たびこふれ特別企画「歌手UAインタビュー(後編)」旅と移住がつくりだす豊かな音楽世界

たびこふれの特別企画として今回、スペシャルインタビューを行いました。

なんとゲストは歌手のUAです!

移住して現在住んでいるというカナダでのとっても素敵な日常生活は、前編のこちらの記事から見られます。

>>たびこふれ特別企画「歌手UAインタビュー(前編)」旅と移住がつくりだす豊かな音楽世界

そしていよいよ後編は、噂の最新曲『Happy』から深掘るポップの魅力について、そして30周年のアニバーサリーライブ開催時の揺れ動く心境も伺いました。

なぜUAはこんなにも魅力的な存在なのか?その謎に迫ります!

目次

最新曲はヤバい塩梅?梅干しと味噌汁の退屈な日常にあるHappyの奥深さ

<カナダでの暮らし お庭で採れたフルーツや野菜(UA Instagramより)>
<カナダでの暮らし お庭で採れたフルーツや野菜(UA Instagramより)>

ー 『Happy』というのは最新作ですよね、確かにとても新しいUAを見た気がします。曲調がかなりポップで、言葉も相当際立っていますよね。

UA「Happy(幸せ)っていうのは何も特別なことではないってことを歌いたかった。それは地味で退屈なものの中にあるっていうかね、だけど人は刺激を求めてしまうから競争になったりするのだけど。その日常の退屈の中にあるHappyを、お味噌汁と梅干しという歌詞を使って歌ってみたんよね」

「30年という歌の旅の中で『JaPo』のように祈りをテーマにした作品や実験的な音楽性もあって、それは初期の3作品とはかけ離れていたけれど、そこを通ってこないとここには辿りつかなかったのだろうと思う」

ー なんか分かる気がします。私たちリスナーも『JaPo』みたいな世界を知ったからこそ『Happy』にスッと共感できる感覚があるのかなって。『Happy』には、今まで奥深く追求してきたからこその、抜けきった感があるのだと思いました。うん、幸せは退屈な生活の中にある。

UA「そうね。子どもに恵まれて、今でもまだ小さい3人を育てながら東京行って仕事をしているような生活だけれども、子どもたちをどうしていきたいかって思った時にこういう生活を選択することになっていったんだよね。こういう生活がしたかった、という所から始まったのではなくてね。おそらく子どもがいなかったら、ここにはいなかったと思う」

<カナダでの暮らし お家とオーロラ(UA Instagramより)>
<カナダでの暮らし お家とオーロラ(UA Instagramより)>

ー なるほど、じゃあもし家族がいなかったらUAはどんなUAになっていたと思いますか?

UA「うーん、もしもというのはパラレル(並行世界)の話になってしまうのだけど。多分もっと自分勝手だよね、もっと好きにやってて良かったわけで。もしかしたら自分を掘り下げていくほどに結局見えなくなって、歌わなくなっていたっていう可能性もあるかも知れない」

「だけど家族という責任があることで続けていきたいと思えたし、バランスを取っていきたいという想いのおかげでこの30年っていうのが続いたとしか思えないよね。歌というものを自分が生まれてきた理由とさせて頂けるのだとすれば、全てこのように導かれていったのだとしか思えないというか」

ー 今の生活があるから今のUAの歌があるんですね。

UA「完全にそう。ポップに回帰できたのもこっち(カナダ)に来たからだし、凄く葛藤していた時代もあったから模索していけたんだと思う。そうやって全部通ってこれたから今はもの凄くシンプルに曲を作れている。産みの苦しみはもちろんあるけれど、明快にやれているんよね」

UAが大きな影響を受けた、ラジオで流れていたヒット曲はこれ!

UA「『Are U Romantic?』というアルバムからがカナダ移住後の作品になるのだけど、子どもから受けた影響が大きくて。彼らはホントに今を生きているじゃない?アンテナを張ってさ。ラジオで聞く音楽とかも今の流行りが流れているような番組を選んでかけていたりしてね」

<カナダでの暮らし 自由に生きている動物たち (UA提供)>
<カナダでの暮らし 自由に生きている動物たち (UA提供)>

UA「私はそもそも大衆的なものに興味を持たないところがあって。音楽にもアートを感じるものが好きだったり。だけど子どもたちとの日常の中で流れてくる音楽に改めて影響を受けたのがあってね。ファイストの『1234』って曲があるのだけど、なんという名曲だと思ったし、こういう曲がちゃんと認められてラジオでかかるのかと。歌唱力からセンスから全てがパーフェクトに素晴らしくって、もの凄い驚いたんよね」

ー その曲に影響を受けてポップに心が向いたってことですか?

UA「ポップであってエバーグリーンな曲だね、もう時代を超えているなと。自分もここまでキャリアを続けさせてもらった中で色んな経験したり実験的な音楽もさせてもらいながら、じゃあ今何をしたいかっていったらそこを目指したいかなと思ったのだけど、実は何よりも難しいやんか!と(笑)」

ー Happyは歌詞もポップですよね、そして明快。「やんばい(ヤバい)塩梅」って言葉をリズムよく繰り返しながら、神様に「一体何年ものの梅干しを漬けたなら健全にあなたと逢える?」って問いかけがサラッとあったり。

UA「あれは、神様に問いかけるっていう程のシリアスな感じは一切ないんだけどね。塩梅って人間が意図的に作れるものじゃないからさ。梅干しや味噌の発酵具合とか、仕上がりなんて完全にはコントロールしきれないよね、神様がやってるようなものだから。ヤバい塩梅になるってのは『チチンプイプイ』ってやるみたいな神頼みっていうか、そういう感じの神様だよね」

<カナダでの暮らし お庭で採れた野菜(UA Instagramより)>
<カナダでの暮らし お庭で採れた野菜(UA Instagramより)>

ー そう、そうやって子どものような感覚で軽く言ってるような雰囲気はあるけど、そこから感じとるものは深みがあるっていうか、梅干しや味噌に潜んでいる日本人の奥に延々と続いてきたような感覚が、この言葉の中に隠されていますよね。

UA「深いといえば実は、英語の歌詞の部分も一応哲学的にはなってるんだけど。まあでもちょっと説教くさいから(笑)、感じる人には感じてもらえたら嬉しいけど丸ごと伝わって欲しいのかと言えば全然そうじゃなくて。単純にキッチンとかで子どもと一緒に、やんばい塩梅〜って歌ってくれてたらいいなって感じかな」

「情熱」のような世界は私にはもう無理

ー 30年を経て、昔より大きく変化したことは何ですか?生き方が楽になったとかはありますか?

UA『HORIZON』だったのが『Happy』になったと(笑)。デビュー曲の『HORIZON』はあなたと私、海と空っていうふうに分けている二元性の象徴のような曲だったから、それがもう最新作の『Happy』はそういうとこじゃない概念(一元性)だからね。お味噌汁とか梅干しって歌詞が書けるところまで自分もいけたんだなってことも感慨深く思ってる」

<UA 30th Anniversary Live 日比谷野外大音楽堂 2025.06.21 (土) ] photo by Atsuki Iwasa>
<UA 30th Anniversary Live 日比谷野外大音楽堂 2025.06.21 (土) ] photo by Atsuki Iwasa>

UA「例えば、諦めがつかないってことが辛いじゃない?人間って。諦めきれないって歌が『情熱』だったりしたんだけれど、愛しても愛しきれない夜に〜って、答えのない疑問を抱いて眩しい朝日を待ってる...みたいな、そんなのってしんどいやん(笑)、ってか体力的にもう無理やし(笑)」

「いまは普通に、年齢なりの場所に来てるって思う。文字にしてこれまでの人生を書くと、もしかしたら波乱万丈にも見えるのかも知れないけど、だけど自分の求めたり探したりしているものってみんなとなんら変わらないのだと思うよ。表現の仕方が違うかも知れないだけで」

ー 30周年のライブは、そんなあらゆる曲を聞きながら時間を噛みしめられたひとときでした。梅田芸術劇場はとにかく圧巻のステージだったし、日比谷野音はお祝いムードで皆が心底楽しんでいるという雰囲気で、UAホントにおめでとう!って。

<UA 30th Anniversary Live 梅田芸術劇場 2025.06.14 (土) ] photo by Atsuki Iwasa>
<UA 30th Anniversary Live 梅田芸術劇場 2025.06.14 (土) ] photo by Atsuki Iwasa>

UA「大阪(梅田芸術劇場)を終えてから広島の教会でピアノデュオもあって。大阪に対して凄く静かな『静と動』みたいな時間だったのだけど、心境的にね。その頃にはだんだんと不思議なくらいに自分が落ち着いてきてね」

「それまでずっと心配していた日比谷野音の天気に対する不安も全く消えたんだよね。ちょうどそれぐらいの時に、今年の夏至の日(30周年の最終ソロライブの日)に日比谷野音の周辺を、夏至点の太陽光が真南からスポットライトのように照らすのだと知って」

「そしたら、この日のお祝いはその場にいる人全員のお祝いなんだっていうのがハッキリわかった。それでどんどん気持ちが楽になっていったんよね。UAがなんで30年歌い続けてこれたのかっていうと、もちろん来てくれてたみんなのおかげで。私こそが感謝する日であるって思えて、その状態で歌っていたらみんなにも理屈じゃなくそれが伝わったみたいで。うわーってみんなで一緒に高みに行ったようなライブだった」

<UA 30th Anniversary Live 日比谷野外大音楽堂 2025.06.21 (土) ] photo by Atsuki Iwasa>
<UA 30th Anniversary Live 日比谷野外大音楽堂 2025.06.21 (土) ] photo by Atsuki Iwasa>

来年は全国ツアーを開催、海外でもライブ決定!

ー ホントに素晴らしい節目というか、30周年のライブでしたね。そこから次に向かって新たにスタートする訳ですが、来年は全国ツアーもあるんですか?

UA「そう、2月3月で国内7大都市と中国でやるプランも立っています。いま作っているアルバムをひっさげてのツアーになるから、是非みなさんも遊びに来てくださいね」

ー 今回は歌手のUAに、音楽と旅と移住についてのお話を伺いました。とても素敵な生き方をしているUA、それが丸ごと反映されている歌の数々。30年経って益々魅力的に見える、その輝きの理由をこのインタビューの中から感じ取っていただけたのではないでしょうか。今後のライブもアルバムも楽しみですね!たびこふれの読者のみなさんも是非UAのライブに行ってみてはいかがでしょうか。

インタビュー前編の記事はこちら ↓

>>たびこふれ特別企画「歌手UAインタビュー(前編)」旅と移住がつくりだす豊かな音楽世界

インタビュアー Hinata J.Yoshioka
(企画・構成・ライティング・編集)

UA(歌手)  

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Hinata J.Yoshioka

フォト&ライター。国内を転々と旅した後、沖縄にたどり着き12年を過ごす。現在は神戸を中心に活動中。ハワイ好きでフラ歴もあり、ロミロミマッサージのセラピストとしての一面も持つ。好きなことは料理・物作り・音楽・読書・写真・旅などあらゆることに興味はつきない。世界を船でぐるり2周した物語もWebで掲載中!!

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