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海外のトイレはどう使う? どこにある? 主な国ごとのトイレ事情
海外旅行の際に気になること、不安なこととしてよく挙げられるのが「トイレ問題」。「日本のトイレ事情は世界一」という声もあるほど、日本のトイレは清潔で快適ですが、ところ変わればそうはいかないこともあります。
日本のトイレと海外のトイレにはどんな違いがあるのでしょうか。また、主要各国のトイレ事情はどうなっているのでしょうか。気になる海外のトイレ事情を解説します。
目次
1. 日本と違い海外のトイレでよくあるケース
清潔なトイレがいつでもほぼ無料で利用できる日本と違って、海外では清潔とはいえないトイレに遭遇したり、トイレの利用にお金がかかったりすることも珍しくありません。
まずは、日本のトイレと海外のトイレの違いをおさえておきましょう。
トイレットペーパーがない
<出典元:写真AC>
日本では無料の公衆トイレであってもトイレットペーパーが備え付けられているのが当たり前ですが、海外ではトイレットペーパーはあって当たり前のものではありません。
イスラム圏やインド、タイなどでは、用を足した後は水で洗う習慣があります。そのため、外国人観光客の多い場所や都市部のショッピングセンター、ホテルなどではトイレットペーパーがあっても、現地の人々が利用する場所や昔ながらのトイレにはトイレットペーパーが備え付けられていないことが多いです。
上で挙げた地域や国以外でも、トイレのメンテナンスの状態が悪く、トイレットペーパーが切れているということもあります。海外旅行の際は、トイレットペーパーやトイレに流せるティッシュなどを持参しておくと、いざというとき安心です。
トイレットペーパーを流せない
備え付けのトイレットペーパーがあったとしても、東ヨーロッパの一部の国や中国、台湾などのように、トイレットペーパーをトイレに流せない国や地域は少なくありません。水圧が弱い、水道管が細い、トイレットペーパーが水に溶ける素材でできていない等の理由で、トイレットペーパーをトイレに流すと詰まってしまうからです。
これらの国では、トイレのそばに大きなゴミ箱が置いてあり、使用済みのトイレットペーパーはゴミ箱に捨てます。
ただし、上に挙げた国でも、トイレットペーパーを流しても問題がない場所もありますし、上記の国以外でトイレットペーパーを流してはいけないトイレに遭遇することもあります。海外のトイレを利用する際は、「トイレットペーパーを流してはいけない場合がある」ことを念頭に置き、トイレのそばにペーパー用のゴミ箱がないか、「トイレットペーパーをトイレに流さないで」という張り紙がないか、意識してみてください。
トイレの利用にお金がかかる
<出典元:写真AC>
日本ではトイレにお金を払うことはめったにありませんが、海外ではトイレの利用にお金がかかるのは当たり前で、清潔なトイレを無料で利用できる国はむしろ少数派といえます。
例えばヨーロッパの多くの国では、街中にある公衆トイレは有料が基本。駅のトイレやショッピングセンター内のトイレも有料またはチップ制(金額は決まっていないものの、ある程度のお金を置いていくことがマナーとなっている)であることが多く、1回の利用につき日本円で50円~150円程度の料金がかかります。
海外の有料トイレは、管理人にお金を手渡しで払う有人タイプと、ゲートにお金を入れて利用する無人タイプがありますが、有人の場合でも、お釣りがないなどの理由で小銭の持ち合わせがないと必要なときにすぐ利用できないことも。必要なときにサッと行けるよう、トイレが有料の国では、常にある程度の小銭が手元に残るようにしておくと便利です。
トイレが汚い
国や地域にもよりますが、海外では汚いトイレに遭遇する確率が大幅にアップします。水洗のはずなのに水が流れない、便座が汚れている、和式に似たしゃがむタイプのトイレで足元がびしょびしょになっている、トイレットペーパーがあちこちに散乱しているなどです。
一般的に、有料のトイレはきれいに保たれていることが多いですが、場合によっては有料トイレでも驚くほど汚いトイレに遭遇することもあります。
便座が高い
オランダなど平均身長の高い国では、日本よりも便座の位置が大幅に高いこともあります。女性の場合はそれほど不自由を感じないかもしれませんが、男性用の小便器の場合、人によっては背伸びしないと使えないこともあります。
トイレの数が少ない
国や地域にもよりますが、日本と比べて海外では公衆トイレの設置数が少ない傾向にあります。また、日本ではトイレの設置が「サービス」の一環と捉えられているため、ショッピングセンターや百貨店に行くと、1階を除く各階にトイレがあることが多いですが、海外ではショッピングセンターの最上階、またはごく限られたフロアにしかにしかトイレがないということもあります。
鍵やパスワードが必要なトイレがある
アメリカや一部のヨーロッパ諸国などでは、カフェやレストランのトイレに鍵がかかっていて、スタッフから鍵を借りないとトイレの利用ができないことがあります。これは、飲食物を注文せず、トイレだけ利用する人が出てくるのを防ぐためです。
セルフ式のチェーンカフェなどでは、トイレのドアにパネルがあり、パスワードを入力してロックを解除する仕組みになっていることも。その場合は、レシートでパスワードを確認する、あるいはスタッフに聞くなどしてロックを解除します。
2. 国・地域ごとのトイレ事情
上記で海外のトイレについて知っておきたいことを解説しましたが、ここからは日本人がよく訪れている国や地域を中心に、個別のトイレ事情をご紹介します。
中国
<出典元:写真AC>
日本人が「トイレで困った経験のある国」としてよく挙げる国のひとつが中国。中国の昔ながらのトイレには壁やドアがなく、用を足していると隣の人と目が合うため「ニーハオトイレ」として旅人のあいだでは有名でした。
近年は都市部を中心に個室の水洗トイレが普及しているため、トイレ中のプライバシーが保たれない心配はほとんどなくなりましたが、和式トイレに似た昔ながらのトイレも残っています。
また、ホテル等を除き、トイレットペーパーが設置されていることは少ないため、中国旅行中はトイレットペーパーや水に流せるティッシュを持ち歩くようにすると安心です。使用済みのペーパーはトイレに流さず、備え付けのゴミ箱に捨てるようにしましょう。
台湾
台湾のトイレ事情は近年大きく変わりつつあり、日本人観光客が訪れるような場所では、安心してきれいなトイレが利用できるようになってきています。
台湾では、ショッピングセンターや駅、公園などに無料のトイレがあるほか、コンビニやスーパーでもトイレが借りられるケースがあります。トイレがあるお店は看板にトイレマークがあるので、街中でトイレに困ったら周囲を見回してみてください。
ただし、日本に比べてトイレットペーパーが設置されていないトイレが多いほか、水圧の関係などでトイレットペーパーを流せないトイレもあります。
香港
香港では、ホテルやショッピングセンターのトイレは清潔ですが、公園や街中にある公衆トイレは「きれい」とは言い難く、トイレットペーパーが設置されていないことも多いのが実情です。
食事をしたレストランやカフェのトイレは当然利用できますが、店によってはスタッフから鍵を借りる必要があります。また、一部の駅を除き、地下鉄駅にはトイレがないことにも注意が必要です。
韓国
世界的に見ると、韓国のトイレは比較的清潔。特に、ホテルやショッピングセンター、地下鉄駅など、旅行者が多く利用する場所のトイレはきれいに保たれている傾向にあります。
ただし、古い雑居ビルの共用トイレなどは清掃が行き届いていないことがあるほか、トイレットペーパーが流せないトイレもあります。また、場所によってはトイレの個室内にトイレットペーパーがなく、トイレの入口付近などにトイレットペーパーが設置されていて、そこから必要な分だけ取って使うシステムになっていることもあるので注意しましょう。
ベトナム
<出典元:写真AC>
日本人の感覚からするとベトナムのトイレ事情は「良い」とはいえないため、滞在先のホテルやレストラン、お金を払って入場する観光施設などで済ませるのが無難。ホテルやショッピングセンターのトイレはきれいですが、飲食店の場合、清潔とはいえないトイレに出くわすこともあります。
公衆トイレは少ないですが、公衆トイレのそばに係員がいる場合は有料です。また、トイレットペーパーは設置されていないので、係員からペーパーを購入しましょう。地方の食堂や安宿などでは、和式トイレに似たベトナム式のトイレが残っており、手桶でバケツの水を汲んで、手動で流します。
タイ
<出典元:写真AC>
タイでもベトナム同様、トイレはホテルやレストラン、ショッピングセンター、観光施設などで利用するのが無難です。
都市部のトイレは水洗の洋式トイレが主流になってきていますが、手桶で水を流すタイ式トイレに遭遇することもありますし、洋式トイレでありながら、水を流すのは手動というトイレも存在します。手動で水を流すタイプのトイレの場合、トイレットペーパーが備わっていないことが多いことに注意しましょう。
海外で日本式のウォシュレットを見かけることは少ないですが、タイでは一部の高級ホテルや高級ショッピングセンターのトイレに日本式のウォシュレットが備わっていることがあります。また、タイ式のトイレには「ウォーターガン」と呼ばれる手動ウォシュレットが備わっています。
シンガポール
「清潔な国」として有名なシンガポールは、トイレ事情も良好。ホテルやレストランはもちろん、ショッピングセンターやMRT駅、ホーカーズ(屋台街)などでトイレを利用できます。シンガポールのトイレは多くが無料ですが、公園のトイレやホーカーズのトイレは有料のところもあります。
基本的にシンガポールのトイレにはトイレットペーパーが備わっていますが、個室内になく、トイレの入口付近の壁に設置されたペーパーを必要な分だけ取ってから個室に入るタイプのトイレもあるので注意が必要です。なお、シンガポールでは用を足した後にトイレを流さないのは違法にあたり、見つかった場合は罰金が科せられます。
フィリピン
フィリピンでもホテルや近代的なショッピングモールなどでは、水洗の洋式トイレが主流ですが、ほかの東南アジア諸国同様、手桶で水を流すタイプの洋式トイレや、和式トイレに似たフィリピン式トイレも少なくありません。洋式トイレなのに便座がないことも多く、ほかの人が靴で踏んで汚れていることもあるので、直接座るのに抵抗がある人は、便器のフチに靴のまま足をのせてしゃがむなどして用を足すことになります。
また、フィリピンのトイレにはトイレットペーパーが備わっていないことが多いため、トイレットペーパーやティッシュを持ち歩くようにしたほうがいいでしょう。また、フィリピンは水道管が細く、水圧も弱いため、トイレットペーパーは流さず、トイレの横にあるゴミ箱に捨てるようにしてください。
インド
インドのトイレ事情も良好とは言い難いため、トイレはできる限りホテルや観光客の利用が多いレストランなどで済ませておくことをおすすめします。城などの観光施設にもトイレはありますが、あまりきれいではなかったり、和式に似たインド式であったりすることも多いです。インド式トイレは、場所によって水洗式の場合と、手桶で水を流すタイプの手動式の2種類があります。
インドのトイレはホテルなど一部施設を除き、基本的にトイレットペーパーは備わっていません。トイレットペーパーがあっても流せないトイレもあるので、注意書きなどがないか確認しましょう。また、インドの公衆トイレは多くが有料です。
ドイツ
<出典元:写真AC>
ドイツのトイレは世界的に見ても比較的きれいといわれています。ただし、公共のトイレは有料が基本。街中の公衆トイレはもちろん、駅構内のトイレやショッピングセンターのトイレもほとんどが有料またはチップ制です。駅のトイレは有料ですが、ローカル線を含むほとんどの電車にトイレの設備があり、無料で利用できるため、ドイツで鉄道旅行をする場合は、駅ではなく、車内のトイレを利用するのもいいでしょう。
スペイン
<出典元:写真AC>
日本に比べると公衆トイレの数が少ないスペインでは、ホテルやショッピングセンター、ミュージアムなどの観光施設、レストラン、カフェなどがトイレを利用しやすい場所です。近くにショッピングセンターなどが見当たらない場合は、最寄りのカフェやバルなどに駆け込むのがいいですが、トイレだけの利用はマナー違反なので、安いドリンクなど何かしら注文するようにしましょう。
また、スペインのトイレには便座がないことも珍しくありません。直接座るのに抵抗がある場合、中腰で用を足したり、便器のフチに靴をのせてしゃがんだりと、日本では考えられない体勢で用を足すことになるかもしれません。
アメリカ
多くの国同様、アメリカも日本に比べ公衆トイレの数が少ないため、ホテルやショッピングセンター、レストランやカフェ、観光施設などでトイレを利用するのが一般的です。これらの施設のトイレは比較的清潔に保たれていますが、防犯上の理由から個室の上下に大きな隙間が空いていたり、便座が高かったりすることも多いため、落ち着かない気持ちになるかもしれません。
また、アメリカのカフェやファストフード店のトイレは施錠されていることが多々あります。その場合は、スタッフから鍵を借りるか、パスワードを聞いて解錠します。
ハワイ
<出典元:写真AC>
ハワイのトイレ事情も本土とおおむね似たようなものなので、滞在しているホテルやショッピングセンター、レストランやカフェなどでトイレに行っておくようにしましょう。
エジプト
エジプトも公衆トイレの数が少なく、あっても清潔とはいえない場合が多いため、滞在しているホテルやレストラン、外国人の利用が多い観光施設などのトイレを利用するのが無難。ただし大衆的な食堂のトイレは汚れていることもあります。
イスラム圏では用便後に水で洗う習慣があるため、トイレットペーパーが備わっていないトイレも少なくありません。公衆トイレはたいてい有料で、チップと引き換えに紙をもらえます。
オーストラリア
オーストラリアのトイレは世界的に見ても比較的清潔です。たいていは無料で利用できますが、公衆トイレの数は多くないため、ホテルやショッピングモール、レストランやカフェ、駅などでトイレを利用するのが一般的です。
飲食店の場合、スタッフに鍵を借りたり、パスワードを聞いたりして、ドアを解錠してから利用するシステムになっているところもあります。
3. 海外での基本的なトイレ対策
海外では、トイレの利用が有料だったり、勝手がわからないと最寄りのトイレがどこにあるかわからなかったりして困ることがあります。そのため、海外旅行中は「行けるときに行っておく」が基本。ミュージアムなどお金を払って入場する観光施設や飲食したレストランやカフェのトイレは無料で使えることがほとんどなので、そうした施設を利用した際は、特にトイレに行きたくなくても行っておくようにしましょう。
先進国を中心に、アプリで近くにあるトイレを探せる場合もあるので、訪れる国に対応しているトイレ検索アプリを入れておくとより安心です。
また、すぐにトイレに行きたいけれど公衆トイレが見つからない場合、最寄りのカフェに駆け込むのも手。トイレを利用した後、そのカフェで休憩してもいいですし、休憩する時間がないときは「使用料を払うのでトイレだけ貸してほしい」と相談してみましょう。
4. 海外でのトイレのために持って行きたいグッズ
日本と勝手が違うことも多い海外のトイレ。次のようなグッズを用意しておくと、海外でのトイレにまつわる不安やストレスが軽減できます。
トイレットペーパー前述の通り、国や地域によってはトイレにトイレットペーパーが設置されていないことも珍しくありませんし、本来トイレットペーパーがあるはずの場所でも、トイレットペーパーが切れていることもあります。
そのため、トイレットペーパーや水に流せるティッシュを携帯しておくと、いざというときも安心。トイレットペーパーは芯を抜いてつぶすとコンパクトに持ち運べます。
ウェットティッシュ
<出典元:写真AC>
海外のトイレは便座が汚れていたり、便座自体がなかったりすることもあるため、除菌ができるタイプのウェットティッシュで拭いてから使用すれば、より気持ちよく用を足すことができます。海外のトイレでは、手洗い場に石鹸がなかったり、蛇口が壊れていて水が出なかったりすることもあるため、そんな場面でもウェットティッシュが役立つでしょう。
携帯トイレ・携帯便座
<出典元:写真AC>
携帯トイレは人目があるところでは使えないため、一般的な海外旅行で携帯トイレが必要になることはほとんどないはずです。ただし、トイレはあっても便座が汚くて直接座るのに抵抗がある場合や、国によっては便座がないトイレに遭遇することもあります。トイレにかぶせて使用する携帯便座も発売されているため、気になる方は使用を検討してみてもいいでしょう。
携帯ウォシュレット
日本ではあって当たり前のウォシュレットですが、海外ではほとんど普及していません。一部の国の高級ホテルや高級ショッピングモールではウォシュレットが備わっていることもありますが、海外ではウォシュレットはないのが当たり前だと思っておいたほうがいいでしょう。
「どうしてもウォシュレットがないと困る」という人は、海外旅行に携帯ウォシュレットを持参するとよさそうです。
トイレにまつわる不安をほとんど感じなくて済む日本に住んでいると、海外のトイレは何かと不自由に感じることもあります。とはいえ、何事も経験すればある程度は慣れるもの。必要な対策は取りつつ、トイレの違いも「異文化体験」と受け止められるようにしたいものです。
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