東アフリカ黄金貿易の歴史、黄金貿易のキルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群

ソンゴ ムナラの遺跡群

目次

金や象牙を始めとする貿易で栄えた地、キルワ・キシワニ島

キルワキシワニ島

キルワ・キシワニ島は、タンザニア連合共和国の南側約300km先のインド洋に浮かぶ面積約14平方kmの島です。

島の歴史は7世紀にも遡り、金や象牙を始めとする貿易で栄えていました。1331年に島を訪れたモロッコ商人イブン・バットゥータは、キルワを最も美しい街の一つとしてあげたほど。

キルワ・キシワニを訪問するには近隣の観光拠点であるキルワ・マソコを経由する必要があります。日本からのアクセスだと、中東系航空会社もしくはエチオピア航空を利用して、最大都市であるダルエスサラームから入国し、レンタカー等車で約6時間の道のりです。

公共交通機関を利用する場合は、ダルエスサラームのウブンゴから、リンディもしくはムトワラ行きのバスでナングルクルと呼ばれる街まで行き、ナングルクルからはダラダラと呼ばれるミニバスに乗り換えます。公共交通機関を使う場合、全行程8時間は見積もった方が良いでしょう。また、舗装されていない道を通るため、前側の席がおすすめ!

タンザニア入国の観光ビザ(90日間の滞在)は、ダルエスサラーム空港到着時に50米ドル(現金のみ)で簡単に取得できます。なお、黄熱病汚染地域からの入国の際には、予防接種証明書(イエローカード)の提示が求められるため、黄熱病の予防接種を済ませましょう。そのほか、腸チフスなどの予防接種やマラリア予防薬、虫除けスプレーを持参すると良いでしょう。

本土のキルワ・マソコから島までは約1kmなので、ホテルもしくは市場にある観光オフィスでボートを手配してもらいましょう。筆者の訪問時では手漕ぎ・セーリングのボートだと15,000-21,000タンザニアシリング程度でした(1ドル=約2,300タンザニアシリング:2021年10月現在)。

また、ダルエスサラームには日本人が経営するJAPAN TANZANIA TOURSという会社も存在し、英語やスワヒリ語が不得意な場合は日本語で旅行の相談も可能です。

大モスクとマクタニ宮殿から成るキルワ・キシワニ島の遺跡群

キルワ・キシワニ島と本土の間にはマングローブが繁り、インド洋側にはサンゴ礁が広がります。

インド洋のモンスーンを利用した貿易の寄港地として、10−12世紀に移住した人々によってキルワ王国が建国されたといわれます。アフリカ大陸南部のジンバブエやモザンビークからの象牙や金が、アジアからの陶芸品・香辛料などと取引されたようで、1960年以降の考古学調査では、アラブやローマ帝国の貨幣やガラスのみならず中国製の陶器も出土しています。

遺跡群が1981年に世界遺産登録されてから、フランスとタンザニア両政府による保管事業が3年にわたって行われました。しかし、損傷の激しさや、降雨による土壌への侵食ダメージの拡大から、2004年にUNESCO危機遺産に登録されました。その後、NGOや基金による補修作業などが進んだことで、2014年に危機リストから外されることになりました。

遺跡

見所の一つである大モスクは、10世紀に建てられてから400年以上かけて拡大されました。初期の礼拝堂はサンゴを削って作られており、東アフリカ地域でも最も初期の完全に屋根で覆われたモスクだったそう。

遺跡

島の北海岸沿いには14世紀に建てられたフスニ・クブワ宮殿がそびえます。プールや多くの寝室、ゲストルームなどが残り、当時のスルタンの豊かさが伺えます。

遺跡

中国・インド・オマーンが交わる地、ソンゴ・ムナラ島

ソンゴ ムナラ島 遺跡

ソンゴ・ムナラ島はキルワ・キシワニ島から8km南に位置し、キルワ・マソコから帆船で2-3時間かかる距離にあります。

島内には14世紀頃に建てられた5つのモスクや33の商人の家が廃墟となり残っています。同時に世界遺産登録されたキルワ・キシワニの遺跡群に比べると小規模ですが、建築的観点から見るとインド・オマーン・中国などの要素が混ぜ込められており、また、都市計画がかなり完成された都市であったようです。

キルワ・マソコの町から見えるタンザニアの日常

キルワ マソコ

キルワ・マソコの町には約10,000人の人々が住んでいます。マングローブで採れるエビや小型魚に加え、インド洋での漁業によって収入を得るほか、農作物の栽培も行われます。

また、ゲームフィッシングと呼ばれる釣り観光も盛んです。日中の街中は地元の人々で賑わい、市場では新鮮な農作物を買えるほか、夕方6時以降になるとバス乗り場の裏側でスナックや夕食の屋台が出ます。地元で採れたタコや肉の串焼き(ムシカキ)をぜひ試してみては!?

キルワ・マソコ

また、3km離れたマソコ・プワニビーチはタンザニアの最も美しいビーチの一つです、近くには漁村があり、地元漁師から魚やロブスターを買うこともできます。

まとめ

今回はUNESCO世界遺産でもあるキルワ・キシワニ島とソンゴ・ムナラ島をご紹介しました。

アクセスは容易でないかもしれませんが、歴史的な遺跡群とタンザニアの現在の人々の暮らしを、両側面から、肌で感じられる貴重な体験であることは間違いありません。東アフリカが中東〜アジアと何百年も昔につながっていた歴史の痕跡を、ぜひ皆さんの目で直接体験してみてください。

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Saori K. Courtois

西アフリカ在住の国際公務員。アフリカの日常的観光スポットから~旅行に役立つ情報まで幅広くお届けします。

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