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【八王子】とても公園とは思えない、しっかり山歩きを楽しめる「長沼公園」を歩く
みなさん、こんにちは!
たびこふれ編集部のシンジーノです。
山登り(特に低山)好きな方におすすめしたい穴場情報です。
「山登りしたいけど、●●山は混んでるしな~、どこかいい山ないかな~」と思うことってありませんか?
コロナ禍も落ち着いてきて、山登り人気が再燃してきました。
「山登りは気持ちいいから好きだけど、大勢の人で混んでいる山は避けたいな」って思いますよね。
そんなあなたにおすすめの場所があります。
それが東京八王子市にある「都立長沼公園」です。
「えっ、都立公園?なんだ~山じゃないじゃん!」
まあ落ち着いてください。
長沼公園は、あの酒場詩人であり登山家でもある吉田類さんも足慣らしによく歩いている場所だそうです。
騙されたと思って読んでください。
この長沼公園が、そんじょそこらの公園とは違う、ということがおわかりいただけますから。
目次
長沼公園とは?
京王線の長沼駅から南へ徒歩5分のところにある、豊かな自然が今なお残されている都立公園です。
公園の敷地の大部分を占める雑木林には野鳥、昆虫、花、野草が溢れています。自然の宝庫です。
公園といっても高低差約100mもある尾根道、山道が多く、山歩きをたっぷり楽しめる、緑と土に包まれた場所です。
長沼公園へのアクセス
京王線長沼駅から南へ徒歩5分で入口の長沼口へ到着。
長沼公園の入口は、長沼口以外にも平山口、野猿峠口、絹ヶ丘口などがありますが、駐車台数が少ないので公共交通機関を使い、長沼口を利用するのがおすすめです。
長沼公園のルート・スケジュール
公園には数本の尾根道があり、それぞれ長さは500m程度(15~20分)なので、健脚の人なら、尾根道を登って下りて、また別の尾根道を登って下りてを繰り返せば、けっこうな山歩きを楽しめます。
本格登山装備は必要ありませんが、歩きやすいスニーカーかトレッキングシューズがおすすめです。山道が多く、急登、やせ尾根もあるので雨の後など滑りやすい箇所もありますから要注意です。
今回、私が歩いたルートは以下の通りです。
長沼口からメインの道である「霧降の道」を登る・・・展望園地・・・平山口~栃本尾根を下る・・・長泉寺尾根を登り返す・・・霧降の道へ合流して登る・・・頂上園地で休憩・・・野猿の尾根道・・・殿ヶ谷の道を下る・・・途中で「井戸たわの尾根」に入り登り返す・・・鎌田鳥山カフェでコーヒーブレイク・・・峠の小さな美術館観賞・・・音楽セッション観賞・・・頂上園地から中尾根を下る・・・霧降の道に合流・・・長沼口へ戻る
途中休憩、観賞をはさみながら、所要時間はおよそ3時間半でした。ちょっとした山に登るのと同じくらいの心地良い疲労度を感じました。
長沼公園の見どころ
「雑木林の尾根道を歩く」
長沼公園の魅力をひとことで言えばこれに尽きるでしょう。
想像以上に緑豊かなところです。
野鳥の楽園。私が訪れた5月3日にはウグイスを始め、たくさんの野鳥が四六時中さえずっていました。とても東京都とは思えません。
GWど真ん中のよく晴れた日なのに、歩く人は少なく、ゆっくりたっぷり山歩きを楽しめました。
新緑に覆われた雑木林を歩くと、木洩れ陽と爽やかな風に包まれ、贅沢な自然を満喫できました。
高低差約100mの道を登ったり下りたりするのでけっこうハードです。「しょせん公園でしょう?」と侮ってはいけません。
<公園マップ>
それでは私といっしょに山歩きを始めましょう!
<長沼口手前のお地蔵さん>
道すがらお地蔵さんに出会うと、旅の道中である実感が湧いてきます。このお地蔵さんを右に進みます。
<長沼口>
ここからいよいよ山道に入っていきます。
<霧降の道>
公園の中央を走る霧降の道がメインロード。ここは道の中央が石畳やアスファルトに舗装されていて一番歩きやすい道です。先ずはこの道で様子を掴みます。
霧降の道を登り切ると野猿の尾根道へぶつかります。それを左(平山口方面)に進むと展望の良い休憩場所に着きます。
<展望園地>
公園の北側の風景が見える展望園地です。
<展望園地からの風景>
ここからは八王子や日野の街並みを臨めます。
展望園地から野猿の尾根道をさらに平山口方面へ進みます。
日当たりの良い道もありますが概ね木々に囲まれた道のため、さほど直射日光を浴びることもなく体力は奪われません。風はすこぶる爽やかでした(緑が一杯なので真夏は虫が多そう。。。)
展望はありませんが、休憩所もあります。
<平山口>
ここから左に栃本尾根を下っていきます。
<栃本尾根>
どうですか?完全な山道。とても都立公園とは思えない雰囲気でしょう。
道は整備されていますが、斜度のある道も多いのでスニーカー以上の靴でなければ、けっこう危ない箇所もあります。
<竹藪>
途中、休憩の椅子やベンチもあります。それにしてもGWなのにこの人の少なさ。驚きです。
一旦下って今度は、長泉寺尾根を登り返します。途中で再び霧降の道に合流し、野猿の尾根道に出たら今度は右に進みます。
<頂上園地>
野猿の尾根道沿いにある頂上園地は、広く平な原っぱで、きれいなトイレも設置されており、ランチ場所に最適です。
この頂上園地をベースにして、ここと長沼口を結んでいるそれぞれの尾根道を登り下りすると良いと思います。ちょうどスキー場のゲレンデのイメージに近いかもしれません。
頂上園地の木の下の日陰にシートを敷いて、ゆったりランチを楽しみました。
見上げれば、青空に白い雲。あ~いい一日だ。
頂上園地から野猿峠方面へ。
右側に急傾斜の草っぱらと街並みが見えます。
殿ヶ谷というエリアです。
殿ヶ谷を右に見ながら下る「殿ヶ谷の道」は遊歩道になっていて歩きやすく、風景も良い感じの場所です。
道端には花が咲き、小川も流れています。虫とり網を持った子供とお父さんがいました。良い家族の風景。
この白い花はマーガレットかな?
殿ヶ谷の道はその後ぐっと下りに傾斜しますが、木の階段になっていて無理なく降りることが出来ます。
木の階段を下りて、山道を更に下ったところから右に伸びる「井戸たわ尾根」を登り返します。今日3回目の登りです。
井戸たわ尾根はけっこう急登です。山歩きを楽しみたい人にはここの尾根の登りはおすすめです。
井戸たわ尾根を登りきると再び野猿の尾根道に戻ります。
さて、野猿の尾根道沿いに、長沼公園に来たらぜひ立ち寄ってほしいお店と美術館があります。
鎌田鳥山
ひとつめが鳥料理の「鎌田鳥山」です。
ここは囲炉裏端で炭焼きの鶏料理を食べられるお店です。
なんと100年の歴史を刻む、趣ある建物です。
この辺りはもともと天皇の猟場だったそうです。今の天皇が皇太子時代にご学友と訪れたこともあるそうでその時の写真が飾ってありました。
メニューは野鳥コースと若鳥コースのみ。どちらも事前予約が必要です。最近カフェも始められたそうです。
鎌田鳥山の玄関です。まるで山小屋のようです。食事を摂る場所は2階です。
どうですか、この雰囲気、いい感じでしょう。ちょっと道後温泉本館を思い出しました。周りは森の中です。
今回私は予約をしていなかったので、鳥コースを食べることはできなかったのですが、カフェで本格コーヒーをいただきました。
カフェは奥の間にあります。ここからの風景もまた格別です。
鎌田鳥山にはエアコンがありません。
公園の頂上近くなので、風の通りがすこぶる良く、夏場でも涼しいそうです。平地と5度くらい気温差があるのだとか。
このコーヒーがまた美味しかった。看板にも書いてありました(小さく控えめに)が「超本格」コーヒーです。酸味が効いた深みあるコーヒーでした。器がまた良いですね。500円。
>>鎌田鳥山の公式サイトはこちら(必ずお休みを確認して訪れてください)
峠の小さな美術館
続いて、峠の小さな美術館。
鎌田鳥山と向かい合うように建っています。
どうですか、この森の中の佇まい。
この美術館、入館料は無料です。
ここには、絵がとても好きで、でも絵で食べていくことは叶わなくて、他の仕事をしながら絵を描き続けてきた人、そういう人たちの絵が展示されています。
絵はおよそ1か月~2か月で入れ替わるそうです。
ここに展示されている絵を描いている人たちは多くが80歳以上なのだとか。
館長さんが仰っていました。
「彼ら彼女らは、若い頃、コンクールに出品もしていたんですよ。その時描いていた絵は人のために描いた絵でした。いわゆる選考委員に気に入られるような絵。今彼らは、年齢を経て、自分のために絵を描いている。自分が描きたい絵を描いているんですよ。どうぞ見てください。」
私は絵には疎いですが、とても優しい絵が多いな、と感じました。
コンクールで賞を獲るためじゃなく、審査員のためじゃなく、自分の好きな絵、描きたい絵を描いているからそうなるのかもしれません。
画家を目指して、残念ながらその夢は叶わなくて、でも絵を描き続けてきた人たち。
彼らは絵が好きで好きでたまらない人たちなのでしょう。
いわゆるプロ画家の絵ではないということですが、腕はプロ級です。こころ動かされる絵ばかりでした。
そんな絵が好きな人たちの思いが詰まった作品が展示されている森の中の小さな美術館。
一見の価値ありです。
>>峠の小さな美術館の情報はこちら(お休みがあるので事前に確認してから訪れてください)
<峠の小さな美術館の会場案内図>
音楽セッションに遭遇
峠の小さな美術館はいくつかの棟に分かれています。
季節により展示物は変わりますが、不定期で音楽会も行われています。
私が訪れた時は、ちょうど音楽家の皆さんのセッションが行われていました。
ハーモニカ、琴、ギター、尺八など、ジャンルの違った音楽家の皆さんが、即興でセッションをするというなんともエキサイティングなイベントでした。
驚いたのは、琴や尺八が奏ではじめると野鳥たちがそれに呼応するように、さえずりが大きく響き渡っていったことです。
感動しました。野鳥たちも音楽家さんたちとフリーセッションをしていたのかもしれません。
それもこの森の中という最高のステージだったからこその奇跡なのでしょう。
セッションを聴くのは無料です。演奏時間は約1時間。任意の投げ銭システムなので、終了後自分が思った金額をボックスに入れます。
長沼公園 まとめ
いかがだったでしょうか、長沼公園。
とても東京の都立公園とは思えなかったのではないでしょうか。
私も初めて訪れて驚きました。
東京都にあってこの自然の豊かさ。
野鳥や花とのふれあい、雑木林から差し込む木洩れ陽、爽やかな風。
100年以上続く囲炉裏端でいただく炭火焼鶏料理、本格コーヒー。
本当に絵が好きな人たちが描いた限りなく優しい絵。
音楽家と野鳥たちのセッション。
とても贅沢な休日を過ごすことができました。
山の終わりの楽しみといえば・・・
長沼口から長沼公園に続く道沿いに、埼玉県民の心の友「山田うどん(通称だうどん)」があります。
これは立ち寄らないわけにはいかないでしょう(笑)
大海老天うどんとミニパンチ丼(モツ煮込み)の最強コンビ。
山田うどんの魅力は「日常感」です。高級レストランではない。究極のこだわりを持った職人技でもない(実はそうかもしれないけど)。
ふだん着でサンダルをつっかけて気軽に行ける店、それが山田うどんです。埼玉県に集中していますが、ここ八王子にもちゃんとあってくれました。ありがとう!
長沼公園、本当に良いところでした。
あと近辺に立ち寄り湯があれば最高なんだけどなあ~。
あなたもこの週末あたり、自然を浴びにぜひ!
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。