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【オーストラリア】田舎暮らしの実態!
大阪郊外出身の私は子どもの頃から田舎暮らしに憧れていましたが、今まさに田舎暮らしをしています。日本の約20倍広いオーストラリア大陸の片隅での田舎暮らしは、皆さんの目にどう映るでしょうか?
目次
私の住んでいる地域
私は西オーストラリア州の州都パースから南東に約500km下ったところの海辺の町の農場で暮らしています。
町の人口は100人以下で、町の中心部には商店を併設した小さなガソリンスタンドとフットボール場があるだけで、学校もスーパーもカフェも病院も教会も交番もありません。
そもそも町の中心部の住宅地には家が5軒しかなく、住民のほとんどが農業関係で働く農場暮らしです。
うちの農場が800haですが、近隣も同じようなサイズです。つまり、隣の家まで数km離れているのも当たり前です。
うちから約40km先の隣町には観光地として密かに人気なBremer Bayがありますが、それでも人口500人以下。
Bremer Bayには学校があるので、うちの近隣に住む子どもたちは隣町まで通っています。しかし高校になると、更に100km離れた町にしかありません。
Bremer Bayだと少し大きめの商店もありますが、品ぞろえが悪く値段もかなり高いので、必要なものがあるときは150km離れた大きめの街で買い物するのがこの地域の人の生活スタイルです。
以前、Bremer Bayについて記事を書きましたので、よかったら見てくださいね。
>>以前の記事:知る人ぞ知る、西オーストラリア州の秘境Bremer Bayの魅力~映画の舞台にもなりました!~
ライフライン
ここまででだいぶ田舎の方に住んでいると分かってもらえたと思いますが、みなさんがまず気になるのが、電気ガス水道といったライフラインの整備かと思います。
我が家には電気は通っていますが、ガスと水道は通っていません。
<我が家の前にある木の電柱>
ガスはプロパンガスを使用しています。もちろん替えがすぐ手に入るわけではないので、常に予備タンクを常備しています。
水は雨水を溜めて使用しています。これは生活用水だけでなく、飲料水としても使います。その溜め方とは、屋根に降った雨を雨樋伝いでタンクに溜めるという方法です。
<青丸が雨樋、赤丸がタンク>
このタンクに溜まった水を網戸のメッシュ程度のフィルターで濾すだけで、そのまま飲んでいます。気になる家庭ではUV殺菌をしたりしますが、私の知る限りではフィルターで濾すだけの人が多い印象です。
この経験がない人には驚かれて飲むのに抵抗がある人もいますが、私はこれを8年間飲み続けていますが何の問題もありません。むしろ甘くまろやかに感じ、たまに街で水道水を飲むと臭みが気になって飲めません。
私の地域では夏には雨がほとんど降らないので、年中の水の確保のために5個の雨水タンクを使って、最大約20万リットルが確保できるようしています。
このライフラインの状態は我が家だけでなく半径100km圏内もみな同様で、学校の水も雨水を使用しています。
ちなみに我が家にはテレビもWi-Fiも通っておらず、携帯はメジャーな一社のみギリギリ繋がるという環境で、携帯に関してはブースターを使って家周辺ならばなんとか使用可という状態です。
電気に頼らない暮らし
電気は通っているものの、悪天候やブッシュファイヤーの影響で停電になることもしばしばあるので、電気に頼りきった暮らしはできません。
例えば水道。日本で暮しているときはあまり意識していませんでしたが、蛇口から水が出てくるためには、ほとんどの場合電気ポンプが使われています。つまり、停電時には断水状態になってしまいますよね。
うちでは家よりも高い位置に貯水タンクを設置しているので、水は重力のみで蛇口から出てくるようにしています。電気があるうちに雨水タンクからこのタンクに水をポンプで移動させており、常に1週間分の水が電気なしでも使えるようにしています。
給湯器は薪で沸かすものです。
家には冷房なし、暖房は薪ストーブのみです。
<薪は敷地内で調達>
私の住んでいる地域だと夏の日中の平均気温は26℃でドライ、朝晩は15℃くらいなので快適です。家の造りも昔ながらのもので家の周りにベランダがあり、これが直射日光を家の中に入らせない構造にしています。日本でいうところの縁側ですね。
年に数回ほど40℃近く暑くなることもありますが、そういう日は早朝から窓を全開にして冷気を取り込み、日が差すころには窓とカーテンを全部締め切るという方法で、1日中それなりに快適に過ごせます。
冷蔵庫は確実に電気に頼っていますが、冷凍庫には常に5Lバケツサイズの氷を数個作っており、停電時にはそれを冷蔵庫に入れています。
しかし、あまりにも食料が多いときはジェネレーターを使っています。
郵便や宅配サービス
こんなに田舎ですが、郵便物や宅急便は届きます!ただし、月水金のみの配達です。私たちのように敷地の広い農場に住んでいると、家のドアまで届けてくれることはなく、配達は主要道路までしか持ってきてくれません。
すなわち、郵便受けは家から離れた主要道路沿いに設置されます。我が家の場合は家から郵便受けまで3km離れています。
自分で待ち伏せをする以外に配達を対面でされることがないので、郵便受けは段ボール箱でも入るように大きなものを使用。
<うちの郵便受けは200Lドラムを使用>
それにも入らないような大きな物が配達されるときは、『茂みに隠して置いたから早めに取りに行ってください』と連絡がきます。自分が外出中のときは近所の人に茂みまで取りに行ってもらっています。
<実際に置かれている様子>
家具などの大きな物になると100km先の営業所止まりになり、自分でトラックやトレーラーを牽引して取りに行かないといけません。
こんな感じなので、書留だろうがサインなしで配達が完了されてしまいます。食べ物のデリバリーサービスの場合は?と思われるかもしれませんが、この地にはそんなものは存在しません。
医療・救急時
このような田舎暮らしをしていて一番不安に感じるのが医療です。150km圏内に医師が常駐している医療機関はなく、隣町には看護師が常駐しており、そこに週1回だけ医師の訪問があります。
<隣町の看護師のいるヘルスセンター>
オーストラリアでは患者が直接専門医にかかることができず、まずは自分のかかりつけ医に見てもらうのが原則ですが、みなさん何百kmも離れたかかりつけ医に行っています。私たちのかかりつけ医は自宅から350km離れています。
非常事態ではないときならばこれでも仕方ないですが、救急時は大変です。実際に自宅から救急車を呼んだことがありますが、到着まで1時間かかり、救急隊が迷子にならぬようにと主要道路まで車で出て待機する必要がありました。
救急隊は地元のボランティア員のみで構成されているので医療行為ができず、最寄りの看護師のいる場所まで運ばれ、そこからオンライン医師との相談で200km先の大きな病院に送られるか決められます。
実際に夫が救急車で運ばれたときは、救急車を呼んでから病院に着いたのは6時間後のことでした。
ちなみに、事故や火災が発生した場合も地元ボランティアによるエマージェンシーサービスが発動します。
<海が近いので救急ボートもある>
自給自足とDIY
ここまで読んでもらうと、とにかく全てが遠いことが分かってもらえると思います。買い物ひとつで往復300km移動になるので、自給自足やDIYな暮らしになってきます。
家庭菜園では夏には約30種類の野菜や果物を育て、たくさん採れたものは乾燥させたりピクルスにしたり、冷暗所で長期保存したり。
<ある日の家庭菜園からの収穫物>
たんぱく源にはニワトリやカモ、ガチョウや七面鳥の卵と肉、ヤギ農家でもあるので肉には困りません。
池ではシルバーパーチというスズキの一種を養殖しており、ダムにはヤビーという食用ザリガニもいます。
買い物は基本的に月に1回で足りるようにしており、買い物時に足りない野菜や調味料、ロングライフミルク、チーズ、お菓子などを大量に買います。
<ロングライフミルクは常温で半年ほどもつ>
うちの夫はファーマーかつ、建築仕事をしているので、車や家の修理、土木作業など全て1人でおこなうことができます。
<寝室にお風呂場を増築。配管も全てDIY>
<夢に見た日本式のお風呂場を再現!>
まとめ
オーストラリアの片隅での田舎暮らしはいかがでしたか?みなさんの想像より過酷、もしくは甘かったでしょうか?私にはかなり頼れる夫がいるので、なんとか快適に過ごせていますが、DIY力は必須です。そして、この地で暮らすに当たって最も大事なのは、健康と安全第一だと心底思います。
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- 西オーストラリア州南部のド田舎でヤギとアルパカの世話をしながら建築業を営む兼業農家。都会のオシャレな情報よりも、僻地のクセある情報に強いです!