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ラーマーヤナの舞台:聖地ラメスワラム 南インド巡り(2)

南インドの聖地の1つ、ラメスワラム。
ここは、叙事詩『ラーマーヤナ』の舞台となったところで、ヒンドゥー教最大の祭り「ディワリ」とも深い関わりがあります。
ディワリって日本各地でもお祝いのイベントがあるほど有名なお祭りですが、この記事を読むと、なぜディワリをお祝いするのかがわかります。ラーマ王子が橋を架け、故郷へ帰還する壮大な物語の足跡をたどる聖地巡礼の旅。
【インドの別の顔】ポンディシェリはフランス文化とスピリチュアルの街 南インド巡り(1)に続いて、この記事では、ラーマーヤナの内容や旅のヒントもあわせて詳しくご紹介します。
目次
- インド最大の祭り「ディワリ」とラーマーヤナの関係
- ディワリの起源とラーマ王子の凱旋ストーリー
- ラメスワラムへのアクセスとおすすめの訪問時期
- ラメスワラムの見どころ:歴史と自然が融合する観光スポット
- 神話と現代をつなぐ絶景「パンバン橋」
- 南インド独特の色づかい!カラフルなデザイン
- ラメスワラムへの玄関口・マンダパムの魅力
- ラーマーヤナの舞台:聖地ラメスワラム 南インド巡り(2)まとめ
インド最大の祭り「ディワリ」とラーマーヤナの関係
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ヒンドゥー教最大級のお祭り「ディワリ(Diwali)」は、"光のフェスティバル"として知られています。これは、悪を打ち倒した善の勝利を祝う日としてインド各地で盛大に祝われますが、そのルーツのひとつがラーマーヤナにあることはご存じですか?
ラーマ王子が14年の追放と戦いの末にアヨーディヤー(UP州の都市の名前)へ帰還した日が、まさにディワリ。その旅路に深く関わる聖地・ラメスワラム(ラメシュワラム)では、ディワリに特別な意味が込められています。
ディワリの起源とラーマ王子の凱旋ストーリー
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ディワリは、ラーマ王子が魔王ラーヴァンを倒し、妻シーターを救い出してアヨーディヤーに凱旋したことを祝う行事です。王子の帰還を村人たちはランプ(ディヤ)を灯して迎え、それが現在の「光の祭典」の起源とされています。
この物語は、闇を照らす光、悪を退ける正義、そして信仰の力の象徴として、インド全土の人々に語り継がれています。物語の中でラメスワラム(ラメーシュワラム)は、ラーマ王子がスリランカへ渡る出発点であり、戦いに挑む"聖なる決意"の地。海の向こうに見える大陸はスリランカです。
ラーマーヤナのアニメで物語を視覚的に体感する
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旅行の前に、ラーマーヤナの世界観をあらかじめアニメで知っておくことで、訪れる土地への理解が深まります。特におすすめなのが、日印合作の長編アニメーション作品『ラーマーヤナ:ラーマ王子伝説』です。
この作品は、インドの国民的叙事詩「ラーマーヤナ」を原作に、日本のアニメーションスタジオが制作に携わり、1993年に公開されました。繊細で美しい描写とともに、ラーマ王子の勇気・愛・戦いの物語が描かれ、原作に忠実でありながらも、現代の私たちにも訴えかけるメッセージ性を持っています。
アニメでは、スリランカへと渡る"橋を架ける"シーンや、シーター王妃の誘拐、ラーヴァナとの対決など、ラメスワラムにゆかりのある名場面も描かれており、旅の感動を何倍にも高めてくれるでしょう。
神話を知って旅するのか、知らずに旅するのかで、見える景色はまったく変わります。アニメを通して物語に触れ、心の準備をしてから訪れるラメスワラムは、きっと忘れられない場所になることでしょう。
参考サイト:日印合作アニメ映画「ラーマーヤナ ラーマ王子伝説」
ラーメシュワラムともよばれる理由
インド南端の神聖な巡礼地として知られるこの町ですが、実は「ラーメシュワラム」とも表記・呼称されることがあります。この名前の違いは、現地の発音(タミル語・サンスクリット語)や英語表記の揺れによるものだからです。
インドでは、このような英語表記の差が生まれることがよくあります。オリジナルの言語をアルファベットで表記したものをカタカナ読みするので違う単語に聞こえますが、どちらも同じ場所を指します。
ラメスワラムへのアクセスとおすすめの訪問時期
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ラメスワラムはタミル・ナードゥ州南端に位置し、神聖な巡礼地として多くの人々が訪れます。アクセスの中心となる都市はマドゥライですが、南インドの大都市であるチェンナイやバンガロールからもアクセス可能です。
各都市からの移動時間やルートには違いがあり、長距離移動には事前の計画と予約が鍵となります。
ラメスワラムは日本の冬の時期に訪れるのがおすすめ
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ラメスワラムを訪れるなら、気候が穏やかになる10月〜3月が最もおすすめです。私達はクリスマスの時期で、至るところにクリスマスのモニュメントがありました。
特に11月ごろのディワリの時期は、街全体が灯りで彩られ、神話の世界に入り込んだような体験ができます。5月は非常に暑く、日中の観光には不向きなため日傘や日焼け止めが必要になるでしょう。無理なさらないように。
雨季は7〜9月で、移動や観光の計画に支障が出る場合もあるため、乾季の訪問が快適です。
主要都市からラメスワラムへの行き方と所要時間
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ラメスワラムへ訪れる際の最も一般的なルートは、タミル・ナードゥ州内陸部にある都市マドゥライからのアクセスです。マドゥライは空路・鉄道・バスの要所であり、南インド観光の拠点としても知られています。
マドゥライからラメスワラムまでは、鉄道やバスで約4〜5時間。鉄道はパンバン橋を渡る絶景が楽しめることから人気があり、列車の旅が初めての方にもおすすめです。
インド旅行の列車予約はオンライン、または現地の旅行代理店でも可能
列車の予約は英語が問題なければ現地の予約サイト「Makemytrip」や「ixigotrain」などを使えば自分で予約が可能です。もしくは現地の旅行代理店にとってもらうのが確実です。
一方、バスやタクシーを利用する場合は、柔軟なスケジュール調整が可能で、グループや荷物が多い旅にも便利でしょう。どの手段でも、美しい海を眺めながらの移動が旅の一部として楽しめます。
チェンナイやバンガロールからの行き方と所要時間
チェンナイからラメスワラムへは鉄道で約12〜14時間、バスでは約10〜12時間が目安です。夜行列車を利用すれば、翌朝には到着でき、時間を有効に使えます。
バスの場合はACスリーパーが一般的ですが、日本と違ってかなり悪路なので、座席の快適さを重視する方は列車かレンタカーで。バンガロールからは距離がさらに長く、鉄道で約15〜17時間、バスで約13〜15時間ほどかかります。
いずれも夜行便を利用すると移動の疲れを軽減できます。飛行機を利用する場合は、まずマドゥライ空港まで移動し、そこから陸路でラメスワラムへ向かうのがスムーズです。
バスや電車は必ず遅れがあることを見越して余裕のあるスケジュールにしましょう。
ラメスワラムの見どころ:歴史と自然が融合する観光スポット
ラーマ王子がスリランカへ渡る前に神への祈りを捧げた場所として伝えられ、『ラーマーヤナ』の世界観を体感できる特別なスポット。そのスピリチュアルな側面に加え、ラメスワラムには圧巻の自然景観や歴史的建築物も数多く存在し、信仰・文化・観光の魅力が融合した町なのです。
日本に例えると出雲大社と出雲町のような存在ですね。毎日、観光や参拝するインド人でにぎわっています。
神話と現代をつなぐ絶景「パンバン橋」
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2025年4月6日に、新しい橋の開通式がおこなわれたばかりの場所です。(写真撮影は2024年12月)ラメスワラム本土と島を結ぶ「パンバン橋」は、インド最初の海上鉄道橋として知られ、1900年代初頭に建設されました。
鉄道が通る瞬間を橋の上から見ることができ、今でもインド鉄道の名物ルートとして多くの旅行者に愛されています。また、車道のパンバン大橋(Indira Gandhi Road Bridge)からの眺めも格別です。
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橋は列車がとおり船が通る瞬間は橋が開くような仕組みです。ラーマ王子はどんな気持ちでこの海を渡って最愛の妻を取り戻しにいったのでしょうか。
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夜も違った顔をみせます。ぜひ夜と昼の違いもお楽しみください。
パンバン橋情報
- 利用時間:24時間通行可能
- 料金:無料
南インド独特の色づかい!カラフルなデザイン
ラメスワラムは南インドの有名観光地です。そのためローカルの観光バスがたくさん来ています。そのデザインはまるでデコトラックかと思うぐらい派手なんですよ。思わず写真をとってしまったほどです。
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こちらは幸せの青い鳥がモチーフ。ラメスワラムにはたくさんの地方観光客や、新婚旅行でくるインド人カップルでにぎわっています。
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こちらはサファリをイメージしたものでしょうか。独特の緑をベースにしたジャングル感がよくでています。サイドミラーについている飾りは魔除けです。長距離バスやトラックには、事故がおこらないように魔除けを施しています。
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今度は、レインボーカラーのタイプ。ちなみにインドの交通規制は法律としては存在しているものの、守る人があまり多くない印象です。
改造車はそこら中でよくみかけます。一番厳しい点は、どの車も共通して「窓にシールドを張らない」という事です。こんなにカラフルだと乗っているだけで楽しくなってきそうです。
ラメスワラムへの玄関口・マンダパムの魅力
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ラメスワラムへ向かう途中に位置する町、マンダパムは、その地理的・歴史的な背景から重要な役割を果たしてきました。ここはパンバン橋を渡ったインド側の街で、この地域とラメスワラム島を結ぶ交通の要所となっています。
マンダパムはスリランカからの難民を受け入れる最大規模の施設があることで知られており、インド南部の国際的な交差点ともいえる場所です。漁業が主要産業で、地元の暮らしを垣間見ることもできます。
インドローカル旅は、車が便利
ラメスワラムへいくには、車が必要なので日本からお越しの方はラメスワラムに宿泊された方がいいと思います。しかし、マンダパムは激安!お部屋も綺麗で趣のある宿泊施設が多いです。私達(家族3人)はベジタリアンがいるため、ベジタリアン料理が出るローカルのコテージに泊まりました。
Bluewaters Paradise Mandapamでくつろぐ
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目の前は海。砂浜に広がった広い敷地に一軒家のようなコテージが4つほど。規模は大きくないですが、その分サービスが行き届いており丁寧です。宿泊者はインド人の家族連ればかりでした。
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定番のドーサはこの大きさ。ラメスワラムはヒンドゥー教の聖地としても有名ですが、スリランカからの移民などがいることもあり、肉料理・魚料理のレストランも豊富です。
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宿の外観はこんな素敵な一軒家風のコテージ。インド旅上級者はAirbnbなどで、オーナーとやり取りしながらそこでしか味わえない家庭料理やアクティビティを楽しむのもいいと思います
【宿泊先情報】
- 住所:10/240-8,North Beach, Mandapam, 623518
- 電話番号:+91 07200666655
※Booking.com またはagoda で検索できます。
ラーマーヤナの舞台:聖地ラメスワラム 南インド巡り(2)まとめ
ラーマーヤナの壮大な物語とディワリの光に包まれたインド南端の聖地・ラメスワラム(ラーメシュワラム)は、神話と現実が交差する特別な地です。旅の前に『ラーマーヤナ:ラーマ王子伝説』などのアニメで予習することで、現地での感動はより一層深まると思います。
また、ディワリの時期には、ラーマの帰還を祝う光の祭典が各地で行われ、インドの信仰と文化を体感できます。神話の世界に足を踏み入れるようなこの旅は、ただの観光ではなく、内なる"信仰"や"物語"とつながる体験。
ラメスワラムを訪れることで、ラーマーヤナの物語は、あなた自身の旅の一部となるでしょう。
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田澤ともき
- アーユルヴェーダがきっかけでインド在住。ハイテクから古代伝統まで、100人100色楽しめますよ。インドならではの出来事や、インド生活についてお届けします。



























