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世界遺産に登録されたはちみつ色の街ノート、その美しさの秘密
シチリア州の小さな街、ノート。この街はバロック様式の建築、かつはちみつ色の建物が並ぶことから世界遺産に指定されています。小さな街ながらその光景は魅力に溢れており、5月に行われる「花絨毯の祭り(インフィオラータ)」も有名なお祭りです。
※写真はイメージです。クリエイティブコモンズライセンスに基づき掲載しています。
参考:クリエイティブコモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)
世界遺産に登録された、シチリア島の街「ノート」とは
ノートとは、シチリア島南東部にある小さな小さな街。
南東部の中心都市シラクーサから電車やバス、車でアクセス可能ですが、ローマやヴェネツィア、ナポリといった名だたる大都市と比べれば、まだまだ日本人には馴染のない街かもしれません。
ところがこの小さな街は、思わず見とれてしまうほどの独特な美しさを持った街なのです。
今回は、ライターがシチリアを巡る一週間ほどの旅の中で触れた、美しい小都市の魅力をご紹介します。
ノートの美しさの秘密:その1「バロック様式の街並み」
ノートが独特の美しさを醸し出している秘密は、第一に街中の建物がバロック様式で統一(※)されていることにあります。ノートの街は1693年、大地震に見舞われて建物が根こそぎ倒壊し、壊滅状態に陥りました。その後、住民たちの懸命の努力により、当時イタリア中で流行っていたバロック様式で街全体が再建されたのです。
バロック様式とは、複雑な造形美、豪華な装飾、そして動きのある曲線を多用した建築様式で、小さな街全体に華やかさを与えています。とりわけメイン通りから脇に入るニコラチ通りに並ぶバルコニーの連々は、見事なバロック装飾で有名。
ライオンやグリュフォン、グロテスクな仮面など凝りに凝った装飾には、見るたびに新しい発見を与えてくれる味わい深さがあります。
※注:ノートの街並みは「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」として、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。
ノートの美しさの秘密:その2「はちみつ色の石づくり」
さらにこの街を美しく見せている二つ目のの秘密は、建物という建物全てがはちみつ色をしたモディカ産(※)の石でできているということ。教会も、カフェも、家々も、市庁舎も、全てがはちみつ色なのです。
シチリア独特のカラッとした青空、爽やかな風、小鳥のさえずりにすこぶる映えるはちみつ色一色の景観は、想像するよりもずっとずっと美しいものです。
※注:モディカは、同じくシチリア州の街。ヴァル・ディ・ノートの一つに含まれ、同じく世界遺産として登録されています。
ノートの美しさの秘密:その3「花祭り(インフィオラータ)」
最後の秘密に出会いたければ、街が一年で最も華やぐ5月の第三日曜日に行ってみると良いでしょう。
それは、「花絨毯の祭り(インフィオラータ)」が開かれる日です。この日は、はちみつ色に包まれたニコラチ通りにカラフルな花絨毯が出現します。一色で統一された街というのも美しいですが、その中に鮮やかな花の絨毯が色を添える様子は、まさに圧巻そのもの。
そして、その年ごとのテーマに沿って作られた作品の絵柄は、すべて植物の種子や葉、土で出来ているのだそう。とても自然のもので造られたとは信じ難い精巧さです。
温かな思いに包まれる小都市に魅せられて
ノートは半日もあれば十分回れてしまうほどの小さな街。けれど、ほんの僅かにピンクがかったはちみつ色の街は、とっても繊細で整然として、それでいて何だか温もりも感じられる素敵なところ。
そしてノートが一際美しく思えるのは、大地震で大破した街を見事甦らせた住民たちの、街への思いが感じられるからかもしれません。
※注:イタリア政府観光局のYoutubeチャンネルでは「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の街々」の紹介動画が公開されています。あわせてご覧になってはいかがでしょうか。
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