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人の心に触れる優しい「みどり市」で生きる力を感じるモニターツアーを体験!【群馬県】

みどり市は、群馬県の東部に位置し、わたらせ渓谷鐡道が走り、富弘美術館や蔵の町「大間々」など歴史、文化が感じられる町です。
また豊かな自然も魅力で四季折々の美しい景色を楽しめます。
今回、みどり市の観光的魅力とユニバーサル度を検証するモニターツアーが企画されましたので参加してきました。
この記事では、その様子をご紹介します。
自然にこころ癒され、ゆったりした時を過ごせる、人に優しいみどり市の魅力を感じていただけることでしょう。
目次
- モニターツアーの主旨
- モニターツアースケジュール
- ガイドさんと巡る蔵の町「大間々」を歩いて散策
- 蔵を改装した宿「銅(あかがね)の夢」に泊まる
- わたらせ渓谷鐡道に体験乗車(大間々駅→神戸駅)
- 富弘美術館鑑賞
- 「里山本陣」で群馬特産メニュー「おっきりこみうどん」を堪能
- 最後に:ツアーに参加した感想
モニターツアーの主旨
このモニターツアーは大きく下記の2つを目的として企画運営されました。
(1)手足の自由を失い、口で詩と絵を創作する詩画家 星野富弘さんの生きる力、地域に根づく文化、歴史を知り、そして今を生きるみどり市の人々に触れ、活力を得る体験を得る。
(2)障がい者も健常者も垣根なく楽しめる世の中を目指し、みどり市のユニバーサルツーリズム度(街歩き、鉄道、トイレ等)を検証する。
⇒本記事は(1)のテーマをメインにご紹介しています。
↓(2)のユニバーサルツーリズム検証は別の記事で詳しくご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
モニターツアースケジュール
このモニターツアーは2025年9月8日~9日の2日間にわたって実施されました。
1日目
13:30 わたらせ渓谷鐡道 大間々(おおまま)駅集合
13:35~16:30 大間々の町歩き散策
- ながめ余興場
- 神明宮
- 醤油蔵「岡直三郎商店」見学(国登録有形文化財)
- Haji-Maru カフェ(暮らしを彩る複合施設)見学
宿泊は、蔵宿 「銅(あかがね)の夢」
2日目
08:04 わたらせ渓谷鐡道 乗車体験 大間々(おおまま)駅~神戸(ごうど)駅(約30分)
09:00 富弘美術館 (学芸員による特別説明と鑑賞 約70分)
11:00 星野富弘さんが散歩し、作品を描いた道を散策
13:00 水沼ビレッジ駅にて群馬郷土料理「おっきりこみうどん」をご賞味
14:20 大間々駅で解散
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それでは、行程に沿ってツアーの様子をご案内しましょう。
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<わたらせ渓谷鐡道 大間々駅>
ガイドさんと巡る蔵の町「大間々」散策
今回ご案内していただいたガイドさんがこちらです。
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おお~っ!一度見ると忘れられない風貌の方(笑)
- 群馬住みます芸人
- ぐんま特使
- みどり市観光大使
- レクリエーション介護士
- (株)いろといろ専務取締役
など多くの肩書を持つみどり市在住の富所哲平(とみどころてっぺい)さんです。(この他にも多くの肩書をお持ちのマルチな方です)
お話が面白く知識豊富で細部まで気が行き届き、とても充実したモニターツアーを体験することができました。
みどり市大間々(おおまま)について
大間々は江戸時代以降、生糸や絹織物の集散地として栄え、足尾銅山の開発とともに銅山街道の宿場町として多くの人々が往来する「商いの町」として発展しました。
今もその往時の名残りが町のあちこちに残っています。
ちなみに大間々の間々(まま)とは「傾斜地、崖線、地形の崩れを指す日本の古語に由来するそうです。
さて、大間々駅から出発した町歩きはすべて徒歩圏内にあります。
大間々の町の魅力をひとことで言うと「徒歩圏内で自然、渓谷、歴史、文化を楽しめるところ」と言えます。
先ず最初に訪れたのはながめ余興場です。
ながめ余興場
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<ながめ余興場>
大正14年、渡良瀬川の渓谷が美しいこの地に割烹旅館「ながめ」が開業しました。(ながめの名の由来は「眺めの良さ」から)
客寄せとして昭和4年に小屋(余興場の前身)をたて芝居などを見せていました。
その後整備された「ながめ遊園地」は行楽地として関東一円から客が訪れる観光拠点として賑わったそうです。
余興場は昭和12年に建てられ、芝居、浪曲、映画、歌謡ショーなどが行われました。
内部は、回り舞台や花道、桟敷席を持つ本格的な劇場として、次世代に残すべき「生きた文化財」として重要な役割を担っています。
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現在も現役で各種催事が演じられています。
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<2階の客席後ろの窓からの景色>
眺めが良いということがよくわかります。
※今回のツアーでは2階まで巡りませんでした。
ながめ余興場
- 収容人数:650人 みどり市指定重要文化財。
- 群馬県みどり市大間々町大間々1635番地
- 電話:0277-72-1968
神明宮(しんめいぐう)
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大間々神明宮は、1347年に渡良瀬川の右岸に建立され、1597年に現在の位置に移設され、400年以上続く大間々町の総鎮守です。境内の裏には渡良瀬川が流れ、林道を5分ほど歩くとはねたき橋へ行くことができるため、高津戸峡散策はここからがおすすめです。
ツアーはここから銅山街道沿いの町の中心に入っていきます。
醤油蔵「岡直三郎商店」
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天明7年(1787年)近江商人初代岡忠兵衛が「河内屋」の屋号を掲げ、醤油醸造業を営んだのが始まりです。
木桶仕込み、天然醸造醤油を味わってもらいたいという思いで職人が丹精込めて醤油を作り続けています。
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<醤油蔵内部(2階)>
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<売店>
岡直三郎商店ならではの名物がこちら!
醤油ソフトです。
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醤油が効いていて甘じょっぱい。使われている醤油は二段熟成のものでまろやかに深い甘みが伝わります。
生まれて初めて食べた美味しさでした。
三方よし
近江商人といえば「三方よし」の精神が有名です。
「三方よし」とは「売り手よし、買い手よし、世間よし」という商いのあり方で、売り手と買い手の満足はもちろん、商売が社会全体に貢献し、経済を活性化させることが重要だという考え方です。
江戸時代、大間々で大火があり、町に火が迫ってきました。
当時の主人は町を救うために、蔵の財産である醤油を惜しまず、火消しに使ったという逸話が残っています。
また敷地内に井戸を掘り、自分の家だけでなく、町の人たちも自由に使えるようにしたなど「三方よし」の精神は今も受け継がれています。
これに関連したお話として、大間々の町には今も常夜灯がいくつか残っています。
常夜灯
大間々は銅を運ぶ銅山街道の宿場町として栄えました。
街道を明るく照らし、旅人を迎える常夜灯が今も佇んでいます。
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<今も旧街道沿いに残る常夜灯>
常夜灯は、その家の勢力を誇示するため各家が競って立派な常夜灯を建てていることが多いそうですが、大間々では同じ大きさの常夜灯が並んでいます。これも自分のことだけを考えず、いかに町の人たちの仲がよかったかを表す逸話です。
Haji-Maru (暮らしを彩る複合施設)見学
まちづくり・暮らしづくりに取り組んでいる「株式会社いろといろ」が、築100年の空き家をリノベーションして「暮らしの複合施設 Haji-Maru(ハジマル)」を運営しています。この場所を交流の拠点にして地域の文化発信活動をされています。
「Haji-Maru」は2階建てで、日替わりの小規模ショップやコワーキングスペース、シェアハウスなどで活用されています。
代表の片山さんは「いろいろな人が出会う場所。地域の皆で『彩(いろ)とりどりの暮らし』を送れるようにすることが目的」と話し、地域の人たちが交流しつつ、やりたい事を表現できる場にしていきたいと仰っていました。
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<Haji-Maru(ハジマル)の内部>
今回のモニターツアーの時も熱いトークセッションが為されていました。
まさに"場"の持つ力を感じました。
蔵を改装した宿「銅(あかがね)の夢」に泊まる
「銅の夢」は明治~大正時代に造られた土蔵を改装して生まれた2階建て一棟貸しの宿です。(3部屋最大7名まで宿泊可)
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内部は機能的にリノベーションされており、快適な夜を過ごすことができました。
その他、敷地内には本格珈琲を供する「Cafe蔵八」、陶磁器ギャラリーなどがあり、泊まるだけでなく、心地よい時間を過ごすことができました。
夕食の提供はしていない為、外で食べることになりますが、朝食は提供されます。翌日が早い出発だった為、通常の朝食をいただくことはできませんでしたが「おにぎりくらいの簡単なものしか出せないですけれど。。。」とご準備いただいたのがこちら。
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おおっ、すごい!しっかりしたお弁当を朝早くから作っていただきました。
優しく温かい味つけで、一日の始まりが楽しくなるようなおもてなしを受け取りました。
蔵人新宇(kurart ARAU)
- 群馬県みどり市大間々町大間々1050
- 電話:0277-73-5656
- 公式サイト
わたらせ渓谷鐡道に体験乗車(大間々駅→神戸駅)
わたらせ渓谷鐡道は「わ鐵(わてつ)」の愛称で愛される人気のローカル鐡道。
旧足尾線を引き継ぎ、桐生駅から栃木県日光市の間藤駅までの全長44.1kmを、約1時間半かけてのんびり走ります。
車窓から広がる四季折々の景色を楽しんだり、乗り降り自由の一日フリーきっぷでレトロな雰囲気の駅を散策するのも楽しみのひとつ。週末は観光客に人気の窓ガラスの無い「トロッコ列車」の運行もしています。
もちろん観光だけでなく地元の人たちの日常の足として活躍しています。
ツアー中も多くの通学生たちと出会いました。
わたらせ渓谷鐡道の魅力をひとことで言い表すとすると「自然と歴史を五感で楽しみ、ノスタルジックな旅を味わえる」ことでしょう。
懐かしい。。。まるで映画のワンシーンのような駅舎でした。
今回のモニターツアーでは、大間々駅から神戸駅までの約30分間を体験乗車しました。
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<大間々駅ホーム>
懐かしい。。。そのひとことです。
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乗車する列車が入線しました。1両編成です。(時間帯によって2両の場合もあり)
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<わ鐡の車両内部>
内部は座り心地のよい機能的なシートでした。
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単線でディーゼル駆動。これも鉄道好きにはたまりません。
思ったよりもスピードが出ていて渓谷沿いの移りゆく景色を楽しめました。
富弘美術館 特別鑑賞
わ鐡を神戸(ごうど)駅で下車し、車で富弘美術館に向かいました。
草木湖畔にたたずむ富弘美術館は、みどり市東町出身の詩画作家 星野富弘さんの作品を展示しています。
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不慮の事故で頸髄を損傷し、24歳で手足の自由を失った富弘さんの作品は、素朴で美しい詩と透明感ある水彩画が調和し、観る人の心を揺さぶります。
道の駅にも登録されている美術館の建物は、上から見るとシャボン玉をイメージした特徴的なデザインです。
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<富弘美術館内部>
本来は館内撮影禁止ですが、今回のモニターツアーに際し、特別に許可をいただきました。
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学芸員の相崎さんの熱い解説が心に響きました。
相崎さんはこのように言われました。
「ここで作品に触れると、私たちは自分の気持ちを富弘さんに重ね合わせているような気持ちになります。」
「富弘さんの作品の良さは説教くさくないところです。」
「来る度に感じ方が違ったり、新しい発見があると言う方もいらっしゃいます。見る人のその時の心のありようで魅かれる作品が変わるのでしょう。」
「富弘さんの作品を通して、結果自分と対話しているような気持ちになるのです。」
解説と自由鑑賞で70分の時間を取りましたが、足りませんでした。半日くらい居たいと思いました。
また改めてじっくり鑑賞に来ます。
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富弘美術館は草木湖沿いに建っています。
ここに座って湖を眺めるだけでも心洗われるようでした。
※富弘美術館は2025年12月から改修工事が入ります。
富弘美術館は旧東村にあります。ここは富弘さんが子供のころ、野山を走り回っていた地域だそうです。
鑑賞後、富弘さんが車椅子で散歩していたルートを実際に歩いてみました。
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「この道を富弘さんは散歩したのか~」と思うと感慨深いものがありました。
散歩ルートは多岐にわたるそうですが、けっこうな坂道もあって、富弘さんが精力的に活動されていたことがわかりました。
富弘さんがスケッチし「カントリーロード」という作品になった場所から撮った風景がこちらです。
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こちらの風景を見て描かれた絵が前橋市にある群馬県総合福祉センターホールの緞帳になっています。
以下からご覧ください。(前橋まるごとサイトより)
富弘さんの作品の最高峰と言われているそうです。
https://share.google/images/u10u8ZvOi8cMVT15u
優しく暖かい作品です。
富弘美術館
- 群馬県みどり市東町草木86
- 0277-95-6333
- 公式サイト
富弘美術館そばのドライブインで名物を味わう
富弘美術館からすぐの場所に草木ドライブインはあります。
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<草木湖ドライブイン>
ここがまた典型的な"ザ・昭和"のドライブインで、私たちの年代には涙モノの空間でした。
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初めてなのにどこか懐かしい、昔ながらのドライブインです。最近多いトレンドを追ったおしゃれなお土産は売ってません笑。
しかし静かで心落ちつく店内でした。
そしてこちらのドライブインの名物といえば・・・
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よもぎまんじゅうです。
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私は正直よもぎが得意ではありません。あのツンとくる苦味。
でもせっかく名物とのことでしたので買って食べてみました。
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6個入りで660円(税込み)。とっても良心的価格です。1個110円で個別販売もしていました。
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さて味はどうだったかというと・・・とっても美味しかったのです。
特に"皮"が美味しい。
しっとりもちもちで看板の宣伝文句に偽りなし!
よもぎの味もしましたが、苦手な私でも大丈夫。
聞くところによると、このドライブイン内で製造しているのだとか。
保存料などを使っていないので日持ちはしないそうです。(9日に買って賞味期限は12日)そこも美味しさの秘訣かもしれません。
草木ドライブインに拠ったら、よもぎまんじゅう、買いです。(富弘美術館の学芸員 相埼さんもお好きだそうです)
「里山本陣」で群馬特産メニュー「おっきりこみうどん」を堪能
行程2日目のランチは、わ鐡「水沼駅」併設の温泉施設内にある里山本陣でいただきました。
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いただいたメニューはこちら。
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<おっきりこみうどんと牛しぐれ煮御飯(1680円)>
ボリュームたっぷりで群馬名物を堪能しました。美味しかったです。
群馬料理はボリュームが多い印象があります。
訪れる人をお腹いっぱいの料理でもてなす、その県民性を感じました。
最後に:ツアーに参加した感想
あっという間の2日間でした。
街歩きにちょうどよいサイズでコンパクトにまとまった大間々の町。
「三方よし」の精神が息づく静かで優しい町を自分のペースで味わえました。
蔵に泊まる初めての体験。
自然豊かな渡良瀬川沿いをゴトゴト走る「わ鐡」は昭和の懐かしさを存分に残してくれていました。
「これは一度だけでなく何度でも来たいな」と思わせる富弘さんの作品に心洗われました。
今度来る時も草木ドライブインのよもぎまんじゅうは必ず買います。
全国的知名度はそれほどでもないかもしれない群馬県みどり市。東京から約2時間と意外に近いのも魅力です。
人の優しさと癒しを味わいに、あなたも一度訪れてみませんか?
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今回のモニターツアーをユニバーサルツーリズムの観点からもうひとつの記事でご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
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シンジーノ
- ローマと北京に駐在歴あり。海外渡航歴は36か国。日本は47都道府県踏破。「お客さんが”笑顔”で買いに来る商品」を扱う仕事がしたいと旅行会社に入って三十余年。今はその経験を基により多くの人に「旅の魅力」を伝えるべく“たびこふれ”にいます。モットーは「その土地の温度が伝わるような血の通った記事を書く。」旅はカタチには残りませんが生涯忘れられぬ宝物を心に残してくれます。たびこふれを通じて、人生を豊かに生きる力を秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきます。




























