熊野古道 3時間以内で楽しめる!初心者におすすめ絶景&映えルート3選【三重県】

「伊勢に七度、熊野に三度」、多くの人々が信仰を抱きながら歩いた熊野古道。苔むした石畳を踏みしめ、木漏れ日が射す山道を抜けると、タイムスリップしたかのように、古より続く海と里の景色が広がります。

今回ご紹介するのは、熊野古道の中でも3時間以内で歩ける"絶景&映えルート"3選。初めて熊野古道を歩きたいけれど、どこを選べばいいか迷っている方、絶景の撮影スポットが知りたい方、旅行の合間に熊野古道を楽しみたい方にぴったりのコースです。

見どころポイントや所要時間、駐車場情報などを、筆者が実際に歩いてご紹介。少し足を伸ばせば出会える、さらなる絶景スポットも合わせてお届けします!

目次

熊野古道・伊勢路とは

2004年に世界遺産に登録された熊野古道は、熊野三山へと続く参詣道の総称で、伊勢路・中辺路・小辺路・大辺路・紀伊路の5つのルートがあります。

その中でも伊勢路は、伊勢神宮から熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)へ続く約170kmの道。苔むした石畳や昔ながらの集落、大自然の景観など、歴史と自然の魅力がぎゅっと詰まった人気ルートです。

歩き進めるごとに景色が変わり、海や山、川、里を望む絶景に出会えるのも、この道ならではの楽しみです。

おすすめルート1. 馬越峠道(まごせとうげみち)

「馬越峠道」は、熊野古道伊勢路の中でも屈指の人気ルート。三重県紀北町と尾鷲市にまたがり、標高約325m、全長約5kmの比較的歩きやすい古道として知られています。特に、初めて熊野古道を歩く人におすすめですが、寄り道トレッキングをする場合は、リピーターや登山愛好家も楽しめるルートです。

馬越峠道は、緩やかな坂道に苔むした美しい石畳と林道が織りなす、静かで落ち着いた雰囲気が魅力です。この石畳は地元の自然石を巧みに組み合わせたもの。雨の多い尾鷲市の気候に耐えるための知恵と工夫が詰まっています。

馬越峠道の見どころ 1-1 一枚岩の橋

熊野古道・伊勢路 馬越峠道の一枚岩の橋と石畳
<熊野古道・伊勢路 馬越峠道の一枚岩の橋と石畳>

美しい石畳は約2km続きます。この大きく重厚な一枚岩の橋は、水音と苔むした石畳が調和する"映えポイント"です。

馬越峠道の見どころ 1-2 旅人を見守り続ける夜泣き地蔵

旅人の無事を祈る小さな祠は、夜泣き封じの伝承もある
<旅人の無事を祈る小さな祠は、夜泣き封じの伝承もある>

夜泣き地蔵は、旅の安全と子どもの夜泣き封じにご利益があると言われるお地蔵様です。実際に訪れたときには、乳瓶が供えられていて、今も多くの人に信仰されていることを感じました。安心して旅を続けられるように、ぜひ手を合わせてみてください。

次は、馬越峠にある十字路から行ける、さらなる絶景ポイントです。馬越峠道とあわせて行く、人気のトレッキングコースを2つご紹介します。

馬越峠 寄り道"映えスポット"1-3 天狗倉山(てんぐらさん)

巨岩の上が天狗倉山山頂
<巨岩の上が天狗倉山山頂>

馬越峠から30分ほど寄り道するとたどり着けるのが、絶景スポットとして人気の天狗倉山です。山頂には巨大な岩があり、その巨岩の上が標高522mの天狗倉山。

尾鷲湾が一望できる天狗倉山山頂
<尾鷲湾が一望できる天狗倉山山頂>

巨岩に登ると尾鷲湾や町並みを一望できます。鉄のハシゴを登ってたどり着くその眺めは、一度は体験したい熊野古道の寄り道で絶景です。

馬越峠 寄り道"映えスポット" 1-4 便石山(びんしやま)の"象の背"

便石山の象の背に立つ、"映えスポット"
<便石山の象の背に立つ、"映えスポット"!>

馬越峠から約1時間30分ほど登ると到達できるのが、絶景の"映えスポット"として知られる、標高599mの便石山です。登山道は木の根や階段が多く、散歩というよりも、しっかりとした登山です。

ただし、登り切った先には疲れが吹き飛ぶほどの絶景というご褒美が待っています。時間に余裕がある方にはぜひ行って欲しいおすすめのスポットです。

便石山山頂付近にある"象の背"の先端からは、圧倒されるほどの絶景が見られます
<便石山山頂付近にある"象の背"の先端からは、圧倒されるほどの絶景が見られます!>

山頂付近にある巨岩「象の背」は、まるで空に浮かぶ象の背中に立っているような感覚を味わえる場所。スリル満点ながら、その眺望は格別です。

断崖絶壁の象の背からは、真正面にそびえる天狗倉山、透明度の高い綺麗な銚子川、雄大な太平洋までを一望。ここでしか体験できない達成感と絶景が広がります。

※軽装ではなく、登山ができる服装や靴でおでかけください。

馬越峠道

  • 所要時間:約3時間 (天狗倉山・便石山は別)
  • 馬越峠 北側駐車場 住所:三重県北牟婁郡紀北町相賀鷲毛
  • 駐車場:国道42号沿い「馬越峠 登り口 北側駐車場」駐車がおすすめ(5台ほど駐車可能)。または、「道の駅海山(みやま)」に駐車し、徒歩約10分で「馬越峠 登り口」(馬越峠北側)へ。

道の駅 海山

  • 所在地:三重県北牟婁郡紀北町相賀1439-3

おすすめルート2. 松本峠道(まつもととうげみち)

三重県熊野市街近くにある「松本峠道」は、標高135mの峠道。約4kmで、苔むした石畳や熊野灘の大パノラマを楽しめます。石畳は江戸時代の技法で積まれ、新旧の違いを見比べるのも楽しいポイントです。

今回は、松本峠 登山口(大泊側)から登り始め、松本峠を通り、東屋から望む世界遺産・七里御浜を堪能。その後、鬼ヶ城跡、滝見の丘、鬼の見晴らし台、鬼の花見坂、世界遺産・鬼ヶ城を巡る盛りだくさんの周回コースを歩きました。

松本峠道の見どころ 2-1 美しい石畳の坂道

松本峠 登り口(大泊側)から登り始めてすぐに始まる美しい石畳
<松本峠 登り口(大泊側)から登り始めてすぐに始まる美しい石畳>

自然と一体となったような熊野古道・松本峠道の石畳。苔むした石畳は雰囲気があり、ついつい写真を撮りたくなります。

松本峠道の見どころ 2-2 松本峠のお地蔵様

松本峠のお地蔵様
<松本峠のお地蔵様>

松本峠にあるお地蔵様の足元には、妖怪と間違われて撃たれたと言われている跡が今も残っています。ぜひ、一番大きなお地蔵様の左足元に注目してみてください。

松本峠道の見どころ 2-3 東屋からの眺望

松本峠道の東屋からの眺望は、美しい七里御浜や熊野の山々の他、和歌山方面まで
<松本峠道の東屋からの眺望は、美しい七里御浜や熊野の山々の他、和歌山方面まで>

峠から鬼ヶ城方面へ10分ほど行くと東屋があり、雄大な海岸線と熊野灘が一望できます。熊野古道の一部である緩やかなカーブを描く美しい七里御浜、獅子岩などの世界遺産、天気が良ければ遠くは和歌山県太地まで見渡せます。

松本峠道の見どころ 2-4 世界遺産・鬼ヶ城

荒波によって削られた海食洞、世界遺産・鬼ヶ城
<荒波によって削られた海食洞、世界遺産・鬼ヶ城>

鬼ヶ城跡、滝見の丘、鬼の見晴らし台、鬼の花見坂などを通って鬼ヶ城へ。世界遺産の鬼ヶ城では、荒波によって削られた、迫力ある海食洞の自然美を見ることができます。入場料は無料なので、ぜひ立ち寄って自然の芸術を堪能してください。

松本峠

  • 所要時間:約2時間
  • 駐車場:世界遺産鬼ヶ城に駐車し、徒歩10分で国道42号沿いの「松本峠 登り口(大泊側)」へ。
  • 駐車場住所:三重県熊野市大泊町

おすすめルート3. 波田須の道(はだすのみち)

三重県熊野市・波田須町にある「波田須の道」は、約4kmの静かな古道です。ここには伊勢路最古とされる、鎌倉時代に築かれた大きな石畳が残り、重厚で歩きやすいのが特徴。他の熊野古道の石畳とは雰囲気が異なり、力強さを感じられます。

高台からは、古民家や石垣が残る波田須の集落を一望。まるで時が止まったかのような風景に出会えます。

里の細道を迷いながら歩いていると、地元の方が気さくに声をかけて道を案内してくれました。そんな温かい人との出会いも、この道ならではの魅力です。

波田須の道の見どころ 3-1 徐福の宮

赤い鳥居が目を引く、徐福の宮
<赤い鳥居が目を引く、徐福の宮>

徐福伝説が残る赤い鳥居が目印の「徐福の宮」。不老不死の薬を求めて、中国から徐福が上陸した地とされています。少し離れた場所から眺めると、その全貌をよく捉えることができます。

波田須の道の見どころ 波田 3-2 須集落の風景

波田須の集落
<波田須の集落>

波田須の道からは随所で新鹿湾や波田須の集落を見渡せる場所があります。昔話に迷い込んだような、穏やかな海と里山に抱かれた風景を眺めていると、不思議と心が落ち着いていきます。

「徐福茶屋」のテラス席で、絶景と美味しいコーヒーやオレンジジュースを堪能
<「徐福茶屋」のテラス席で、絶景と美味しいコーヒーやオレンジジュースを堪能>

波田須の道と国道311号が交差する場所にある、喫茶「徐福茶屋」からの眺めは最高。休憩がてら、美味しいコーヒーや濃厚なオレンジジュースを堪能してください。

波田須の見どころ 3-4 伊勢路最古、圧巻の石畳

伊勢路最古の重厚感ある石畳
<伊勢路最古の重厚感ある石畳>

距離は短いものの、伊勢路最古の鎌倉期の石畳がその存在感を発揮しています。一つひとつが大きく重厚で、他の熊野古道の石畳とは全く趣が異なるのが分かります。大きく歩きやすい伊勢路最古の石畳を、ぜひ歩いてみてください。

波田須の道

  • 所要時間:約1時間30分
  • 駐車場:波田須の道と国道311号が交差する場所にある駐車場がおすすめ。4台ほど駐車可能。
  • 駐車場住所:三重県熊野市新鹿町

熊野古道を歩くための注意事項

世界遺産・熊野古道

熊野古道は、すべての道が世界遺産だと思われている方も多いのではないでしょうか。実は、熊野古道の世界遺産は一部です。しかし、世界遺産でないどの部分も趣がありますので、ぜひ峠道を通して歩いてみてください。

服装・持ち物

石畳や山道など山道を歩くことが多い熊野古道。雨量が多い地域のため、晴れていても足元がぬかるんでいる場合がありました。

動きやすい服装と、歩きやすい靴(できればトレッキングシューズや登山靴)をおすすめします。また、距離にかかわらず、ストックや木の枝を杖代わりにすると歩きやすく古道歩きの雰囲気も味わえます。飲み物や雨具も忘れずに。

時間

記事中の所要時間はあくまで目安です。天候や休憩、歩くペースによって変動するため、余裕を持った計画を立てましょう。

「景色が本当に気持ち良く、休憩していると思った以上に時間が経っていた」ということが何度もありました。

その他

夏場はハチやアブに遭遇したことがあります。虫よけスプレーを使用・携帯し、さらに肌の露出を控えると安心です。

まとめ

松本峠道 世界遺産・鬼ヶ城の海食洞
<松本峠道 世界遺産・鬼ヶ城の海食洞>

世界遺産・熊野古道伊勢路には、短時間でも歴史・絶景・映えスポットを同時に楽しめるルートがいくつもあります。馬越峠道は苔むした石畳と寄り道絶景、松本峠道は海岸パノラマや世界遺産の数々、波田須の道は絶景の里山と伊勢路最古の石畳。

3時間以内で歩けるこれらの道は、初心者にもおすすめの熊野古道入門コース。時間と体力に余裕がある方は、ぜひ寄り道"絶景スポット"まで足を伸ばしてみてください。

次の旅行では、三重県の世界遺産、熊野古道・伊勢路で心に残る風景を散策してみませんか。

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きさらぎ

フラダンスのインストラクターでもある、世界中を旅したい”踊れるライター”です。
最近の興味はもっぱらインド。毎年インドに呼ばれています。旅先では、人とのふれあいや美味しいものを楽しみに、導かれるままに歩いています。「行ってみたい!」と思ってもらえるような魅力を、心を込めてお届けします!

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