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【韓国】地方旅行に便利なシティツアーバスで、全北・益山(イクサン)をひとめぐり!
何度かソウルを旅行したら、地方にも行ってみたくなりますよね。前回の「全州の紅葉」に続いて、今回は全北・全州市の隣に位置する益山(イクサン)市でシティツアーバスに乗ってみました。
各地で実施しているシティツアーバスは、旅行者も便利に利用でき、出発時間やコースが決まっているテーマ型や、乗り降り自由の循環型などがあります。今回利用したのは、予約不要で乗り降り自由の循環型シティツアーバス。益山市では、例年3月から12月まで運行しています。
>>前回の記事「ソウルからの日帰り地方旅は、秋の全州がおすすめ!」はこちら
目次
- 益山市って、どこにあるの?
- 益山駅前から、シティツアーバスに乗ろう!
- 韓国伝統の甕が約5,000個!「Goseulag(コスラク)」
- 韓国初の刑務所セット場「益山刑務所セット所」
- ユネスコ世界文化遺産「弥勒寺址」
- ユネスコ世界文化遺産「王宮里遺跡」
- 宝石の都市ならでは「益山宝石博物館」
- 益山駅前に戻って、ビールで乾杯!
- おわりに
益山市って、どこにあるの?
全北特別自治道・益山(イクサン)市は、韓国南西部に位置し、ソウル駅または龍山駅からKTX(韓国高速鉄道)に乗ると、平均1時間20分で到着します(1日36本/2023年12月現在)。
益山市と聞いても、知らない人が大半かもしれませんが、2015年にユネスコ世界文化遺産に指定された「百済歴史遺跡地区」の弥勒寺址と王宮里遺跡があり、歴史、特に百済文化に関心のある日本人がたくさん訪れています。この2か所は、今回紹介するシティツアーバスのコースに入っていますよ。
益山駅前から、シティツアーバスに乗ろう!
シティツアーバスの乗り場は益山駅前にあり、市内バスのバス停が目印です。循環型バスは予約不要なので、直接バス停でバスを待ち、乗車時に料金を払って乗車券を受け取ります(1日券/4,000ウォン)。
循環型シティツアーバスは益山駅10:00が始発で、以降毎時10分に益山駅前を出発します。1時間ごとにバスが来るので、すべての場所で1時間ごとに乗り降りすると、始発から最終までで、コースの全スポットが制覇できます。
私は今回、11時10分発でスタートしたので、最初に2番目のスポット「Goseulag(コスラク)」で降りることにしました。では、出発です!
韓国伝統の甕が約5,000個!Goseulag(コスラク)
最初に下車したコスラクは、3万坪余りという韓国最大規模を誇る韓国伝統甕の庭園。庭園内にある4,000個以上もの甕は、20年以上にわたって、全国各地を歩いて集めたものだそうです。
これらの甕では、有機栽培の材料だけで作られた醤油や味噌などを自然発酵・熟成させています。園内では、ここで作った醤油や味噌、コチュジャンなどを販売しているので、おみやげに買って帰るのもよさそうです。
園内のレストラン「利花東山」では、メイン料理に季節のおかずなどがセットになった韓定食が味わえます。ごはんは72時間以内に精米したお米、味噌や醤油も園内で作られたものと聞き楽しみにしていたのですが、注文は2名以上から。1人で注文できるメニューがなくて残念でした。韓国では一般の食堂でも2名以上から注文可能の場合が少なくないので要注意ですね。
Goseulag(コスラク)
- 住所:Seongmae-ri, Hamyeol-eup, Iksan-si, Jeollabuk-do, 韓国
- TEL:+82 63 861 2288
韓国初の刑務所セット場「益山刑務所セット所」
次は、2005年に映画『ホリデー』の撮影所として造られた益山刑務所セット場です。もとは廃校になった小学校だったそう。現在までに多数の映画やドラマが撮影されています。
館内では、囚人服や刑務官の制服が借りられます。衣装を身に着けて館内を見学したり、写真を撮るってみると、より一層楽しめますね。
館内には、留置所や面会室、雑居房、独居房、小法廷などがあり、自由に見学・体験できます。左のドアが開いている雑居房が、日本でも人気の映画『七番房の奇跡』の撮影が行われた場所で、ポスターなどが飾られています。
Iksan Prison Set(益山刑務所セット所)
- 住所:207 Hamnang-ro, Seongdang-myeon, Iksan-si, Jeollabuk-do, 韓国
- TEL:+82 63 859 3836
- 公式サイト:益山刑務所セット所
ユネスコ世界文化遺産「弥勒寺址」
次に降りたのは、弥勒寺址。弥勒寺は、7世紀に百済武王によって建てられました。現在は寺院としての建物は残っていませんが、国の文化財研究所の調査により、東西二つの石塔の間に木塔があったことがわかっています。百済の伽藍配置は一塔一金堂式なので、寺を3つ並べたような三塔三金堂式ということは、百済だけではなく、韓国で最大規模の寺院だといえます。
国宝第11号の石塔は、現存する国内最古・最大の石塔。西塔は2001年から修復が行われ、2019年に完了しました。新たに美しい姿を見せた石塔は、昔の石材を80%再利用し、新しい石材は益山で採石された花崗岩を使っているそうです。
2つの塔が美しく池に映っています。葉のない木やかれた芝生が少し寂しく見える冬の風景ですが、春から夏は池の周りを木々が覆うので、この風景を見ることができません。四季折々に美しい弥勒寺址ですが、まるで絵のように2つの塔が水面にくっきりと映るのは、冬ならではの凛とした風景なのです。
東塔の中から見る西塔は、額縁の中の絵のようです。フォトポイントなので、お忘れなく。
益山 弥勒寺址
- 住所:97 Giyang-ri, Geumma-myeon, Iksan-si, Jeollabuk-do, 韓国
- TEL:+82 63 830 0900
- 関連サイト:益山 弥勒寺址(文化財庁)
ユネスコ世界文化遺産「王宮里遺跡」
次は2つ目の世界遺産、王宮里遺跡。百済の王宮があったところで、国宝第89号の王宮里五重石塔が遺跡の中心部に位置しています。百済の王宮関連建物跡や、金堂跡などの寺院関連の建物跡などが残る広大な遺跡で、百済の王宮として当時の構造がわかるのはここだけなのです。
1965年、傾いていた五重石塔の解体・補修の過程で、ガラス製の舎利瓶や金製の舎利瓶台・舎利内箱など、舎利荘厳の遺物が塔の1階部分から発見されました。これらの遺物は、弥勒寺址にある国立益山博物館に展示されています。
王宮里遺跡
- 住所:80-1 Wanggung-ri, Wanggung-myeon, Iksan-si, Jeollabuk-do, 韓国
- 関連サイト:王宮里遺跡(文化財庁)
宝石の都市ならでは「益山宝石博物館」
最後に降りたのは益山宝石博物館。宝石の都市として名を馳せる益山で、地域の特化産業である貴金属加工産業と宝石の美しさを伝えるために2002年に開館しました。
館内は、常設展示館、企画展示室および実感体験館などで構成されています。純金弥勒寺石塔(再現品)など、見ごたえのある作品が展示されています。
益山 宝石博物館
- 住所:8 Hoban-ro, Wanggung-myeon, Iksan-si, Jeollabuk-do, 韓国
- TEL:+82 63 859 4642
- 公式サイト:益山 宝石博物館
宝石博物館17:25発の最終バスに乗り、益山駅に戻りました。今回は1時間ごとに乗り降りしてみましたが、広大な弥勒寺址や王宮里遺跡は、それぞれ国立益山博物館と王宮里博物館があり、1時間では時間が足りません。公共交通機関では移動が厳しいところばかりなので、行きたいところや目的を絞って、数か所でゆっくりするのもいいと思います。
益山駅前に戻って、ビールで乾杯!
さて、無事益山駅に戻ってきたところで、おいしいビールで一息つきましょう。
「エルベガン」は益山駅前にあるので、列車の時間に合わせてサクッと利用することができます。1982年にオープンしたこのお店は、はぐれてしまった娘を探すために駅前の路地で小さな店を始めたという話が残り、益山でこのお店を知らない人はいないといわれています
ビールは生オンリー。凍ったジョッキか普通のジョッキを選べます。もちろん凍ったジョッキで、キンキンに冷えたビールをぐいっといきましょう。
名物料理はオジンオイプ(イカの口)。中をくりぬいてピーナツを押しこみ、マヨネーズや薬味をつけて食べるのですが、これがまたビールに合うのです。
엘베강 (원조) エルベガン
- 住所:16-12 Jungang-dong, Iksan-si, Jeollabuk-do, 韓国
- TEL:+82 63 855 7402
おわりに
あまり知られていないながら、益山はソウルから好アクセスの地方都市です。駅前から乗れるシティツアーバスを利用すれば、1日たっぷり観光できますよ。もちろんソウルからの日帰りもOK。
今年の韓国旅行は、ぜひ地方にも足をのばしてみてください。2024年の益山シティツアーバスのスケジュールは、公式サイトでご確認くださいね。
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あんそら
- 2005年より「あんそら」のペンネームで韓国のガイドブック(単行本)を企画・製作。2021年12月から、韓国の地方都市でのんびり暮らしています。