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【長野】信州型ユニバーサルツーリズムを紹介します
こんにちは!たびこふれライターの中尾です。
長野県が推進している『信州型ユニバーサルツーリズム』を体験しました。『信州型ユニバーサルツーリズム』とは、年齢や国籍、障がいの有無に関わらず、自然豊かな信州のフィールド(山岳高原の観光地)を誰もが安心して楽しめるように環境整備や人材育成等に取り組んでいること。その取り組みにより県内各地で造成された「ユニバーサルツーリズム」モデルコースなどを旅行会社に紹介しています。
それを体験する旅行会社招へい事業が実施されましたので僕も参加してきました。結論から申し上げると「ここまでユニバーサルツーリズムが進化しているとは思わなかった」という驚き。そして誰もが旅を諦めない、旅に出かけられることを実感しました。
目次
- 信州型ユニバーサルツーリズムとは
- 旅行会社招へい事業に参加
- 戸隠エリア:戸隠高原
- 長野県内のユニバーサルツーリズムの取り組み
- ホテルシェラリゾート白馬
- 白馬エリア:白馬岩岳 ねずこの森自然探勝路
- 白馬エリア:白馬五竜 白馬五竜高山植物園
- 参加してみての感想
『信州型ユニバーサルツーリズム』とは
信州からユニバーサルツーリズムで社会を変える!
長野県は海に面していない山岳地帯が中心。なのでユニバーサルツーリズムは山も谷も乗り越えること...。県民の温かいサポートとおもてなしの心で「山も谷も乗り越え・学ぶ」ユニバーサルツーリズムを推進しています。
『信州型ユニバーサルツーリズム』の3つの特徴
- 1. 地域でのサポート体制の充実:旅行をサポートする個人・団体が揃っている
- 2. サポート機器の充実:「JINRIKI」「HIPPO campe」などサポート機器の充実
- 3. 信州ならではのバリア:通常はバリアであるはずの山や自然は、逆に長野県の観光資源である
『信州型ユニバーサルツーリズム』の形成に向けて
令和3年(2021年)は実務人材育成強化、学習旅行商品プログラムを作成し、商品化に向けた旅行会社の招へい事業に取り組んできました。
旅行会社招へい事業に参加
長野県では平成30年度(2018年)から推進してきた取り組みにより、ユニバーサルツーリズム体験コースの造成や、専門人材の育成など、受入体制が整ってきたことから、旅行会社のスタッフを招へいして、実際に専門機材を使いながらの体験および各地の取り組みを紹介することになりました。僕もお誘いいただき体験してきましたので、『信州型ユニバーサルツーリズム』をレポートします。
戸隠エリア:戸隠高原
最初に訪問したのが戸隠高原(とがくしこうげん)。
>>戸隠ユニバーサルツーリズムの詳細はこちら(戸隠高原観光協会)
「戸隠観光協会では、車椅子利用者や何らかのお手伝いが必要な方、すべての方々が安心して訪れることができる観光地を目指して、ユニバーサルツーリズムデスクを開設しています。」
自身も車椅子利用者であるユニバーサルフィールドコンシェルジュの田村さんが車椅子を紹介してくれます。向かって左側が「マウンテントライク」、右側が「MTプッシュ」です。
体験前にまずは腹ごしらえ。戸隠といえば蕎麦が有名ですね。戸隠牧場前にある「手打ちそば岳」にて昼食です。
>>手打ちそば岳HPはこちら ※冬期は休業しています。
この店は段差を少なくしているので、車椅子のまま入店可能です。ユニバーサルフィールドコンシェルジュの田村さんも軽快に進みます。
ざるそばと天ぷら盛りです。そば粉は地元の戸隠産。絶品でした。
それでは戸隠連山を眺めながら快晴の戸隠牧場で体験スタート。
「MTプッシュ」は前輪が2輪、後輪が1輪になっていて、後ろから押して進みます。サスペンションやディスクブレーキを装備し、悪路にも対応した本格アウトドア用車椅子です。
操作するのは介助者です。介助者役で操作してみましたが、ブレーキがあるので下り坂や悪路も難なく進むことができます。平地なら一人の介助者で対応できますが、悪路や坂道になると2~3名で操作しないといけません。乗り心地はこのような整地されていない砂利道でも大きく揺れることもなく、椅子に身を任せ、安心して乗っていることができます。
▼「MTプッシュ」の動きを動画でご覧ください!
こちらは「マウンテントライク」。「MTプッシュ」同様、サスペンションやディスクブレーキを装備し、悪路にも対応した本格アウトドア用車椅子です。
こちらも前輪が2輪、後輪が1輪になっていますが、レバードライブで自らハンドルやブレーキを操作することにより、一人でも利用することが可能です。操作方法は両手でレバーを持ち、前後に動かすことによって前に進むことができます。曲がる時はレバー先を折り曲げて曲がります。慣れるまで少し手間取りますが、少し体験するとすぐに慣れますので、遊び感覚で利用することができます。
▼「マウンテントライク」の動きを動画でご覧ください!
戸隠牧場にはバンガローやキャンプ場が併設されています。シャワールームやトイレは皆さん驚くくらい清潔。もちろんユニバーサル仕様になっています。
バンガローももちろんスロープを設置して、車椅子ごと利用することができます。
それでは戸隠牧場を後に、戸隠神社奥社に移動します。車椅子は車で運ぶことができます。
戸隠神社奥社まで続く杉並木を見ながら「MTプッシュ」で進みます。こんな素晴らしい観光地にも、誰でも諦めることなく訪問することができるのです。
悪路でもシートベルトで体を固定しますので、正しい操作を行う限り安心して利用することができます。
▼整地されていない道での「MTプッシュ」の動きを動画でご覧ください!
長野県内のユニバーサルツーリズムの取り組み
会場をホテルに移し、長野県内のユニバーサルツーリズムの取り組みについて話を伺いました。
信州大学 加藤講師『障害者差別解消法と長野県のユニバーサルツーリズム』
>>ユニバーサルフィールド・コンシェルジュ養成講座(信州大学・観光庁)HPはこちら
信州いいやま観光局 大西支配人『ユニバーサルツーリズムへの取り組みについて』
>> いいやま観光局「なべくら高原ユニバーサルツーリズム」HPはこちら
車山高原観光協会 山崎執行役員『諏訪湖、霧ヶ峰、八ヶ岳エリア ユニバーサルツーリズム』
阿智☆昼神観光局 岡庭課長『2021年度ユニバーサルツーリズム〜阿智村昼神温泉の取り組み〜』
>>ユニバーサルツーリズム「阿智村を観光したい皆さまへ」HPこちら
富士見高原リゾート 藤田次長『富士見高原リゾートの創業時コンセプトは「屋根のないホスピタル」』
>>富士見高原リゾート「ユニバーサルツーリズム」HPはこちら
富士見高原リゾートの藤田次長より電動カートの紹介がありました。
折りたたむとこんなにコンパクトになります。
ホテルシェラリゾート白馬
今回宿泊したのは「ホテルシェラリゾート白馬」。
まさに森の中のリゾートホテルです。
とても広い部屋が特徴です。
もちろんユニバーサル対応した部屋もあります。
白馬エリア:白馬岩岳 ねずこの森自然探勝路
翌日午前に訪問したのが白馬エリアの白馬岩岳「ねずこの森自然探勝路」です。
ねずこの森自然探勝路へは白馬岩岳マウンテンリゾートのゴンドラリフト"ノア"に乗車します。
車椅子も専用のゴンドラで山頂駅へ回送します。
所要時間約8分で標高1,280mのゴンドラ山頂駅に到着します。
こちらの車椅子はアウトドア用で「HIPPO campe(ヒッポキャンプ)」と呼ばれています。前が1輪、後ろが2輪の3輪タイプです。
下り坂はこのように3人の介助でゆっくり進めます。3人でバランスを取りながら進めると重たく感じません。
▼下り坂での「HIPPO campe(ヒッポキャンプ)」の取り扱いをご覧ください!
次は上り坂。このように3人で2人が前に引っ張り、1人が後ろから押して進めます。
▼上り坂での「HIPPO campe(ヒッポキャンプ)」の取り扱いをご覧ください!
このような段差もコツをつかめば簡単に進めることができます。
「良い景色ですね!」とみんなで感動を共有することができます。
次は「JINRIKI(じんりき)」。車椅子をリアカーにした感じのもの。前から引っ張り、後ろから押して進みます。
それでは「ねずこの森」へみんなで一緒にウォーキングしましょう!
▼ねずこの森での「HIPPO campe」と「JINRIKI(じんりき)」の動きをご覧ください!
木の根が飛び出した悪路でもコツをつかみながら進めます。
▼「HIPPO campe」を皆んなで考えながら進めます!
このような階段も力を合わせて引っ張り上げます。
▼階段での「JINRIKI」はこのように持ち上げて上っていきます。
「ネズコの巨木」に到着。ねずこの森のネズコって、ヒノキ・サワラ・ネズコ・アスナロ・コウヤマキと合わせて木曽五木と呼ばれる"ひのき"の仲間です。
ネズコは耐水性に優れ、軽く、摩耗にも強い特性なので、下駄の材料にも使われています。根上がりの部分がマングローブに似ていることから、"森のマングローブ"とも言われています。
当日は地元長野県のテレビ局が取材に来られていました。
上ったら下ることになります。下りも一歩一歩慎重に進めます。
「HIPPO campe」は後ろ向きに進めます。
▼僕も「HIPPO campe」に乗り、乗車目線で撮影してみました!
それでは北アルプスの山々が眺望できる展望台に移動しましょう!
白馬岩岳マウンテンリゾートの目玉の一つ「Yoo-Hoo!SWING(ヤッホー!スイング)」です。
北アルプスの白馬三山を正面に絶景大型ブランコです。この感覚!最高で~す!
そして近年有名になった絶景テラス「白馬マウンテンハーバー」へ!
見よこの絶景!こんなに綺麗に晴れるなんてなんと運の良いこと!
車椅子でも「白馬マウンテンハーバー」の先端まで行くことができます!
「白馬マウンテンハーバー」にはニューヨーク発の人気ベーカリー「THE CITY BAKERY」があります。絶景テラスで絶景を眺めながら食べるベーカリーは最高です!
ゴンドラ山頂駅の前に広がる「岩岳グリーンパーク」も眺望抜群。各種アクティビティも楽しめます。
白馬エリア:白馬五竜 白馬五竜高山植物園
午後に訪問したのが白馬エリアの白馬五竜「白馬五竜高山植物園」です。
白馬五竜高山植物園では「トレイルライダー」を使用します。このトレイルライダーは国内に1台しかありません。大きな一輪車が特徴です。
白馬五竜高山植物園へは麓のとおみ駅(818m)から8人乗りゴンドラでアルプス平駅(1,515m)へ向かいます。所要時間は約8分です。
幅60cm以内の車椅子であればそのままゴンドラに乗車することができます。
アルプス平駅から少し下ってアルプス展望ペアリフト乗り場へ向かいます。
アルプス展望ペアリフトに到着。
ペアリフトでもこのように車椅子を折りたためばリフトに乗せることができます。
ゆっくりと展望を楽しみながら約10分の空中散歩を楽しみます。
展望リフトなので晴れていれば北アルプスの白馬三山を眺めることができます。
リフトを降りると大展望が広がっていました。
さぁ、「トレイルライダー」の出番です。前と後ろで支え、進めます。階段も難なく下りることができます。
北アルプスを眺めながらのウォーキング。みんなで眺望を楽しめるのも『信州型ユニバーサルツーリズム』の特徴です。
僕も「トレイルライダー」を体験してみます。
▼「トレイルライダー」を乗車目線で動画でご覧ください!
トレイルライダーは大きいのですが、意外と小回りがきくのも特徴。基本的に2人で操作することが可能。
素晴らしい景色の中、植物園をウォーキングします。
「トレイルライダー」は揺れも少なく乗り心地も良いので、景色を楽しむことができます。
▼トレイルライダー」で植物園内を進みます。
参加してみての感想
僕なりに感じたことをメモしました。
- できないことはできるように工夫してみる
- 恐怖感がまるでない
- 旅を諦めている人も旅を実現させる
- 皆んなで一緒に旅を楽しむ
- 車椅子を乗る人も引く人も感動を共有する
今までできなかったことを可能にするのが『信州型ユニバーサルツーリズム』です。
これは決して障がい者だけでなく、手足を怪我したからとか、高齢になり足腰が弱くなったから旅に出るのを躊躇している人に対しても応用できることです。これからさらに発展していく『信州型ユニバーサルツーリズム』に注目です。
>>長野県の旅行会社招へい事業の報告はこちら
>>長野県ユニバーサルツーリズム推進事業のHPはこちら
皆さんお疲れさまでした!
【参加旅行会社】株式会社JTB、近畿日本ツーリスト株式会社、株式会社日本旅行、おはようトラベル株式会社、株式会社阪急交通社
※当記事は2021年10月3日〜4日に実施された旅行会社招へい事業に参加した時のものです。
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中尾勝
- 旅が大好き!国内海外を問わず飛び回っていますが、海外へは2011年に渡航して以来、出国していません。今は原点に戻り国内を旅しながら日本の良さを体感中。