フランスの美しい村が集まる南仏リュベロン北西スポット:ゴルド・ルーシヨン~その2

ベストセラー『南仏プロヴァンスの十二か月』の舞台として知られるリュベロン山地周辺には、額に入れて飾りたいくらい可愛らしい村々がたくさんあります。

前回はリュベロン山地の北側すそ野にある村を紹介しました。

今回は、それよりさらに北方のヴォクリューズ山地に近いスポットを取り上げます。

>>【フランス】南仏リュベロン地方の小さな村たち~その1

目次

鷲の巣村とも称えられるゴルド

ゴルドの町
<ゴルドの町 ©Kanmuri Yuki>

フランスの美しい村のひとつに数えられるゴルドは、この地域でおそらく、一、二の人気を誇る村でしょう。

岩の上にそびえるかのような姿は、遠目にも印象的で、多くの旅行パンフレットの表紙を飾っています。

2023年にはアメリカの雑誌『Travel+ Leisure』が世界で最も美しい村に選びました。

さすがの見晴らしの良さ
<さすがの見晴らしの良さ©Kanmuri Yuki>

周囲を見晴らすのに最適な地理的条件を兼ね備えているため、ゴルドは古くから戦略的に重要な場所とみなされてきました。

城塞の周りに村が築かれはじめたのは11世紀ごろ。

18~19世紀にはかなり繁栄していたようですが、1909年の地震の被害、戦後の農村からの人口流出などの影響で、一時はすっかりさびれてしまいます。

けれども、画家のアンドレ・ロートがゴルドに移り住んだことをきっかけに、1950~60年代にはマルク・シャガールをはじめとする芸術家らが多く訪れるようになりました。

石畳の急坂
<石畳の急坂 ©Kanmuri Yuki>

小さな村ながら、城や教会、地下道など見どころが詰まっています。

ただし、狭い道は殆どが急な坂道で、しかもかなり凹凸の激しい石畳と来ています。

人気の高さゆえ、人も多く、混雑の避けられないスポットでもあります。

ベビーカーで立ち往生している観光客も見かけましたので、どうぞそのあたりくれぐれもお心にお留め置きください。

ゴルド

石積みの建物が並ぶ『ボリー村』

石を重ねて作った建築物ボリー
<石を重ねて作った建築物ボリー ©Kanmuri Yuki>

ゴルドから3kmほど西にあるのがボリー村です。

名前は村ですが、ここはいわば野外博物館。

敷地内には、モルタルを使わない乾式工法で建てられたボリーと呼ばれる石積みの建築物が約20ほどあり、それぞれ中に入って見学できるようになっています。

窯のあるボリー、この天井の石もモルタルなしで支えられています
<窯のあるボリー、この天井の石もモルタルなしで支えられています!©Kanmuri Yuki>

ボリーは17世紀から18世紀にかけて多く建てられ、倉庫や、羊飼いの休憩場所、農業繁忙期の一時的な宿泊所として使用されたと考えられています。ゴルド周辺には今現在も、ボリーが約400も残っているそうです。

塀ももちろん乾式工法
<塀ももちろん乾式工法 ©Kanmuri Yuki>

ボリーのサイズはさまざまで、いずれも平べったい石を積み上げただけとは思えない頑丈な造りです。

このボリーの乾式工法は、2018年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。

ボリー村

  • 所在地:1570 Chemin du Village des Bories, 84220 Gordes, フランス
  • 電話:+33490720348
  • 開館日・開園時間:公式サイトにて要確認
  • 休館日:1月1日、12月25日
  • 入場料:大人 8ユーロ、12歳~17歳 学生4ユーロ
  • 公式サイト:ボリー村 (英語)

祈りの場所、セナンク修道院

ゴルドから3kmあまり北東にあるセナンク修道院は、12世紀半ばに建てられました。

今現在もシトー会の修道士らが生活していますが、施設の一部は公開されていて、見学可能です。

見学には、ガイドつきと、自由見学の二通りがあります。

フランス語がお判りになる方には、ガイドつきツアーをおすすめしますが、そうでない場合は、日本語も選択できるタブレット説明つき自由見学が良いでしょう。

セナンク修道院のウェブサイトでは日本語のパンフレットも置かれていますので、事前の予習も可能です。

なお、修道院内部での写真撮影、ラベンダー畑内への立ち入りは基本的に禁じられています。

今も修道士たちが暮らす祈りの場であることを頭の片隅において静かに見学してください。

セナンク修道院

※開館日時は季節、時間帯により異なるため、公式サイトを要確認

赤い村ルーシヨン

ルーシヨンの街角
<ルーシヨンの街角 ©Kanmuri Yuki>

ルーシヨンもフランスの美しい村のひとつに数えられ、リュベロン地域でゴルドと並ぶ人気を誇る村です。

ゴルドからたった10kmほど東にあるだけなのに、ルーシヨンの景色はゴルドのものとは全く異なります。

というのも、ご覧の通り、建物という建物が赤いのです。これは、この地方で採掘できる天然顔料オークルに由来します。

遠目にもそれとわかる村の赤さ
<遠目にもそれとわかる村の赤さ ©Kanmuri Yuki>

18世紀末から始まったオークル産業は20世紀初頭にかけて発展し、ピーク時には、60カ所の採掘場と20の工場で労働者が1000人働き、4万トンのオークルを生産していました。

抽出されたオークルは、顔料としてさまざまなアートに用いられるほか、建築材や陶磁器にも混ぜて使われてきました。

ルーシヨンの町が赤いのは、建物の外壁にオークルを混ぜて塗っているためなのです。

ルーシヨン

化学染料が出回るようになってからは、オークルの需要は減少し産業も衰退しましたが、その採掘跡は観光業に取り入れられ今なお人気を呼んでいます。

ルーシヨン辺りから東約25kmにかけてひろがるオークルの採れる地域では、木々の間に見える山の地肌が赤や黄色、オレンジと目に鮮やかで、ドライブするだけでも風景にはっとすることがあります。

82766.JPEG
<ルーシヨンの街から見える赤い山 ©Kanmuri Yuki>

ルーシヨンの町は少し小高いところにあるため、見晴らしの良い場所も少なくありません。

通りから近隣の赤い山肌が見える場所も複数あります。

オークル採掘場跡のハイキング

黄土から濃い赤までパレットのような山肌(コロラド・プロヴァンサルにて)
<黄土から濃い赤までパレットのような山肌(コロラド・プロヴァンサルにて)©Kanmuri Yuki>

  • 1月:2~4日のみ営業、11時~15時半
  • 2月:8日以降営業、11時~15時半
  • 3月:10時~17時
  • 4月:9時半~17時半
  • 5月:9時半~18時半
  • 6月:9時~18時半、
  • 7~8月:9時~19時半
  • 9月:9時半~18時半
  • 10月:10時~17時半
  • 11月:1日~15日の10時~16時半、16日以降は11時~15時半
  • 12月:11時~15時半

オークル・トレイル

  • 所在地:sentier des ocres, 84220 Roussillon, フランス
  • 電話:+33490056025
  • 入場料:3.5ユーロ、10歳未満は無料
  • 公式サイト:オークル・トレイル (英語)

プロヴァンスのコロラド

ちなみに、私はルーシヨンより東方のオークル採掘場オークル採掘場跡「コロラド・プロヴァンサル(プロヴァンスのコロラド)」でハイキングをしました。

目に痛いほどの赤い土
<目に痛いほどの赤い土 ©Kanmuri Yuki>

コロラド・プロヴァンサル

*入場料、営業日と営業時間は季節のより異なり、天候によって休業となる日もあるのでサイトを確認してください。


*夏期(5月~8月)は駐車場が混むので、車で訪れる方は予約が必須です。

ハイキングコース
<このあたりまでは子供も楽々歩けます ©Kanmuri Yuki>

ハイキングコースは、約40分コース(2.1km)と1時間45分コース(3.9km)の2つあります。

途中までは同じ道を歩くので、分岐点に着いてから、疲れ具合や天候でどちらかを選ぶので大丈夫です。

長いコースにはビューポイントも
<長いコースにはビューポイントも! ©Kanmuri Yuki>

多種多様な魅力にあふれるリュベロン地方の紹介、まだ続きます!(冠ゆき)

関連記事

フランス」に興味わいてきた?あなたにおすすめの『フランス』旅行はこちら

※外部サイトに遷移します

Related postこの記事に関連する記事

Rankingフランス記事ランキング

ランキングをもっと見る

この記事に関連するエリア

この記事に関連するタグ

プロフィール画像

冠ゆき

山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。

Pick upピックアップ特集

全国の動物園&水族館 徹底取材レポート特集!デートや家族のおでかけなど是非参考にしてみてください♪

特集をもっと見る

たびこふれメールマガジン「たびとどけ」
たびこふれサロン

たびこふれ公式アカウント
旬な情報を更新中!