青春18きっぷのモデルコースを「東京発」で作ってみました！【新旧ルールの違いも紹介】

だれでも日本全国のJR普通・快速列車に乗り放題のフリーパス、「青春18きっぷ」。筆者は学生時代から10年以上このきっぷに親しんできた、「青春18きっぷファン」のひとりです。

今回はそんな私が考えた「東京発のおすすめモデルコース」を紹介します。青春18きっぷに慣れている方も、使ったことがない方も、東京以外にお住まいの方でも、新たな旅のアイデアの参考にしてみてください。

また、青春18きっぷは2024年冬の発売分から大きくルールが改定されました。1年が経過したいま、改めて新ルールでの使い方や新旧比較、新ルールのメリット等を紹介していきます。新ルールの範囲内で目いっぱい旅を満喫できるよう、情報をおさらいしておきましょう。

目次

• 青春18きっぷの基本情報を分かりやすく解説【新ルール版】
• 旧ルールとの違いは？ 昔の青春18きっぷを惜しむファンたちへ
• 東京発の青春18きっぷモデルコース
• ますます広がる！ 青春18きっぷ活用アイデア
• 青春18きっぷを使ったコース作りのためのQ＆A
• モデルコースを参考に青春18きっぷの旅を計画してみよう！

青春18きっぷの基本情報を分かりやすく解説【新ルール版】

青春18きっぷは、全国のJR線の普通列車・快速列車が乗り放題になるお得なきっぷです。例年春・夏・冬の3シーズンに期間限定で発売されます。「青春」や「18」というネーミングから、「成人は使えない」とイメージする方もいるかもしれませんが、年齢制限はありません。

料金や期間など、詳細なルールは発売されるシーズンごとに発表されます。その際、ルールが変更されることもあるため注意しましょう。実際に、2024年冬シーズンの発表では大きな変更がありました。

今回は本記事執筆時点で最新となる、2025年冬シーズンの内容をもとに基本情報を整理します。

【青春18きっぷ　基本情報】

※参照：JRグループ　「青春 18 きっぷ」「青春 18 きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売について

なお、発売期間と利用期間にはズレがあるため注意しましょう。例年2月、7月、11月から発売される傾向があるため、最新情報をチェックしてみてください。

加えて、北海道方面への旅を楽しみたい方は、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の利用もおすすめ。青森県と北海道を結ぶ青函トンネルは新幹線と貨物列車のみが走行しているため、「普通・快速列車の利用」が原則となる青春18きっぷでは通ることができません。しかし、このオプション券を組み合わせて利用することで、例外的に北海道新幹線に乗り、北海道に渡ることができるのです！

【青春18きっぷ北海道新幹線オプション券　基本情報】

※参照：JRグループ　「青春 18 きっぷ」「青春 18 きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売について

旧ルールとの違いは？ 昔の青春18きっぷを惜しむファンたちへ

2024年に大きくルールが変わった青春18きっぷ。改めて新旧ルールの主な相違点を比較してみましょう。

自由な日程でふらりと日帰り旅を楽しめなくなってしまったことなどは、やっぱりネガティブに感じてしまいますよね......。実際に、青春18きっぷの利用者は減少傾向にあると言われています。

しかし、こうやって比較してみると、発売期間が長めに設定されていることや、オプション券利用のハードルが下がっていることなど、メリットもいくつか見えてきます。

そして、最大のメリットは「自動改札機を通れるようになったこと」。従来の青春18きっぷは有人改札を通る必要があったため、シーズン中には大きな駅で長蛇の列ができてしまうこともありました。それを解決できるのが新ルール。すいすい改札を通れるので、「有人改札で混雑してしまって乗り換えがギリギリ！」なんてトラブルも回避できるかもしれません。

「ルールを従来に戻してほしい」という声も挙がっていますが、現行のルールのなかで「便利さ」「楽しさ」を見つけてみるのもいいのではないでしょうか。私たちファンが使わなくなることで、大好きな青春18きっぷ自体がなくなってしまったら、元も子もないですからね！

東京発の青春18きっぷモデルコース

青春18きっぷを使った東京発のモデルコースを紹介します。3日間用、5日間用で組んでみましたので、あなたの旅の参考に活用してみてください。

※モデルコースは2025年10月時点の平日ダイヤで、7時以降に東京駅を出発する想定にて算出しています。実際に利用する際は最新のダイヤをご確認ください。

東京から3日間で食い倒れ＆観光！ 定番モデルコース

新ルールから登場した3日間用の青春18きっぷを使ったモデルコースです。青春18きっぷを初めて使うなら、まずは3日間用から始めてみましょう。また、路線は東名阪を結ぶ「東海道本線」を選ぶのが、本数も多くおすすめです。モデルコースでは、3日間で名古屋や静岡の各地を巡ります。

【1日目】
7:01～13:28　東京駅～名古屋駅へ移動
名古屋周辺を観光、宿泊

【2日目】
名古屋周辺を観光
15:01～17:48　名古屋駅～静岡駅へ移動、宿泊

【3日目】
静岡周辺を観光
12:04～12:15　静岡駅～清水駅へ移動、昼食
13:34～14:47　清水駅～熱海駅へ移動、熱海観光
20:04～21:44　熱海駅～東京駅へ移動

【1日目】まずは名古屋めしを満喫

1日目は名古屋までまっすぐ移動します。東京から名古屋までは普通・快速列車で6時間程度。到着したらお昼過ぎになっていると思うので、お好きな名古屋めしで腹ごしらえしてください。

名古屋めしはひつまぶし、みそかつ、手羽先、きしめん、あんかけスパゲッティなどさまざまありますが、私のおすすめは味噌煮込みうどん！ 赤味噌の効いたキリッとした味わいに、コシの強い硬めの麺がよく合う、名古屋ならではの味わいです。

【2日目】名古屋観光のあと、静岡でご当地グルメ

2日目はお昼過ぎまでゆっくり名古屋観光をしましょう。せっかくなら朝ごはんは名古屋名物の「モーニング」を味わいに、カフェ巡りをしてみてはいかがでしょうか。

有名観光地である名古屋城や東山動物園へは地下鉄でアクセス可能です。「青春18きっぷを使うならJRに乗ったほうがいいのでは？」と思うかもしれませんが、このあとの静岡駅への移動でたっぷりJR線に乗車しますのでご安心ください。

夕食は静岡でしか出店していないご当地ハンバーグチェーン店「さわやか」で食べてみましょう。静岡駅付近の店舗は非常に混雑するため、先に整理券を発行し、駅付近のホテルにチェックインしておくのが個人的なおすすめ。順番が近づくまで、混雑を避けてまったり部屋で休むことができますよ。

【3日目】途中下車で気ままな青春18きっぷらしさを楽しむ！

最終日は昼まで静岡観光を楽しみ、12時ごろに帰路につきます。終電までたっぷり時間はあるので、途中駅でふらりと下車してみましょう。

私のイチオシは清水駅と熱海駅。「清水魚市場 河岸の市」では、冷凍マグロの水揚げ量日本一を誇る、清水のマグロを堪能できますよ。さまざまな場所でマグロを食べてきた私ですが、清水のマグロが一番おいしいと思い、何度も途中下車するほどです。

熱海駅では、駅前にある無料の足湯「家康の湯」がおすすめ。足を伸ばして、長時間の電車旅の疲れを癒しましょう。時間があれば、駅前商店街での食べ歩きもいいかもしれません。

もちろん、この2駅以外でも「いいな」と思ったら途中下車してOK。直感で知らない駅に降りてみるのも、青春18きっぷならではの醍醐味です。最後までたっぷり「らしさ」を味わって帰りましょう。

東京から5日間でできるだけ長距離！「乗り鉄」体験モデルコース

「せっかく青春18きっぷを使うなら、思いっきり長距離を移動したい！」と思う人向けのモデルコースです。5日間で広島、島根、鳥取、京都を巡ります。あなたも「乗り鉄」になってみませんか？

【1日目】
7:01～11:41　東京駅～浜松駅へ移動、昼食
12:05～23:37　浜松駅～広島駅へ移動、宿泊

【2日目】
広島市街・宮島で観光

【3日目】
7:58～18:27　広島駅～出雲市駅へ移動、宿泊

【4日目】
出雲大社に参拝
10:06～13:18　出雲市駅～鳥取駅へ移動
鳥取砂丘で観光、宿泊

【5日目】
6:48～13:51　鳥取駅～京都駅へ移動、昼食、京都観光
15:30～23:46　京都駅～東京駅へ移動

【1日目】 約14時間の長距離移動に挑戦！

1日目から東海道本線や山陽本線に乗りまくります。10時間以上の乗車は、青春18きっぷ旅の醍醐味。東京発でなくてもいいので、あなたの近くのJR最寄り駅から最長でどこまで行けるのか調べておくと、旅のアイデアが膨らみますよ。なお、青春18きっぷの乗り換え検索には、ジョルダンの青春18きっぷ検索が便利です。

長時間乗車だと「ご飯やトイレはどうするの？」と心配する方もいるかもしれませんが、連続で14時間乗車するわけではないのでご安心ください。途中で1時間弱の乗り換え待ちが発生する駅や、トイレが備え付けの車両もあります。

何度も東海道本線を青春18きっぷで通過してきた私からすると、昼食休憩は静岡エリアが最適。静岡駅、浜松駅、豊橋駅など駅ナカご当地グルメが充実するターミナル駅が多いので、腹ごしらえに途中下車してみてはいかがでしょうか。写真は浜松駅で食べた浜松餃子です。

【2日目】宮島フェリーで青春18きっぷ活用

広島駅周辺で1泊したら、2日目は観光デーにしましょう。

徒歩圏内に平和記念公園や広島城、少し足を伸ばせば厳島神社のある宮島にも日帰りで行けます。宮島フェリーは青春18きっぷで乗船できる唯一のフェリー！ 電車同様、期間内なら乗り放題の対象となります（別途、現地にて宮島訪問税100円が必要）。 きっぷの特典をフル活用したいなら、ぜひ宮島に足を運んでみてください。

【3日目】山陰本線で出雲へ

3日目は移動デーです。広島駅から芸備線、木次線、山陰本線を経由して、出雲大社の最寄り駅、出雲市駅に移動しましょう。山陽から山陰へ、変化していく車窓が楽しめます。

到着は18時半ごろになるため、3日目は出雲市駅周辺のホテルへ。リーズナブルなビジネスホテルや飲食店、コンビニなども充実しているので、ゆっくり旅の疲れを癒しましょう。

【4日目】出雲大社＆鳥取砂丘で山陰の魅力を堪能

4日目は島根県、鳥取県の代表的観光地を巡ります。まずは朝イチで出雲大社を参拝。早朝6時半から入場可能なため、混まないうちの参拝がおすすめです。澄み渡った空気を感じながら荘厳な空間を歩いてみましょう。

鳥取駅までは3時間程度。鳥取砂丘は鳥取駅が最寄りなので、荷物をホテルやロッカーに預け、身軽な状態で行ってみましょう。広大に広がる砂丘と海も、ダイナミックな波の音も、一度体験してみる価値があるはずです。

【5日目】長距離移動のあいだに京都でまったり途中下車

最終日は鳥取駅から東京駅へ帰ります。1日目と同様の長距離移動ですが、せっかくなら合間に観光もしてみましょう。途中下車のおすすめは京都駅。写真の牛カツをはじめとした京都グルメを駅周辺でも楽しめます。終電に余裕のある場合は、京都の滞在時間を長めにとって、祇園などの市街へ繰り出してみるのもいいかもしれません。

京都でお土産や駅弁を買って、東京まで帰りましょう。5日間の長旅、お疲れ様でした！

ますます広がる！ 青春18きっぷ活用アイデア

一例として3日間、5日間の場合のモデルコースを紹介しましたが、青春18きっぷの活用方法は人それぞれ。また、他の交通手段を使えば可能性はどこまででも広がります！ ここでは、青春18きっぷファンである私が実際にやったことのある旅を2つ紹介します。

①夜行バスでワープして、青春18きっぷで九州旅

東京から九州までの道のりを1日で移動しようと思うと、普通・快速列車では物理的に難しいのですが、夜行バスや新幹線といった別の手段を使うことで解決できます。夜行バスであれば、翌日の早朝から電車に乗れるという点がメリット。私はこれで2回ほど九州を旅しました。

写真はJR九州の「或る列車」。数時間で4万円以上する豪華絢爛な観光列車です。青春18きっぷで旅費を抑えるぶん、現地で贅沢してみるのも楽しいですよ。

②青春18きっぷでしかできない？ 「全駅下車」の乗りつぶし

ある路線の始発駅から終点駅までの区間を完乗することを、「乗りつぶし」と呼ぶことがあります。ただ乗るだけではなく、1駅ずつ改札を出て、また入って......を繰り返し、全駅で降りるパターンの乗りつぶしの旅は、コストの面から青春18きっぷでしかできないかもしれません。

私は常磐線を対象に、青春18きっぷを使って「全駅下車」の乗りつぶし旅にチャレンジしています（1回の旅では終わらないほど時間がかかります）。写真は大パノラマが広がる美しい駅舎で有名な日立駅です。

「知らない場所で知らなかった魅力を見つける」のが青春18きっぷの醍醐味。全駅下車とまでは行かなくても、身近な路線のマイナー駅でふらりと降りてみることで、新たな発見ができるはずです。わざわざ遠くに行かなくても、青春18きっぷの旅はすぐに始められますよ。

青春18きっぷを使ったコース作りのためのQ＆A

最後に気になるポイントについてQ＆Aでまとめました。青春18きっぷのコースを計画する際、あわせて参考にしてみてください。

どれだけ乗るとお得になる？

青春18きっぷの値段は、3日間用10,000円、5日間用12,050円であるため、3日間用の場合は1日あたり3,333円以上、5日間用の場合は2,410円以上乗車した場合、元が取れる計算となります。具体例として、東京駅から主要観光地への運賃を算出してみました。

※ルートによって運賃は変わります。また、運賃は改定となる可能性があります。最新情報はご自身でご確認ください。

つまり、「遠くへ行けば行くほど得をする」シンプルで明快な仕組みとなっています。「とにかくお得に旅したい」派の方は、できるだけ長距離のコースを考えてみてください。上記は片道での運賃ですが、往復する場合はどの行先でもお得になる計算です。

金額の確認は、ジョルダンの青春18きっぷ検索を使うとわかりやすいですよ。

0時を越えたらどうなるの？

青春18きっぷは日ごとの有効となるため、日付が変わる（午前0時を過ぎる）時点でその日の効力が切れます。ただし終電が日付をまたぐ場合、「（有効期間の最終日は）0時を過ぎても終電まで有効」という特例があります。

旧ルールでは原則「0時以降最初に停車する駅」までが有効範囲とされていましたが、新ルールでは緩和され、全国どこでも終電まで利用できるようになりました。

利用開始後の払い戻しは可能？

残念ながら、利用開始後（1日目の使用が始まったあと）の払い戻しはできません。払い戻しができるのは未使用かつ有効期間内のものに限られ、手数料220円が差し引かれます。なお、購入した場所でのみ払い戻し可能となります。

かつては数日ぶん余ってしまった青春18きっぷを、金券ショップに買い取ってもらうのも手段のひとつでしたが、連続使用が原則となった新ルールではそれも難しくなっています。払い戻しをできるだけ避けるために、旅行日程を確定させてから購入するのが安全でしょう。

青春18きっぷよりお得なきっぷはある？

連続した日数の旅行が難しい場合は、他のきっぷの方が結果的に安くなるケースもあります。JRはさまざまなタイプのフリーパスを販売しているので、旅のスタイルにあわせて活用してみましょう。

※情報は2025年10月時点

また、上記のようなフリーパスを購入しなくても、片道100キロ以上の普通列車のきっぷは途中下車が可能です。たとえば、「東京都区内→大阪市内（8,910円）」のきっぷを買った場合、以下のような取り扱いになると、JRのサイト内で紹介されています。

＝＝＝＝＝＝＝

＜東京都区内の駅での下車＞
下車駅から先の区間については無効となります。ただし、乗車駅から下車駅までの運賃を別にお支払いいただいた場合は再びご利用になれます。

＜川崎～吹田間の駅で下車＞
もどらない限り何回でも途中下車できます。

＜大阪市内の駅で下車＞
旅行終了として乗車券はいただきます。ただし、大阪と北新地とを当日中に徒歩連絡する場合に限って大阪または北新地での途中出場ができます（大阪市内のその他の駅では途中出場はできません）。

引用：JR東日本　きっぷあれこれ　途中下車

＝＝＝＝＝＝＝

100キロ以上の長距離きっぷは駅の窓口で購入可能です。青春18きっぷで長距離の旅に魅了された方は、窓口での購入にもチャレンジしてみてください。

モデルコースを参考に青春18きっぷの旅を計画してみよう！

今回は青春18きっぷの新ルール詳細や、旧ルールとの違い、東京発のモデルコースについていくつか紹介しました。行ってみたい場所や、乗ってみたい路線、やってみたいことは見つかりましたか？

青春18きっぷは誰でもリーズナブルかつ自由に電車旅を楽しめる、唯一無二のフリーきっぷです。モデルコースを参考に、あなただけの旅の計画を練ってみてください。日本全国、JRが通る場所ならどこへでも冒険しに行けますよ。