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【インドの別の顔】ポンディシェリはフランス文化とスピリチュアルの街 南インド巡り(1)

今年の長期休暇はインドに行こうかな。でもタージマハルもみたし、ガンジス川もジャイプルで買い物も楽しんだし、という方に特におすすめなのが南インドです。
インドの別の顔をみてみませんか?ポンディシェリは間違いなくインドの意外な一面を見るきっかけになるはずです。日本の国土の約10倍以上あるという事は、それだけ楽しみがあるという事です。二度目、三度目のインド旅行の計画はぜひ南インドへ遊びにいきませんか。
今日はインドの連邦直轄領、ポンディシェリをご紹介します。
(2025年2月現在)
目次
- ポンディシェリとは
- ポンディシェリの行き方
- フランスの息吹が残る街ポンディシェリ
- ヨガとスピリチュアルな聖地
- 美味しい南インド料理もポンディシェリで
- ポンディシェリはスピリチュアルとフランス文化の街 南インド巡り(1)まとめ
ポンディシェリとは
南インドでもポンディシェリは特別な街です。その異国情緒あふれる雰囲気は、インドの南フランスと呼ばれています。
その理由は、複雑な歴史とそれを大海原のように大きく包み込んで生きてきた地元の人々がいたからです。それは、訪れたら必ずわかると思います。
ポンディシェリの名前の由来
ポンディシェリは、現在名前が改訂され「プドゥチェーリ」といいます。これはタミル語になるそうで、実はこの街は紀元1世紀ごろに書かれた文献にも出てくるほどの古都で当時はポドゥカ、ポドゥケと呼ばれていました。
ポンディシェリはフランス語で「新しい集落」という意味でこの名前で150年以上親しまれてきました。しかし、フランスやヨーロッパ諸国の植民地となったこの土地本来の文化は損なわれていったのです。
この改名には「ここは古代からずっとインドの土地だ」という強い思いが感じられます。外国人である私達には、「ポンディシェリ」という名前になじみがあるのでこの記事もポンディシェリと書いていきますが、インドではこのような事がよく起こります。
長年たくさんの国の植民地となり、たった75年前に独立を手にした国、それがインドです。
ポンディシェリの行き方
最近は旅行会社を経由してポンディシェリに行けるほど、南インド旅行は認知度が高くなりました。ですが、多くの人は個人や2-3名のグループで行くことが多いと思うので、自分で交通を手配する場合の方法を書いておきます。
南インドは、北インドと比べると英語も通じやすく、オートリキシャーの運転手も英語が話せます。表記はタミル語と英語があるのでわかりやすいです。
日本からくる場合、バンガロール、またはチェンナイどちらか2都市を経由していくと無理がありません。
車でポンディシェリに行く
車(タクシー)で行く場合、チェンナイからタクシーで約3時間半。約4~5000ルピーは見ておきましょう。安いのも当然ありますが、エアコンがきかないとかエンストを起こすなどもありますので、「安全をお金で買う」気持ちで。
Makemytrip というインドの便利な旅アプリがあれば車もオンライン予約ができます。(要インドの携帯番号)高速バスで行く場合、チェンナイからバスで約4時間、エアコンなし約400ルピー・エアコンあり約1000ルピーです。
高速バスの種類は豊富ですが、これはかなり旅の上級者向きです。日本の新宿バスタのように掲示板が分かれバス乗り場が決まっているわけではないので、人に聞いて確認しながら進みます。
乗車客もさまざまです。たまに大音量で音楽をかける運転手さんがいたり、運転もスピードを出す人もいるのでスリルを味わいたい人向けです。
飛行機でポンディシェリに行く
- チェンナイから飛行機で約4時間(乗り継ぎ便) 約12000~13000ルピー
- バンガロールから飛行機で1時間15分 約6~7000ルピー
- ポンディシェリの市街地から空港までは約30分~1時間弱です。約1000ルピー
ポンディシェリの直行便がでているのは、ベンガルールとハイデラバードだけです。主要都市からこの2都市を経由してポンディシェリに着きます。
電車でポンディシェリに行く
電車で行く場合、チェンナイから列車で約4時間、約750~1300ルピー。時間と手間を考えたら車の方が快適です。ですが他の都市から行く場合、インドの列車旅は一度挑戦する価値のある乗り物なので、ぜひ機会があったら挑戦してみてください。
フランスの息吹が残る街ポンディシェリ
冒頭に説明したように、ポンディシェリはフランスの植民地時代が150年以上もありました。しかし、それだけではありません。もともとドラビタ族の敬虔なヒンドゥー教の巡礼地だったのが、スルタン帝国の侵略や、イギリス・オランダなどにも植民地化された時代もありました。
武力での侵略よりも、商都として栄えていたこの辺一帯には「フランスインド会社」を設立しビジネスから政治へと侵略していったのです。
その背景には、インド人妻を迎えたフランスのジョセフ・フランソワ・デュプレックスなどこの土地を愛し、この土地に骨をうずめていったフランス人がいました。
現在フレンチコロニーの在住者の多くは、フランス国籍をもつタミル人で、ポンディシェリに代々住んでいるそうです。
ポンディシェリはフランスとインドが体験できる
ルミナリエのような電飾や、教会などフランスのコートダジュールを思わせるデザイン建築が海沿いに並んでいます。ポンディシェリが面白いのは、道路をはさんで向こう側はローカルなインドも楽しめるところです。
フレンチコロニー建築と美しいビーチ
ポンディシェリは、ポンディシェリ直轄領と呼ばれる4か所のフランス植民地の公的機関が集まる場所です。また現在でもフランス文化団体や、フランス大使館などがここにあります。写真は市役所。壁画が見事です。
ポンディシェリの商工会議所。鮮やかな黄色と白が街に映えます。
公共の建物でもこのデザイン。目の前はベンガル湾が広がっています。
ビーチに立ち並ぶコーラム(ランゴリ)大会
ディワリなどで家の前に色砂の絵を描く「ランゴリ(南インドではコーラムと呼びます)」。便利な道具やカラフルな色の粉で描くことが多いのですが、本来は米粉を使って白い絵を描くのだそうです。
それは小鳥や小動物がその粉を食べるために、ばら撒くだけではなく絵を描いたのが始まりなのだとか。
地元民による季節ごとのイベントが多いのでも有名なポンディシェリ。たまたまこの日は海沿いの道路が歩行者天国となり、コーラム大会が行われていました。
伝統的な花の模様です。ピンク・緑・オレンジの配色がインド風です。
これは、クリケットの優勝をお祝いしたものです。クリケットはインドで大人気のスポーツです。試合の放送中は街に人がいなくなるほどの人気なのです。
こちらはオレンジ色でロータスを表現。女性のアーチストさんが多かったです。年齢層はベテランの雰囲気を醸し出している方から若い学生さんまでさまざまでした。
虹色のお花のデザイン。コーラムは素手で描きます。この繊細なデザインも綺麗に手で仕上げるのですから、一朝一夕で作っているわけではありません。
女性たちは、地域によっては毎日またはお祭りのたびにこうしたコーラムを家の前で作っているのです。ランゴリもコーラムも神様への捧げものという観点からか、むやみに踏まないようにします。
こちらはシヴァリンガとハスの花。宗教的なデザインもあれば、社会風刺の強いもの、時事ネタを使ったコーラムなど、ユニークなものばかりでした。ランゴリのお祭りは、毎年12月ごろ行われています。
ヨガとスピリチュアルな聖地
ポンディシェリから車で約30分、10㎞ほど離れた土地にオーロヴィルという団体が作った大きな街があります。私がポンディシェリを初めて知ったのは、デリー在住の時にオーロビンドアシュラムという場所に行ってからです。
ここは一般の人にも開放されている宿泊施設でした。クジャクや自給自足で学校も隣接されている所です。ここの瞑想ルームは、デリーの大都会にありながらとても静かに過ごせる場所でした。
私は、インドに来てから「宗教観」が180度変わった気がします。きっと日本だけで暮らしていたら、こんな事は考えなかったでしょう。インドは国として植民地時代を経たからこそ、世界中の宗教が共存できる国でもあります。
オーロヴィンドアシュラムはインド思想家のオーロヴィンドがフランス人のパートナーと作った場所です。
オーロヴィルについて
オーロヴィルは、インド政府に正式に認可された「ユニバーサル・タウンシップ」と呼ばれる居住エリアです。現在国籍や年齢を超えて5万人の人が政治や宗教・国籍、貧富を問わない生活を送るための都市づくりを開発中です。
ここは、一般の人も入ることができます。広大な土地に牛や自然がたくさんあって、まるで半日キャンプかピクニックに来ているような気分です。敷地内には、お店やお土産屋さんもありました。
The Auroville Visitors Centre
- 住所:Visitor's Centre, Auroville, Tamil Nadu 605101
- 電話番号:+91 04133509886
- 営業時間:9:00~17:00
- 営業日:年中無休
- 定休日:無し
- 入場料:無料
- 公式サイト:The Auroville Visitors Centre
ポンディシェリのフレンチコロニーには、オーロヴィンドやミラが建てた教育センターやアシュラムもあります。靴を脱ぎ、写真はNG。話す事も禁止です。
Sri Aurobindo Ashram
- 住所:No. 9, Marine Street, White Town, Puducherry, 605002
- 電話番号:+91 04132233604
- 営業時間:8:00~11:30 14:00~18:00
- 営業日:年中無休
- 定休日:なし
- 入場料:無料
- 公式サイト:Sri Aurobindo Ashram
私は、デリーのアシュラムでも不思議な体験をしたので、ポンディシェリは行ってみたい場所の一つでした。今回、主人のおかげで夢がかなって本当にうれしかったです。
オーロビンド・ゴーシュについて
オーロヴィンドの創始者は、活動家・作家として知られるオーロビンド・ゴーシュと、フランス人ミラ・アルファサです。ミラは日本へも公職として来日した経験があります。
オーロビンド・ゴーシュはコルカタ生まれの独立運動時代の活動家でもあります。ケンブリッジ大学を卒業し、一時は独立運動の代表として留置所生活も余儀なくされていましたが、もともとの思想はヨガ哲学、特にインドの経典「ヴァガヴァットギーター」を研究し、「インテグラルヨーガ」という本を書いた人です。他にも著作は多数あり、これらが今でも世界中で出版されています。
スピリチュアルは怖くない
インドという国はダイバーシティの国です。政治と宗教は密接につながっていますし、それを否定も肯定もしません。思想団体である彼らがインド政府から許認可を得て、街づくりをしているのは事実です。
私個人は非常に不思議な体験をインドで何回もしているのであまり珍しくありません。スピリチュアルが怖いのではなく、怖いのは「人間がもつ欲望や嫉妬」です。
スピリチュアル体験をした記事はこちらこの考え方はアーユルヴェーダやヨーガにも当てはまるものでオーロヴィンドはそのシステムを作るのが上手だっただけです。誰が行うか、は非常に重要です。
美味しい南インド料理もポンディシェリで
ポンディシェリの昔ながらのタミル料理は、私の人生で1.2位を争うほどおいしいものばかりでした。ミールスという、南インドの定食なのですがこれがコスパもよく、お腹いっぱいになる上にとても美味しいのです。
食前のスープ。これだけでも美味しくてワクワクしました。
主人がベジタリアンなので、外食は常にベジレストランに行きますが、肉や魚がなくても十分満足できます。
ステンレスのお皿にバナナの皮をしいているのが、南インド風。ミールスは日本でも注目されているインド料理です。野菜だけでここまでおいしいミールスはポンディシェリが初めてでした。
カレーが2種類。ココナツチャツニとサンバルがついてなんと500円以下!2日連続で行ってしまいました。
そしてこのおおきなパパドと山盛りのごはんがつきます。これらのミールスはこちらで食べられます。お昼や夜は地元民で大賑わい!土日は並ぶので、予約を入れるか、お昼の早い時間がおすすめです。
これはソフトドーサというメニューでした。ドーサの生地でこんな風に柔らかいものも作れます。チャツニ2種類とサンバルでいただきます。私には少し辛いけどもちもち感とココナツチャツニはおかわりしたいぐらい美味でした。
ミールスは、このようにおかずや汁気のあるものをご飯にかけ、かき混ぜて食べます。
この食べ方も文化も北インドとはまったく違うもの!ターリーを含め、おいしいインド料理に出会ったことがなかった私は一瞬にしてミールスファンになってしまいました。
Suguru Restaurant
- 住所:Mission St, MG Road Area, Puducherry, 605001
- 電話番号:+91 4134308083
- 営業時間:7:00~22:30
- 営業日:年中無休
- 定休日:無し
- 金額:一人当たり単価:400ルピーから900ルピー
- 公式サイト:Suguru Restaurant
人気のカフェ・クレープ屋
ポンディシェリにはかわいいカフェもたくさんあります。特にインスタ映えするような場所は海沿いのフレンチコロニーに行くといいでしょう。
私が行った場所はクレープ専門店でめちゃめちゃ人気のお店。カラフルな色使いですがインドっぽさがありません。これもポンディシェリならではです。
かわいい店内には小さなブティックもありました。インドとは思えないおしゃれな店内。絵葉書やお洋服も売っていたので、次に来た時はお土産をここで買おうと思います。
インド料理に飽きたので洋食風な朝ごはん。朝8時からやっています。
カフェオレも日本で飲むような甘くない美味しいカフェオレです。このお店はかなり人気なので、すぐ満席になりました。ホテルも近くにあるのか、宿泊客も多く利用していました。このお店は、フレンチコロニーから歩いて行ける場所にあります。
Crepe In Touch
- 住所:29, Needarajapaiyer St, MG Road Area, Puducherry, 605001
- 電話番号:+91 09620089520
- 営業時間:9:00~18:00
- 営業日:火~日曜
- 定休日:月曜
- 料金:一人当たり単価:900ルピーから1500ルピー
屋台のチキンサンド
これは屋台で買ったチキンサンド。ポンディシェリでは、タミル料理、イスラム料理、アラビア料理、フランス料理、ポルトガル料理、イタリアンジェラートなどがあります。シーフードやお肉もあるので、日本人にとってはうれしいですね。
インド料理を合間に挟みながら、おいしいお酒や食事で楽しめるのも魅力の一つです。
ポンディシェリはスピリチュアルとフランス文化の街 南インド巡り(1)まとめ
ザ・観光地に赴くよりも、その街の暮らしを見るのが好きな私はポンディシェリの地元民が、如何に色々なことを受け入れてきたのかが分かった旅でした。宗教、国、言葉が違っても「いいじゃないか」と言える雰囲気。
強制することはストレスになるけれど、自分と違うからってをす非難する必要はない。ポンディシェリに来るとそんなことを感じずにはいられません。ぜひ、一度訪れてみてください。
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田澤ともき
- アーユルヴェーダがきっかけでインド在住。ハイテクから古代伝統まで、100人100色楽しめますよ。インドならではの出来事や、インド生活についてお届けします。