メキシコ料理はなぜおいしい? 名店でわかる本場の味

メキシコ料理は、いつだって全力です。辛くて、酸っぱくて、甘い。そんな要素が渋滞寸前のところで、不思議とまとまっている。

旅の中で何度も訪れた市場、忘れられないレストランの数々。そこには、「なぜメキシコ料理はこんなに派手なのに、大味にならないのか」という問いへの答えがありました。

今回は、そんな奥深さに触れられる食体験をセレクト。気軽につまめる一皿から、じっくり楽しめるコースまで、おすすめのお店をご紹介します。

目次

気軽においしく!市場のすすめ

どこでもそうかもしれませんが、観光客向けのお店よりも、地元の方々でにぎわうお店のほうがおいしいと思います。メキシコでは、まず「メルカド(市場)」を訪れるのがおすすめ。

メルカドの様子
<メルカドの様子>

メルカドはいつもローカルな雰囲気に満ちています。地元で採れた野菜から、食器などの日用品、衣服を扱うお店まで、ぎゅうぎゅうにひしめき合っています。

メルカドの中にはフードコートがあり、お店の雰囲気や看板に掲げられたメニューを見ながら「何を食べようかな?」と考える時間はとても楽しいものです。選ぶポイントは、お客さんが多いお店に入ること。いつも新鮮な食材が並び、味も衛生面も信頼できます。

【メキシコシティ】絶品、海鮮タコス

この日訪れたのは海鮮系のお店。ここでいただいたタコスは忘れられない味でした。

魚介類と野菜がたっぷり入ったタコス
<魚介類と野菜がたっぷり入ったタコス>

エビやカマボコに、旨みの詰まったオイルがからんでとってもおいしい。塩気も辛さも強いですが、さらにサルサ(ソース)をかけていただくのがメキシコ流です。

テーブルには必ずサルサが置いてあります
<テーブルには必ずサルサが置いてあります>

Mercado Martínez de la Torre

  • 住所:Eje 1 Nte. s/n, Guerrero, Cuauhtémoc, 06600 Ciudad de México, CDMX
  • 電話:+52 55 4335 8176
  • 営業時間:8:00〜18:00(祝日は変更の可能性あり)

メキシコ料理のヒミツはサルサにあり

メキシコの人々は「タコスはサルサを複数かけて完成する」と言います。日本人の私からすると正直、サルサをかけなくても十分おいしいです。でも味を重ねることこそが、メキシコ料理のおいしさの核なのではないでしょうか。

店内にサルサコーナーが設置されているお店も
<店内にサルサコーナーが設置されているお店も>

メキシコ料理と日本食の大きな違いは、味の濃淡かと思います。日本では優しい味に香りの強い薬味でアクセントをつけたり、メインが濃ければご飯でバランスを取ったりする。

一方メキシコ料理はすべてが濃厚で、フルスロットル。添えてあるご飯にも味がついています。それなのに、なぜか食べ疲れない。大味じゃない。私はそれを不思議に思いながら、メキシコを旅していました。

見た目にも派手なメキシコ料理
<見た目にも派手なメキシコ料理>

あるときタコスを食べていたら、口に残る何かが...。それはローリエでした。そこで、香りが味の奥行きを作っていたのだと気づきました。

メキシコ料理には、いくつものチリが使われています。チリといっても種類はさまざまで、辛くないものや、香りづけのみに使われるものもあります。

スーパーで大量に売られているチリ
<スーパーで大量に売られているチリ>

日本では辛さを加えるとき、一種類で済ませるのが一般的です。煮物には鷹の爪。お刺身にはわさび。でもメキシコ料理は違います。

辛味に辛味を重ね、さらに香りもプラスしていく。酸っぱさも重要で、甘酸っぱいタマリンド、爽やかなライムなど、複数の酸味を重ねます。複雑だけど、明るくて、楽しい。料理が"陽気"だなんて思ったのは、初めてかもしれません。

【メキシコシティ】世界が注目する新解釈レストラン

レストラン「Pujol」
<レストラン「Pujol」>

メキシコ料理を深く味わいたい方におすすめしたいのが、メキシコシティの「Pujol(プジョル)」。世界のベストレストラン50に選ばれ、Netflixの料理番組でも取り上げられた有名店です。

コース内容
<コース内容>

いわゆる高級レストランですが、ストリートフードや家庭料理を取り入れたコース構成。伝統の再解釈という姿勢を感じました。

モレ(コースの一部)
<モレ(コースの一部)>

たとえばモレは、数十種類の食材を煮詰めたソース。家庭ごとに味が異なるそうです。ここでは見た目にもうつくしく、味もとらえどころのない複雑なモレをいただきました。

使った食材は100種類以上だというから驚き。素朴な家庭料理をここまで洗練させられるのかと、衝撃とともに貴重な食体験をしていると感じました。

魚のトスターダ(コースの一部)
<魚のトスターダ(コースの一部)>

海鮮を使った一皿も多く、日本人の口にもなじむ味が多めです。席は埋まりやすいので、早めの予約をおすすめします。

Pujol

  • 住所:Tennyson 133, Polanco, Polanco IV Secc, Miguel Hidalgo, 11570 Ciudad de México, CDMX, メキシコ
  • 電話:+52 55 5545 4111
  • 営業時間:13:00〜21:30(日曜定休)
  • 公式サイト:Pujol (サイトから予約可能)

メキシコ人も魅了されるオアハカ料理

次にご紹介したいのは、オアハカ。先住民族の割合が最も多い州で、古い食文化が今も色濃く残っています。旅先で出会ったメキシコ人は皆「オアハカの料理がいちばんおいしい!」と口を揃えていました。

古くからあるオアハカの調理場
<古くからあるオアハカの調理場>

実際、何を食べてもとってもおいしかったです。そして驚いたのは、料理の個性。タコスの屋台をほとんど見かけず、味つけも穏やか。

辛さや酸っぱさが控えめで、優しい味が多かった印象です。オアハカの料理には、他の地域とはまったく異なるムードがありました。強くはない。だけど、深い。お腹だけでなく、心までじんわりと温まるような料理ばかりでした。

【オアハカ】オーガニックマーケットでのんびり食事

マーケットの入り口
<マーケットの入り口>

気軽に立ち寄れるのが、オアハカ市内にあるオーガニックマーケット。小さなお店が並び、フードコート形式で楽しめます。

マーケットの様子
<マーケットの様子>

オアハカ名物
<オアハカ名物"メメラス">

いただいたのは、豆とオアハカチーズをのせたメメラス。オアハカチーズはメキシコのどこのスーパーでも見かけますが、現地の味は格別。

フレッシュさが違います。オアハカでは「ケシージョ」と呼ばれ、さけるチーズのように細く裂いて食べます。スーパーで買ったものとはまったく違うおいしさだったので、ぜひ現地で味わってほしいです。

オアハカチーズ
<オアハカチーズ>

マーケットには一品の量が少なめのものもあるので、いろんなものを少しずつ味わえます。広いテーブルもあるので、のんびり過ごすのに最適です。

オルガニコ・ラ・コセチャ市場

  • 住所:C. Macedonio Alcalá 806, RUTA INDEPENDENCIA, Centro, 68000 Oaxaca de Juárez, Oax., メキシコ
  • 営業時間:9:00〜17:00
  • 定休日:月・火曜

【オアハカ】伝統を受け継ぐレストラン

オアハカ料理を、少し特別な形で味わいたい人におすすめなのが「Criollo(クリオージョ)」。

店内・テラスの様子
<店内・テラスの様子>

高級感のある店内ですが、どこか素朴な雰囲気も残っています。テラス席の足元にはニワトリが歩き、キッチンでは炭火がパチパチと音を立てていました。

調理はオアハカ伝統の野外スタイル
<調理はオアハカ伝統の野外スタイル>

ひよこに癒されます
<ひよこに癒されます>

お皿は素焼きの器。欠けていたり、底が焦げていたり。料理もスタイリッシュな見た目とは裏腹に、ほっと落ち着く優しい味ばかり。口に入れた瞬間、どこかの家の食卓に招かれたような感覚になりました。

家庭料理の定番
<家庭料理の定番"タマレス"(コースの一部)>

トルティーヤを素揚げした
<トルティーヤを素揚げした"トスターダ"(コースの一部)>

コースを終える頃、私はようやく気づきました。このあたたかさは、家族から家族へと受け継がれてきた食文化の温度なのだと。伝統は、守らなければ簡単に失われてしまいます。

オアハカでは、しっかりと家庭の歴史が受け継がれていました。Criolloの料理は、その温度を失うことなく、現代の形へと昇華されていたのです。

コースの一皿ごとに、歴史のページをめくるような感覚。オアハカのママたちに、心から「ごちそうさまでした」と言いたくなるひとときでした。

Criollo

  • 住所:Francisco I. Madero 129, Santa María del Marquesado, Centro, 68000 Oaxaca de Juárez, Oax., メキシコ
  • 電話:+52 95 1320 0709
  • 営業時間:7:00〜21:00
  • 公式サイト:Criollo  https://criollo.mx/(サイトから予約可能)

さいごに

日本でも食の産地がそれぞれあるように、メキシコにも土地ごとの特色があります。メキシコの食を楽しむなら、ぜひさまざまな場所を訪れてみてください。次回はスイーツや伝統菓子にフォーカスして、メキシコの食を探求します。

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