城崎温泉は「そぞろ歩き」がいちばん心に残る。湯けむりの街を歩いて気づいたこと|兵庫県

城崎温泉(きのさきおんせん)と聞くと、多くの人が「外湯めぐり―そぞろ歩き―」を思い浮かべると思います。

川沿いに立ちのぼる湯けむり、下駄の音、夕暮れから夜へと移ろう温泉街の表情。特別なことをしなくても、ただ歩いているだけで気持ちがほどけていく。

この記事では、城崎温泉を実際に歩いて感じた「そぞろ歩き」の魅力と、その途中で出会った外湯、そして街全体の楽しみ方についてお伝えします。忙しい日常から少し距離を置きたい人に、そっと寄り添う旅の話です。

目次

城崎温泉で「そぞろ歩き」に惹かれた理由

城崎温泉までは特急列車だけでなく、普通列車でも行くことができます
<城崎温泉までは特急列車だけでなく、普通列車でも行くことができます。>

今回の旅では、効率よく観光地を巡ろうとは考えていませんでした。むしろ、予定を詰めず、歩きたいところを歩く。そんな旅がしたかったのです。

城崎温泉は、その気分に驚くほどよく合いました。駅を出た瞬間から、町全体が「歩くためにある場所」のように感じられたからです。自然と足が前に出る。そんな温泉街は、実は多くありません。

浴衣に着替えた瞬間、歩く速度が変わる

城崎温泉 但馬牛極みの宿 小宿縁を利用
<今回は但馬牛極みの宿 小宿縁を利用。素敵な宿でした。>

宿で浴衣に着替え、下駄を履いた瞬間、不思議と歩くスピードが変わりました。急ぐ理由がなくなり、一歩一歩を確かめるように歩いている自分に気づきます。

下駄の音が石畳に響くたび、足元や周囲の景色に自然と意識が向く。城崎温泉のそぞろ歩きは、「歩く」という行為そのものを楽しませてくれる時間でした。

大谿川沿いを歩くと、時間がゆっくり流れ出す

夕暮れ迫る大谿川 城崎温泉
<夕暮れ迫る大谿川>

城崎温泉の中心を流れる大谿川(おおたにがわ)沿いは、何度歩いても立ち止まってしまう場所です。

柳が揺れ、旅館の灯りが川面に映る光景は、観光写真で見るよりもずっと柔らかく感じました。

夕方から夜にかけては、歩いては止まり、また歩く、その繰り返し。「次にどこへ行こう」という考えが、いつの間にか消えていました。

城崎温泉の外湯をすべて紹介!

城崎温泉 外湯 看板
<城崎温泉街ぶらマッマップ>

城崎温泉には2026年1月現在、7つの外湯がありますが、休業中の「さとの湯」を除く6つが営業しています。(平日はお休みの外湯もあります)

今回歩いて感じたのは、外湯は「制覇する場所」ではなく、そぞろ歩きの途中で自然と立ち寄る存在だということでした。

地蔵湯|町の真ん中に溶け込む、やさしい外湯

地蔵湯|町の真ん中に溶け込む、やさしい外湯
<地蔵湯>

温泉街の中心にある地蔵湯は、観光客と地元の人の気配が自然に混ざる場所。駅方面から「そぞろ歩き」をすると一番最初にある外湯です。

歩き疲れたタイミングでふらりと入りやすく、気持ちまでゆるむような印象がありました。

地蔵湯

  • 所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島796

柳湯|小さくても、城崎らしさが詰まっている

柳湯|小さくても、城崎らしさが詰まっている
<柳湯>

柳湯は城崎温泉の外湯の中で一番熱くて、小さくて、深い温泉です。

大谿川沿いの景色と相まって、城崎温泉らしい風情を強く感じられました。混雑していなければ、短時間でも満足度の高い一湯です。

柳湯

  • 所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島647

一の湯|橋のたもとに立つ、象徴的な存在

一の湯|橋のたもとに立つ、象徴的な存在
<一の湯>

太鼓橋のたもとに建つ一の湯は、城崎温泉を象徴する外湯です。橋を渡り、下駄の音を響かせながら向かう時間も含めて、一の湯の体験だと感じました。「城崎に来た」という実感をくれる場所です。

一の湯

  • 所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島610

御所の湯|静かに一日を締めくくりたいときに

御所の湯|静かに一日を締めくくりたいときに
<御所の湯>

御所の湯は、一の湯とならんで大きな外湯です。なんといっても滝も楽しめる露天風呂が壮観。

日によって男女が入れ替わるので、宿泊日とその翌日の2回楽しむ方も多い外湯で、歩き疲れた体と気持ちをゆっくり整えるのに向いています。最後の一湯に選ぶと、旅の余韻が長く残りました。

御所の湯

  • 所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島448

まんだら湯|少し歩いた先にある、落ち着いた外湯

まんだら湯|少し歩いた先にある、落ち着いた外湯
<まんだら湯>

山側に位置するまんだら湯は、ほかの外湯より少し距離があります。その分、他と違う風情があり、静かに温泉と向き合いたいときに向いている外湯です。

まんだら湯

  • 所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島565

鴻の湯|城崎温泉でもっとも古いとされる湯

鴻の湯|城崎温泉でもっとも古いとされる湯
<鴻の湯>

鴻の湯は、1400年前、コウノトリが足の傷を癒して発見された伝説の湯。庭園露天風呂が魅力的です。温泉そのものにしっかり浸かりたい人、城崎の原点に触れたい人におすすめしたい場所でした。

鴻の湯

  • 所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島610

夜になると、城崎温泉は少し賑やかになる

夜になると、城崎温泉は少し賑やかになる
<夜の城崎温泉街は遊技場がオープン>

日が暮れると、温泉街の雰囲気が少し変わります。外湯を出て歩いていると、夜になると開店するスマートボールや射的などの遊技場が目に入ります。

派手な音や光ではありませんが、どこか懐かしく、思わず立ち止まってしまう空気感。

湯上がりに浴衣のまま遊ぶ時間は、子どもの頃に戻ったような感覚があり、そぞろ歩きの楽しさをさらに広げてくれました。

昼は「城崎文学館」に足を伸ばしてみる

城崎文学館 館内
<城崎文学館>

宿泊翌日の散策には、志賀直哉と白樺派の作家たちを中心に城崎ゆかりの文人墨客たちにまつわる所蔵作品や城崎温泉の歴史に関する資料を常設展示している城崎文学館がおすすめ。

書き手たちを紹介するだけでなく、城崎と本と歴史に関する現在進行形を知ってもらう試みの企画展などにも取り組んでいます。

城崎文学館

  • 所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島357-1
  • 公式サイト:城崎文芸館 

城崎温泉は「ひとつの大きな旅館」という考え方

城崎温泉駅 
<城崎温泉駅>

城崎温泉には、「町全体でひとつの宿泊施設を楽しんでもらう」という考え方があります。

駅が玄関、旅館が居間、文芸館という書斎があり、遊技場がみんなで楽しめるリビングルーム、そして町全体が大きなお風呂。そんな発想です。

実際に歩いてみて、その意味がよく分かりました。宿にこもるのではなく、外に出ることが自然で、外湯も、路地も、夜の遊技場も、すべてが"館内施設"のように感じられたのです。

だから城崎温泉では、そぞろ歩きが特別な楽しみではなく、ごく当たり前の過ごし方として受け入れられているのだと思いました。

まとめ|城崎温泉は、歩くことで好きになる

大師山の山頂展望台から城崎温泉街を望む
<大師山の山頂展望台から城崎温泉街を望む>

城崎温泉の魅力は、外湯の数や温泉の質だけでは語りきれません。浴衣で歩き、立ち止まり、また歩く。その時間そのものが、旅の記憶になります。

もし城崎温泉を訪れるなら、予定を詰めすぎず、そぞろ歩きの時間を大切にしてみてください。きっと、自分の中のペースを取り戻せるはずです。

城崎温泉城崎温泉観光センター

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