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タンザニアのワクチン接種状況レポート
南アフリカで新たな変種株オミクロンが発見され、すでに世界に拡大しつつありますね。前回までの教訓を得て早めに水際対策を行っている国々が多く、今回は抑えられることを願うばかりです。
今回はそんな新型コロナウイルスに対して行われている、ワクチン接種に関するタンザニアの状況をお伝えします。
目次
タンザニアにワクチン到着
アフリカ諸国に先進国からワクチンが送られるようになったのが、2021年の5-6月頃です。ワクチンの受け入れを打診されたのが2月頃のことで、タンザニアでは前大統領が受け入れを拒否しました。
前大統領マグフリ氏は2020年5月にコロナ克服宣言を出し、それ以降タンザニアにコロナウイルスは存在しないとアピールしていました。そのため国民もマスクやソーシャルディスタンスといった安全対策を取らず、コロナウイルスで亡くなっても死因を大っぴらにできない状況でした。
<マスクをする人は現在でも少ない>
変異株が流行った2021年1月には大勢の死者が出て、さすがの大統領もコロナウイルスの存在を否定できなくなりました。その存在は肯定したものの、ワクチン受入については外国人がアフリカを侵略する陰謀であるとし、拒否しました。その翌月に彼は持病の心臓病で亡くなり、副大統領のサミア氏が4月から大統領になりました。
サミア大統領は方針を一転、ワクチンを受け入れることを決定しました。周囲の国がワクチン接種を6月頃に開始していた一方、タンザニアにワクチンが到着したのが7月で、本格的に接種が行われたのは8月でした。
7月中頃にタンザニアの領地であるザンジバル島に、中国からワクチンが届きました。タンザニア国内ではあるものの自治権を持つザンジバルは、中国政府と特に友好関係にあります。その関係によって、タンザニア本土よりも早くザンジバルにワクチンが到着したようです。ザンジバルでは7月14日には医療従事者に接種を始めていたそうです。
<ザンジバルの港>
本土にアメリカから到着したワクチンはジョンソン&ジョンソンで、7月24日に100万回以上分が確保されました。7月末には大統領と政府関係者たちが接種し、一般市民は8月から接種できるようになりました。
当初の計画では、まず医療従事者、そして50歳以上の年配者、基礎疾患を持つ患者が優先的に打たれるはずでした。しかし実際に始まってみると、ワクチンを待ちわびていた人々が優先者を無視して殺到し、最初の2週間はどの病院も大混雑で大変だったそうです。
ワクチンの種類
アメリカから来たジョンソン&ジョンソンは、一回の接種のみで約8ヶ月の効果があると言われています。二回を接種しなくていいので、長い距離を歩かなければたどり着けない人の多い発展途上国に、まさに打ってつけのワクチンです。
ジョンソン&ジョンソンはウイルスベクターワクチンという種類で、ウイルスの突起部分に別のウイルスを組み込むという手法を用いたものです。接種28日後にはコロナ発症を66%、重症化を85%防ぐ効果があるそうです。
<大きい病院に行くことすら大変な人が多い>
それに対して中国製のシノバックは二回接種するタイプですが、冷凍しなくていいワクチンなので、電力が安定しない発展途上国に適しています。一回目の接種から2週間後にもう一度打ちます。
シノバックは不活化ウイルスワクチンという種類で、死んだウイルスの一部によって免疫を刺激する手法です。有効性に関する報告にはバラつきが見られ、ブラジルでは発症予防率50%、重症化予防率100%と言われています。
現在、ジョンソン&ジョンソンは在庫が尽き、中国製のシノバックがあります。10月の時点でタンザニア人口の約1%だけがワクチンを接種したと言われていました。実は前大統領を心から信頼している国民が多く、ワクチンは危険だという見方が信じられています。また色んな噂が飛び交い、特にワクチンを受けると子どもが産めなくなるという噂を信じてワクチンを受けない人が多いようです。
ワクチン接種の流れ
タンザニアでのワクチン接種は、
- 携帯でウェブ予約をする
- 病院で受付する
- 接種
- ちょっと休憩する
という流れになります。
<ウェブ予約のサイト>
筆者がワクチン接種に行ったのは8月半ば過ぎ、接種開始から2週間余りが経った後のことです。近所の病院で受け付けているとのことで、ドキドキしながら朝9時頃行ってみました。
8月の最初、開始直後は大混乱だったと聞いていました。予約しても満員すぎて受けられなかったり、予約がうまく行かなかったり、外国人は受けられないと言われたり...。ワクチン接種担当の医療従事者の方達は、相当なご苦労があったようです。
<病院の受付>
病院の様子が分からなかったので、予約をせず病院の受付へ直行しました。すると待っているのは年配のお二方だけで、ガラガラでした。受付のお姉さんに尋ねると、私の代わりにウェブ予約をその場でやってくれました。名前、大まかな住所、身分証明書のナンバー、メールアドレスなどを登録しました。
2分ほどで予約が終わり、いよいよ接種です。左上腕の注射する所を消毒し、看護師さんが注射器をためらいなくブスッ!!!思わず「痛―っ!!!」と日本語で叫んでしまうくらい、痛かったです。周りからは気の毒がってもらえました。
その後「休憩したかったらして行って」と言われ、5分くらい座ってから家に帰りました。休憩せずに立ち去っている人もいたので、アフターケアの雑さがさすがアフリカ...と思わせられました。
副反応が出たのは夕方で、発熱・寒気・筋肉痛がありました。地元の薬屋さんで手に入れた解熱鎮静剤を飲み、早めに休みました。その後熱は出ませんでしたが、ダルさが5日間くらいあり、回復までに1週間程度かかりました。
接種後4日目、登録しておいたメールアドレスに証明書のリンクが送られてきました。このリンクから証明書を取得でき、ダウンロードして印刷できるようになっていました。タンザニアで物事がスムーズに行くことは珍しいのですが、このワクチン接種は無事スムーズに終えることができました。
<ワクチン接種証明書>
終わりに
タンザニアのワクチン接種状況を、筆者の接種体験と共にお伝えさせていただきました。接種したからといってコロナウイルスに感染しない訳ではなく、人口99%が未接種なので安全とは言い難いので、引き続き対策を怠らないよう気をつけようと思っています。
このパンデミックが収まり、旅行を心から楽しめる日が来ることを願って止みません!どうぞ皆さま、お体にお気をつけくださいませ。
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2012年に引っ越したヒヨッコライターが、現地に密着した面白オカシイ情報をお伝えしています☆