信州・独鈷山の冬登山とローカル温泉旅|絶景と名湯に癒やされる里山の休日

山から山へ旅するライター、もりのりこです。今回紹介するのは、ギザギザとした山容から 「信州の妙義」とも呼ばれる、長野県上田市の独鈷山(とっこさん)。

下山後は、地元で長く愛される隠れた名湯へ行き、掛け流しの源泉で、冷えた体の奥まで温もりましょう。慌ただしい毎日からちょっとだけ離れて、山と温泉をめぐる旅に出ませんか?

目次

独鈷山(とこっさん)とは

とっこさん 景色

塩田平から見上げる独鈷山。見る場所によって表情が変わる
<塩田平から見上げる独鈷山。見る場所によって表情が変わる>

古くからの聖地として知られる、長野県上田市の塩田平。その風光明媚な景観の中で、ひときわ存在感を放っているのが信州百名山に数えられる独鈷山(1266m)です。

鋸歯のような独特の山容は、古くから人々の信仰を集め、独鈷山に雲や霧がかかると雨が降る--そんな言い伝えも残されています。

標高こそ高くないものの、気の抜けない場所が多く、低山とは思えない満足感と緊張感を味わえる山です。

独鈷山|登山コース

北側と南側に登路があり、どちらも道は険しく油断できません。バリエーションルートも豊富で、ハイキングからアルパインクライミングまで、幅広く楽しまれています。

1. 急登を一気に登る最短ルート(宮沢コース)

 急登を一気に登る最短ルート(宮沢コース)山頂まで干支の像が見守ってくれる
<山頂まで干支の像が見守ってくれる>

登山道に置かれた干支の像をたどって歩く宮沢コースは、山頂までの距離は約1.7kmと最短ながら、斜度はかなりのもの。亥の像が待つ山頂までは、アキレス腱が伸び切るような急坂が続きます。

稜線からの上田市方面。四阿山と北信の山が見える
<稜線からの上田市方面。四阿山と北信の山が見える>

稜線からの眺望は圧巻!八ヶ岳連峰や北アルプス、そして足元には塩田平、さらに上田の街まで見渡すことができます。

アクセス

鹿教湯温泉手前の宮沢地区で細い車道へ入り、道なりに上った先に駐車スペース
<駐車スペース>

上信越自動車道「東部湯の丸IC」からR254を松本方面へ向かい、鹿教湯温泉手前の宮沢地区で細い車道へ入り、道なりに上った先に駐車スペースがあります。

注意点

これからの時期は積雪に注意 登山
<これからの時期は積雪に注意>

  • 落葉が積もり、道が不明瞭になることがある
  • 日陰は日中でも凍結するのでチェーンスパイク推奨
  • クマの目撃情報あるので単独行は避けたい

2. そのほかのコース

西前山(不動滝)コース

西前山(不動滝)コースの概要
<西前山コースの概要>

登山口は、前山寺や塩野神社に近い西前山地区にあり、上り約100分、下り約80分とやや長めですが、途中には不動滝があり、変化に富んだ景観を楽しめる代表的なルートです。

室町時代建立とされる虚空蔵堂のお地蔵さま
<室町時代建立とされる虚空蔵堂のお地蔵さま>

登山前後に、塩田平の名刹めぐりを組み合わせるのもおすすめ。

上級者向けのバリエーションルート

雨首へ至るのはバリエーションルートのみ
<雨首へ至るのはバリエーションルートのみ>

一般向けではありませんが、雨首や帰望峰を経由するバリエーションルート(破線ルート)も歩かれていますが、危険箇所の通過や確保技術が求められるため、経験や技量に合った慎重な計画が必要です。

独鈷山|周辺の温泉

独鈷山を挟んで北側には別所温泉、南側には鹿教湯温泉があり、下山後の立ち寄り湯にも恵まれています。

別所温泉

別所温泉の駅舎
<ノスタルジックな別所温泉駅の駅舎>

信州最古の湯と伝わる別所温泉。安楽寺や北向観音など見どころが多く、3ヶ所の外湯めぐりも人気です。家族やグループなら、日帰り温泉の「あいそめの湯」が使いやすい。

別所温泉

  • 所在地:長野県上田市別所温泉
  • アクセス:西前山登山口から約5km
  • 公式サイト:別所温泉観光協会 

鹿教湯温泉

<氷灯ろう夢祈願が2025年12月26日~ 2026年1月31日まで開催予定>
<氷灯ろう夢祈願が2025年12月26日~ 2026年1月31日まで開催予定>

鹿が教えたと伝わる名湯で、旅館・ホテルのほか共同浴場が2ヶ所あるほか、病院やクアハウスもあり、湯治場としての面影をいまも残しています。昔ながらの温泉街をそぞろ歩きするだけでも味わい深い。

鹿教湯温泉

霊泉寺温泉

霊泉寺温泉にはコンビニもカフェもないが風情がある
<霊泉寺温泉にはコンビニもカフェもないが風情がある>

R254から細い道を1kmほど入った先にある、4軒の宿と共同浴場だけの静かな温泉地。素朴な温泉情緒を楽しめます。

霊泉寺温泉

霊泉寺温泉|さびれた感じが心地よい

独鈷山の南麓、山あいに佇む霊泉寺温泉。「なんにもないけど、なんだかいい」----そんな言葉が似合う小さな温泉地です。

日暮れ後に訪れると、市営駐車場から共同浴場へ向かう道は、ぽつりと灯る街灯が頼りでした。宿は数軒ほど、コンビニも飲食店もなく、山の静けさに包まれています。

共同浴場の入口に立つレトロな赤ポスト
<共同浴場の入口に立つレトロな赤ポスト>

入湯料は木箱へ入れる
<入湯料は木箱へ入れる>

入り口の赤いポストが目印の共同浴場は、入湯料250円を木箱へ入れる昔ながらのスタイル。湯口からは無色透明に近い少し熱めの源泉が絶え間なく流れ込み、湯船からはざぶざぶと豪快に溢れていきます。

「シャワーもなんもないけど、湯がいい」そう教えてくれた常連のおかあさん。

シンプルだけど貴重品ボックスもある脱衣所
<シンプルだけど貴重品ボックスもある脱衣所>

飾り気はないけれど、この温泉を日々支える人の気配が心地よく漂っています。透明でやわらかな湯に体を沈めると、歩き疲れた体がじんわりほどけていくよう。

湯上がりの牛乳はありませんが、外へ出れば、冴えた空気の中に星が静かに瞬きます。

霊泉寺温泉共同浴場

  • 所在地:長野県上田市平井字唐沢口 2515
  • 営業時間:7:00~21:00
  • 休館日:無休
  • 入湯料:大人250円、小人100円
  • 加水加温:無
  • 源泉名:霊泉寺温泉町有泉
  • 泉質:アルカリ性単純温泉

まとめ

冬の独鈷山は、条件が厳しいので普段以上に慎重な計画が必要です。温泉地までの道も、凍結や積雪の状況を確認してからお出かけください。

雪に閉ざされる前に。あるいは春の訪れを待ちながら。ご自身のペースで「行けるタイミング」を静かに探してみてください。

ルートを選び、地図をひらくその瞬間から・・旅はもう始まっています。

※2025年11月時点の情報です。

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もりのりこ

東京・渋谷出身。東京と長野を拠点にあちこち巡るヒト。
伝統の中にある新しさ、ここにしかない風景、人との出会いを求め、旅しています。ほんとうに伝えたいことだけをていねいに記事にします。信州登山案内人、全米ヨガアライアンス

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