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冬限定カスタードアップルの食べ方と買い方!インドの冬に出会える恋の果物

インドの冬にしか出会えない不思議な果物「カスタードアップル」は、見た目は仏像、味は爽やかでスウィート!娘の替え歌をきっかけに、我が家ではこの果物をメロディーにのせて呼ぶようになりました。
この記事では、インド在住者の家族の日常を通して、カスタードアップルの食べ方・買い方・旬の時期などを、冬の味覚体験としてご紹介します。
目次
- 冬のグルグラムで響く替え歌とカスタードアップル
- 珍しい冬の果物!カスタードアップルのユニークな見た目
- グルグラムで出会う「恋の味」|市場でカスタードアップルを買う
- カスタードアップルの食べ方と味の魅力
- 鳴り物入りで我が家に登場|見た目を裏切る冬のごちそう
- インド冬の定番|カスタードアップル(シターファル・釈迦頭)
- グルグラム冬の果物体験まとめ|カスタードアップルと神話が響くメロディー
冬のグルグラムで響く替え歌とカスタードアップル
ナマステ!螺髪(らほつ)がくるくる巻いて、ナマスカール!本来、螺髪(らほつ)は右巻きなのに奈良の大仏の螺髪(らほつ)は左巻き――そんな、あまのじゃくな不条理も予測不可能なインド暮らしでは何ともないARIECHIKAです。
巻き方向と言えば、ミニスナックゴールドの渦巻きは、関東と関西で方向が逆だそうで、関東で最初に成形の仕方を教えた人が左利きだったために関東が左巻きになったという都市伝説も!
ある夕暮れ、娘が学校から帰るなり、軽快なリズムに乗って歌い始めました。
「IPT, IPT, Oh, no, no, no! Science note, science note sent to your phone〜♪」訳すと――「中間テスト、ああ、大変だ、どうしよう!理科のノート、スマホに送ったよ〜」という感じです。
間近に迫ったテストについて替え歌にした様子が、あまりに臨場感たっぷりで、思わず耳が吸い寄せられ、口元が緩みました。
この替え歌の原曲は、ロゼ(BLACKPINK)とアメリカのシンガーソングライター・ブルーノ・マーズによる楽曲『APT.』。韓国の飲み会で行われる「アパトゥ・ゲーム」の掛け声に由来するタイトルを持ち、都市文化と遊び心が融合した中毒性のあるメロディーが特徴です。
そんな都市の空気を感じられる場所といえば、私たちが住むグルグラム(旧称グルガオン)も例外ではありません。
インディラ・ガンディー国際空港から南へ約20km、デリー首都圏の近隣に位置するこの都市は、外資系企業の進出により急速に発展しています。アクセスも良好で、車での移動なら空港から約30分ほどです。
高層ビルや整った住宅街、ショッピングモールなど近代的な側面と、地元民が集うマーケットや屋台が共存する街――それがグルグラムです。季節によって街の果物事情も変化し、冬には、ちょっと変わった顔ぶれの果物と出会えます。
その筆頭が「カスタードアップル(Custard Apple)」、ヒンディー語名の「シターファル(Sitaphal)」です。
珍しい冬の果物!カスタードアップルのユニークな見た目
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<仏像の螺髪(らほつ)です。似ているでしょう?>
カスタードアップルの凹凸のフォルムは、まるで仏像の螺髪(らほつ)!
手に取ると、ずっしりとした重みと自然なぬくもりが感じられ、どこか生きもののような生命力があります。そんな見た目から、日本ではこの果物は「釈迦頭(しゃかとう)」と呼ばれることもあります。
この、凹凸の丸みがあるフォルムと野性味あふれる色、ちょっとワイルドで愛嬌のある雰囲気で、どこか「ちょい悪」な魅力も感じさせます。
このフォルムと味と香りが、私に、ブルーノマーズとロゼを彷彿とさせ、そして、娘の替え歌がきっかけで、「カスタードアップル」という名前が『APT.』のメロディーに乗り、「カスタードアーパツ、アパツ、Uh, uh-huh, uh-huh~♪」と、気づけば口ずさんでいた自分がいたのです。
インド・グルグラムの冬にだけ出会える、見た目もユニークな「カスタードアップル」が、娘の替え歌と甘いメロディーが重なって、「恋の味」へと変貌した瞬間です。
グルグラムで出会う「恋の味」|市場でカスタードアップルを買う
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<グルグラムのベジタブルショップHi!Market>
グルグラムでは、10月中旬から2月頃の冬のシーズンになると、スーパーや市場など至るところでカスタードアップルに出会えます。
おすすめなのが路面店の八百屋「Hi!Market」。清潔で価格も手ごろ、スタッフも親切で、観光客にも安心して利用できるお店です。
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<市場でも会計はQRコード決済が主流>
一方、ローカル市場では、より雑多で活気ある雰囲気の中、自分で果物を選ぶ楽しさがあります。市場でも会計はQRコード決済が浸透していますが、これは、インドの銀行に口座がないと使えません。10ルピー札を多く用意していくのが安心です。
金額は店主が秤にかけて告げるスタイルが一般的で、値段交渉はなく、提示された価格がそのまま支払い額になります。
ここまで読むと、市場での買い物は簡単そうに感じるかもしれませんが、言葉の壁があるかもしれません。市場では英語がほとんど通じないため、数字や「いくら?」程度のヒンディー語を覚えておくと便利です。
私が「キットネカ?(いくらですか?)」と尋ねると、「エークキロ、エークソービース・ルピエ(1kg120ルピー)」とのこと。
こぶし大のものを4つ選んで渡すと、1.4kgほどで170ルピー、日本円で約294円(2025年10月30日時点)でした。
とはいえ、市場は地面が整備されておらず、足元が悪いです。雨の後などは粘土質の土でぬかるみます。衛生面が気になる人もいるかもしれませんし、価格が特別安いわけでもありません。手軽さを求めるならスーパーや「Hi!Market」のような八百屋さんの方が便利です。
それでも、雑多な市場でヒンディー語を使いながら果物を買うという体験は、インドにいることを実感させてくれる、ちょっとした「旅の味」。その味は、きっとあなたの記憶に残る一口になるでしょう。
Hi! Market
- 所在地:938, Park Dr, DLF Phase 5, Sector 54, Gurugram, Haryana, India 122009
- 営業時間:8:00~21:30
- 定休日:年中無休
カスタードアップルの食べ方と味の魅力
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<とろりと果汁滴る果肉>
緑のぼこぼこしたワイルドな表皮に、邪悪な黒斑点が見えてきて、不遜な笑みをたたえたように見えるころが食べ頃。そういうところがまた、『APT.』の都市の遊び心や反骨的な可愛さのイメージそのままなんです。
そして、この果物のいいところは、両手でパカっと割るだけで食べられる!という、包丁もまな板も要らないので、洗い物も出なくて忙しい人の味方です。
外見の反骨さと裏腹に、白くつややかな果肉は可愛らしくてとろっとしています。においも甘酸っぱくて、大きめのつるっとした種もあいまって、可愛らしい少女のようなのです。
スプーンで優しくすくって食べても、手で豪快にかじってもOK。口に入れると、濃厚な甘みがふわっと広がり、乳酸菌飲料を思わせる爽やかさも。さらに、ほんのり梨のようなジャリっと感が舌に残ります。
甘くて酸っぱくてクセになる味は、まるで恋の駆け引きのようです。
さらにこの果物は、栄養もたっぷり。ビタミンCや食物繊維、抗酸化成分が豊富で、免疫力の維持や消化のサポート、美肌づくりにもひと役買ってくれます。
インドでは、冬の定番の果物として親しまれており、甘さだけでなく、体にも嬉しい存在。味覚と健康を同時に満たしてくれる、冬ならではの果物です。
その瞬間、脳内で自然に流れ出すのがこのフレーズ
「カスタードアーパツ、アパツ、Uh, uh-huh, uh-huh~♪」
私の脳内変換訳はこんな感じです――カスタードアップル、あ~美味しくてたまらない~♪
鳴り物入りで我が家に登場|見た目を裏切る冬のごちそう
そもそも、この果物が我が家に初めて登場したのは、ある日の夫の大発見から。
夫が目を輝かせて、「これまでで最もおいしい果物を見つけたかもしれない!」と市場から持ち帰ってきたのです。
とはいえ、その見た目は緑色でぼこぼこ、野性味あふれる今まで見たことのない形状に、私も娘も、「本当に食べられるの?」と疑心暗鬼に。
ところが、夫がこうやって食べるんだと、両手でパカっと割ってみせた瞬間、果肉の輝きに娘も私も目を見張り、口に運んだ途端、家族全員が笑顔に。そして、それは、見た目のハードルを優に超えて、我が家の冬の定番になったのです。
それ以来、冬が近づくと、夫と私は外に出ると、「カスタードアップルは出ていないか」と、挙動不審気味に目を皿のようにしています。そして、もちろん見つけたら必ず購入し、ほぼ毎夕食のデザートとして食卓に並ぶようになっています。
「今年もカスタードアーパツ、アパツ......♪が出たね」と娘と口ずさむ度に、夫のカスタードアップルを我が家に運んできたときの、あの形相が私の脳裏によみがえります。
見た目に惑わされず、味で信頼を勝ち取ったこの果物は、我が家にとってちょっとした「冬の風物詩」になりました。
インド冬の定番|カスタードアップル(シターファル・釈迦頭)
インドでは、カスタードアップルは冬限定の定番果物。10月中旬〜2月頃に旬を迎え、熟すと果皮が黒っぽく柔らかくなり、食べ頃になります。完熟の見極めには若干のコツが必要ですが、果皮の色・手触り・香りをチェックし、ぜひこの果物を存分に堪能していただきたいです。
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<カスタードアップルの名称図解>
「カスタードアップル」という名称は、実は複数の近縁種を指すことがあり、「チェリモヤ」や「アテモヤ」といった交配種を含む場合もあります。これらは表面が比較的なめらかで、ごつごつした質感は見られません。
一方、この果物は英語で「Sugar Apple」とも呼ばれ、日本では「シュガーアップル」「釈迦頭」「バンレイシ」などと表記されることがあります。
これらは一般的に、ごつごつした外皮を持つ、ヒンディー語名でのSitaphal(シターファル)としてのカスタードアップルを指しているため、混同しにくく、間違いは少ないと思われます。
購入時や説明文では、果実の形状や学名を確認するのがおすすめです。見た目は似ていますが、種類が異なる場合があるのでご注意ください!
グルグラム冬の果物体験まとめ|カスタードアップルと神話が響くメロディー
クセになる酸味のある甘さと、ちょっとワイルドな見た目。そのギャップが、まるで音楽のように心を揺さぶります。
この果物のヒンディー語名「Sitaphal(シターファル)」の源は「Sita(シータ)」=インド神話『ラーマーヤナ』に登場する女神の名、「Phal(ファル)」=果物。つまり、「シータの果物」という意味合いになるんです。神話と暮らしがこんなふうにつながるとは、ちょっとロマンチックですよね。
トロリととろける質感、甘酸っぱさ、ジャリっと響く舌触り――そのすべてが口の中で踊り出すような、楽しい味わいです。
インドの冬にしか出会えないこの果物は、まるで音楽のように味覚を揺さぶる存在。気づけばまた、あのフレーズが口をついて出てしまう――カスタードアップルは、我が家にとっても、旅人にとっても、記憶に残る冬のメロディーなのかもしれません。
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ARIECHIKA
- これまで「音」で日々を綴ってきた声楽家ですが、今度は「文字」で、インドでの暮らしを奏でてみようと思います。毎日のなんてことない出来事の中に、ちょっとした驚きや発見がいっぱい。笑いと好奇心を添えて、異文化の空気を言葉に乗せてお届けします。日々の小さな旋律――Ariettaのような、ささやかだけど心に残る瞬間を、五感で感じるインドから綴っていきます。ちょっとのぞいてみませんか?




























