【インド】ボリウッド映画の本場 ムンバイにて映画撮影の現場に潜入!

インド 映画撮影現場

<TOP画像/出典:Unsplash

『RRR』や『バーブバリ』など、日本でもたくさんのファンを獲得しているインド映画。その中でも映画産業の中心地であるムンバイで作られる映画を「ボリウッド映画」と呼びます。今回は、ボリウッド映画撮影の現場を覗いてきました!

目次

ボリウッド映画とは?実はインド映画すべてがボリウッド映画ではない!

インド映画
<画像出典:Curry Culture>

日本でもたびたび聞くようになった「ボリウッド映画」。ダンスにアクションと派手な演出が多く、上映時間が長いイメージを持つ方もたくさんいるかもしれません。

インド映画のキングとも言えるシャー・ルク・カーンは、2017年の年収は43億円とも言われており、インド映画産業がいかに大きいかが伺えます。

インド映画 俳優
<画像出典:Film Comparison>

インド映画は、実は作られた地方や劇中で用いられる言語によって、ボリウッド映画、トリウッド映画、コリウッド映画などさまざまな種類に分類されます。日本でも大人気のRRRやバーブバリはテルグ語映画なので、ボリウッドではなくトリウッド映画なのです。

地方ごとの色があり、派手なアクションや長いダンスシーンはコリウッドやトリウッドなど南インド映画で顕著な特徴です。

インド映画のシーン
<画像出典:Slate.com

インド映画の中でももっとも規模が大きいのが、金融都市ムンバイを中心に制作され、ヒンディー語が使われるボリウッド映画だと言えます。ボリウッドはハリウッド映画の影響も大きく、より洗練された都市部の教養層向けの内容が増えてきていると言われています。

今回、「日本人が必要だ」と呼ばれて、あるボリウッド映画の撮影に参加してきました。作品名や内容についてはまだ非公開なのですが、現場では何が行われたのか、映画撮影の雰囲気をお伝えできればと思います!

ムンバイに存在する「Film City」

ムンバイには映画撮影のためのスタジオが点在しています。中でもスタジオが集まっているのが、Film Cityの異名を持つGoregaon(ゴレガオン)という町です。映画スタジオには広い土地を必要とするからでしょうか、都市部から離れた田舎感のある、静かな村でした。実際、このエリアは野生のヒョウが出て人を襲うこともあるほどです...。

森の中の一本道を走っていたら見えてくる、青く屋根の広い建物が撮影の舞台となるスタジオでした。

ゴレガオン 撮影スタジオ

スタジオの中には何もなく、地面も土のままです。ここに、学校や病院、レストランなど撮影シーンに合わせて内装を作っていきます。まるで建物の一部を切り取ったような空間で、不思議な感覚でした。

ヒンドゥー教の神様

インドを語るうえで忘れてはいけないヒンドゥー教の神様。ちゃんと即席の祭壇があり、神様に向けてお香が供えられています。

演者の控室は車か小屋

演者の控室 車

演者には控室が与えられます。もちろん、ランクの高い順から良いところが与えられます。大きなバン1台がトップ役者、小さめのバンが次のランクの役者、私はセリフなしの役だったのですがインド人の女の子2人と一緒に小屋を使いました。

この控室のことを「キャラバン」や「トロリー」と呼びます。

演者の控室 小屋

この小屋にメイクさんやヘアアーティストが来たり、衣装を持ってきてもらったりと、必要不可欠な場所です。

エアコンやソファー、トイレもついているので快適に過ごせました。

演者の控室 小屋の中

休憩が何よりも大切!点在するお茶休憩ブース

お茶休憩ブース

インド人にとって必要不可欠なチャイ。チャイやコーヒーをいつでも飲めるように、お茶休憩ブースがスタジオの内外にたくさん設置されています。

レモンティー、ミルクコーヒーなど、頼めばお兄さんが作ってくれます。

ペットボトルの水

また、水は「口をつけずに飲む」がインドのルールです。そうすることで、水のボトルをシェアできるからです。なので、水はこのようにまとめてバケツに入っており、喉が乾いたらここから1本取って、また戻すという方式でした。

日本だと誰がどのペットボトルなのかわからなくなるので、この方式は私的にとても合理的でわかりやすいなと気に入ってしまいました!

食事はテントで。役割やランクに応じた複数のテント

撮影現場では基本的に朝ご飯と昼ご飯が提供されます。だいたい13時間の拘束時間なのですが、夜ご飯は出ない代わりに夕方の7時くらいに軽食が出てきました。

食事

ここがすごくインドっぽいなと思ったのですが、複数の食事テントがあったことです。スタッフたちとランクの高い演者は白いテント、エキストラは青いテントでした。

1日目にはエキストラのテント、2日目には白いテントで食事を取ったのですが、内容の差に驚きました...。

食事

スタッフとメインキャスト用の食事
<スタッフ、メインキャスト用テントの食事>

白いテントはコンチネンタル料理を含む豊富な選択肢があるのですが、エキストラの方は油っこいインド料理がメインで種類も少なかったです。

エキストラ用の食事

エキストラ用の食事
<エキストラ用テントの食事>

おそらく、このように差をつけないと高いランクの人が納得しないのかもしれません。インドの「格差をつけたがる」国民性を垣間見た気がしました。

同じレストランで同じ料理でも、「エアコン付きの部屋」「エアコンなしの部屋」でわかれ、料金も異なります。じゃあエアコンなしの部屋で安く食べれば、と私たちからすると思うのですが、エアコン付きでサービスも充実した部屋がインド人に需要があります。このような背景が、食事の場所に表れていると感じました。

ボリウッドの映画撮影は何が起こるかわからない!

さすがボリウッド、日本の映画撮影とはまったく違いました。まず、台本はなしです。私たちのような急遽呼ばれたキャストはストーリーさえ知らされず、セリフもその場で作っていきます。

また、いつ呼ばれるかわかりません。何回も何回も同じシーンを違う角度から撮るため、1つの10秒程度のシーンでも1時間もかかります。また、撮影するシーンの順番は監督がその時々で変えるため、誰も予想ができません。

4日間参加したうちの2日は、結局呼ばれずに13時間待機しただけで終わったので、もっぱらお茶を飲むか撮影を覗くか、他のキャストと「呼ばれないねー」と話しているかで時間を潰していました。

その一方で、最終日は朝8時の集合で夜3時半まで撮影が続き、眠たくて帰りたくても帰れない...という1日でした。

そして白熱するアクションシーンで、キャストが壁にぶつかり続けたところ壁が抜けてしまうというハプニングも速やかに建築担当の方がきて、1時間程度で穴がふさがりました。

キャストがぶつかって壊れた壁

ボリウッド映画撮影に参加という貴重な経験ができましたが、段取りは決して良いとは言えず、なかなかハードでもありました...。ただ、そんな中誰よりも早く来て、60人近くのキャストに指示を出したり衣装を用意したりするスタッフの方々が一番頑張っていたことは間違いありません。

スタッフは基本的にフリーランサーで、映画プロジェクトごとに集められるそうです。

ですが、出ている人たちがアジア系の人が多いこともあるせいか、みんな優しくおもしろく、退屈することがなかったとてもいい現場でした!

私のように、ボリウッド映画は急に「日本人が必要」と急遽呼ばれることがあります。つまり、映画出演するために演技経験は必要ありません!実際私もボリウッドデュー&女優(?)デビュー1日目で大物俳優と同じシーンで共有することができたのは、日本では考えられないことです。

タイミングがよければ、映画関係者から声がかかる可能性があるのがインドです。おもしろいと思いませんか?

まとめ

私のボリウッド映画撮影デビューを簡単にまとめましたが、いかがだったでしょうか。インド映画ではめずらしくアジア人がたくさん出演し、とてもエキサイティングな映画なので、インドで公開した際には映画レポートもさせていただきたいと思います!

インドの映画撮影現場では、何がどうなり、いつ呼ばれるのかわからない、呼ばれないかもしれないというカオスさでしたが、それでも大物俳優や名の知れた監督と同じ空間に立って仕事ぶりを観察することは忘れられない経験になりました。

運とタイミングがよければ、旅行中に映画出演の声がかかる可能性もゼロではありません。ぜひ、インド映画が好きな方は本場インドに一度足を運んでみてください!

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やまもと

インドのバンガロール・ムンバイの2拠点で活動している翻訳者・ライターです。インドの野良犬とヨガが大好きです!

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