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フランス北端フランドルを味わえる場所「エスタミネ」

<TOP画像:北の町リルの街角 ©KanmuriYuki>
私の住むフランスの北の端には、日本で描かれる「フランス」のイメージとは異なる特徴がいくつもあります。まず、ほとんどの建物が赤レンガで出来ていること。
パリからは高速列車TGV(テージェーヴェー)でわずか1時間の距離ですが、パリジアンたちも皆「外国みたい!」と驚きます。
また、ワインは作らず、ビールを作っていること。郷土料理や特産チーズにもビールを使ったものが少なくありません。
目次
フランドル伯領の土地
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<山がなくフラットなフランドルの景色 ©KanmuriYuki>
フランスでありながら異国を思わせる大きな理由は、歴史の中に見つけることができます。大まかな言い方ですが、この辺りは中世から18世紀終わりまで、今のオランダの南西部やベルギー西部とともに、フランドル伯領として命運をともにしてきた土地なのです。
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<フランドル地方に残る風車 ©KanmuriYuki>
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<右に高く建つのがリルの鐘楼 ©KanmuriYuki>
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<リルのグラン・プラス ©KanmuriYuki>
その文化的な共通点は、目に見える形で、今でもあちこちに残っています。例えば、風車。ほとんど山がなくフラットなフランドル地方(英語ではフランダース地方)をドライブしていると、たびたび風車を目にすることがあります。
また、グラン・プラスと呼ばれる大きな広場が町の中心にあること。さらに、自由都市の象徴として作られた高い塔である鐘楼が残っていること。ちなみに、ベルギーとフランス北部の鐘楼のうち56は、ユネスコの世界遺産に指定されています。
庶民の食堂エスタミネ
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<天井にはホップが飾られているエスタミネ内装 ©KanmuriYuki>
今日はそういう土地であるフランス北部の食事処「エスタミネ」を紹介しましょう。エスタミネは、フランス北部やベルギーのフランドル地方で使われる言葉で、通常レストランよりもくだけた食堂を指す言葉です。
大抵、内装には、ビールの材料でもあるホップや、アンティークなポスターが飾られ、なんともレトロな雰囲気を醸し出しています。エスタミネによっては、フランドル地方特有のさまざまな木製ゲームが置かれていて、食事の合間に遊ぶ老若男女の姿も珍しくありません。
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<いろんな色のビール ©KanmuriYuki>
飲み物を供するカウンターには、さまざまなアルコールが並びますが、何よりも圧巻はビールの種類の豊富さでしょう。白ビールから褐色ビールまで色、味、アルコール度も、よりどりみどりです。選べない時は、食べたい料理を先に示して、それに合うビールのおすすめを聞くのも一計です。
エスタミネの歴史
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<フランス北部にだけあるブール競技場 ©KanmuriYuki>
エスタミネという呼び名は18世紀半ばから用いられるようになったとみられています。お酒を飲み、タバコを吸えるエスタミネは、次第に労働者たちが一日の終りに寛げる場所となってきます。
また、さまざまな趣味の集まりにもエスタミネが用いられるようになります。例えば、この地方で盛んな鳩レースを趣味とする人や、伝統スポーツであるルブール愛好者といった具合です。
代表的な郷土料理
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<牛肉のビール煮カルボナード ©KanmuriYuki>
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<ポティフレシュ ©KanmuriYuki>
そういうエスタミネで供される食事は、当然ながら郷土料理!
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<ウェルシュ ©KanmuriYuki>
北部ではシコンと呼ばれるアンディーヴのグラタンや、牛肉のビール煮であるカルボナード、色んな肉をゼラチンで固めたポティフレシュ、北部の名産マロワルチーズのフラミッシュ(タルト)、ハムやパンにチェダーチーズをたっぷり乗せてオーブンで焼いたウェルシュなどは定番料理です。
これらだけでもかなりボリュームがありますが、大抵の料理には、フリットと呼ばれるポテトフライが付け合わせについて来ます。ベルギー同様フランス北部でもフリットは「主食」のようになくてはならないもの。
レストランが見つからないような田舎町でもフリットの屋台だけは立っていたりするのです。それだけ人々のこだわりも大きく、毎年最もおいしいフリット屋さんの番付が発表されるほどポピュラーです。
とはいえ、通常エスタミネやレストランでは茹でたジャガイモなど、別な付け合わせに変えてもらうこともできますのでご安心ください。
ズバリ、おすすめのエスタミネは?!
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<リルのオニオン広場 ©KanmuriYuki>
最も観光客が訪れるリルなら、旧市街のガン通り(rue de Gand)やオニオン広場(place aux Oignons)あたりにいけば、エスタミネを冠する食事処は複数あり、どこもそれぞれエスタミネの雰囲気を味わうことができます。
けれども本格的なエスタミネはやはりフランドルの田舎町にあります。その一つが、Godewaersvelde(ゴッドゥヴァルズヴェルドゥ)というフランス人でも発音に悩む町。リルから北西に40kmほど行ったベルギーとの国境近くに位置する人口2000人余りのこの町には、評判の良いエスタミネやレストランが複数軒を並べるのです。
週末にはわざわざ45分かけて車を飛ばし、リルから食事に来る人もいるほど!
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<エットゥ・ブロウエルゾフ外観 ©KanmuriYuki>
写真はこの町のエスタミネ「Het Blauwershof(エットゥ・ブロウエルゾフ)」。この店の名前もフランス語らしからぬスペルなもので、店員さんに発音を教えてもらってきました。
というのも、フランドル地方(フランダース地方)には、オランダ語に由来する言葉が多くあり、普通のフランス語の知識だけでは発音が定かではないことも多いのです。グーグルマップやウィキペディアなど、ネット上のカタカナ表記も実際とは異なることが多いので、観光の際はその違いを楽しむのも一興かと思います。
ディープなフランドル地方、まずはぜひとも舌から味わってみましょう。
Estaminet Het Blauwershof(エットゥ・ブロウエルゾフ)
- 所在地:9 rue d'Eecke, 59270 Godewaersvelde
- 電話:+33 (0)3 28 49 45 11
- 営業時間:11:45~14:00、金曜 18:45~21:00、土曜 18:45~21:30
- 定休日:公式サイト参照
- 公式サイト:Estaminet Het Blauwershof
(冠ゆき)
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冠ゆき
- 山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。





























