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【静岡県】玉露の里、藤枝でお茶尽くしの1日を過ごしてきました
皆さんこんにちは、たびこふれライターのえいたです。
今回は、藤枝市の朝比奈地区にある玉露の生産地でつゆ茶体験と茶商が集まっていたことで付いた町名の「茶町」にあるお茶屋さんで闘茶と呼ばれる飲み比べと「合組」と呼ばれるブレンド体験をしてきました。
普段はペットボトルのお茶しか飲んでない私ですが、今回のお茶体験は古くから日本人とは縁のあるお茶についてたくさんの発見がありました。
そんな私のお茶体験を最後までお付き合いください。
目次
藤枝市ってこんなところ
藤枝市は静岡県の中部に位置し、静岡市の西に隣接しています。
サッカーで有名な藤枝市ですが、お茶の生産や加工がさかんな所でもあります。
藤枝市は山間部の気候風土がお茶栽培に適しており、早くから山林を開墾、茶園を広げ、中でも藤枝市の朝比奈地区は、京都の宇治、福岡の八女と並ぶ玉露の三大生産地としても発展してきました。
また、Jリーグサッカーで活躍した中山雅史や長谷部誠が藤枝出身です。
江戸時代には東海道の品川宿から数えて21番目の宿場町として岡部宿、22番目の宿場町として藤枝宿が置かれ、田中藩の城下町として東海道の交通の要衛・教育の中心として発展してきた歴史ある所です。
茶畑の中での玉露体験
玉露体験は藤枝市の岡部町にある朝比奈地区の農園で行われました。朝比奈地区は朝比奈川の両岸斜面に茶畑の広がるのどかな所です。
朝比奈川を谷として急峻な両岸の地形は昼と夜の寒暖差が大きいことが想像されました。
これがお茶の生産地の風景なのですね、日本の原風景です。
<今回の取材でご一緒した中国から来た留学生の李(りー)さんと廖(りょう)さん>
彼女たちは静岡県の魅力を外国人にPRするための「しずおかPR隊」の一員として観光情報の発信や国際交流事業などの活動をされています。今回私は、藤枝のお茶をPRするための動画制作に同行させていただきました。
1. 玉露とは
茶摘みの20日程前の新芽が出る頃から藁を編み上げて作った菰(こも)を茶畑に日よけとしてかぶせ、直射日光を遮って育てる栽培方法により作られたお茶を玉露と呼びます。
日光を遮ることにより苦み成分であるタンニンが抑えられ、旨み成分のアミノ酸が増して豊かな香りとまったりとした甘みが生まれるのです。
<倉庫にしまってあった菰を見せていただきました>
<よく見かける茶畑の木より背が高い朝比奈の玉露茶の木>
2. 煎茶とは違う玉露の淹れ方
私たちが普段口にする煎茶と呼ばれるお茶は70℃から90℃の温度の湯で淹れますが、玉露茶は40℃から60℃の湯で淹れます。
玉露は他茶種に比べて苦み成分の代表であるカフェインを多く含む特徴があるため、アミノ酸類は溶出するが、カフェインをはじめとした苦渋味成分が溶出しにくい低温の湯で淹れるのです。
<ご案内いただいた農園主の遠藤さん>
<玉露のいただき方をレクチャーいただきました>
<実際に玉露をいただきます>
3. つゆ茶をいただく
つゆ茶とは、「ひとつゆ(露)」を味わい尽くす飲み方のこと。
一煎目は約3gの茶葉を湯呑に入れて40℃の湯を注ぎ待つこと2分半、湯呑の蓋を取らずに少しずらした隙間から染み出る「玉露の露」をすするようにいただきました。
<玉露を入れた湯呑とお湯を注ぐ器>
<蓋をして待っているところ>
<香りを楽しみながら試飲>
口の中に入ってきた玉露の露は冷めていましたが、驚くほど濃厚な香りと味が舌の味覚を感じる部分に強烈な存在感を残して喉の奥に消えてゆきました。
これまで口にしてきたお茶とは全く別次元の味でした。私は出汁でも飲んでいる気分でした。
続いて二煎目は60℃のお湯で1分おいていただきました。一煎目で味は分かっていましたが、やはり私には異次元の味覚でした。二煎目のほうが爽やかな感じがしました。
玉露は茶摘みの20日以上前から直射日光を避けて覆いの下で育てられるので茶葉が柔らかいのが特徴です。
その次は、その柔らかい茶葉にポン酢と鰹節をかけていただきました。まるでほうれん草のお浸しをいただいているようなのです。最初は恐る恐る少量を口に運びましたが、これが無茶苦茶美味しかったのです。あっという間に全部の茶葉を平らげてしまいました。ご飯があったら立派なおかずです。(キッパリ)
<鰹節をかけていただきました>
この玉露を味わい尽くす飲み方(食べ方)を「つゆ茶」というそうです。
お茶の葉を全ていただく、まさに日本人の美徳でもある「もったいない」の精神が表れていると思いました。ちなみに、このつゆ茶体験は外国人観光客人にも評判がいいようです。
農園主の遠藤さんはこだわりを持って玉露茶を作りながら、観光体験の受け入れ等も積極的に行われていてPRにも余念がありません。
<また来年の春に美味しい玉露になるのでしょうね>
【つゆ茶体験申込先】
- 内容:つゆ茶体験
- 価格:1人5,000円
- 時間:90分
- TEL:080-4294-0830(担当:二本柳)
- 問合せ:一般社団法人地域振興交流協会
茶町のお茶屋さんで闘茶と合組体験
今回、闘茶(とうちゃ)と合組(ごうぐみ)という言葉に初めて触れました。
闘茶とは、お茶を飲み分けて産地を利き当てるという中国から伝わった遊技がルーツです。現在では茶商がひと目見ただけでは同じようにしか見えない茶葉やお茶を判別するもので、産地や品種などを見極める能力を競う競技です。
合組とはお茶をブレンドすることをいいます。茶農家から仕入れる荒茶(お茶の原料)を厳選し、消費者に美味しいお茶を届ける重要なプロセスだと思います。
同じ茶農家の同じ品種の茶葉でも摘んだ日によって味が全く変わるそうです。同じみかんの木から採れた実も味に個体差が出るのと同じだと思いました。
そうした茶葉をいつ飲んでも同じ味を出すために厳しい目と舌をもって合組と呼ばれるブレンドが必要なのだとか。コーヒー豆をブレンドするのと一緒ですね。その技術がいつでも変わらない美味しさのお茶を消費者に届けるために闘茶競技があると伺いました。
今回闘茶と合組体験をレクチャーしていただいたのは藤枝市の茶町にある真茶園の小泉店長です。
小泉店長は全国茶審査技術競技大会にも出場し10段(最高段位)をお持ちの茶匠(ちゃしょう)です。
1. 価格差や産地のお茶を飲み比べる
いよいよ飲み比べスタートです。
<まずは基本の浅蒸し茶と深蒸し茶の違いを説明いただきました>
※浅蒸し、深蒸しは加工工程での蒸し時間の長さにより区別されます
<抹茶の価格による違いを飲み比べました>
<煎茶の価格による違いを飲み比べました>
知覧(鹿児島)、宇治(京都)、藤枝(静岡)の産地による違いを飲み比べました。
価格帯による味、香りの違いや浅蒸し、深蒸しの違い、それぞれの特徴を小泉店長の絶妙な説明で楽しく理解できました。茶葉は摘んだ時期による違いもありますが、平坦地か傾斜地か、朝晩の寒暖差が大きいか、小さいかなどの条件の違いでさまざまな種類のお茶が存在し、それぞれに特徴があることが分かりました。
コーヒーにブルーマウンテンやモカ、コロンビアなど産地やブランドがあるのと同じで日本茶にもさまざまな種類、キャラクターがあるのだと再確認です。
小泉店長によると、紅茶にハーブティーがあるように、緑茶も胡椒やハーブなどをブレンドして飲むのもおすすめだとか。最近は、急須がない人でも空袋のティーバッグなどで簡単に緑茶を飲めるのでぜひ体験してみてくださいとのことでした。
2. 自分の好みに合わせたお茶をブレンドする
さまざまなお茶を飲み比べたあとは、それらのお茶を合組することになりました。
浅蒸し茶、強火深蒸し茶、深蒸し茶、茎茶の4種類のお茶を飲み比べながらブレンドしてゆきました。
自分の好みの種類のお茶の割合を多くしたり、香りや色合い、味などのできあがりを想像しながらブレンドしてゆくのです。ブレンドしたお茶の味は単体の種類で飲むよりも美味しく仕上がっていて満足なできあがりでした。
合組は茶匠の仕事を理解するのにいい体験でしたし、普段飲んでいるお茶がこうした工程を経てできあがるのだという新しい発見もありました。このマイ・ブレンド(合組)茶はお土産として持ち帰ってきました。
<味や香り、色を確認しながらブレンド(合組)してゆきます>
<缶に詰めながらブレンド(合組)>
<真茶園外観>
<店内風景>
【闘茶または合組体験申込先】※どちらの体験も茶菓子、お土産がつきます。
- 内容:闘茶または合組体験
- 価格:1人4,000円
- 時間:90分
- TEL:054-641-6228(担当:真茶園店長 小泉純也)
- 問合せ:真茶園
【真茶園 茶町本店】
- 住所:静岡県藤枝市茶町1-10-29
- TEL:054-641-6228
- 営業時間:10:00~18:00(GW・12月は日曜営業)
- 定休日:日曜日
- 公式サイト:真茶園 茶町本店
玉露の里 茶の華亭でいただく玉露を使ったランチとデザート
今回、玉露体験をした岡部地区にある道の駅 玉露の里茶の華亭 でランチをいただきました。
いただいたメニューは天ぷら定食ですが、ただの天ぷらではありませんでした。
なんと、天ぷらの衣に茶葉が入っているのです!海老などの魚介と椎茸などの野菜の衣全てに茶葉が入っていて見た目に新鮮、サックサクで茶葉の天ぷらもありました。
あまりの美味しさに即完食してしまいました。
玉露入りのデザートをいただきました。
甘みを抑えてお茶の香りがいいアクセントでした。
<玉露ソフトしるこ>
<玉露のアフォガード>
<茶の華亭外観>
<ゆったりとした店内>
【玉露の里】
- 住所:静岡県藤枝市岡部町新舟1214-3
- TEL:054-668-0019
- 営業時間:<茶の華亭・物産館>9:00~17:00 ※冬期営業時間変更あり/<茶の華亭・食事処>11:00~15:00(ラストオーダー14:30)
- 定休日:年末年始(12月28日~1月2日)
- 公式サイト:玉露の里
最後に
いかがでしたでしょうか、藤枝に行ってみたくなりましたか?
山間の茶畑の風景、そこで実直にお茶を作り続ける茶農家、そのお茶を仕入れて安定的な味を作り消費者と生産者を繋ぐ役割を担う茶商に触れた1日でした。お茶を入れた後に残った茶葉が食べられるなんて思いもしませんでしたし、緑茶としてしか認識していなかったお茶もこんなに種類があるのかと驚きの連続でした。
藤枝周辺には、マグロで有名な焼津や家康公を祀る久能山東照宮などの見どころも盛りだくさんです。静岡に行ったらぜひ、藤枝にも足をちょっと延ばしてお茶のふるさとに触れてみてくださいね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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