2023年、ギリシャの物価は?コスパよく旅するコツ

ギリシャ

パンデミックに続きウクライナ侵攻と、旅行業界にとってまだ厳しい状況が続いています。これらに関連して、多くの国での物価の上昇が話題になっていますね。海外旅行に気軽に行きにくい時代ですが、日常を離れて実際に異国を訪れて肌で感じる旅は、やはりバーチャルでは得られない感動的な体験。健康や安全を守る対策をするのは当然として、金銭面ではちょっと無理をしてでも「今できること」はやっておくべきだなというのを実感しています。

今回の記事では、ギリシャ旅行を楽しんでいただくために、現地の物価の目安などを一在住者目線でお伝えしたいと思います。

目次

かつては"安い国"だったギリシャ

ギリシャ

もうふた昔以上前の話になりますが、ヨーロッパの中では格安の旅行先として知られていたギリシャ。オンシーズンである夏季は雨がほぼ降らず、真っ青な海と空、可愛らしい建物が建ち並ぶ島の風景、安くておいしい食事やそこそこの飲み物を提供する飲食店を求めて世界中から旅行者が訪れていました。

ユーロ導入後は予想通り物価が急激に上昇し、安いとは言えなくなりましたが、90年代後半からギリシャで暮らしている私の体感では、欧州単一通貨ユーロ導入までは物価が安く暮らしやすい国でした。1ドラクマ=1円の感覚で暮らしてましたが、実際のレートでは0.5円だったのでかなり安かったはず。

その後、ユーロは数字の単位が小さくなるので、パッと見はあまり高くなったという印象は与えませんでしたが、いきなり物価が上がったのを覚えています。2001年のユーロ導入に続き、バブルのピークになった2004年のアテネ五輪、その後はリーマンショックに続いてギリシャ危機と大変な時期が続いたわけですが、困窮する人が増えたものの悪い面だけではありませんでした。

そのひとつとして、都会へ出て働いていた若者の一部が農業や伝統産業に戻ったことがあります。オリーブや蜂蜜、ワインなど元々ギリシャではとても高品質のものが生産されますが、彼らはさらに品質を改良したり新しいアイデアを加え、パッケージのデザインも洗練されたものに変えて市場価値を上げました。特にワインは昔の「ギリシャワインといえば安くて変わった味のレツィーナ(松脂を添加したワイン)」のイメージからかなり変わったと思います。

インフレ事情について

物価に関しては、やはりウクライナ侵攻が始まってから急激に上がったのを体感しています。一部の国でひまわり油の争奪戦が起きている様子をニュースで見ましたが、ギリシャではその頃まだ1リットル2ユーロぐらいで売っていたし在庫も十分にあったものの、じりじりといろんなものが値上がりしていきました。

まず青空市場でいつも買っていた卵が1個あたり2セント値上がりしたので「来たな」とガックリしたのを覚えています。生活に欠かせない食品類や燃料の値上がりが一番困りますが、元々ヨーロッパの中でも高めだった乳製品や油脂の値上げ率が高くて厳しいです。牛乳は一番安いスーパーマーケットのPB製品の場合2022年初頭には85セントぐらいだったのが現在では1.2ユーロ前後。チーズも軒並みキロあたり数ユーロ値上がりしたので、チーズ好きな我が家では毎週のチーズ代が家計を圧迫しています。

少し安心した点は、長く続いている不況は落ち着いてきているようだということ。私の体感ですが、近所では新しく車を買った人が多いのか、路上駐車の場所探しが以前より困難になりました。

植物油の値段が落ち着いたのも嬉しいです。一時期特売品でも1リットル2.5~3ユーロぐらいだったのが、最近は2ユーロを切る時も。ギリシャ人はフライドポテトが大好きなので、ひまわり油の値上がりによって「フライドポテトの危機が!」と一時期騒がれていました。レストランの価格設定は全体的に上がったものの、フライドポテトは安定供給されています(笑)

スーパーマーケット

ギリシャで少し前に導入された"ハウスホールド・バスケット"政策により、スーパーマーケットチェーンでは各カテゴリそれぞれに価格を抑えた製品を販売するようになりました。これはPB製品だけでなく大手メーカーの製品も一部含まれます。

例として、大手スーパーマーケットチェーンのスクラヴェニティスではクレタ島のメーカーのEXヴァージンオリーブオイル1リットル入りペットボトルが5.5ユーロで販売されていますが、このオイルはなかなか美味しいのでおすすめです。

スーパーマーケット
<買い物カゴのマークが付いているのが価格を抑えた製品>

旅に求めるポイントをはっきりさせて、お金の使い方にメリハリを

ギリシャ

出費を一切気にせず旅行できたら最高ですが、実際のところそんな旅ができるのはごく一部の人ですよね。とは言えせっかくの海外旅行で節約ばかりでは行った意味がなくなるので、自分にとって大事なポイントにはちょっと贅沢してみると、一生の思い出となる旅になるはず。

ギリシャの中でも物価の高い場所とそうでもない場所があり、たとえば島では知名度や人気の高いミコノス島やサントリーニ島はかなり高いです。特に絶景が楽しめたり観光客に人気の場所ではシンプルなトマトソースのパスタでも15ユーロぐらいするのはざら。もしもその場所が自分にとっての特別なものだったら価値はあるはずだし、逆に、自分が求めるものが「混雑してない素朴な島のビーチでただひたすらリラックスしたい」だったら無駄な出費になるでしょう。

また、旅行の時期も重要なポイントです。ビーチリゾートが人気のギリシャでは、夏がハイシーズン。7月と8月がピークになり、人の多さやホテルの値段もその頃が一番高いので、個人的には避けたいです。近年は気候変動でお天気に関しては絶対とは言えませんが、ビーチを満喫したいなら6月後半か9月前半ぐらいがいいでしょう。

ギリシャ

遺跡巡りや観光を楽しみたいなら、夏は危険なほどに日射し強いので春がおすすめです。ただし復活祭を挟んだ2週間ほどは混雑しますので、その年のギリシャの復活祭(東方教会に属するので、日本でよく知られる西方教会のイースターとは日付けがずれる年が多いです)がいつになるか調べてから旅の予定を立てましょう。

たとえば復活祭の行事が有名なケルキラ(コルフ)島などはかなり多くの人が訪れるので、それを目的に行くならかなり早めに交通手段や宿泊施設の予約をする必要がありますし、値段も高めになります。

飲食店、おみやげについて

レストラン

毎日の食事や、買って帰るお土産の出費も馬鹿にならないですよね。先に述べた通り物価は高めなのですが、当然ながら場所やお店の種類によって違います。

スブラキ

現地の人にも観光客にも大人気のファストフード、スブラキやギロスはおいしくてボリュームもあるので食事代を節約したい時におすすめ。ピタパンでお肉を巻いたギロピタは1~2年前は2.5ユーロぐらいでしたが、現在はアテネでは約3ユーロ。場所によっては5ユーロ近くするそうです。

基本的に観光エリアでは値段設定が高めだったりするので、特に物価の高い島などでは場所代として割り切るか、比較的安い店を求めて観光エリアから離れた村などでよさそうなレストランを探す、という選択になります。

チーズ

また、ギリシャは惣菜パイやサンドイッチなどの軽食も充実しているので、軽く食事をしたい時はスナックスタンドやベーカリーを利用するとコーヒーなども安くて出費が抑えられます。スーパーやデリで売られている量り売りのハムやチーズなどは日本よりかなり安く、現地でしか食べられないものも多数。それらをパンやワインと一緒に買って屋外やホテルで食べるのもいいですね。野菜や果物も少量から買えます。

レストランも高級なお店から庶民的な居酒屋や食堂のような店まで、それぞれのよさがありますので、チープなグルメから高級店までいろいろ試してみると価格・内容的にバランスよく楽しめると思います。

お土産は、いわゆるバラ撒き用ならスーパーマーケットでお菓子やちょっと珍しいものを探すのが定番ですね。自分用に普段使いのオリーブオイルを買いたい場合にもスーパーはおすすめです。最近はアテネの中心エリアに大手チェーンのスーパーが増えていますので、旅行者にも買い物しやすいです。

効率よく観光するには

ギリシャ

限られた日程でしっかり観光するには、少し費用はかかってもツアーやガイドを利用するのが賢いかも?

アテネでは主な観光スポットは中心エリアにまとまってはいますが、あちこち見て回ろうと思うとかなり歩く必要があります。田舎へ行くには運転に自信があるならレンタカーもいいですが、都市部では駐車場の問題もあるので、タクシーツアーを予約したり、観光バスを利用したりすると便利です。

アテネではダブルデッカーの観光バスを数社が運営していて、48時間有効で乗り降り自由なチケットが約20ユーロ。公共交通機関を利用するより割高ですが、観光スポットをピンポイントで巡回しているので効率よく観光することができます。

遺跡や博物館は入場料だけでも結構するところが多いですが、知識を深めたいならガイドを雇って説明を聞きながら見て回ると満足度も高いですよ。

おわりに

パンデミック初期から幾度に渡るロックダウンやワクチンパス導入など、観光業を早く復活させるために尽力してきたギリシャ。ごく一部でマスク着用義務などはあれど、ここ1~2年はパンデミック前のような活気を取り戻しています。日本からは直行便がないのが難点ではありますが、普通に旅行を楽しめる国としてはかなりおすすめなので、ぜひ多くの日本人に訪れていただきたいです。

せっかく遠くまで来るのですから、安さだけを追い求めたりガチガチに節約ばかりしては味気ないもの。できる限り長い休暇を取って、賢くお金を使って目いっぱいバカンスをお楽しみください!

※記事で例として挙げた価格などは執筆時のものですので、あくまで目安です。

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アナグノストゥ直子

アテネ在住。主婦業の傍ら、ライター、リサーチャー、コーディネーターとしても活動する。ブログ「ギリシャのごはん」にてギリシャ料理レシピやおいしい話題を発信中。

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