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<前編>「食」のにっぽん丸 総料理長に聞く!惹きつける料理の秘密とは
クルーズ客船での料理。皆さんは、どんなイメージをお持ちでしょうか?
「限られた空間・限られた食材で・・、あまり期待できないのでは?」もしかしたら、そう思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。では、「おいしい料理を楽しむことが目的」というお客様が多い、そんな船があるとしたら・・知りたいと思いませんか?
「実は・・あるんです!」
横浜大さん橋や各地の港で見かけることがある、紺色のボディと赤い煙突が特徴の「にっぽん丸」です!
<にっぽん丸船体>
品ある船体だけではなく、あたたかみのある落ち着いた内装・施設にも定評がありますが、それ以上に評価が高いのが、「料理」なのです。
『食のにっぽん丸』
『美味の船』
とも称され、クルーズの行き先よりも、にっぽん丸での食事を目的に船に乗る人も多いのだとか。人々を惹きつける料理、その魅力はいったい何なのでしょうか?にっぽん丸総料理長 岩本三裕さんに密着し、お話を伺いました。
<岩本総料理長>
「経験と実績ゆえの安定感、そして、たった一度の希少価値」
料理人の道に進むと決め、貨物船で乗組員のためのシェフをする傍ら、レベルアップのために、パレスホテルでフランス料理の腕を磨きました。
そして、平成元年、日本での本格的クルーズ客船のはしりとなった「おせあにっくぐれいす」(最高クラス(ブティッククラス)の評価を得た高級小型船)で、専門的にフランス料理の腕を振るったのが、客船シェフのはじまりです。その後20年間、にっぽん丸で料理を提供し続けています。
もちろん、一度も同じメニューを出したことがありません。その日のディナーがオンリーワンです。
<洋食ディナー 一例>
約3ヶ月の世界一周クルーズではもちろんですが、国内のショートクルーズも多くの方がリピートして乗船いただくため、毎回の料理を楽しみにしていただきたいからです。そのため、船上での料理に価値を見出してくださるお客様が多いのでしょう。
「料理は『生み出す』もの」 私は、料理を「イメージ」で考えます。
具体的に言いますと、イメージした料理の「絵」を書くんです。色合いとか飾り付けを考えながら、20色の色ペンを使って(笑)
少しでも違和感があれば、何度でも書き直します。そして、「この色の部分にはこの食材」という風に、料理を構成する一つ一つの食材を考えていきます。
なぜそうするのか?それは、「楽しんで食べていただけること」を大切にしたいからです。見た目の美しさで楽しんでいただくのはもちろん、食材の「話題性」もです。食材一つで、話が広がれば、食事の時間がさらに楽しいものとなると考えています。
だからこそ、第一印象のオードブルには、特に力を入れています。「力を入れる」という表現よりも、「時間をかけて考える」のほうが、適切かもしれません。テーブルに運ばれてくる料理の第一印象は重要です。
<オードブル一例>
そして、紙面に書きだした料理に「味付け」し=「命」を吹き込み、料理が完成します。
船に乗られる方の多くは、高齢の方でもあるので、味付けは常に「やさしさ」を考えています。それは、「薄味」という意味ではありません。年齢や住んでいる地域によっても、味覚は違っているでしょう。そのため、どんな方でも満足いただけるような、そして味が喧嘩しないような、そのバランス感覚を大事にしています。
お客様に提供する前日には、ディナーのサンプルを作り、厨房スタッフたちと試食・検討します。25周年メニューやクリスマスメニューなど、普段よりも一層特別なディナーは、私が直接サンプルを作っています。
頭の中で思い描いた料理を形にし、お客様へ提供し、お客様を笑顔にできた時に、そこでやっと「達成感」を感じますね。
前編はここまでです。続きは下記後編をご覧下さい!
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