知る人ぞ知るインド料理の名店「ムガル」が、駒込に2号店をオープンしました!

テーブルの上にあるハイデラバードビリヤニ

早稲田にあるインド料理の名店「ムガル」が、東京都豊島区の駒込に2号店をオープンしました!

香りを楽しむ「コルカタビリヤニ」を筆頭に、インド料理の専門家からも高い評価を受けるレストランとあって、2025年8月末のオープンわずか2ヶ月ほどで、すでに話題となっています。

そんな注目の「ムガル 駒込店」について、

  • どんなお店なのだろう。インド料理店は都内にたくさんあって違いがわからない
  • オススメの料理を知りたい。初めての来店だと選択肢が多くて迷ってしまう

という悩みがある方もいるでしょう。

そこで今回、東京で世界の料理を専門で開拓する海外グルメマニアのオグが、「ムガル」を運営する株式会社アブラカダブラの代表取締役のカーン由紀子さんと、取締役で店主のカーン・アビッドさんご夫妻に、お店の魅力や今後の展望についてお話を伺いました。

本記事では、「ムガル 駒込店」オープンまでの長い道のり、「ムガル」ならではの魅力、オススメ料理3品、今後の展望まで詳しくご紹介します!

目次

ご夫妻で育てた「ムガル」ブランド

ムガルの入口

由紀子さんは平日、IT企業でクリエイティブ制作チームを統括しながら、休日や深夜にお店の経営に携わっています。店舗のメニュー撮影、デザイン、看板、チラシ、SNS運用まですべて自ら手掛け、その完成度の高さからも「クリエイターとしての感性」が随所に感じられます。

旅行が非常にお好きで、さまざまな国に渡航してきました。渡航の大きな目的は、カメラでの作品撮りです。富士フイルム、ナショナルジオグラフィックなど数々の写真賞を受賞しており、その実力は折り紙付き。インタビューの中で由紀子さんの作品集を拝見し、その素晴らしさに思わず声が漏れました。

由紀子さんはそんな作品撮りで海外を旅する中でインドと出会いました。インドは電車や飛行機など遅延も頻繁に起き、当初のスケジュールが狂いそうになることも。また口に入れるものにも注意が必要です。歯磨きの水もペットボトルの清潔なものを使うようにしていたとか。

ストリートフードなど食べたい料理は山ほどありますが、体調を崩さないよう、我慢することも多かったそうです。というのもサラリーマンの旅は期間が決まっています。現地で体調を崩してしまうと、1日では回復しません。体調不良でせっかくの旅が台無しになってしまうリスクと隣り合わせ。

由紀子さんの場合、撮影したい祭りなどがあり、その日を逃したらもう見られません。その祭りに行くために、上司に交渉したり、チームメイトに仕事を任せたりなど、綿密な段取りの末に実現できる旅なのです。だからこそ、限られた期間でその旅の目的を果たし、万全な体調で仕事復帰する必要があります。こうして培った調整能力も、忙しい会社員をしながらレストランを営むところに活かされていると感じました。

ムガルの看板

「ムガル」早稲田店のオープン

「ムガル」は2022年に早稲田で最初の店舗をオープンします。アビッドさんはインドでお店を経営されており、日本でも自らのビジネスを始めたいとおっしゃっていたそうです。当時、親戚がインド料理店を経営していましたが、インドに帰るということで、そのお店を買取りました。リブランディングを経て「ムガル」早稲田店として新たにスタートしました。

以前のお店は定休日はあったものの不定期営業になることもあり、突然早い時間に閉まることもあるような状態でした。そうした状況を改善し、いつでも開いているお店として、日本人の信頼を得るのにとても苦労したそうです。アビッドさんはかなりの時間をお店に注ぎ、愛情を込めて経営しています。ムガル愛にあふれる方なのです。お店に対してだけでなく、お客様にも親切丁寧に接しているからこそ、皆さんから親しまれお店のファンになってくれる人が大勢います。その情熱こそが、"ムガルらしさ"の源です。

「旦那が現場、私が裏方。お互いの得意分野を活かして成り立っているんです。」と由紀子さん。ご夫妻それぞれの力が融合し、現在の「ムガル」ブランドを築いています。

ムガルの外観

駒込で「ムガル」2号店をオープン

2店舗目への拡大は早稲田店をオープンするときからアビッドさんが公言されていたそうです。しかし早稲田店のオープン当初(2022年)は、拡大するような資金的余裕もなく厳しい状況でした。その中でも必死に営業を続け、早稲田でインド料理といえば「ムガル」と店名が挙がるほど認知を拡大していきました。

早稲田店が軌道に乗り始め、2024年の半ばごろから2店舗目の物件探しを始めます。しかし良い物件こそ競合が多く、当時個人事業主であった由紀子さんでなく、現金ですぐ支払いができ、信頼のある法人へその物件が渡ってしまいました。その地で開店するという強い思いがあっただけに、落胆も大きかったそうです。

その後、目ぼしい物件はいくつかありましたが、実際に見てみるとイメージと違い断念。そんな中、偶然にも駒込で今の物件に出会ったそうです。

駒込店を経営していく中で、インド人スタッフと意見をすり合わせていくのにも苦労しています。たとえばビリヤニを提供する際、日本人に好評なのはアルミを使い現地風に出すことですが、インド人のこだわりは陶器の皿で提供したいというもの。ワンランク上のレストランでビリヤニを食べていると、お客様に思ってもらいたいという気持ちからです。さまざまな意見が挙がる中で、まずやってみて、ダメであればすぐやめるという考えで動いています。

さまざまなテーブルクロス

今ではすべてのテーブルに違ったテーブルクロスが敷かれていますが、当初はその予定はなかったとか。しかし、お店のInstagramにお客様からご要望をいただきました。その意見を取り入れてみたところ、料理の写真を撮る際にテーブルクロスが個性を演出し、「ムガル」だと認識していただけるようになりました。こうしたお客様の声にも積極的に耳を傾け、成長していきたいといいます。

店舗情報:

  • ムガル 駒込店
  • 住所:東京都豊島区駒込2-15-8 高野ビル 2F
  • 電話番号:03-6826-2753
  • アクセス:JR 山手線「駒込」駅 東口 徒歩30秒
  • 営業時間:11:00 〜 23:00(L.O. 22:30)
  • 定休日:無休
  • 公式インスタグラム:@mughal.curry.tokyo

「ムガル」ならではの魅力

ほかのインド料理店とは違う、「ムガル」ならではの魅力を2つご紹介します。

ムガルのメニュー表

まずビリヤニの種類の豊富さに驚きます。ビリヤニの聖地「ハイデラバード」のビリヤニを始め、看板メニュー「コルカタビリヤニ」など、通常メニューに8種類、プレミアムメニューに9種類、計17種もあるのです。プレミアムメニューは、最高級の米とスパイスなどを使用。

特に「コルカタビリヤニ」は現地の人が「日本でこれが食べられるのか」と驚くレベルだそうです。ハイデラバードのビリヤニと異なり、コルカタビリヤニは作れる人が少ないとか。ビリヤニを得意とするシェフがいる「ムガル」だからこそ、提供できる自慢の味ですね。

真上から撮ったムガルの料理

次に「ムガル」はハラール対応のインド料理レストランです。イスラム教の方々が食べられる肉のみを使用しています。豚肉やお酒を取り扱っていないのも、イスラム教で禁じられているためです。都内に数あるインド料理店の中でも、ハラール対応のお店は非常に少ないそうです。そもそもハラール対応のレストランが日本には少なく、あったとしても値段が高かったりと、海外に比べて身近ではないと私も感じます。

単品アラカルトのメニュー表

ハラール対応のほか、ベジタリアン対応もしており、仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教など宗教の垣根を超えて、1つのテーブルを囲みインド料理を楽しんでほしいとの願いが込められているのです。

迷ったらこれ!「ムガル」のオススメ料理3品

「ムガル 駒込店」に来店したらまず食べてほしい3品をご紹介します。

  • 1. コルカタビリヤニ
  • 2. ハイデラバードビリヤニ
  • 3. ハリッサ

コルカタビリヤニ

コルカタビリヤニ

香りを楽しむ「コルカタビリヤニ」。このビリヤニを目当てに「ムガル」を訪れる人も数知れず。かくいう私もその1人です。食べるときに立ち上る芳香が、ほかのビリヤニと一線を画します。ケオラウォーター(ほんのり甘く花のような香りの水)や、ミーターアッター(甘い香りの芳香油)が入っているため、香り豊かに仕上がるのです。

香りのほかにジャガイモ・ゆで卵が入っているのも「コルカタビリヤニ」ならでは。ジャガイモは肉の旨味を吸収し、しっとりとした食感を生み出すとともに、満足感を高めるつなぎ的な役割を果たしています。添えられたゆで卵のまろやかさが、ビリヤニ全体の味わいを柔らかくしていました。

ほかのビリヤニに比べ、辛さやスパイスは抑えられており、香りと繊細さが主役です。穏やかな味付けで食べやすいので、女性の方や濃厚な風味が苦手な方にも自信をもってオススメできます。ぜひ「ムガル」自慢の「コルカタビリヤニ」を召し上がってみてください。ビリヤニに対するイメージが変わること、間違いなしです!

ハイデラバードビリヤニ

ハイデラバードビリヤニ

ビリヤニといえば「ハイデラバード」と言われるほど有名です。肉の旨味、スパイスの香り、炒め玉ねぎの甘香ばしさ、ハーブ・酸味のアクセントが複雑に絡み合い、しっかり伝わってきます。味の濃厚さ・香りの主張の強さが、「コルカタビリヤニ」とはまったく違いますね。

ハイデラバードビリヤニのアップ

しっかりとした米の食感と、柔らかくなった肉の対比も見事です。米の粒が立った食感をより実感できるのは、炊き立ての時。私が「ハイデラバードビリヤニ」を食べた際も、炊き立てのタイミングでした。お店の方に尋ねると、出来立てのビリヤニがあれば教えてくれるかもしれません。最高級米「ラールキラー」の食感も存分に味わってみてください。

アムリトサリチキンビリヤニ

この「ハイデラバードビリヤニ」に、ナッツやヨーグルトなど濃厚なグレイビーでじっくり煮込んだチキンを加えた「アムリトサリチキンビリヤニ」もオススメです。じゅわっとした鶏肉に、ヨーグルトの酸味、ナッツのスパイシーさが混ざり合い、ビリヤニの奥深さと濃厚さを高めてくれます。由紀子さんもお気に入りのビリヤニだとか。

ハリッサ

ハリッサ

ビリヤニ以外でオススメなのが、豆とマトンの濃厚シチュー「ハリッサ」です。

肉と穀物を柔らかく崩れるまでじっくりと煮込むことで、とろみが強く奥深い味わいに仕上がっています。濃厚でしっかりとした口当たりながらも、ペーストのように溶け込んだ数種類の豆とスパイスの温かみのお陰で、身体の内側からホッとするような感じも覚えました。寒い冬に食べたらほっこり安心できる風味です。

ロティ

そんなハリッサには、インドの平たいパン「ロティ」を合わせてみてください。「ナンではないんだ」と思う方もいるでしょう。日本では「ナン+カレー」のスタイルが一般的ですが、インドではナンより「ロティ」や「チャパティ」などが主流です。「ムガル」はこうした平たいパンも取りそろえています。

ハリッサのような長時間煮込んだとろみのある料理には、薄くて柔らかいロティがソースを掬(すく)いやすく絡みが良いのです。ナンはリッチで甘みや乳製品の香りがあるため、ハリッサのスパイスや肉の旨味とぶつかることも。しかしロティはシンプルで主張が少ないため、料理本来の味を引き立ててくれます。

ハリッサをスプーンですくうところ

またハリッサは濃厚で重い料理なので、ロティの軽さが全体のバランスを取るのに適していると感じました。とろとろのハリッサに対して、薄くてしなやかなロティが食感のコントラストを生み出し、一体感のある味わいを楽しめますよ。

スパイスチャイ

濃厚な「ハリッサ」を食べた後は、伝統的なムガルスタイルの「スパイスチャイ」を飲んでみてください。5000年以上前にインドで作られたと言われ、茶葉や牛乳を使わずスパイスだけで作られています。じんわり染み渡るような風味は、これまで飲んできたチャイとはまったく違いました。奥深い風味の中にピリッとした辛味と微かな甘味もあり、身体の芯からポカポカと温まる感じです。

インド流誕生日パーティーも! 「ムガル」今後の展望は?

今後の展望として「インド流の誕生日パーティー」と「インドの朝食」を思い描いているそうです。

ムガルの店内

お客様がレストランを予約する理由の1つに、誕生日などを盛大に祝うことが挙げられるでしょう。早稲田店と違い、駒込店は最大50人を収容できるため、大人数のパーティーも開催できます。

由紀子さんによると「インドでは誕生日の祝い方が日本とまったく違う」そうです。日本では誕生日ケーキは基本的に1個だけ準備します。一方インドでは、ド派手なケーキをたくさん購入し、誕生日を祝うそうです。また、誕生日ケーキの蝋燭(ろうそく)が、インドでは花火になるとか。こうしたインド流の誕生日パーティーを駒込店で実現できないか検討中です。実現したら間違いなく話題になるでしょう!私もぜひ体験してみたいと思いました。

もう1つ関心を寄せているのが「インドの朝食」です。日本に喫茶店のモーニングやファーストフード店での朝定食があるように、インドにも独自の朝食文化が存在します。その種類もさまざまで、揚げパン、トースト、甘い菓子、チャイなど、多岐に渡ります。インド料理店は無数にありますが、インドの朝食を提供しているお店は数少ないです。また雑誌で特集が組まれるほど、朝食に注目が集まっており、実現すれば話題となるでしょう。

しかし朝食を提供する上で課題もあります。朝食の時間帯から営業するとなると、人件費も追加で必要です。早朝から起床して誰が働くか、シフトの計画性も求められます。というのも「ムガル 駒込店」は午前11時から夜11時まで通しで営業しており、従業員が交代で休憩を取っています。昼と夜の間に休みのあるレストランと異なり、従業員のシフト管理が難しいのです。こうした状況を踏まえ、平日だけもしくは週末だけ朝食を提供する案も考えつつ、試行錯誤を続けています。

【まとめ】「ムガル 駒込店」で自慢のインド料理を堪能しよう!

ムガルの料理

平日はIT企業でチームを統括しながら、早稲田と駒込でインド料理店「ムガル」を経営するカーン由紀子さん。写真家としての受賞歴をもち、店舗のメニュー写真やデザインもすべて手掛けています。

2022年に早稲田店をオープン後、物件探しの苦労を経て2024年に駒込店を開業。「ムガル」最大の魅力は、通常8種・プレミアム9種の計17種類という豊富なビリヤニのラインナップです。看板メニュー「コルカタビリヤニ」は香り高く繊細な味わいで、現地の人も驚く本格派。「ハイデラバードビリヤニ」は濃厚でスパイシーな王道の味を楽しめます。

テーブルに並ぶたくさんの料理

また、都内では希少なハラール対応レストランとして、宗教の垣根を超えて多くの人が同じテーブルを囲めるよう配慮。ビリヤニ以外では、マトンと豆を煮込んだ「ハリッサ」をロティと合わせて食べるのがオススメです。

今後は駒込店の広さを活かし、豪華なインド流誕生日パーティーや、都内では珍しいインドの朝食メニューの提供を検討中です。

今回の取材で印象に残ったのが、お店で働いている方全員が「ムガル」愛にあふれていることです。親族とはいえ、インド人と日本人、生まれも育ちも違い、さまざまな考えをもっています。意見の違いで議論になることも多々あります。しかし「ムガル」をお客様に長年愛されるお店にしていこうと、真剣に話し合い家族が一致団結しているのです。

「ムガル」への熱い想いと、家族の温かみを感じれる素敵なお店にぜひ足を運んでみてください!

関連記事

東京」に興味わいてきた?あなたにおすすめの『東京』旅行はこちら

※外部サイトに遷移します

Related postこの記事に関連する記事

Ranking東京記事ランキング

ランキングをもっと見る

この記事に関連するエリア

この記事に関連するタグ

プロフィール画像

おぐグルメ

東京にある美味しい・珍しい海外グルメを食べ歩く海外グルメマニア。ブログには100ヶ国以上の世界の料理を掲載し、休日だけで年間365以上の海外グルメを開拓しています。実際に現地に行き本場のグルメも食べていて、これまでヨーロッパを中心に60ヶ国以上に渡航しています。

Pick upピックアップ特集

全国の動物園&水族館 徹底取材レポート特集!デートや家族のおでかけなど是非参考にしてみてください♪

特集をもっと見る

たびこふれメールマガジン「たびとどけ」
たびこふれサロン

たびこふれ公式アカウント
旬な情報を更新中!