【韓国】日本の建物が残る全北・群山へタイムトラベル!

1899年の開港とともに発展した群山市は、ソウルから南へ約200km離れた全北特別自治道(以下全北)の北西部に位置しています。全北周辺の湖南地方は穀倉地帯で、日本統治時代には鉄道で運ばれた米を群山港から日本に搬送していました。

日本人が多く住んでいた当時の建築物や家屋が現在も数多く残り、韓国内でも指折りの近代文化都市として知られています。また、今までに数多くの映画の撮影場所にもなっています。それでは群山の街歩きをスタートしましょう!

目次

テーマは「時間旅行」まずはパンフレットをゲット!

時間旅行マウル

東西に長い群山市のほぼ中央で北部に位置するのが、観光客に人気の「時間旅行マウル」。東西に続く海望路・中央路・月明路と南北に続く大学路が交差するあたりを中心に、日本統治時代から残る家屋や近代建築物が点在しています。

バスターミナルや駅、観光案内所に置かれているこのパンフレットをゲットして、エリアをチェックしてくださいね。

李盛堂

中央路と大学路が交差する中央交差点前にある観光案内所です。向かいには、追ってご紹介する「李盛堂」があります。

群山の過去と現在「群山近代歴史博物館」

群山近代歴史博物館

国際貿易港で物流の中心だった群山の過去・現在・未来をテーマにした博物館。群山の海洋文化と近代文化を紹介しています。

群山近代歴史博物館

広々とした1階エントランスにある白い灯台は、群山から北西72km地点に浮かぶ於青島の灯台です。

群山の街で私に会う

おすすめは3階の近代生活館。「1930年9月、群山の街で私に会う」をテーマに、1930年代の群山に存在した14の建物を再現しています。ここを見てから「時間旅行」をスタートするのもいいですね。

群山近代歴史博物館

海の近くに建つ近代建築をめぐる

湖南関税博物館

湖南関税博物館

ブルーの扉と窓枠が印象的な建物は、1908年に建築された旧税関庁舎。群山税関の本館として85年間使用され、新築に伴い、2006年に湖南関税展示館として開館しました。

湖南関税博物館

ゴシック様式の屋根とロマネスク様式の窓、全体的にはヨーロッパの建築様式を融合した近代日本建築の特徴を持ち、韓国に残る西洋古典主義三大建築物の1つに数えられています。

  • 住所:韓国 Seoul, Gangnam District, Eonju-ro, 721 서울본부세관 본관 1층
  • 電話番号:+8225101082
  • 公式サイト:湖南関税博物館

群山近代美術館

群山近代美術館

長崎に本店がある第十八銀行の群山支店として建てられた建物。平屋の本館と付属建物2棟(事務室・倉庫)で構成され、当時の典型的な銀行の建物だそうです。

群山近代美術館

2008年に登録文化財に指定された後、補修・復元して群山近代美術館として活用されています。

群山近代美術館(旧台十八銀行群山支店)

  • 住所:230 Haemang-ro, Gunsan-si, Jeollabuk-do, 韓国
  • 電話番号:+82634469812
  • 公式サイト:群山近代美術館

群山近代建築館

群山近代建築館

1922年に朝鮮銀行群山支店として建てられた建物。レンガ造りの銀行建築の特徴がよく現われていて、ほかの銀行と比べて規模も大きく、建設当時は群山で最も高い建物の1つだったそうです。

群山近代建築館

終戦後、銀行として使用された時期を経て個人が所有し、2008年に群山市が買い入れて登録文化財に指定されました。その後、建物を補修して群山近代建築館として開館しました。

群山近代建築館

2階には、群山の近代建築物や、この建物の補修過程の記録などが展示されています。

群山近代建築館(旧朝鮮銀行群山支店)

  • 住所:214 Haemang-ro, Gunsan-si, Jeollabuk-do, 韓国
  • 電話番号:+82634469811

『八月のクリスマス』の撮影地「草原写真館」

八月のクリスマス

『八月のクリスマス』は、韓国で1998年1月に公開された映画。20年以上過ぎた今でも心に残る名作で、韓国人ファンたちでいつも賑わっています。実は筆者もこの映画が永遠のNO.1韓国映画。群山を訪れるたび、自然と足が向く場所なのです。

八月のクリスマス

撮影は、車庫だった建物を写真館に改造して行われました。家と庭、小学校などもこの近くで撮影されたそうです。当初の予定通り、撮影後に建物は撤去されてしまいましたが、後に復元したのが現在の建物です。

八月のクリスマス

八月のクリスマス

内部には、映画に出てくる写真機やソファ、扇風機などの小物、各シーンの写真やエピソードなどが展示されています。映画を見た方なら、きっと名シーンの数々が目に浮かぶことでしょう。

チョウォン写真館

  • 住所:12-1 Guyeong 2-gil, Gunsan-si, Jeollabuk-do, 韓国

韓国三大ベーカリー「李盛堂」

李盛堂

1945年から続く韓国で一番古いパン屋さん。この場所には日本統治時代に日本人経営のパン屋があり、終戦後に李盛堂がオープンしました。いつも行列ができる超人気店ですがチェーン展開せず、群山のほかにはソウルや京畿道にいくつかの店舗があるだけです。

人気はあんパンと野菜パン。箱で買う人も多く、飛ぶように売れていきます。店内には種類豊富なパンがぎっしりと並び、どれにしようか悩んでしまいます。パンのほかにケーキ屋お菓子もいろいろ。黄色い袋を下げた人たちが次々とお店から出てきますよ。

李盛堂 店内

本店の隣に新館があり、2階がカフェになっています。1階にはかわいらしいパッケージのお菓子もあり、おみやげに買って帰りたいものがたくさん。こちらも要チェックです!

野菜パン

ドリンクを注文して、本店で買った野菜パンを食べました。中にはあっさりとした味付けのキャベツがたくさん。やわらかいけど食感がよく、野菜を包み込むパンとともに素朴なおいしさで、また食べたくなる味です。

李盛堂 /イソンダン(이성당)

  • 住所:177 중앙로, Gunsan-si, Jeollabuk-do, 韓国
  • 電話番号:+82634452772
  • 営業日:月曜日~日曜日
  • 営業時間:8:00~21:00
  • 公式サイト:李盛堂 /イソンダン(이성당)

時間旅行者の書店「茉莉書舎」

茉莉書舎

青い屋根のお店は日本統治時代に建てられた家屋。書斎のような店内は、木の温かみが伝わってきます。

時間旅行者の書店「茉莉書舎」

文学や芸術をはじめ、群山に特化した本や日本の本も並んでいます。絵がかわいらしい絵本なら、韓国語の本にもチャレンジできそうですね。

時間旅行者の書店「茉莉書舎」

旅先で本屋さんを見つけると、必ず立ち寄るようにしています。訪れる前に、本屋さんはないかなと探してから行くことも。特に独立書店は地域に密着したお店が多く、その土地の情報を発信しているので、旅がもっと楽しくなるんですよね。

茉莉書舎(マリソサ)

  • 住所:群山市クヨン5街21-26
  • 電話番号:063-445-7364
  • 定休日:月曜日
  • 営業日:11:00~19:30(日曜11:00~18:00 )
  • 公式サイト:茉莉書舎

まだまだ見どころがたくさん!

新興洞 日本式家屋

群山には日本家屋が数多く残っていますが、歩いて回れるこのエリアにも点在しています。この「 新興洞 日本式家屋」は、米穀商で大地主だった広津吉三郎の住まいでした。

『将軍の息子』など映画の撮影地

2005年に登録文化財に指定され、一般開放されました。『将軍の息子』など映画の撮影地としても知られています。

大韓仏教曹渓宗第二十四教区「東国寺」

大韓仏教曹渓宗第二十四教区「東国寺」。1909年に曹洞宗の僧侶が布教所を開設し、1913年、現在地に移り錦江寺の名で創建されました。

大韓仏教曹渓宗第二十四教区「東国寺」

日本統治時代に建てられた寺院の中で唯一寺院という機能を維持し、建築当時の姿を最もよく残している日本式寺院です。

濱海園

登録文化財に指定されている濱海園。1950年から続く中華料理店で、この建物は1965年に建てられました。1階の中央に大きなテーブルがあり、吹き抜けの2階は、空間を囲むように部屋が並ぶ独特な造りです。映画『傷だらけの二人』の賭博のシーンが店内で撮影されました。

ちょっと足をのばして「京岩洞鉄道村」へ

京岩洞鉄道村

ぜひ行ってみてほしいのが、線路跡が残る京岩洞鉄道村。このエリアからタクシーで10分ほどです。海望路を通るバスでも行けますので、案内所で聞いてみてくださいね。

京岩洞鉄道村

1944年、群山市京岩洞に新聞用紙の材料を運ぶための線路が開設されました。群山駅と工場までつながり、それとともに線路周辺に人々が暮らしはじめて村が形成されました。鉄道は、2008年6月に廃線になりました。

映画『傷だらけの二人』のワンシーン

左の写真のように、家と家の間を縫うように列車が走っていたそうです。右の写真は、ここで撮影された映画『傷だらけの二人』のワンシーン。この映画は、全シーンの90%以上を群山で撮影したそうです。

京岩洞鉄道村

数年前に訪れた時とは様変わりして、お店がぎっしりと並んでいました。昔の制服がレンタルできる店や懐かしい駄菓子を売る店などが並び、制服姿で写真を撮る人たちで賑わっています。

京岩洞鉄道村

お店をのぞきながらぶらぶらするのも楽しいのですが、ちょっと風情がないなと思ったら、お店が途切れたところから(3つ上の写真の踏切を背にして)横断歩道を渡ってさらに進んでください。

京岩洞鉄道村

京岩洞鉄道村

列車が走っていた風景を思い浮かべることができる風景が残っています。

京岩洞鉄道村

  • 住所:韓国 Jeollabuk-do, Gunsan-si, Gyeongam-dong, Gyeongchon 4-gil
  • 電話番号:+82634506598
  • 営業時間:24時間営業

群山市までのアクセスは?

ソウルから群山へのアクセスは、セントラルターミナルから運行している高速バスが便利です。東ソウルターミナルからの市外バスは本数が少ないので要注意。
群山高速バスターミナルと市営バスターミナルは隣接していて、今回ご紹介したエリアまでタクシーで10分もかかりません。路線バスは、市外バスターミナル停留所から近代歴史博物館停留所まで15分ほどです。

おわりに

全州、益山に続き、今回の群山で全北特別自治道の3都市をご紹介しました。歴史的にもそれぞれに見どころがあり、食べものも美味しい全北へぜひでかけてみてください。ソウルから益山までKTXが利用でき(所要時間1時間30分ほど)、益山駅前には全州行きと群山行きの市外バス停留所があります。

まずはソウルから益山に移動して、益山を拠点にスケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。のんびり過ごす地方の旅、全力でおすすめします!

※この情報は、2024年7月の取材に基づくものです。

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あんそら

2005年より「あんそら」のペンネームで韓国のガイドブック(単行本)を企画・製作。2021年12月から、韓国の地方都市でのんびり暮らしています。

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