北口本宮冨士浅間神社から樹海へ。富士山の懐で再生の森に触れてきた

多くの訪日外国人にとって、富士山は「日本に来たら一度はこの目で見たい」と願う憧れの象徴です。
しかし、遠くからそのシルエットを眺めるだけでは、富士山の真の姿を知ったことにはなりません。

今回は、訪日外国人のグループと共に富士山北麓を巡り、彼らが深く感動した「富士山の懐」へ入り込むルートを体験してきました。日本人である私たちも再発見すべき、精神文化と自然の生命力が息づく旅の記録です。

目次

日本人の精神性に触れる喜び「北口本宮冨士浅間神社」

Connecting with the Spiritual Heart of Japan

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旅の始まりは、富士登山「吉田口登山道」の起点である北口本宮冨士浅間神社です。ここは、かつての巡礼者たちが富士登頂を前に心身を清めた聖域です。

圧倒的なスケールと深い静寂

多くの外国人旅行者が、重厚な木造の大鳥居をくぐった瞬間に「本物の日本(Authentic Japan)」を見つけたと目を輝かせます。参加者の一人は「まるで映画のワンシーンを見ているようだ」と感想を述べていました。
空を突くような巨木に囲まれた参道と、立ち並ぶ石灯籠。そこには、観光地化された場所とは一線を画す、凛とした空気が流れています。
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<参道と石灯篭>

富士山信仰とアニミズム(※)の象徴

ここは単なる歴史的建造物ではありません。何世紀にもわたり、自然そのものを神として敬ってきた日本人の精神文化が今も息づく場所です。樹齢1,000年を超える「冨士太郎杉」を見上げ、自分自身の内面と向き合う時間は、現代を生きる私たちに深い喜びと安らぎを与えてくれます。
訪日外国人の参加者たちは、言葉を発することなく空気感を感じているようでした。

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<富士夫婦檜>

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<拝殿外観>

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<拝殿内部>

※アミニズムとは、人間だけでなく、動物、植物、岩、川、月など、すべての自然物や現象に魂(精霊、霊魂)が宿っていると考える思想や信仰のことで、日本神道(八百万の神)の根底にある自然への畏敬や共存を重んじる考え方です。

富士山の「懐」を歩く感動「青木ヶ原樹海・竜宮洞穴」

Walking into the Bosom of Mount Fuji

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<青木ヶ原樹海遊歩道>

富士山を「眺める」フェーズを終えた旅人たちが、次に深く感激するのが、広大な裾野に広がる青木ヶ原樹海を歩く体験です。

「死の森」から「生命の再生」の森へ

青木ヶ原樹海には「一度入ったら出られない」といった暗いイメージがあるかもしれません。しかし、その実態は富士山の噴火が生んだ豊かな生態系を持つ「神秘の森」です。

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<苔生す溶岩と地を這う木の根>

約1,200年前の貞観大噴火で流れ出した溶岩が周辺のすべてを焼き尽くしましたが、その冷え固まった溶岩の上に苔が生え、長い年月をかけて溶岩表面の苔を礎として木々が再び根を張りました。ここは絶望から立ち上がった「再生」を象徴する森なのです。

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<冬なお緑に輝く苔>

神秘の聖域「竜宮洞穴」のエネルギー

樹海の奥深くに佇む竜宮洞穴(りゅうぐうどうけつ)は、まさに富士山の胎内へと繋がっているような錯覚を覚えるスポットです。

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<溶岩の造形美: ゴツゴツとした岩肌としっとり濡れた苔のコントラスト>
木の根が溶岩内部まで到達したおらず地を這っているのがわかります。

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<訪日外国人の皆さんと祠: 洞窟内に祀られた豊玉姫命(水の神)が、火の山である富士山を鎮めています。>

洞穴から漏れ出る冷気と静寂の中で、富士山の力強い拍動を直接感じる瞬間を参加者全員が共有しました。

自然と共生する里山の美学「西湖いやしの里根場」

Harmony between People and the Sacred Mountain

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旅の締めくくりは、西湖のほとりに佇む西湖いやしの里根場へ向かいます。

憧れの日本の原風景


茅葺き屋根の家並みの向こうに、どっしりとそびえる富士山。外国人観光客が日本に期待する「伝統と自然の調和」が凝縮された風景がここにあります。

災害を乗り越えた復興のストーリー

この集落は、1966年の台風災害で一度は失われました。しかし、地元の情熱により美しい姿を取り戻しました。厳しい自然を畏れつつ、その恩恵に感謝して共に生きる「里山」の知恵。富士山に見守られながら暮らすことの豊かさに、訪れる人は皆、心を癒されます。

ほっと一息の空気を参加者全員が感じるスポットでした。

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<心和む風景>

まとめ:眺める富士山から、心で感じる富士山へ

富士山は、単なる美しい山ではありません。それは祈りの対象であり、破壊と再生を繰り返してきた巨大な生命体です。

河口湖から西湖へ抜ける際、いつもは車で通過するだけの風景だった「青木ヶ原樹海」。しかし、一度その懐に足を踏み入れば、イメージは一新されます。

冬に訪れた私たちが見たのは、枯葉のじゅうたんと枯れ枝の上に広がる青空が見える光に溢れる世界でした。溶岩に覆われた苔が瑞々しく、生命の輪廻を感じる場所で、青木ヶ原樹海のイメージが根底から変わりました。

北口富士山浅間神社で精神文化に触れ

樹海・竜宮洞穴で大地の生命力を感じ

いやしの里根場で人々の再生の力を見る

このルートを巡ることで、みなさんの富士山への視点は「絶景写真」から「魂を揺さぶる体験」へと変わるはずです。次の富士山を訪れるときはいつもと少し違った視点で旅してみてはいかがでしょうか。

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<紅葉の季節は見ごたえ十分です>

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