イタリアでも防犯意識を大切に。安全にヨーロッパ旅行を楽しみたい人必見の、経験談と対処法

有名な観光地を巡るだけでなく、現地のローカルな趣を楽しむような旅のスタイルも増えている昨今。しかし、どんなに旅慣れている方でも、旅行初心者の方でも、同じようにリスクがあります。

今回は、ライターが実際にイタリアを含むヨーロッパ各地で遭遇した"危機一髪"のエピソードをご紹介したいと思います。

【ご注意】
今回の記事は、ライターが経験したトラブルと自衛方法についてご紹介しています。旅行先での安全対策は、外務省などの公的機関、ガイドブック、旅行会社からの情報提供など幅広く収集し、総合的に判断いただきますようお願いいたします。

この記事をご覧いただいている方の中には、イタリアだけを旅する人、ヨーロッパ周遊する人など、さまざまなタイプがいらっしゃると思います。今回はイタリアに限らず、ヨーロッパ旅行という広い範囲での体験談ですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

プロのスリの手口はすごい

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<こんな風に持ち歩くのは絶対にNG。※写真はイメージです。 Photo by Pixabay(Pulic Domain)>

まずはフランス、パリでの体験談です。

あるとき、気付いたらお財布がありませんでした。

いつどこで盗られたのかも全く分かりません。そのとき持っていたバッグは肩からかける長めのショルダータイプで、一見開け方もすぐには分からないような複雑な構造のデザインだったのですが、それでも気付いたらお財布がなかったのです。

電車に乗る前は切符を買ったので確実にあったのに......。電車の中で盗られたとしか考えられないのですが、そんなに気を抜いていたつもりもなく、むしろ気をつけていたはずなのに、お財布だけ魔法のように消えてしまったのです。

ヨーロッパでお財布をなくした場合、出てくることはまず期待できません。保険の処理のために警察への届け出が必要ですが、警察が一生懸命探してくれることなどあり得ません。いくら高級ブランドのお財布に大金を入れていたとしても、です。

スリを完全に防ぐのは難しい。でも、ある程度は自衛できます。

私の友人は地下鉄で、鞄に手を入れられている瞬間に気付いたことがあるそうです。

スリをしようとしていたのは若い女性だったとのこと。友人はフランス語が話せたので「何してるの?」と聞くと、ニヤニヤして「別に」というような態度。

そのときは周りに乗っていたおばあさんやおじさんたちもスリの行動に気付き、みんなが「出て行きなさい!」と追い払ってくれたそうですが、実際に自分の鞄に手を入れられていたのを発見したら恐ろしくて何も言えないかもしれません。

もしそれが屈強な男だったら? 凄まれたらなす術がありませんよね。

スリに遭わないようにある程度までは予防できますが、私のケースのように、全く気付かないうちに盗られてしまうこともあるので、完全に対策するのは難しいとも言えます。

重要なのは、お財布を分けて持つこと。カードを数枚持っている方は、面倒でもせめて2つに分けて持っておくと安心です。

日本から旅行に来る場合、日本でしか使うことのない免許証や会社のIDカード、学生証なども置いていった方が良いでしょう。これらは失くしたり盗られてしまったとき、後から色々と手続きが面倒なのです。

誰にでもニコニコしない。怪しい人に絡まれてしまう可能性も

ちょっぴり旅慣れた日本人にありがちなことなのですが、「現地の人とのふれあい」的な意味で陽気に接したり、目が合った人につい笑顔で返すことがあると思います。特に女性は気をつけて欲しいのですが、これは本当に危険です。

私はしばらくパリ郊外に住んでいたことがありますが、あるとき一人で駅に向かって閑静な住宅街を歩いていると、見知らぬおじさんが「Bonjour」と声をかけてきました。

場合によっては見知らぬ人とでも挨拶をすることが日本よりも普通なので、私も笑顔で「Bonjour」と返したのですが、そこからおじさんは少し立ち話をして「どこへ行くの?」、「きみはこの辺で見ない顔だね」、「なぜフランス語が話せるの?」とどんどん言ってきます。

私は普通に対応していたつもりなのですが、会話が終わりかけになると挨拶のキスを求めてきました。

フランスでは「ビズ(bise)」といって、頬と頬を合わせてキスをする仕草で挨拶をすることがあります。ビズをするのは基本的に親しい間柄ですが、友達同士でも、仕事仲間でもすることはありますし、田舎に行けば行くほど回数が増えたりチュッと口でキスの音を鳴らしたり、人によって色々バリエーションがあります。

郊外とはいえ、ここはパリ......。道ですれ違った人からビズを求められることに不自然さは感じましたが、まぁ私も当時は若くて警戒心もそんなにありませんでした。ビズに応じることにしたのですが、おじさんは軽いビズではなく口にブチューっというキスをしてきたのです。

今思い出しても気持ち悪い......。

パニック状態になった私はおじさんの股間を蹴り(失礼、でも身を守るためには仕方がなかったことです)、鬼の形相でわめき散らしましたが、人通りもそんなになかったので誰も助けてくれません。うめくおじさんを振り切って駅に向かい、電車に飛び乗りました。

しかし、その日はさらについていなかったのか、その電車で変な若者に付け回されてしまいました。車両を替えても追いかけてくるので恐ろしくて、公衆電話から友達に電話をしましたが(ずいぶん昔の話なので海外対応のスマホを持っていなかったのです)、その耳元で「キミの電話が終わるのを待ってるよ」というようなことを囁かれ、恐怖で駅員さんの詰所に逃げ込みました。

その日は結局、目的の駅まで女性の駅員さんが付き添ってくださり無事だったのですが、ダメージが大きかったですね......。

断っておきますが、その日の私は過度な露出の服を着ていたわけではありません。冬だったのでロングコートに帽子をかぶっていて、むしろ女っぽさをそんなに出しているつもりはありませんでした。

アジア人女性は特に気をつけて欲しいのですが、ヨーロッパの男性にとっては、私たちが普通に切れ長の目を伏し目がちにしていたりするだけでも魅惑的に見えることがあるそうです。特に人気があるのは日本人と韓国人の女の子です。

知らない人と必要以上に親しくすることはリスクを伴うことも

明らかに変だな、と感じる人からアプローチをかけられると誰でも警戒すると思いますが、もし、それが好みのタイプだったら? 恋が始まってしまうかも......と浮かれた気分になることもあるかと思います。

そうやって恋が始まることももちろんあるのですが、会って間もない人とコミュニケーションを取るときは、最後の最後まで気を抜いてはいけません。

実際に、「イケメン」と感じるような風貌の泥棒だっていますし、泥棒ならまだしも乱暴されたり、デートを装って変なクラブに連れていかれることだってあるのです。ヨーロッパ旅行中は、日本で過ごすときよりも大人の女性としての振る舞いを意識した方が良いでしょう。

誰にでもニコニコするのが信条、という方もいらっしゃると思いますが、それは大変な危険を引き起こしかねないということを覚えておいてください。

男性も気をつけて。観光地で異様に親しく話しかけてくるイタリア人

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<※写真はイメージです。 Photo by Pixabay(Pulic Domain)>

これはローマでのエピソードなのですが、スペイン広場でちょっぴり休憩、と日本人の男友達と座って話していたときのことです。

近くに座っていた陽気なイタリア人の若者が「日本人?」と聞いてきたので、「そうだよ」と答えると「ナカ~タ~」「ナガト~モ~」と異様なテンションで握手を求めてきます。友人は陽気な性格だったので「ウェ~イ!ナカ~~タ~~!」とか言って握手に応じて話していると「トモダチ~トモダチ~」(このやりとりは全て片言の日本語)と言ってきました。

私は怪訝な顔で様子を観察していたのですが、イタリア人の若者はミサンガを取り出し、友人の腕に無理矢理結びつけようとしたのです。友人が「友達のシルシだね!」と言って喜んでいたのも束の間、20ユーロを請求されました(笑)。

「友達なのに......お金とるの?」と悲しそうにしている彼の顔を見て私は失笑してしまいましたが、なかなかしつこい若者なので「NO!!友達NO!!」とキレた様子を見せると、退散していきました。

女性の場合は、このパターンでの絡まれ方はあまりないと思いますが、男性は気をつけていただきたいですね。広場や駅前だけでなく、バーなどでも要注意です。

このように、男女を問わず街中で知らない人と必要以上に親しくした場合、トラブルに巻き込まれてしまうリスクがあるのです。

電車に乗るときは、テロや列車の故障、点検に気をつける

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<※写真はイメージです。 Photo by Pixabay(Pulic Domain)>

ヨーロッパ旅行で、電車移動を多く組み込む場合、日本では考えられないほどリスクがあります。まず、爆破予告が頻繁に発生します。

これはイタリアだけでなく、フランスはパリの北駅でも、爆弾が仕掛けられたとアナウンスが入り、緊急下車したことがあります。そのときはタクシーで違う路線まで移動する羽目に。特に最近は、テロに対する危険予測が必要です。

以前、イタリアのボローニャ空港で出会ったフランス人の男の子は、「BURN A LOCAL CHURCH」という文字と、イスラム系寺院が燃やされているデザインのイラストと共に描かれたTシャツを着ていました。残念なことですが、私たちはそういう人の周りにはできるだけいかない方が無難だ、とかいう予測までしなければいけないのです。

また、あるとき私がイタリアローカル線の電車に乗っていると、突然煙を吹き出してわけのわからない山奥で降ろされたこともあります。乗客は近くの駅まで歩いて、無人駅でタクシーを呼んでひたすら待つという始末。

こちらは予測できない危険ですが、絶対に遅れてはいけない日などは列車に乗るのもリスクがあるということを覚えておき、早めの行動をすることをおすすめします。

フレッチャロッサの1等車ですら変な人はいる!

ミラノからフィレンツェへ向かうフレッチャロッサ(※)の車内でのことです。

一人で移動していたので一人席に座っていた私。一人席は横に少し空間があるので駅に停車中などは変に人が溜まってしまう場合があるのですが、そのとき変わった人に目をつけられてしまいました。

その男性は道中ずっと私の横を動かず、しつこく話しかけてくるのでうんざり。パリのときほど恐ろしい目には遭いませんでしたが、好みでない男性、うさん臭い人から話しかけられた場合は「NO」と言える強さを持っておきたいですね。

一人旅だと自分自身会話に飢えていることもあり、ヒマな移動中などは話しかけられるとつい相手をしてしまいますが、うかつに返事をして会話を始めてしまうと、面倒なことになりかねません。

等級によって乗っている客層が違うので、一人のときは特に1等車を選ぶようにしていますが(事前にネット予約をすれば、2等車の定価より安く買えることもあります)、現地の人と交流するのを自分の中でどこまでOKにするか、線引きはある程度必要だと思った出来事でした。


※編集部註......フレッチャロッサは、イタリアの高速列車。座席等級によってサービスが変わり、1等座席は最高等級の「エグゼクティブ」とされています。食事サービスがあるなど、飛行機に近しいクラス分け・サービス提供がなされています。

きちんとリスクを知ってから行動すれば、旅はもっと楽しくなります

とはいえ、楽しい思い出も過去には沢山あります。

私が持っていたイヤホンを興味深げに見つめてくる奥さまとお嬢様がいたので、少しお話すると「そのイヤホンはどこのブランド?日本製?」と聞かれたので、「イタリア製ですよ」とお答えし、「イタリアにこんな可愛いイヤホン売ってるの!?知らなかった!」という話で大層盛り上がったこともありました。

大きな帽子をかぶっていて街を歩いていると、イケメン集団に道の向こう側から「Bella capello!!(可愛い帽子だね!)」と声をかけられてテンションが上がったこともあります。それもまた、イタリア・ヨーロッパの旅の楽しい部分ではあるんですけどね。

笑顔をひとつ振りまくのでも自己責任、という気持ちでいればそこまで恐ろしい目に遭うことはないと思いますが、予測不能な危険は潜んでいます。

十分に気をつけて、安全な旅を楽しんでくださいね。


執筆:Italyii ライター yukaco

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