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ジェラート王国イタリアならでは?!20万人が集う国際展示会「SIGEP」レポート
イタリア人はジェラートが大好き。その種類の豊富さ、美味しさはイタリアならでは。そんなイタリアの、ジェラートビジネスの集大成ともいえる展示会が毎年1月に開かれます。
今回は2017年に行われたときのレポートをご紹介します!
ヨーロッパ最大級の国際展示会『SIGEP (シジェップ) 』とは
ヨーロッパ最大級ともいえる、ジェラート・菓子・パン・コーヒー関連業の国際展示会「SIGEP(シジェップ)」。この展示会は毎年1月後半に、マルケ州(※)にあるアドリア海沿岸の、一大リゾート地であるリミニにて開催されます。
その規模は年を追うごとに拡大し、2017年で38回目を数える同展示会には、出店者数1,250社、来場者数は208,472人を記録。同業界に関連するビジネスは国際化が非常に進んでいることもあり、入場者のうち国外からの来場者は170ヵ国から41,827人に上り、昨年比より29%も増加しました。
各国イタリア大使館関連機関による、業界主要バイヤーなどの招待も見られることから、イベントとしてだけでなく、ひとつの大きなビジネスチャンスとして捉えられていることも伺えます。
※編集部註......マルケ州はフィレンツェから東へおよそ184km、ボローニャからは東南へおよそ200kmの地点にある州。トスカーナ州やエミリア=ロマーニャ州、サンマリノ共和国に隣接しています。
SIGEP展示会場内の様子。とにかく多くの人が集まります。
リミニの展示会場は、大きく分けてジェラート、菓子・チョコレート業、パン製造業、コーヒー関連業界に区切られています。ブースの数の多さとその内容の濃さには、思わず圧倒。1日で全てを訪ねるのは、なかなかに困難です。
会期は5日間ですが、会期中は常に人手も多く、会場内は熱気に包まれ活気にあふれた状態が続きます。
展示会のハイライトはジェラート関連の部門
その中でも、やはり注目すべきはジェラートの部門でしょう。それは、さすがジェラート王国イタリア、と言えるもの。ジェラート関連商品の置かれるいくつかの大きなパビリオンには、ジェラートの原料、製造機械、包装、トッピング材料、ショーケース及び店内ディスプレイ関連、店舗内装......と、ジェラートを取り巻く関連商品の製造・販売をする企業がずらりと並びます。
実に様々な観点から、ジェラートビジネスが成立していることが分かる展示内容です。
ジェラート試食ブースは行列が絶えません。
近年のイタリアンジェラートの傾向とは......
ジェラートの原料メーカーなどは試食も惜しみなく提供するため、あちこちでジェラート食べ放題な状態が......。そのフレーバーの豊富さは、実にバラエティに富んでいます。
例えばチョコレートのフレーバーだけを見ても、カカオの産地にこだわったもの、カカオ含有量を細かく分けたもの、柑橘やスパイスなどの風味を加えたものと、より味の細分化が進んでいます。提供方法や見せ方なども同様で、シンプルかつモダンに、そしてスタイリッシュに...と、ここでもイタリアらしいこだわりが垣間見えることでしょう。
各社とも、フレーバーは多種あるものの、近年の傾向として目立つのは自然志向です。スタンダードな味を商品化するにあたり、どこまでが本当に自然派といえるのか......という追求は置いておきつつ、味わい、そしてイメージ戦略として自然派志向が非常に広く浸透し、"ナチュラル"や"オーガニック"の文字が目立つようになっています。
そして、イタリアでも最近一種の食の流行りでもある、"ヴィーガン(=動物製品を一切使わない、絶対菜食主義者)"を謳うジェラートも、あちらこちらで見かけられるようになりました。
オーガニック素材のコーナー。イメージもナチュラル志向に。
ヴィーガン向けに特化したジェラート素材をアピール。
ジェラート関連産業の新商品も続々と
そして、ジェラート製造機械メーカーも、各社の技術を駆使した最新の機械をお披露目しています。同展示会を新商品発表会の場とするケースも多く、既存顧客及び新規獲得に向けて社員を総動員し、プレゼンテーションに力が入ります。
この記事でご紹介したいのが、ジェラートの美味しさを視覚から訴えるショーケースメーカーのバリエーション。色とりどりのジェラートをバットにずらりと並べる従来型タイプは、ケースの形やガラス素材に配慮し、よりシンプルに、そしてより美しく見せる方法を提案しています。使用するエネルギーをリサイクルする、エコ対策を施したものなども出始めました。
写真でもご紹介している、最近流行している縦型の蓋つきポットを配置したケースは、実は昔ながらのトラディショナルなケースが現代風になって戻ってきたものです。
ジェラートを美味しく見せる効果はショーケース次第?!
実は昔ながらの販売スタイルはこの縦型ケース。
回るショーケースも見かけます。
スターシェフも大活躍
これも最近の傾向なのですが、イタリアもテレビのデジタル放送化普及後、料理番組や料理チャンネルなどが増えました。そこでは料理人や菓子職人がスター化されるようになり、「タレント顔負け」というほどに注目を浴びています。
マスメディアで人気となったシェフなどは、このような展示会の機会にもひっぱりだこ。会期中にも各社のブースでシェフを招いたショークッキングが開催されます。自社商品をアピールしつつ、著名シェフの名声を借り、ブースへの集客を図るのです。
もちろん、有名シェフのいる時間ともなると、該当ブースは人だかりとなりますので、その思惑はばっちりと当たっているのでしょう。
各ブースでは、シェフを招いてミニ講習会が開かれます。
同展示会は、若手のこれからのジェラート職人の技術とモチベーションを上げるきっかけとなる、ジェラートW杯なども開催されます。これは各国からの編成チームにより、その技術を競い合うもの。もちろん日本からの出場も毎回あり、非常に注目されています。
街角で食べる美味しいジェラートは、このように関連ビジネスによって成り立っています。ジェラートが日常にとても近い存在であることは、街中のジェラート店の店舗数をみるだけでも容易に想像がつくところではありますが、この展示会を通じてイタリアのジェラート文化の奥深さが伺えます。
イタリア人の、ジェラートに対する愛情と執着を感じるようでもありますね。
写真・執筆:Aki Shirahama
SIGEP公式サイト:http://jp.sigep.it/
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