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宿場好きに勧めたい!信州上田を起点に2つの宿場へ行ってきた(長久保宿・和田宿)

11月下旬の3連休明けの平日に、長野県の長久保宿と和田宿に行ってきました。
この二つの宿場は、中山道69次の27番目と28番目の宿場で、佐久地方と諏訪地方の間に位置し、中山道最大の難所といわれた和田峠を控えています。
現在、鉄道や高速道路のルートから外れた長久保宿と和田宿がある長和町には、のんびりとした時間が流れる田舎町の雰囲気が広がっています。
中山道の宿場と言えば妻籠や奈良井が有名ですが、ここは観光地化されていない宿場の佇まいを、ゆっくり自分のペースで楽しめる場所です。
江戸と京都の往来においては、東海道(約492km)が中山道(約526km)よりも34km短い距離ですが、大井川や安倍川の長期的な川止め、険しい箱根峠などの交通の難所があったため、遠回りである中山道の往来も盛んだったとされています。
歴史小説を読むと、東海道では参勤交代で諸藩が同じ宿場に重複することがありました。
距離は遠いものの所要日数の計画が立てやすく、重複を避けるために中山道を選ぶ藩もあったようです。
浅田次郎の歴史小説「一路」では、中山道での参勤交代における様々な困難が描かれています。
そうした歴史のプチ知識を頭の片隅に置きながら、二つの宿場を見学してきました。
遠い昔の旅人のロマンに思いをはせる時間旅行となりました。
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目次
長久保宿の見どころ
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<本陣石合家>
長久保宿は、中山道における江戸から27番目の宿場で、現在の長野県小県郡長和町に位置しています。この宿場は、中山道の難所である和田峠と笠取峠の間にあり、京都から善光寺へ向かう追分地点でもあったため、旅人にとって重要な宿場でした。旅籠は43件もあり、大きな宿場として知られています。
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<高札場>
長久保宿には本陣の石合家があり、一般には公開されていません。また、脇本陣跡と高札場も存在します。しかし、1867年の大政奉還によって明治時代が到来し、近代化が進みました。これに伴い道路や鉄道が整備され、五街道のひとつである中山道もその役割は徐々に失われ、交通は鉄道や幹線道路へと移行しました。
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<旅籠まるきや>
江戸時代の交通の大動脈であった中山道は、現在でも国道や高速道路が並走しているものの、長野県軽井沢町から下諏訪宿までの間は主要国道がなく、鉄道も佐久平駅が最後となっています。明治時代に入ってからも宿場の賑わいが続いていたものの、交通量は次第に減少しました。
このような交通の変化は地域に大きな影響を与え、村は宿場から農村に移行しました。住民は苦労したこともありましたが、街の区画整備や道路の拡張工事は少なく、当時の街並みや建物が比較的保存されています。観光開発が進んでいない点も特徴的です。
このような背景を持つ長久保宿では、当時の面影が色濃く残っています。資料館として無料で一般公開されている建物もあり、訪れる価値がある場所だと思います。
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<長久保宿歴史資料館・一福処濱屋(外観)>
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<長久保宿歴史資料館・一福処濱屋(内部)>
和田宿の見どころ
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<和田宿本陣>
和田宿は、多くの歴史的な見どころを有している地域として注目されています。特に「中山道和田宿本陣」は、この地域の重要な物語を語る役割を果たしている場所です。この本陣は、過去に多くの旅人たちが立ち寄り、一息をつくための休憩所として利用されていました。ここでの歴史的な交流や出来事は、和田宿の文化に深く根付いています。
また、「和田宿旅籠大黒屋跡」も重要なスポットであり、昔の賑やかな宿場の面影を今に伝える貴重な跡地です。この場所を訪れることで、訪れた人々は過去の賑わいを感じることができ、当時の人々の生活に思いを馳せることができます。
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<宿場街並み>
さらに、和田宿の宿場町は庶民的な雰囲気を色濃く残しており、静かで落ち着いた時間が流れています。風情溢れる町並みを散策することで、訪問者は歴史との対話を楽しみながら、心を癒すことができるでしょう。このように、和田宿は訪れる人々に豊かな歴史体験を提供する場所として、多くの魅力を秘めています。
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<かわちや 歴史の道資料館>
中山道散策モデルプラン
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長久保宿と和田宿へのアクセスは、上田駅からのバスの便があります。ただし、時間帯によって便数が少ないことには注意が必要です。特に、諏訪方面からは公共交通機関がないため、車での移動が推奨されます。
散策の際は、長久保宿から和田宿までの旧道(約8km)を歩くことをおすすめします。自然の中をゆっくりと歩きながら、歴史の足跡を感じることができる貴重な体験になることでしょう。
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食事場所とお土産
旅行の楽しみの一つは、もちろん食べ物とお土産です。長和町はメジャーな観光地ではないのでレストランや土産屋は事前のチェックが必須です。
今回の旅では、和田宿本陣に近い「石窯cafe kokuya」を利用しました。こちらでは地元の食材を使用した美味しい料理を楽しむことができます。そして、長和町役場に近い国道152号線沿いにある「おみやげ処 菜の花館」では、長野県の特産物である漬物や野菜、さらには長門牧場のソフトクリームやジビエ肉を使用した馬鹿バーガーなどがありますので、こちらもお見逃しなく。
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<石窯cafe kokuya>
石窯cafe kokuya
- 長野県小県郡長和町和田2630
- 090-2312-1431
- 営業時間 金・土・日 11:00~15:00のみ(情報サイトによって異なるので直接電話で確認するのがいいでしょう)
- 公式インスタグラム:https://www.instagram.com/cafe_kokuya/
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<当日いただいたメニュー(前菜)>
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<当日いただいたメニュー(ポークスペアリブと自家製パン)>
おみやげ処 菜の花館
- 長野県小県郡長和町古町2424-1
- 営業時間 4月~9月 9:00 ~ 18:00
- 10月~3月 9:00 ~ 17:00
- 定休日 12/31・1/1
- 公式サイト:https://nanohanakan.jimdosite.com/
アクセスと現地情報
JR・しなの鉄道上田駅から長久保宿までのバス(所要約1時間)はありますが、便数が少ないため、事前に時刻を確認することが大切です。自家用車やレンタカーの利用が推奨されますので、計画的な移動を心がけましょう。
詳しい情報については、以下をご確認ください。
JRバス関東公式サイト:https://www.jrbuskanto.co.jp/jwp/local_guide/local_karuizawa
まとめ
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<ファムトリップ参加者とガイド>
今回の旅は、地域連携DMOの関東広域観光機構が主催する訪日外国人向けのファムトリップに同行したことがきっかけでした。正直なところ、長久保宿や和田宿がどこにあるのかもよく分かりませんでしたが、歴史小説を読んだ後で訪れることで、静かな時間を過ごすことができました。
心に残った余韻を大切にしながら、次の目的地へ足を運ぶことをおすすめします。周辺には真田一族の拠点である上田城や別所温泉、諏訪湖、御柱祭で有名な諏訪大社、ビーナスラインが通る霧ヶ峰や美ヶ原高原などがあります。
最近では、一か所に何泊もして、その場所を拠点にして周辺の町を歩く滞在型の旅行が静かなブームとなっています。上田や諏訪、少し離れた軽井沢に宿泊して長久保宿や和田宿を訪れるのも良いかもしれません。
観光地でないため、公共交通機関を利用したアプローチや食事場所については事前にしっかりとリサーチしてから出かけることをお勧めします。最後に、ゴールデンウィークや紅葉の季節はそれほど混雑していないということを地元のガイドさんから聞いたので、付け加えておきます。
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<ストーブで暖を取りながらガイドの説明を聞くファムトリップ参加者>
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えいた
- 旅の臨場感が届けばうれしいです




























