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見逃せない王道中の王道! フィレンツェ「ウフィツィ美術館」徹底攻略法
サムネイル:Pixabay
ルネサンス芸術の発祥と言われる花の都フィレンツェ。メディチ家の支配の元に芸術都市として栄えたその頃の面影を留めるように、フィレンツェの美しい街並は今も私たちの感性に訴えかけてきます。
さまざまな見所が集まるこの街ですが、彼らのコレクションが集められたウフィツィ美術館をやはり筆者は筆頭に挙げます。今回は、ウフィツィ美術館鑑賞のコツをお伝えしましょう!
※以下、写真は全て参考イメージです(CC-BY,CC-BY-SAライセンスに基づく)
■クリエイティブコモンズ公式サイト(英語・外部サイトに遷移します)
ウフィツィ美術館とは
「Uffizi (1)」
Photo by joepyrek
Taken on July 26, 2012(CC BY-SA 2.0)
まずは、ウフィツィ美術館について簡単に説明しましょう。
1500年代、現在のトスカーナ州の前身となるトスカーナ大公国の初代大公を務めたコジモ1世が、行政庁舎として建てたのがウフィツィ美術館の始まり。
設計に携わったのが、コジモ1世お抱えの設計士ジョルジョ・ヴァザーリです。こちらも予約制で入場できる「ヴァザーリの回廊」に名前が残っていますね。
その後、芸術好きの息子フランチェスコの時代になり、メディチ家に眠る貴重な美術品を集め保管しはじめたのが美術館コレクションの元となったと言われています。現在では、フィレンツェを代表する観光スポットであると同時に、「フィレンツェ歴史地区」の一つとして世界遺産にも登録されています。
混雑必至の美術館にスムーズに入場するコツ
Photo by Dimitris Kamaras
「Galleria degli Uffizi, Florence」
Photo by Dimitris Kamaras
Taken on April 23, 2016(CC BY 2.0)
さて、フィレンツェの街を長きに渡って支配し、ダ・ヴィンチやミケランジェロなど世界最高の芸術家達のパトロンとなったメディチ家のコレクションとあっては、まさに貴重な作品ばかり。
世界中からこれらを見にたくさんの人々が訪れます。当然混雑は必至なのですが、筆者の経験から比較的スムーズに入るコツをご紹介しましょう。
チケットは事前予約すること
ウフィツィ美術館のチケットは、オンラインで世界中から購入することができます。当日券を買うには、チケット売場に列を作って並ばなければいけませんが、事前購入しておけば引き換えの窓口に並ぶのみで、こちらの方が数段スムーズです。
チケットは、公式サイトから自力で購入する方法があります。日本語のサイトじゃないと不安という方は、日本のオプショナルツアーなどを扱うチケット手配代行会社や旅行会社に依頼できます。手数料はかかりますが確実に入手できます。
オプショナルツアーで入手した場合、日本語音声ガイドが付いたり、優先入場もできたりします。そのため、初めての方はこちらの手段を使う方が予約から入場までの時間を節約することができるでしょう。
見学する時期と時間を見極める
ウフィツィ美術館が特に混雑する時期は、ヨーロッパのバカンスシーズンである夏季です。筆者が夏季に訪れたときは、窓口に人が溢れてなかなか苦労しました。名画の前にも人だかりができます。
逆に、比較的空いているのはオフシーズンの冬や春先、バカンスに入る前の5~6月頃でしょう。そして、平日の早朝やお昼時、閉館前の夕方頃の時間帯を狙えば、さらに空いているはずです。
ガイド付き現地ツアーに参加する
また、筆者が経験して非常に良かったのは、日本語のガイドを付けた美術館鑑賞ツアーです。こちらも各社が催行しており日本で予約可能。
チケットのみ購入する場合よりも料金は高くなりますが、チケットも代行して手配してくれ、当日はガイドがついているため自分たちでチケットを引き換える手間や待ち時間はほとんど無し。
しかも、専門ガイドの解説があるのと無いのとでは、作品の楽しみ方が全く違います。
メリハリをつけた鑑賞を。有名絵画は絶対見逃すな!
さて、いざ美術館の内部に入ると、その展示作品数はなんと約2500点。
全てをじっくり見ていたのでは到底回り切れません。そこで、ゆっくり見る場合でも所要時間を3時間程度に抑え、メリハリをつけて回ることをおすすめします。
個人で回る場合は美術館の代名詞とも言うべき名画をうっかり見逃さないよう注意が必要です。
以下、一部ですが絶対に外せない作品をいくつかご紹介しましょう(一部参考イメージを掲載しています)
ウルビーノ公夫妻の肖像(ピエロ・デラ・フランチェスカ)
遠近法の達人であったフランチェスカが描いた夫婦の肖像。赤い装束のウルビーノ公(フェデリコ・ダ・モンテフェルトロ)と、黒のドレスをまとった夫人(バッティスタ・スフォルツァ)がお互いに向き合った作品です。
男女で向き合う構図、衣服の色合いの対比が美しく印象的な作品ですが、背景に用いられた遠近法も見逃せません。
ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ)
Photo by Pietro Zanarini
「Botticelli: "Nascita di Venere"」
Photo by Pietro Zanarini
Taken on January 11, 2011(CC BY 2.0)
教科書などで必ず目にしたことのある、ギリシャ神話を題材にした超有名作品です。
※編集部註...ウフィツィ美術館のお土産コーナーには、ボッティチェリの作品をパッケージにした石鹸などが売られています。手のひらサイズでお土産にピッタリですよ!
聖家族(ミケランジェロ)
Photo by Darold Massaro
「Uffizi」
Photo by Darold Massaro
Taken on March 31, 2015(Public Domain Mark 1.0)
ミケランジェロのパネル画の中では、唯一完成したと言われる貴重な作品。
作品に描かれているモチーフにはさまざまな仮説があること、額には聖人の彫刻がなされていること、人体の描き方や構図が当時(1507年?)としては斬新であるなど、長年に渡り美術ファンの心をつかんでいます。
ひわの聖母(ラファエロ)
マリア、イエス、洗礼者ヨハネを描いたラファエロの名作。
ウルビーノのヴィーナス(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ)
見事なまでの官能美を追求した巨匠ティツィアーノの作品。
ボッティチェリのヴィーナスとはまた異なる、妖艶さを秘めた美しさが魅力です。過去に、上野の国立西洋美術館でも貸し出し展示がなされていたそうです。
バッカス(カラヴァッジョ)
「Bacchus by Caravaggio, ca. 1595, Galleria degli Uffizi」
Photo by Carole Raddato
Taken on June 30, 2015(CC BY-SA 2.0)
光と影の魔術師とうたわれたカラヴァッジョの美しい作品。酒の神であるバッカスは成人した男性で描かれるケースが多いのですが、この作品では「若き少年の頃」とされています。
なお、カラヴァッジョは芸術家として非常に評価されていたものの、グロテスクな表現が賛否両論を呼んだり、喧嘩っ早い人物像であったそうです。さらに、1606年に殺人の罪を犯し、当時住んでいたローマを逃れてナポリやシチリア島の都市シラクーザに流れ、最終的には詳細の分からぬまま死んだ(※)と言う、壮絶な人生を送ったとされています。
※死因については熱病や鉛中毒など諸説あるそうです。
お宝が集まるかつてのサロン「トリブーナ」
Photo by Darold Massaro
「Uffizi」
Photo by Darold Massaro
Taken on March 31, 2015(Public Domain Mark 1.0)
トリブーナは美術館の中でも特に美しい部屋と言われます。中には、メディチ家コレクションの中でも重要な作品が集められており必見。床面の装飾も素晴らしく、部屋の内装も見所のひとつです。
実は天井画も素晴らしい
「IMG_9409_edited-2」
Photo by Carolyn Sugg
Taken on August 1, 2015(CC BY-SA 2.0)
美術館と言うと、ついつい展示されている作品だけに目が行きがちですが、ウフィツィ美術館はその内装の美しさも目を見張るほど。
ウフィツィ美術館は番号で部屋が分かれていますが、第20室以降は特に天井画が美しく、手の込んだ絢爛豪華な天井画に注目してみると、思わずため息が漏れるはずです。
美術館からの眺望ももれなく楽しんで
Photo by Sarah
「P1190936」
Photo by Sarah
Taken on August 22, 2009(CC BY 2.0)
ウフィツィ美術館には、いくつか眺望を楽しめる穴場があります。
まずは第1~3廊下。ここからはアルノ川にかかるヴェッキオ橋の美しい景色を眺めることができます。そして、同じフロアにあるカフェテラスからは、ヴェッキオ宮殿とドゥオーモの立派な佇まいが目の前に迫ります。フィレンツェ屈指の美術館から眺める美しい風景。ぜひお見逃しなく!
フィレンツェきっての見所であるウフィツィ美術館の魅力はまだまだ語り尽くせませんが、やはり百聞は一見に如かず!
ルネサンス文化が花開いたこの土地で、本物の芸術に浸るひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
施設情報
名前:ウフィツィ美術館(Galleria degli Uffizi)
住所:Piazzale degli Uffizi, 6, 50122 Firenze
公式サイト(外部サイトに遷移します):http://www.uffizi.it/
※ご紹介しているWebサイトは、イタリア政府によって定められた「暫定公式サイト」です。
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