジャムなども追加できるので、お好みのジャムをかけて食べるとさらに美味しくなります。
店内は小さなカフェの様になっており、1階と2階にテーブル席もあるのでゆっくり座って食べられます。
出来立てモッツァレラチーズをお買い上げ♪カゼフィーチョ
こちらはチーズ売り場のカゼフィーチョ。混んでいる時は、番号札を取って順番を待ちます。モッツァレラチーズの他に、リコッタチーズなどの新鮮なチーズも売られています。
モッツァレラチーズは量り売りで、1kg13ユーロ・1人5kgまでとなっています。(2016年の情報です)。ここでしか買えない出来立てモッツァレラチーズを求めて、世界中から人が訪れます。
㎏単位で、箱一杯に買って行く人も珍しくなく、午前中で販売終了してしまうことも。
搾乳や農業の歴史を垣間見る、ミニミュージアム
手作業で土を耕していた時代のアンティークな農作の機械や、古い搾乳機などが飾られています。
その他にも、古い家庭用の調理器具があるなど、小さいスペースですが充実した内容となっています。
手作り革製品ショップ
水牛の革から作られた手作りのバッグやベルト、財布などが並んでいます。ショップの奥は工房になっており、職人さんたちが作業をしているのが見えます。
1点、1点手作りの革製品も、もちろんここでしか販売していません。
ヴァンヌーロ併設のレストランで、極上のチーズ料理を!
こちらは近年新設された、敷地内にあるおしゃれなレストラン。窓からは牧場ののどかな風景が広がっています。
色々なチーズを味わいたい方は、前菜にチーズ盛り合わせを頼んでみてください。自家製パンやグリッシーニに、出来立てバター、リコッタチーズやボッコンチーニなどの盛り合わせが運ばれてきます。
モッツァレラチーズは、ナイフを入れるとじゅわ~っとミルクが溢れ出します。濃厚な水牛のミルクも、新鮮なので臭みがなくパクッと完食できてしまいます。
工場見学詳細
見学時間:約1時間(製造工場・水牛の宿舎・ミュージアム・革ショップ)
※見学の後に、ボッコンチーニなどのプチ試食があります。
見学は午前中のみでお昼頃に終わるので、そのままレストランでランチをしたりヨーグルテリアで食事をしたりするのがおすすめです。
見学料:1回40ユーロをその日の参加者の人数で割り勘(2016年の情報です)
公式サイト:http://www.vannulo.it/
見学の帰りに立ち寄りたい、世界遺産パエストゥムの遺跡
テヌータ・ヴァンヌーロから車またはタクシーで約10分の所に、世界遺産パエストゥムの遺跡があります。なんと、パエストゥムは、ポンペイ遺跡より約500年も前に建てられたギリシャ時代の遺跡なんです。保存状態も素晴らしく、一見の価値あり。
入場料が必要ですが、遺跡の周りは低い柵で覆われているだけなので、外からでも充分鑑賞できます。遺跡付近には、バールやレストランが並んでいるので、中には入らず涼しい店内でカフェやワインを飲みながら遺跡を眺めている人もたくさんいます。
緑あふれ、ゆったりとした牧場で、その土地でしか食べられないモッツァレラチーズを食べるのは最高。見学の後は、雄大なパエストゥムの遺跡にもぜひ立ち寄って、カンパーニャ州の食と歴史を堪能してみてくださいね!
写真:la luce del sad
Rankingイタリア記事ランキング
-
La luce del Sud
- 人々の生活スタイルや風景に魅せられ、イタリアへ。現在は南イタリア・アマルフィ海岸にある小さな町に住んでいます。個人旅行のアテンド・各種視察のコーディネートや通訳をしています。