オーストラリアの水事情 ~節水マナー違反しやすい日本人に忠告!~

オーストラリアに留学やワーキングホリデーでホームステイをすると、シャワーに制限時間があったり洗濯が許されるのは週一回だけ、食器の洗い方が衝撃的だった・・・などと聞くことがあります。

日本人からするとそんな馬鹿なと思うかもしれませんが、これらは事実です。それにはオーストラリアの切実な水事情があるのです。これからオーストラリアに行く予定のある人は、この理由と節水マナーをこの記事から学んでほしいと思います。なぜなら、『節水』という点で日本人はマナー違反が多いからです。

目次

世界一乾燥している!

オーストラリアは、南極大陸を除いた5大陸のなかで最も乾燥している大陸であり、つまり世界でも最も乾燥した国のひとつだと言えます。

オーストラリア

乾燥を表す指標はいくつかありますが、分かり易いところでいうと降水量。日本の年間平均降水量が約1600ミリなのに対し、オーストラリアは約450ミリ。

広大な国土のうえに全体の70%が乾燥地帯、そのうち20%が砂漠なので平均したらそういう数字になるのは仕方がありませんが、私の住む西オーストラリア州南部の穀物エリアでも約600ミリです。

オーストラリアの穀倉地帯

また地形も関係しており、平らな地形が多いオーストラリアには大雨が降っても河川になりにくく、つまり水が溜まる仕組みがあまりないのです。地図上に〇〇Riverと表記されていても雨期でないと水がないなんてことはよくあることです。

オーストラリア

オーストラリアの水資源

日本に住んでいると、家庭で使われている水資源のほとんどは河川からだというのが一般的な考えだと思います。オーストラリアでもそうなのですが、それは山も河も豊かなシドニーやメルボルンのある東海岸の話。

NSW州のブルーマウンテンズ
<NSW州のブルーマウンテンズ>

ここからは私の住む西オーストラリア州の話になりますが、西オーストラリア州はオーストラリアの中でも最も乾燥した州のうちのひとつです。州水道局のHPを見てみると、水資源の内訳は河川からのダム水30%、地下水40%、そして30%が海水を処理したものとなっています。

思ったよりも地下水が多いことに驚いたと同時に、わざわざ海水を処理してまでしないと水が賄えない現実が分かります。

雨水の集め方

パースから離れた小さな町では、各町が自力で水を集めて住民に水道を提供しています。だいたいが地下水と雨水で、それを殺菌装置に通してから各家庭に送っているわけですが、雨水がどうやって集められているのか紹介します。

屋根を使う

最も一般的な方法が屋根を使う方法です。
屋根に降った雨水が雨樋をつたってパイプを通って雨水タンクに溜まる仕組みです。

雨水の集め方

屋根の表面積が広ければ集められる雨水の量が増えるので、貯水量を増やすことを目的として倉庫を新しく建てることもあります。

岩を使う

岩と言っても表面積の広い巨大岩です。私がこれまでに訪れたことがある貯水に使われている岩はウェーブロックとベリンブーティングロックです。

ウェーブロック
<ウェーブロック>

屋根と同じ原理で、斜面をつたった雨を最終的に貯水池に溜めるという方法です。屋根とは違って人間が作ったものではないので傾斜が一定ではありませんが、ところどころに塀を造って水の流れを操作しています。

ベリンブーティングロックの上の塀
<ベリンブーティングロックの上の塀>

塀によって雨水が貯水池に流れるようになっている
<塀によって雨水が貯水池に流れるようになっている>

ウェーブロックに訪れた際の記事に詳しいことは書いていますので、興味のある人は読んでみてください。

>>波の形をした岩ウェーブロック!!ガイドブックには載っていない楽しみ方を紹介♪

防水シートを使う

岩のように天然の防水で表面積の巨大なものがあればいいですが、残念ながらどこにでも存在するものではありません。ならば、人工で作ってしまおう!となって考えられたのが防水シート作戦。

防水シート
<緑の部分が防水シート>

写真を見ても想像がつきにくいと思いますが、緩やかな傾斜に防水シートを張ることで水を集めているのだとか。この写真は私の住む隣町で撮ったものですが、初めて見たときはそのアイデアが信じられませんでした。

しかし、乾燥した土地では地面がカラカラに乾いているので、少しの雨だと地面に吸い込まれて溜まることがないので、理由を聞いて納得できました。

岩や防水シートを使うエリアになると乾燥がひどいので、ほとんどのところでは地下水は塩水になって飲めるものではありません。つまり、本当に雨水に頼るしかない生活なのです。

水道の通っていない暮らし

前章で紹介した水は自治体が責任を持って殺菌してから地域住民に届けられるわけですが、水道管が通っているのは基本的に町の中心部に近い家だけです。つまり、町から離れて暮らす人は個人宅で水を集めないといけません。

まさに私の暮らしがそうで、雨水を飲んで生活をしています。うちには広い倉庫があるので、その屋根を使って23000リットルの雨水タンクが3つ分の雨水を溜めています。

倉庫、雨水タンク
<赤枠が倉庫、青丸が雨水タンク>

4人家族が1年間に必要な水は最低でも17000リットルと言われていますが、この水が尽きたらあとがないので念には念をと多く溜めるものです。事実、ここ数年は干ばつで降水量が例年の半分なので助かっています。

うちの場合は網戸ていどのフィルターで濾しただけのものを飲料水として飲んでいますが、お腹を壊したこともないですし、むしろほんのり甘味があって美味しいです!

水道水

実は田舎の方だと空気がきれいなので、水道水が通っていてもあえて雨水を飲んでいる人もいます。というのも、やはり科学的に処理された水は味や匂いが気になる人もいるようです。また、あまりにも田舎だと水道が通っていたとしても水道管が古くて水質が悪いこともあるのだとか。

実際に、飲料水だけは雨水にしている学校もあるくらいです。(学校などの公共施設の場合はUV殺菌をしています。)また、都市に近い方でも水道代を浮かせるために、洗面所やガーデン用にと小さめの雨水タンクを設置している家も多くあります。

雨水タンクの設置に政府からの補助金が出ることもあり、雨水の利用は国を挙げて推奨していることでもあるのです。

雨水タンクの設置

日本人が犯しやすい節水マナー違反

だいぶ前置きが長くなりましたが、オーストラリアではいかに水が貴重かということが分かったかと思います。都市部で水道が通っていても、水道代は日本の2~4倍はします。

節水マナー

だから節水が大切なのです。ホームステイやシェアハウスとなると水道代を払うオーナーの身としては節水を強調するでしょうし、私のように水に限りがある暮らしの場合は節水なしでは生活ができません。

節水マナー

きれい好きで水が豊かな国からやって来た日本人が、オーストラリアで気を付けるべき節水マナーを紹介します。

シャワー時間は短めに

シャワー

これが一番のトラブルの多いことかと。ステイ先で『シャワー時間は4分』と言われたなんてよく聞く話ですし、私もそう言われた経験があります。4分で全てを終わらせるだなんて至難の業かと思われるかもしれませんが、こちらの人はシャンプーを毎日する習慣がないのです。

最初、私もこれには抵抗がありましたが、空気が乾燥しているので案外気になりません。そもそも給湯タンクが小さめの家庭が多く、長シャワーをしているとお湯が出なくなるということもあります。そりゃ水道代が上がるは、次にシャワーに入ろうとしたらお湯が出ないわとなると、長シャワーは嫌われますよね。

洗濯は毎日しない

洗濯物

日本には小型の洗濯機がありますが、オーストラリアは何でも大きめ。そこに少しの洗濯物を洗うがために洗濯機を作動させるのは水がもったいない!

バスタオルなんかは、広げて置いておけば乾燥大国では簡単に乾きます。長期滞在する場合は、下着類は多めに用意するに越したことはありません。

オーストラリア式食器洗い法

食洗機の付いている家庭では問題ありませんが、うちのように手洗いの場合はちょっと洗い方が特殊です。多くの家(特に水に限りのある家)ではシンクが2つに分かれおり、これは洗う用とすすぐ用に分けて使います。

オーストラリア式食器洗い法

洗う用には洗剤の混ざったお湯が、すすぐ用にはお湯だけが入っており、泡のたったお湯の中で洗い、それを反対側ですすぎます。ずっと同じお湯を使っているので、最後の方はお湯がかなり汚れてしまうので、洗う時は軽い汚れのものから洗います。

オーストラリア式食器洗い法

日本で水道のお湯を垂れ流しながら洗っていた私としては衝撃的でしたが、これも慣れてしまえば納得。うちではすすぎのお湯がありますが、すすがないで泡がついたまま食器カゴに入れる人もいます。

オーストラリアで初めて滞在した家で、垂れ流しで洗っていたら注意されたことがあります。今では日本に帰ったときに垂れ流しを見ると、もったいない!と感じてしまうようになりました。

音姫なんて関係ない

トイレで用を足すときに音をかき消す『音姫』ですが、オーストラリアにはそんなものはありませんし、そのために水を流すなんてありえません。むしろ音姫代わりに水を流すと、用を足した後に流す水が出てこないなんてこともありえます。

水圧が低いのでタンクに水が溜まるのに時間がかかるのです。オーストラリアではそんな音、誰も気にしていません。

さいごに

ホテルに滞在したら関係ないのでは?と思う人もいるかもしれませんが、オーストラリア全体で水不足です。せっかくのホリデー中に節水にケチケチ協力を!とは言いませんが、現状を知って少しでも協力してもらえたら、オーストラリアとしては助かるはずです。

留学やワーキングホリデーなど長期滞在する人は、是非とも『郷に入れば郷に従え』という諺のように節水を意識してほしいです。これができるかできないだけで、現地の人からの対応が変わってくると言っても過言ではありません。まさに『豪に入れば豪に従え』ですね!

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