ポーランドの冬に欠かせないお菓子「Piernik(ピェルニク)」

12月に入るといよいよポーランドの冬も本格化してきます。寒いのに加えて日照時間もぐっと短くなり、午後3時過ぎにはもう外は薄暗くなってきます。グレーな街並みに気分が滅入りがちな冬のポーランドですが、12月は全国各地でクリスマスマーケットが開かれることもあって、長い冬の中ではいちばん華やかな月といえるでしょう。

ポーランドの冬に欠かせないお菓子といえば" Piernik(ピェルニク)"というお菓子です。ピェルニクはライ麦粉と小麦粉に蜂蜜を練った生地にシナモンやショウガ、カルダモン、クローブなどのスパイスをたっぷり入れて作るジンジャーブレッドの総称で、パウンドケーキのような形と食感のもの、パンとクッキーの中間のような食感のもの、硬いクッキーのようなものと様々な種類があります。

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一般的なピェルニク(パンとクッキーの中間タイプ)。
こちらはお砂糖でコーティングされていて、中には何も入っていないシンプルなタイプですが、チョコレートがかかっていたり中にジャムが入っているものもあって、それらはかなり甘いです。

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クリスマスマーケットでよく見かけるハードクッキータイプ。
この時期の家のデコレーションにぴったりで、クリスマス気分を盛り上げてくれます。

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薄く焼き上げてかわいらしくアイシングし、上に小さな穴をあけてリボンを通したもの。クリスマスツリーに飾って楽しみます。

これらのハードタイプのピェルニクは牛乳や卵を使わずに作られていること、香辛料がたっぷり入っていることから数カ月~一年くらい保存がきくと言われています。クリスマスまではデコレーションアイテムとして目で楽しみ、クリスマス後にはティータイムのお伴に、と二度楽しむことができます。

こういったジンジャーブレッドはヨーロッパ各地で見られるお菓子ですが、ポーランドでは17世紀にポーランド中北部に位置する街・トルンのパン屋で焼かれたという記録が残っている古い歴史のあるお菓子です。ピェルニクといえばトルン、とポーランドの人々が言うほど「トルン銘菓」として知られています。

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街並みが世界遺産にも登録されている美しい都市・トルン。天文学者コペルニクスの出身地としても有名です。

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トルンの有名なピェルニクメーカー"KOPERNIK(コペルニク)"のピェルニク。
写真上のものは中にブラックベリージャムが入り、ホワイトチョコレートでコーティングされています。

また、お菓子そのものとしてでなく、筆者の住むポーランド南西部ではクリスマスならではのご当地スイーツの材料としてもピェルニクは使われています。

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パウンドケーキタイプのピェルニクにチョコレート、フルーツシロップ、ナッツ、ドライフルーツなどを入れて鍋で煮込んだクリスマススイーツ、"Moczka(モチュカ)"(写真右)。これがないとクリスマスとは言えない!とシレジア地方のポーランド人は言います。そんなわけでピェルニクはこの時期に欠かせないお菓子なのです。


一年を通して全国各地のスーパーマーケットで身近なお茶菓子として手に入れることができるピェルニクですが、やはりぴったりなのは寒いこの時期。温かいお茶とともにスパイスたっぷりの甘いピェルニクを食べると、身体の芯からポカポカと温まるようです。クリスマスを感じられるこのお菓子、冬にポーランドにご旅行の際にはぜひ召し上がってみてください。日持ちがするので、お土産にもおすすめの一品です。

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ogrod

2010年秋よりポーランド南西部在住。小さな田舎町でポーランド人家族とのんびり暮しつつ、日本とはずいぶん違うポーランドの文化、料理、言葉、人々の暮らしをマイペースで勉強中。

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