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オーストラリアの屋外アートトレイル~意外と奥深いスクラップアート~

オーストラリアの穀倉地帯で、どこまでも続く農地の景色にうんざりした経験はありませんか?しかし、そんな環境だからこそささやかな"アート"が旅の大事な思い出になることも。
田舎のアートは、都会のストリートアートとは別物です。多くの人の目には止まらないであろう、オーストラリアらしいスクラップアートに出会える場所を紹介します。
目次
アートトレイルとは
アートトレイルとは地域全体にアート作品を点在させてあり、移動しながら鑑賞をたのしめる屋外エキシビションのようなものです。
オーストラリアを代表するアートトレイルとしては、以前紹介した『サイロアート』があります。
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これはサイロという巨大キャンバスに絵が描かれているものですが、町おこしとして自治体がお金を出しているプロによるアート作品です。
詳しくは記事に書いています。>>オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
それに比べ今回紹介するアートトレイルは、地元の人による個人作品になります。そのため規模は小さく、ほとんどがファームにある廃材使用で、いわゆるスクラップアートです。
芸術的で凝ったものから、ちょっと笑ってしまうようなものまであり、町単位や道沿いに置かれてアートトレイルとなっている感じです。では、私がこれまで見たアートトレイルを紹介していきましょう。
Farm Gate Art Trail
こちらは州都パースから南東に500kmほど離れたRavensthorpe地区にあるファームゲート・アートトレイルです。
主にラベンスソープ(Ravensthorpe)とホープトン(Hopetoun)という町を中心にアートが32個点在していますが、その展示距離を合計すると250kmもあるそうです。
地元のアートコミュニティーが企画したこのアートトレイルは、2013年から2020年までの間に何度かワークショップが開かれて実現となりました。
参加者は地元ファーマーや重機の操縦士、大工など、大人から子どもまでとさまざまで、その作品は大きなものから小さなものまであり、とにかく個性豊かです。
私は20個ほどの作品を見ましたが、題材としてはこのエリアで最も有名であるワイルドフラワーや植物系が多かったように思います。
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向かって右の赤い花はバンクシア、左はロイヤルハケアというワイルドフラワーです。
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<バンクアのコクシニアという種類>
近づいて見てみるとどちらの花にも何か重機のパーツのようなものが使われているのが分かります。実際の植物と見比べても、引けを取らない出来栄えです。
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この地域でしか自生していないことで有名なクアラップベルというワイルドフラワーの作品もありました。こちらも本物そっくりです。
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他にもバンクシアの作品がありました。こちらは、路面清掃車のブラシを使っているようです。
また、西オーストラリア州を代表するグラスツリーという木の作品も2つ見ましたが、とても対照的な作品で面白かったです。
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<この木は年に1~5cmしか伸びない>
右が本物になりますが、真ん中は完全に廃材を使った作品、左はモダンアート調ですね。こんな感じで実物が存在する植物の作品は多くありますが、ちょっとユーモアのある作品も発見!それがこちら。
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作品名は『T tree』です。Tが生える木なのです。ちなみに、ティーツリーオイルが抽出できることで知られているTea tree(ティーツリー)はオーストラリア原産の木です。それにかけているのか、なかなかシャレがきいていて、私のお気に入りの作品のひとつです。
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他にも庭全体をアート作品にした家や、トラックをデコレーションしたもの、サイロを再利用した巨大ジョウロなどもありました。
これだけ大掛かりな作品が多いなか、小さいのにインパクトがあったのがこちら。
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シャベルを組み合わせて作った作品のようですが、これも私のお気に入りです。こんな感じの作品があちこちに点在しているのですが、さらに詳しい情報や各作品の場所はこちらのサイトから確認できます。
- 公式サイト:Farm Gate Art Trail
作品はファーム内にあって外から眺めたり、一般家庭の庭にあったり、地図に記された場所になかったり、記されていないものがあったり、目立つものから大人しいものとさまざまです。
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<ファーム内の作品には正確な位置情報なし>
そのため運転しながら探すのはかなり危険なので、一人で行くことはおすすめしません。
The Horsepower Highway
こちらはパースから南東に300kmほど離れたGnowangerup地区にある、トラクターを使ったアートトレイルです。
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ブルームヒルビレッジ(Broomehill Village)からノーワンゲラップ(Gnowangerup)を通って、スターリングレンジ国立公園までの約75kmに個性豊かなトラクターが27台展示されています。
このエリアというのは歴史的に穀物農業で栄えた地区で、その町と町を繋ぐ道を通称としてハイウェイと呼んでいるだけで、正式なハイウェイではありません。しかし、田舎道なのでほとんどは最高速度の110km/hで走れますが。
ホースパワー(Horsepower)の由来は馬を使って農業をしていた時代、そして重機を使うようになってからもその『馬力』で開拓してきたということだそうです。
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上の写真のトラクターは後輪が砂に嵌って動けなくなっています。看板には『嵌ったの?人に助けを求めることは恥ずかしいことじゃないよ。』と書かれていますが、このようにそれぞれのトラクターにメッセ―ジやストーリー、名前があります。
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<名前はディーセル、朝から晩まで働いて疲れている様子>
このようにモダンにデザインしなおしているものもあれば、レトロなままで残されたものもあります。各トラクターの詳細や詳しい地図は、こちらのサイトから確認できます。
- 公式サイト:The Horsepower Highway
Tin Horse Highway
パースから東に280kmにあるKulin(クーリン)という町にあるアートトレイルです。この町では毎年春に競馬をメインにした3日間のフェスティバル『Kulin Bush Races』が開催されることで有名です。
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競馬にちなんで、ドラム缶や金属廃材(Tin)で作られた馬が約15kmの道のりに並んでいます。私も行ったことはあるのですが、農道沿いにランダムに展示されており、急いでいることもあり車を止めて見ていないので写真がありません。
こちらのサイトで詳しく見てみると、笑ってしまうような面白いものが多いのでまたいつか行ってみたいと思います。
実はたくさんあるスクラップアート
ここまでのようにそれなりに有名なアートトレイルもありますが、実は田舎に行くと結構な確率で金属のスクラップアートがあります。
興味深いものがあれば写真を撮りますが、あとから検索すると実はアートトレイルの一部だったということもよくあります。
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<塩湖で泳ぐ人、Kondininにて>
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<スクラップを溶接してできたベンチ、Williamsにて>
田舎でファーマーとして暮らしている者として言えるのは、トラクターなどの重機を所有していると、とにかく倉庫に古いパーツやスクラップが多いんですよ。
金属だと燃やせないし、捨てるのももったいないし、いつか使うかもといつまでも保管しているものの存在を忘れて次々にものが増えていくのです。しかしそれを創作で使えたら、作品を誰かに見てもらえたら、楽しんでもらえたらうれしいですよね。
我が家でもいつかスクラップアートをしたいと思っていますが、日々の生活が忙しくてそこまで手が回っていないのが現状です。でも、もし町全体でアートトレイルをしたいから協力してくれと言われたら、すぐに取り組むと思います。
まとめ
前半には有名どころのアートトレイルを紹介しましたが、名もなきスクラップアートもたくさん存在します。
素人作品だからこそ味のある仕上がりで、それぞれの作品のストーリーを想像しながら鑑賞すると楽しいですよ。ただし運転にはくれぐれも注意して、できれば2人以上で行ってくださいね!
The Big Farm Gate Art Teapot
- 所在地:65CR+V4, Hopetoun WA 6348 オーストラリア
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ナイーブME
- 西オーストラリア州南部のド田舎でヤギとアルパカの世話をしながら建築業を営む兼業農家。都会のオシャレな情報よりも、僻地のクセある情報に強いです!




























