たびこふれ

スイスパスについてのあれこれ

記事投稿日:2015/10/29最終更新日:2017/11/06

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SW_20151101_01.jpg(ヌーシャテル駅の鉄道発車時刻案内表)

日本にジャパン・レールパスがあるように、スイスにも外国からの観光客向けに鉄道やバスなどの公共交通機関を便利でお得に使えるサービスがある。有効期間中スイス国内の電車やトラムやバスに乗り放題の「スイスパスSwiss Pass」は特に人気だが、実は今年からこのサービスの名称が「スイス・トラベルパスSwiss Travel Pass」に変更になっている。

名前は変わったが、内容はそのままなのでご安心を。スイス・トラベルパス(旧スイスパス)は、連続する3日間・4日間・8日間もしくは15日間有効。1か月間の有効期間内で使う日(3日・4日・8日・15日の4種類)を自分で選べるスイス・トラベルパス・フレックス(旧スイス・フレキシパス)も健在だ。

この名称変更の原因になったのが、スイス在住者向け割引カードの名称&システム変更だ。観光でスイスを訪問される方にはあまり関係ない話なのだが、スイス在住者向けにどんなシステムがあるのかを含めて少しだけご紹介したい。

スイスに在住していて、「毎日ではないけれど、まぁ時々トラムやバスや電車に乗る」という人の多くは、公共交通機関の料金が半額になるハルブタックスHalbtaxという名前の半額カードを購入している。

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有効期間は1年~3年で、年額は165フラン(2015年現在)。「時々しか乗らないのに年額165フランは高いんじゃない?」と思われるかもしれないが、公共交通機関の運賃がとても高いスイス(チューリッヒからベルンまでの大人2等通常運賃は片道50フラン・往復100フラン)では、結構簡単に元がとれるのだ。

通勤や通学などで毎日決まった区間を行き来する人には、区間定期券がある。区間定期券は1か月間もしくは1年間有効で、1年定期券の値段は1か月定期券を毎月買うよりも割安になっている。定期券の区間以外でバスや電車を使う場合には、ハルブタックスを持っていなければ普通料金を払わなければならないので、おおよその区間定期券所持者はハルブタックスも持っている。

頻繁に長距離を電車で移動する・もしくは公共交通機関の利用に毎月300フラン以上使うことが確実な場合は、スイス全土の公共交通機関(一部の山岳鉄道を除く)が乗り放題のゲネラル・アボGeneral-Abo(略称GA)というものがある。カードの見た目は上のハルブタックスとほぼ同じで、カード右側の「1/2」の表示が「GA」になる。

GAの有効期間は1か月もしくは1年で、年額は3655フラン(大人・2等料金)。日本円に換算すると40万円弱で、これはスイス人にとっても決してポンと払える金額ではない(いや、払えるだろうけれど、払いたくない)が、これでスイス中すべての電車・バス・トラムなどが1年間乗り放題だと考えるとあまり高くはない。要はこのGAの機能を3日間~15日間に限定したのが、観光客向けのスイス・トラベルパスだ。

そして今年の8月1日からは、前出のハルブタックスとGAが「スイスパスSwissPass」という新しいシステムの下に統合された。この新しいシステムに「スイスパス」の名前を使いたいが故に、長年親しまれていた観光客向けの乗り放題パスの名前がスイス・トラベルパスに変更されたのだろう。

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スイスパス・システムでは、GAもハルブタックスも同じ見た目&仕様のICチップ入りの赤いプラスチックカードが使われる。ICチップにはデータ照合用の番号しか記録されておらず、これをスマートフォンに似た特殊な機械で読み取ってサーバーに記録されている個人データと照合し、カードの使用者が所持者本人かどうか、また所有者がどのサービスを利用しているか(GAを持っているのかハルブタックスなのか)を判断するのだそうだ。SW_20151101_04.jpg

SW_20151101_05.jpg(スイスパスの表と裏)

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(パスの読み取り・照合風景のイメージ)

スイスパス・システムは、GAやハルブタックス以外にスキー場やレンタカー、レンタルサイクルの利用など様々な目的に使用できるそうで、将来的には更に幅広いサービス提供の計画があるという。

しかし、例えばスイスパス・システムを導入する(導入したい)スキー場はスイス鉄道SBBにかなりの手数料を支払わなければならず、専用読み取り機の設置などシステム導入そのものにもかなりコストがかかるため、現段階では使用できる場所がかなり少ない。また、カード表面には有効期限が記載されていないので、利用者は自身で有効期限を記憶しておくか、もしくはスイスパスのウェブサイトからオンラインで確認する必要がある。

スイスパス・システムはスイス鉄道SBBと顧客の双方がすべての作業―情報の確認からサービスの購入・更新・解約まで―を基本的にオンラインで行う方針を採っているので、インターネットを使った作業に不慣れな世代の顧客などにはフレンドリーとは言い難い。何でもすべて統合&デジタル化することで付加サービスを必要としないごく普通のSBB顧客が置き去りにされる可能性があり、私は個人的には全くもって「改悪」だと思っている。

現行の青いカードも、それの使用期限が切れるまでは引き続き有効だ。例えば私は今年の3月に3年有効の半額カードの利用更新手続きをしたばかりなので、2018年まではスイスパスを使う必要がない。しかし、次回に更新する際には強制的にスイスパスに移行させられることになる。それまでの間に、数々のカスタマーアンフレンドリーな部分が少しでも改善されているように願うばかりだ。

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この記事を書いた人
Asami AMMANN-HONDA
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記事投稿日:2015/10/29最終更新日:2017/11/06

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