公開日:
最終更新日:
【兵庫県朝来市】シャッターを切る手が止まらない! 時代に翻弄された天空の城「竹田城」の魅力とは?
こんにちは! たびこふれ編集部のシンジーノです。
あの缶コーヒーのCMで一躍有名になった兵庫県朝来(あさご)市の「竹田城跡」。
日本百名城のひとつに数えられ「天空の城」や「日本のマチュピチュ」などと呼ばれ、多くの観光客が訪れています。
竹田城跡は、戦国時代に築かれた石垣がほぼ当時のまま残されており、それが一番の歴史的価値といえるでしょう。
しかし、この城の魅力はそれだけでなく、時代の波に翻弄された歴史ストーリー、山頂から見渡す風景の美しさ、晩秋朝に発生する雲海の幻想的な世界など、まさにシャッターを切る手が止まらないほど魅力に溢れた場所です。
今回は、竹田城跡と朝霧の雲海の幻想的な世界、風情のある宿場町、寺町の散策の楽しさなど、竹田の魅力を存分にお伝えしたいと思います。
あまりの美しさに写真を400枚以上撮りました。その中から選りすぐりをたっぷりご覧に入れます。どうぞWEB旅をお楽しみください。
▼竹田城跡リアルツアー情報
>>2022年11月26日夜限定イベント!竹田城跡に約500個のランタンが舞うスペシャルナイト。関西発日帰りツアーの詳細はこちら
>>雲海列車で行く!早朝の竹田城跡 夜行日帰りバスツアーの詳細はこちら(関西発)
目次
- 竹田城の歴史
- 山頂から見える風景
- 雲海に浮かぶ幻想的な世界
- JR竹田駅周辺
- 風情ある宿場町
- 武家屋敷のあった寺町通り
- 円山川沿いのウオーキングコース
- 竹田のグルメ
- 竹田のお土産
- 竹田の宿泊
- 竹田の魅力まとめ
竹田城の歴史
竹田城は、虎が臥せているように見えることから、別名虎臥城(とらふすじょう、こがじょう)とも呼ばれています。
標高353.7mの古城山(虎臥山)の山頂に、南北約400m、東西約100mにわたる広大な敷地に築かれました。1600年の廃城から既に400年以上経っていますが、天守閣はないものの、石垣がほぼ当時の状態で残っており、現存する山城として日本屈指の規模を誇っています。
竹田城の築城に関しては不明な点が多いですが、1443年頃、山名宗全(持豊)が築いたと伝わります。
この地域は、但馬、播磨、丹波諸国がせめぎあい、城が多数築かれた地域で、かなりの緊張状態にあったようです。初代城主は山名四天王のひとりである太田垣光景が務め、太田垣氏が7代約130年に亘り、この地を治めたと伝わります。
その後、1578年頃、秀吉が毛利攻めの拠点としてこの城を攻め落とします。一説には、近隣にある生野銀山が狙いだったとも言われています。当時は土塁の城で、秀吉は攻め落とした後、簡単に落城しないように、頑強な石垣を築きました。(その時築かれた石垣の多くが今も当時のままで残っています)そして秀吉の弟である羽柴秀長、赤松氏が統治したと伝わります。その後、赤松氏は関ケ原で西軍について敗れたため、竹田城は1600年、赤松広秀を最後の城主として閉城という運命をたどります。
JR竹田駅裏の寺町通りは昔、武家屋敷があったと伝えられ、歴代竹田城主の菩提寺が4寺並んで建っています。
<武家屋敷があったと言われる寺町通り>
閉城後、竹田の町は、姫路から生野を経由して和田山に至る但馬街道の宿場町として発展し、大正時代は旅館や料理屋が軒を連ねて、たいそう賑わったようです。今も当時の宿場町の面影を見ることができます。
<宿場町の雰囲気が今も残る但馬街道>
山頂から見える風景
それでは、お待たせしました。竹田城跡のある虎臥(古城)山の山頂の様子をたっぷりご覧ください。まずは日中の姿から。
山頂は想像していたよりかなり広いです。お城跡というと、天守閣や石垣の周りにちょっとした公園のような敷地があるのが一般的だと思いますが、竹田城は100m×400mの広さです。歩くとたっぷり30~45分くらいかかります。
このベンチ、映画「あなたへ」であの高倉健さんが座ったんだそうです。
山頂から竹田の町が一望できます。宿場町として開けたのがわかります。虎臥山は353.7mで決して高い山ではないですが、見える景色がちょうどよい高さなんです。ずっと見ていても飽きない風景です。
北千畳、三の丸、二の丸、天守台、本丸、南千畳、と石垣にそって遊歩道が整備されていて、歩きやすいです。
「これが戦国時代に築かれた石垣か~」と思うと感慨もひとしおです。
空には秋のうろこ雲がふんわりと浮かんでいました。石垣とのコントラストが絵になります。
では次に、日中とはまた違った竹田城跡の美しい風景をご覧に入れましょう。
雲海に浮かぶ幻想的な世界
竹田城跡は石垣とともに人気があるのが「雲海」です。9月~11月の早朝、川霧が立ち込めて下界を覆います。それを山上から見ると、山々が雲海の中に島のようにぽっかりと浮かんでいるように見えます。夜明けから朝8時くらいまでに霧は晴れてしまうので、それまでが勝負です。
前日、竹田の町に泊まり、宿を6時半に出発。山頂まではいくつかのアプローチルートがありますが、私はJR竹田駅裏から歩いて上がる駅裏登山道を登りました。
朝6時40分頃。竹田の町の空は、すっぽり霧に覆われています。
ここが駅裏登山口です。(この写真は日中に撮ったので青空が見えています)
駅裏登山口からの道は完全に山道です。トレッキングシューズか、最低でもスニーカーで。ご来光を拝みたい場合は、道は真っ暗なので懐中電灯が必須です。
それほど急ではありませんが、ずっと登りが続きます。
登山口から山頂の入場口まで900mです。100mおきに表示板が立っています。所要時間40分と書いてありましたが、普通に歩けば20~30分で山頂に着けると思います。
では、雲海に包まれた幻想的な世界へ、行きますよ~。
3,000m級の高い山からの眺望にも引けを取りません。「美しい」以外に言葉が見つかりません。。。
では、この天空の世界からの光景を動画でもご覧ください。まずは日中の風景から。
では幻想的な雲海の世界をどうぞ~
8時30分頃。町に下りてきた時の写真です。霧が晴れてきています。
竹田城跡は観覧料がかかります。(高校生以上 500円、中学生以下 無料)
ここまでの写真・動画は竹田城跡側から見た風景ですが、虎臥山を望む立雲峡という展望台があり、そこから見た竹田城跡の姿がこちらです。
う~む、まさに天空に浮かぶ城。。。美しい。
竹田駅周辺の様子
竹田城跡は観光地ですが、町には騒がしさは感じられず、静かで落ちついた雰囲気を楽しめます。
JR竹田駅です。駅舎内に観光案内所があってガイドマップが揃っています。
切符販売所は有人です。懐かしいですね~。
改札から見たホーム。映画のワンシーンのようです。
<跨線橋からの景色>
路線は播但線で1両編成の風情ある車両が走ります。
では味わいのある竹田駅360度動画の風景をご覧ください。
竹田城跡は「恋人の聖地」でもあります。なぜだかわかりませんが。。。
風情ある宿場町
今も宿場町の趣を感じさせる竹田の町のメインストリートです。特に早朝歩くと気持ちいいのでおすすめです。
播磨から但馬、丹波をつなぐ交通の要衝だったため、往時はかなり賑わったようです。
宿場町の街道によく見られるS字クランクです。
観光地として有名になった後は、新しくオープンしたお店も増えてきたようです。
ただ、お土産屋さんがずらりと並ぶ、というほどではなく、昔の町並みがいい感じで残っています。
昔の酒蔵をホテルに改造している宿もあります。
ご飯を食べられるお店が至るところにある、とは言い難いので、できれば事前に調べて予約しておいた方が安心です。コロナ禍以降、臨時休業も多いようです。コンビニも駅から1km離れた国道沿いにしかありません。
武家屋敷のあった寺町通り
但馬街道を少し入ったところに、竹田で一番古いと言われている橋があります。
<1704年築と伝わる竹田最古の恵比寿橋>
旧宿場町の街道とJR線路を挟んで平行に走る道が寺町通りです。ここは昔、武家屋敷があったと言われる通りで歴代藩主の菩提を弔う4つのお寺があります。
<寺町通り>
立派な鯉が優雅に泳いでいました。川の水も澄んでとてもきれいでした。
<善證寺(ぜんしょうじ)>
浄土真宗本願寺派。1334年開創。火災で焼失し、1652年にこの地へ移転。竹田城主の赤松家家臣だった平位善右衛門が再建時に、廃城した城跡の残存物や自邸を寄贈したと伝わる。
<常光寺(じょうこうじ)>
浄土真宗大谷派。1594年開創。1610年に火事で消失し、同年この地へ移転。境内には初代竹田城主太田垣光景公の供養塔がある。
常光寺の石橋は1707年に掛けられ、寺町通りで一番古い橋だそうです。
<勝賢寺(しょうけんじ)>
浄土真宗本願寺派。1587年開創。竹田城廃城後、赤松家家臣 平位善右衛門の屋敷跡とされるこの地へ移転。境内には9代城主である桑山重晴の長男夫婦の供養塔がある。
<法樹寺(ほうじゅじ)>
浄土宗知恩院派。1578年開創。竹田城廃城後の1606年、最後の城主である赤松広秀の居住地だったこの地へ移転。境内には赤松広秀公の供養塔がある。
<寺町通りに1軒あるおそば屋さん>
円山川沿いのウォーキングコース
竹田の町のおすすめ散策コースとして、宿場町、寺町通りは必須ですが、それにもうひとつ加えるとすると、円山川沿いの土手ウォーキングです。
自然豊かな円山川。
振り返り、虎臥山を仰ぎみると山上に石垣の一部が見えます。
里山のイメージです。
空気がきれいです。
円山川沿いは土手の道が整備されており、桜が植えられています。春にまた来たいものです。
ここには観光地的要素は何もありませんが、きれいな空気、清流、広々した解放感、癒しの空間が旅人を包みこんでくれます。
竹田のグルメ
前述しましたが、竹田の町にはご飯を食べるお店は少ないです。車でなく列車や歩きの旅なら、できれば事前に調べて、予約しておくことをおすすめします。
今回2つのお店で食事しましたのでご紹介します。
板前料理・割烹 永楽
竹田はこの料理が名物、というものはないようです。また山の中なので、新鮮な魚介類もあまり期待できないかな、と思いつつ、お寿司屋さんに行きました。これが意外でした。店構えも出てくるネタも本格的なお寿司屋さんでした。正直に板さんに言いました。「山の中なのであまり期待しないで入ってみたのですが、本格的ですね」と。板さんが笑いながら仰いました。「よく言われるんですよ、意外に美味しいねって(笑)」昔は、山の中で美味しい魚を食べるのは難しかったかもしれないけど、今は流通も発達していい魚が入ってくるんですよ」と。
<握り盛り合わせ>
<あじの竜田揚げ>
板さんも気さくでちょうど良い距離感でお話ししてくださり、いい気分で食べることができました。地元の常連のお客さんも多いようで、賑わっていました。
手打ちうどん 一心 竹田店
チェーン店ですが、美味しい手打ちうどんを供する「一心」。
イチオシの名物はカレーうどんとのことで、小鉢2品とご飯のついたセットを注文しました。
<カレーうどんセット 1,400円>
カレーの出汁が絶品です。まろやかで深いコクがあり、手打ちのしっかりしたうどんに絡みついて食欲をそそります。小鉢も手作り感満載のお母ちゃんの味、といった感じでセットで頼んで大満足でした。ただお腹一杯になりますが。。。
竹田のお土産は「山城の郷」で!
竹田ではお土産を買える場所が多くありませんが、おすすめなのは「山城の郷」です。
<山城の郷>
虎臥山の中腹にある施設で、JR竹田駅からは車かバスで行きます。ここにはお土産、レストランなどが揃っています。
朝来市特産の岩津ねぎの「焼ねぎなめ茸」を買いました。
<焼きねぎ なめ茸 570円>
岩津ねぎのまろやかなコク、唐辛子のピリ辛感がアクセントとなって止まらない美味しさでした。
朝来市には酒蔵が2つあり、その中の一つ、田治米合名会社の「竹泉」の飲み比べセットを買いました。
<竹泉3本セット。2100円>
しっかりした造りで清らかでコクがある通好みの日本酒でした。お燗もいけます。
竹田の宿泊 ゲストハウス「宿屋 天空」
竹田には宿泊施設は少ないです。今回はゲストハウス「宿屋 天空」に泊まりました。結論から言うと想像以上にきれいで使いやすく、とっても良い宿でした。
<JR竹田駅から徒歩2分の場所にある「宿屋 天空」>
玄関です。まずはフロントでチェックイン。宿泊代金は前金で支払います。今回は2泊素泊まりで13,400円でした。
私が泊ったのは和室タイプ。この8畳を一人で使えます。ゲストハウスなので以前はこの和室にも相部屋だったそうですが、コロナ以降 他のお客さんとの相部屋はしていないそうです。ありがたい。ただ隣の部屋とはふすま一枚なので声は聞こえます。(施錠してあり、行き来はできません)
2階にはベッドタイプのお部屋もあります。お値段は和室利用より高くなります。
ゲストハウスなので、部屋部分は専用。サロンや風呂、洗面所、キッチンは共用となります。
こちらがリビングです。部屋にテレビはありませんので、見たい時はここで観ます。隣がキッチンで自炊したものをここで食べることもできます。
こちらがキッチンです。調理器具、調味料、電子レンジ、トースター、ひととおり揃っています。
テーブル席のサロンが欲しい、との要望を受けて、蔵だったところを改装し、共有スペースにしたそうです。
蔵の2階には、隠れ家のようなロフト席もありました。ここ、いい空間でしたよ。
洗面所です。左に見えるドアの奥にトイレがあります。
トイレも広めで使いやすかったです。
お風呂。ゲストハウスはシャワーのみ、というところが多い中、浴槽があります。お湯に浸かれるのは嬉しいところです。
泊ってみた感想は「とても良かった」です。
すべてが新しく清潔で、機能的にも優れており、ご主人も程よい距離感で接していただき、滞在は快適でした。
普通ゲストハウスというと2段ベッドで、プライベート空間はベッドの上だけというのが多いですが、和室を一人で使えたのは大きいです。
ゲストハウスの中でも品質、機能、コスパ的にもかなり上レベルだと思います。
竹田の魅力まとめ
いかがでしたか?
竹田城跡と、そこから見える風景、晩秋の雲海、宿場町、寺町、円山川沿いの土手ウォーキング・・・
旅人の心をざわざわさせる魅力に溢れた町 竹田。
実は正直言いますと「竹田城跡の取材」と聴いてもさほど心は沸き立ちませんでした。
「城跡って言っても天守閣は残ってなくて石垣だけなんでしょ?そんなの面白いのかなぁ」って。
しかし取材準備で情報を集めていく内に、石積みのプロ集団「穴太衆(あのうしゅう)」のことを知りました。
秀吉が、堅牢な城を築くために呼び集めた石垣を積むプロ集団「穴太衆」。
穴太衆の石垣造りは「野面積み技法」といって自然石をそのまま積み上げる方法です。
穴太衆の石工の言葉です。
「石の声を聴き、石の行きたいところに置いていった」
これにやられました。。。
石垣造りのプロ集団 穴太衆が石の声を聴き、石の行きたいところに置いていった石垣が500年以上経った今も存在している。この凄さ。
竹田城跡から見渡す景色、下に見える家並みは当時とは変わったと思いますが、連なる山々、雲海、空の色、雲の形は、戦国時代に生きぬいた武将たちが見ていた景色と変わらないでしょう。「彼らも、この風景を眺めていたのか・・・」そう思うと、深い感慨に包まれます。
時代に翻弄され、歴史を見つめ続けてきた美しき強き天空の城「竹田城」。
あなたもこの地に足を置き、当時の人たちと同じ風景を目に焼きつけてみませんか?
>>2022年11月26日夜限定イベント!竹田城跡に約500個のランタンが舞うスペシャルナイト。関西発日帰りツアーの詳細はこちら
Ranking兵庫記事ランキング
-
シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。