公開日:
最終更新日:
新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
とうとう罹ってしまいました、新型コロナに。
私が実際に体験したこと、特に宿泊施設での療養はどんな感じなのか、何を持っていけば不自由なく過ごせるのか、を中心に、症状の推移と初めて受けた「抗体カクテル療法」はどんなものだったのか、をお伝えしたいと思います。
目次
はじめに
ここに書いたことは私のケース(東京都在住)です。新型コロナの症状は人それぞれ、宿泊施設療養の内容も施設によって違います。感染者数の多い少ないも、各種対応に影響を及ぼすでしょう。あくまで私の場合はこうだった、という観点からお伝えしますのでご承知おきください。
また「興味本位でのSNSに拡散は控えてください」と施設から案内がありました。もしみなさんが罹患した場合、これは準備しておいた方がいいですよ、という参考体験談ですので、そのつもりでお読みください。
症状の経過
私は、幸いにも軽症で済みました。以下、発症からの経緯を記します。
3月30日(水)
喉痛を発症。夜に咳、くしゃみが始まる。風邪の症状と似ている。自宅にあった抗原検査キットで検査してみたところ陰性(この時はまだ風邪だろうと思っていた)。
3月31日(木)
喉痛、咳の症状は2日間でほぼ収まる(咳止め薬を飲んで抑えていたせいがあるかも。咳止めを飲まなくなった後、咳症状はしばらく残った)念のため、東京都の無料PCR検査センターで検査を受ける。
4月2日(土)
夜、PCR「陽性」結果がメールで届く(目を疑い、愕然)。
4月3日(日)
地元の医療クリニックで受診。再度PCR検査。陽性が判明し、宿泊療養入所手続きを行う場合、医療機関から保健所への「発生届」が出ていないと先に進めないことがわかる。自治体の無料PCR検査では保健所への連絡は行われないため、改めて医療機関の受診が必要。私の場合は、最初から医療機関の診療を受けた方が良かったことがこの時点でわかる。そうすればもっと早く宿泊療養に入ることができた。
4月4日(月)
クリニックで改めて受けたPCR検査も「陽性」。「東京都宿泊療養窓口」に電話で宿泊療養依頼を行う。
喉痛と咳が2日で収まって以降、症状はなかったが、4日の夜になって食欲減退で夕食摂れず。胸にムカムカ感。冷や汗が出て寝つけず。これまであまり感じたことのない体調不良に不安を覚える(これがコロナか・・・)。
18時過ぎ、宿泊療養窓口より連絡あり。明日朝、車で迎えに行くとのこと。
4月5日(火)
昨夜からの胃の不快感が続いており、朝食は食べられず。施設に入り吐き気をもよおし嘔吐。吐いてすっきりしたからか不快感は消え、それ以降ほぼ体に不調無し。食事もすべて完食。午後「重体化しないよう、抗体カクテル療法を受けてはどうか」(任意)と看護師さんからアドバイスがあり、受けることにする。
4月6日(水)~7日(木)
酸素・医療提供ステーションにて抗体カクテル療法を受ける(1泊2日)。
4月8日(金)
終日、宿泊療養施設で療養。
4月9日(土)
予定通り退所。宿泊療養施設に入ってから体調不良無し。今回発熱は一度も無し。
宿泊施設療養の流れ
新型コロナウイルス感染が判明し、無症状、軽症の患者は「自宅療養」か「宿泊施設療養」の2つの選択肢がある。私は家庭内感染を防ぎたかったので、宿泊施設療養を希望。宿泊療養に関する費用(宿泊、食事)は自己負担無し(ありがたかった)。
以下、宿泊施設療養の流れです
4月5日(火)朝10時、迎えの車が自宅に到着。車はタクシーで、ドライバーさんは防護服ではない。運転席との間にはビニールの仕切りあり。相乗りで、ホテルまで行く間にもう一名乗車された。
自宅からホテルまで直行。コンビニで買い物などはできない。ホテル到着時は、駐車場入口に6~7名の誘導スタッフが立ち、一般の通行者と私たち感染者が交錯しないよう、厳重に通路を確保。
ホテル館内に入ったら、ロビーに名前が書かれたA4サイズの封筒とルームキーが置いてあり、自身でピックアップし、そのまま入室。スタッフとの接触は無し。部屋に入ったら、体温、酸素飽和度(パルスオキシメーター)を測定。事務局から電話で施設内の案内があり、その後、看護師さんから電話で体調管理に関する案内あり。説明内容はかなりボリュームがある。説明は丁寧で、資料をじっくり読めば理解できるが、初めての経験なので、ちょっとあたふたする。高齢者は大変かも。
部屋はベッドとテーブルがあるだけのシングルルーム。バスタブはなくシャワーだけだったが滞在は快適。
施設内では、事務局スタッフや看護師さんとのやりとりは基本電話で、直接会うことは無し。ホテル内では朝昼晩の食事(すべて弁当)をロビーに取りにいく時(1時間内で受取と返却)だけ部屋から出ることができる。ゴミ出しも同時間帯に行う。それ以外はずっと部屋の中で過ごす。外出や面会も禁止。これが退所まで続く。家族からの差し入れを受けることはできる(なま物はダメ。直接受け渡しも不可)デリバリーや通販もダメ。
体調管理は、体温と酸素飽和度測定を1日2回(7時と15時半)行い、スマホで送信。測定時間には「時間ですので測定してください」と館内放送が流れる。
看護師さんから必要に応じて個別に連絡が来る。こちらから質問や依頼事があれば、内線で事務局に連絡を入れることも可能。
部屋には掃除は来ない。スタッフの立ち入りも緊急時以外は無し。ロビーに枕カバーや歯ブラシ、髭剃り、コーヒー、紅茶、水、お茶、トイレットペーパー、ティッシュ、スリッパなど置いてあり、必要な分だけ持っていける(但し弁当ピックアップの時間帯のみ)。弁当ピックアップ時間帯は集中し、エレベーターやロビーには他の人(感染者)と交錯する。
お水とお茶、野菜ジュース(真ん中)は好きなだけ持っていって良い。弁当が続いて野菜不足になるので、野菜ジュースはとてもありがたかった。
2週間分の弁当メニューが張り出されている。複数のお弁当会社と契約しているようだった。
お弁当は電子レンジで温められるが、台数に限りがあり、順番待ちすることも。電子レンジはロビーに3台、各フロアに1台づつ置いてある。
手前のビニール袋が弁当。ロビー階には電子レンジが3台。スタッフ手作りの桜の木の心遣いが嬉しい。
各フロアに血圧計、電子レンジが常設。血圧は入所時に一度計測したが、それ以降は任意(報告義務は一度だけ)。
各フロアに常設の消毒液とコロコロクリーナー。部屋に清掃が入らないので、このコロコロはとても重宝した。
ホテル療養期間はどれくらいなのか?
症状によるが、平均的には入所期間は5日間くらいだそう。私は4月5日に入所し、9日に退所の5日間。
療養施設の退所基準は「発症(不明の場合はPCR陽性判明時)から10日間療養、且つ症状が回復して72時間経過後、というのが目安。※PCR検査が陰性になったら退所ではない。
症状が現れた直前直後が一番ウイルス量が多い。(発症の2日前から他者に感染させる可能性がある)感染して7~10日経つとウイルスは急激に弱体化し、他者へ感染させるほどの力は無くなることから、この退所基準が定められている。
施設内では「会話は控えるように」と案内があり、基本無言。その為、館内はとても静か。みな淡々と弁当や必要なものをピックアップして部屋に戻る(これが孤独感を増長する)私が入所していた時期(4月初旬)の入所者は若い年代(20代)が多い印象。
部屋内はWi-Fi使用可。湯沸かしポットは部屋にあり。シャンプーリンス、ボディシャンプーも部屋にあり。タオルは無く、自宅から要持参。パジャマも要持参(後述)。
弁当はまずまずの味(自己負担無しなので文句言ったらバチが当たる)。弁当が続くのでどうしても野菜不足になりがち。少しでも野菜の入ったメニューに、という気持ちも見えてありがたかったが、敢えて言うならば日によって朝から揚げ物とかヘビーな物が入っていたりして、食欲がない人には厳しいかも。また味噌汁やスープの素なども付いていればありがたかった(施設により、提供物は変わってくるらしい。)
<朝の弁当の一例・・・朝からこれはちょっとヘビー・・・味は美味しかったが。日によって朝はサンドイッチの場合も>
抗体カクテル療法(中和抗体薬治療)の流れ
4月5日に入所した夜、看護師さんより電話あり。「抗体カクテル療法を受けてはいかがですか?」
抗体カクテル療法は、コロナの治療薬ではなく、重症化を防ぐ薬。希望者は誰でも受けられるわけではない。また受ける受けないは患者が決められる。
抗体カクテル薬投与の対象:以下の「重症化リスク因子」をひとつ以上有する患者
- 55歳以上
- 肥満
- うっ血性心不全
- 中等症から重症の喘息
- 薬物治療を要する糖尿病
- 慢性腎臓病
- 慢性閉塞性肺疾患
私は年齢が対象に入った。治療方法は点滴による静脈内投与を30分かけて1回行う。投与場所は、ホテルではなく、特設の「酸素・医療提供ステーション」にて受ける。費用の自己負担は無し。
ホテルから車(相乗り)で施設へ搬送され、1泊2日で行われる。朝10時にホテル出発、約30分で到着。昼食後、体温、血圧測定、医師からTV電話で説明を受ける。この時点でも投与を辞めることはできる。
14時から30分点滴を行い、その後約1時間半、心電図を着けて体調に異変がないかチェック。その後は自由時間。夕食、21時就寝。朝7時頃起床。体温等測定後、朝食。9時15分、迎えの車でホテルへ戻る。
酸素飽和度測定器を常時装着。体温と血圧は合計5回くらい受ける。滞在中の計測データは今後の医療に使用されると思われる。
施設は病院ではなく、仮設施設にて行われる。医師と看護師が24時間体制で常駐。1人1台ベッドが与えられパーティションで仕切られている。
1泊とはいえ、時間を持て余す。宿泊療養施設の滞在が如何に快適かを痛感する。食事(弁当)も提供され自己負担無し。何もすることがないので、本、スマホ、ポケットWi-Fi等を持っていくことを強くおすすすめしたい(後述)。
今回は、4名が同ホテルから参加。会話は控え、終始無言。看護師さんは防護服は着ているものの、気さくでフレンドリーで、これが気分的にとても救われた。
宿泊療養施設に入る時、何を準備しておくと安心か
生活に最低限必要なものは提供されるが、以下のものを準備しておくと、快適に不都合なく過ごせると感じたものをお伝えします。
必須持参物
・保険証
・タオル
・パジャマ
・下着着替え(多めに)
・体温計(ホテルにあった)
・服用している薬
その他持参してよかったもの
- 甘いもの(飴、チョコ、羊羹、ガムなど)→施設では、弁当と水、お茶のみ提供されるので、甘いものがあると気分が落ち着く
- 酸っぱいもの(梅干し、レモンキャンディなど)→食欲がない時、とても重宝し、気分もすっきりする
- スナック類(せんべい、ナッツなど)→夕食は19時まで。夜空腹になった時に助かる
- 本→時間を持て余した時、気分転換、夜寝つけない時などに
- ポケットWi-Fi→ホテルのWi-Fiは使えるが、回線速度遅い場合も。また抗体カクテル治療施設にはWi-Fiはない為、とても心強い味方になった
- マグカップ→紙コップはあるが、味気ない。味噌汁やスープ、カフェオレ等いつも使っているマグカップがあると気分的に落ち着く
- スープ・味噌汁の素、カップ麺→弁当が3食続くので、温かい物はホッとする。弁当だけでは足りない人にとってカップ麺は最強のお供
- ふりかけ→お弁当の中で美味しく感じたのがお米。ふりかけがあるとより美味しく食べられる
- レトルトのおかゆ、ゼリー、バナナ、リンゴなど→食欲がない時に楽に口にできそうなものがあると気分的にも安心
新型コロナに罹ってみて感じたこと
今回、実際に新型コロナウイルスに感染し、宿泊療養を受けた感想をここに記します。
私は軽症で、喉痛と咳、一時の吐き気があっただけで、発熱もなく、さほど身体はしんどい思いをせずに済みましたが、それでも精神的にはやられました。
罹ってしまったという罪悪感、同僚、家族、関係者へ感染させてはいないかという恐怖。この自分を責める気持ちは想像以上で、どんどんネガティブ思考になっていきました。このまま重症化したらどうしよう、後遺症が残るとどうなるんだろうか・・・。
行動が制限され、会話もせず、という環境がそれにさらに追い打ちをかけ、暗黒な淵へ落ちていきます。犯罪者になってしまったような気分でした。
私は発熱はしなかったので、まだ冷静でいられましたが、YouTubeでは、熱が出た人は悪夢にうなされ「もう人生終わりだ」という感覚になったと言っていた人もいました。自分で自分を追い込んでしまう感覚、恐ろしいです。
コロナの治療薬はまだできていないので、現状は自分で治すしかありません。自分の免疫力でウイルスに勝つしかない。ですから、精神的に落ち着いていられるように自分をコントロールすることがとても大切だと感じました。
ホテル療養は、療養に専念するという点でとても優れていました。自宅療養では、家族に感染させる恐怖と戦いながらの療養でさらに負担が加わりますので、状況が許せば、宿泊施設療養をおすすめしたいと思います。
実際体験してみて、多くの方々、国や自治体が、私たちにストレスのない療養を受けられるよう、ご尽力してくださっていることがわかり、本当に感謝しています。特に看護師さんは親身に、時に明るく普通(→ここ大事)に接してくださったので、心が明るくなり、つい沼にはまりそうになる心がずいぶん助けられました。防護服を着ている風景は、異様で怖い感じもしますが、それも最初だけで慣れるとなんてことはありません。
もしコロナに感染してしまったら、早めに対応(検査、療養方法選択、諸準備)して、できるだけ自分を追い込まないように養生に専念する、ということが大切だと、痛切に思います。
「他者に感染させない」という観点からいうと、ウイルス量が一番多く感染力が高いのは、症状が出る直前直後です。体調不良に気づいたら早めのPCR検査を受けることをおすすめします。
また厚労省の情報によると他者に感染させるのは感染者の約2割とのことです。感染者に接したら必ず感染するということでもないようです。周りで咳こんでいたりする人がいても、基本的な感染予防(特にマスク着用)をしていれば必要以上に怖がる必要はありません。感染者を犯罪者扱いすることのないよう、ご配慮をよろしくお願いします。
ワクチンに関してですが、私は3月3日に3回目のワクチンを打っていました。それが今回軽症で済んだ要因のひとつだったのかもしれません。また私は風邪の時もそうですが、とにかく水分を摂るようにしていました。1日2~3リットルくらい。喉が渇かなくても飲んでいました。おしっこがしっかり出て身体の中の毒素が排出されているような感じがします。看護師さんも「水をしっかり飲んでください」と仰っていました。
少しでも、みなさんの参考になればうれしいです。
Related postこの記事に関連する記事
Ranking【新型コロナウイルス】世界各国の現地生レポートほか関連記事一覧記事ランキング
-
シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。