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美尻のヴィーナスに牛をいじめる人々!? ナポリ国立考古学博物館で楽しい謎解き
イタリアを代表する二大博物館があるナポリの街。ひとつは絵画を中心に展示したカポディモンテ美術館、そしてもうひとつが古代の彫像や出土品を中心に展示した国立考古学博物館です。
国立考古学博物館にはイタリア屈指のコレクションが集合し、特に躍動感のある彫像の数々は必見! 今回は、その魅力を存分にご紹介しましょう。
※本稿の写真はクリエイティブ・コモンズ(CC-BY,CC-BY-SA)ライセンスに基づき掲載しています。
参考:クリエイティブ・コモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)
ナポリ国立考古学博物館ってどんなとこ?
Photo by Elliott Brown
「National Archaeological Museum of Naples - courtyard」
Photo by Elliott Brown
Taken on July 1, 2012(CC BY 2.0)
下町スパッカナポリからほど近い一角にある建物が、国立考古学博物館です。
内部に展示されているのは、ファルネーゼ家のコレクションとして残る見事な彫像類、そしてヴェスヴィオ火山の噴火で埋もれた都市ポンペイや、エルコラーノから出土したお宝級の出土品などが中心となっています。
いずれもイタリアのみならず、世界的にも価値の高いものばかり。ナポリを訪れるならば、見逃してはならないスポットだと言えますね。
見事な彫像に隠れた謎を紐解いて
博物館を訪れた人がまず圧倒されるのが、館内にずらりと並んだ彫像の数々。
等身大かそれ以上の大きさで作られた大理石彫刻は、まるで命をもっているかのように躍動感に溢れ、今にも台座から降りて動き出しそう。
ヴィーナスは後ろから見よ(カッリピージェのヴィーナス)
Photo by virtusincertus
「Venus Kallipygos」
Photo by virtusincertus
Taken on October 30, 2009(CC BY 2.0)
官能的で優美な佇まい、肌の質感や滑らかな衣の手触りなどが、見事に大理石で表現されている作品です。これが硬い石でできているのを忘れてしまいそうなほど。
Photo by virtusincertus
「Venus Kallipygos, rear」
Photo by virtusincertus
Taken on October 30, 2009(CC BY 2.0)
この作品は「カッリピージェのヴィーナス」と名付けられています。これは、ギリシャ語で"美尻のヴィーナス"という意味です。
なぜかというと、この彫像を後ろから眺めてみれば一目瞭然。ほどよく丸みを帯び、つやつやとした美尻が触れてみたくなるような曲線美を描いています。
この作品は、正面ではなく後ろ姿に醍醐味があったのですね。
雄牛をいじめる人々の謎とは?(ファルネーゼの雄牛)
Photo by inyucho
「National Archeological Museum Napels」
Photo by inyucho
Taken on May 6, 2013(CC BY 2.0)
荒くれる雄牛に掴みかかり、もつれ合う男女。ひと際存在感を放つこの彫像は、博物館の目玉と言っても良い作品かもしれません。しかし、なぜ人々は雄牛をいじめているのでしょうか?
「Naples Archaeology Museum」
Photo by Dave & Margie Hill / Kleerup
Taken on May 22, 2011(CC BY-SA 2.0)
実は、いじめられているのは雄牛ではなく女性の方。よく見ると、女性は暴れ牛に繋がれています。この女性はディルケという王妃。男性たちは、母親をこのディルケ王妃に虐待された仕返しに、暴れ牛に彼女を繋いで復讐しようとしているのです。
人物と牛の重なり合い、もつれ合いとその躍動感は圧倒的な迫力で、360度、どの角度からの鑑賞にも耐えうるように作られています。
ポンペイからの出土品、オリジナルを見るならここで
南イタリア観光で、必ず立ち寄るのが火山噴火で廃墟と化したポンペイの都市遺跡。しかし、現地にあるものはレプリカで、本物はこの博物館に保管されているというものも多くあります。
ポンペイの豪邸を飾った見事なモザイク(アレクサンドロス大王とダレイオス3世の戦い)
「Naples Archaeology Museum」
Photo by Dave & Margie Hill / Kleerup
Taken on May 22, 2011(CC BY-SA 2.0)
こちらは、マケドニアのアレクサンドロス大王とペルシャのダレイオス3世との、歴史に残る闘いを描いたモザイク。このダイナミックなモザイク画は、ポンペイで特に豪華な屋敷と言われたファウヌスの家から発見されたものです。
当時のモザイク画は、白黒で濃淡をつけただけのものが多く見られました。しかし、ポンペイの屋敷から発見されたものはカラフルです。このモザイク画は、人が踏む床面の装飾に使われていたのだとか。
国立考古学博物館には、ほかにも精緻な装飾が施された古代エジプトのガラス壺やさまざまな美術品、出土品など一日では見きれないほどの貴重な展示が沢山あり、ここでしか見られない興味深いものばかりです。
ナポリを訪れるなら、ぜひ国立考古学博物館へ立ち寄ってみてくださいね。
サムネイル写真:Pixabay(CC0 Public Domain)
※掲載写真は参考イメージです。
施設情報
名前:ナポリ国立考古学博物館(Museo Archeologico Nazionale di Napoli)
住所:Piazza Museo, 19, 80135 Napoli
※展示作品に関する内容は、ライター執筆時のものです。
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