ガラス細工職人が集う島「ムラーノ島」。ヴェネチアングラスが盛んな理由とは?

※サムネイル写真:Pixabay(CC0)

ヴェネチアの北東に位置するムラーノ島は、中世の頃からガラス職人が集まる島。そこで作り出されるガラス工芸は「ヴェネチアングラス」として、ヴェネチアの特産品であり世界に誇る工芸品でもあります。

なぜ、ムラーノ島にこのような技術が結集したのか?それは、かつて敷かれた政策が理由だったそうです。

※以下、写真はイメージです。クリエイティブコモンズライセンスに基づき掲載しています。

参考:クリエイティブコモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)

ガラス工芸品店や工房の集まる島、ムラーノ島

水の都ヴェネチアの本島から水上バスで10分ほど移動したところにある小さな島「ムラーノ島」。落ち着いた雰囲気の街並みに、色彩豊かなガラス工芸店が並び、島全体がひとつのアートスペースのようになっています。

レース模様などのガラス細工を施した、ヴェネチアングラスの工房が集中していることでも有名なこの島。今回は、ムラーノ島観光の際に立ち寄ってほしいレストランや、おすすめのお土産をご紹介します。

ムラーノ島に工房が集中している理由とは?

ヴェネチアングラスの工房が集中し始めたきっかけは、13世紀中世にまで遡ります。

当時、東西貿易の中心地だったヴェネチア共和国は、取引物の中で最も珍重されていたガラス製品を自国で製作して、利益をあげたいと考えていました。しかし、原材料や燃料を自国で産出することが出来ないヴェネチア。コピーや類似品が、原材料が豊富な他国で生産されることも懸念されていました。

そこでヴェネチアがとった政策は、非常に大胆なものでした。

ガラス職人だけでなく、家族、販売者をムラーノ島へ強制的に移住させたのです。この政策は技術流出を防ぐためだけではなく、溶解炉が火元となる火事の被害を最小限に抑える目的もあったと言われています。

これにより、狭い島内に押しやられた職人たちですが、そのような境遇のなかでも腐らずに切磋琢磨し、独自の技術を次々と生み出していきました。ガラス製品や鏡、シャンデリアなど美しい芸術品を生み出す力が育てられていったのです。

ヴェネチアングラスの発祥について書かれた正確な文献はありませんが、その技術の進歩によって、ヴェネチアングラスの工房も集中するようになったといわれています。

地元民に愛されるレストランにも、ぜひ立ち寄ってみてください

ムラーノ島の街並は、ヴェネチア本島に比べて時間がゆっくりと流れているように感じられます。刺激を求めて訪れるというよりも、喧騒を離れてバカンスを楽しむような過ごし方が向いています。

職人さんたちが黙々と日々技術を磨いている、そんな風景が何年も変わらずに見られるエリアです。多くのガラス工房は気軽に見学させてくれますので、美しいガラス細工がどのようにして作られているのか、長年にわたって培われた高い技術力を実際に見てみましょう。

工房巡りのあとは、おいしいもので一息

小さな島とはいえ、ガラス工房をじっくり見て回った後にはお腹が減ることでしょう。ゆっくりと過ごすバカンスに欠かせないものは、美しい風景とおいしい料理です。

スタッフが個人的にオススメしたいのは、ムラーノ島の人気レストラン「Busa alla torre da lele」。「レレさんの店」という愛称で島の人から親しまれている人気店です。

テラス席には大きなパラソルがかかっており、強い日差しを避けながら食事を楽しめるこのお店。クモ蟹のサラダなど季節の前菜の盛り合わせ「アンティパストミスト」はぜひオーダーしてみてください。他の料理もどれも美味しく外れがありません。

イカスミのスパゲティやフリット、イタリア定番デザートのティラミスなどもオススメです。

参考:Busa alla torre da leleの情報サイト(外部サイトに遷移します)

ムラーノ島のガラス製品は高そう?実は気軽に買えるものもたくさんあります。

高価なイメージがあるヴェネチアングラスですが、ムラーノ島に来たのなら買わずにはいられません。とは言え、鏡やグラス、タンブラーは持って帰るのが不安......という方にオススメなのは、ちょっとしたピアスやネックレスなどのアクセサリー類です。小物類でも、普段の生活で何気なく使っているガラス製品とは全くの別物。

ムラーノ島の海を想わせる深い青のペンダントや、透き通るような淡い色の赤ピアス。小さなものでも存在感があり、しっかりと彩りを加えてくれそうです。

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Photo by Pixabay(CC0)

ムラーノ島を一度訪れれば、ヴェネチアングラスを見るたび、心の中にこの島での出来事が思い出されるでしょう。ちょっと人生を休憩したい。そんな気持ちになったときはぜひ、ムラーノ島に行ってみてください。

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