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【兵庫県・福崎町】河童に鬼・天狗、現代に蘇った妖怪だらけの町
民俗学者・柳田國男が幼少期を過ごした福崎町では、妖怪による町おこしを盛んに行っています。代表作である『遠野物語』には河童の駒引きの話がでてきますし、妖怪に関する話をまとめた『妖怪談義』という著作もあります。この本は、『ゲゲゲの鬼太郎』で有名な水木しげるにも大きな影響を与えました。
ということで、福崎町を歩いているといろいろなところで妖怪に出くわします。それも、オリジナリティーに満ちた現代風の妖怪たちです。では皆さん、福崎町に妖怪探しに行ってみましょう。
目次
福崎町の妖怪町おこし
柳田國男生家と鈴の森神社
柳田國男の生家です。現在は、辻川山公園内に移築されていますが、もともとは辻川の街道に面して建っていました。
あまり大きくはない、質素な家です。部屋の中には入れませんが、土間や外から内部を見ることはできます。
柳田國男が子供のころよく遊んでいたという鈴の森神社です。柳田國男生家のすぐ横にあります。
子どものころ、自然の中で小さな日本家屋で過ごし、神社で遊んで、妖怪を見る力を身に付けたのかもしれませんね。
河童のガジロウと逆さ天狗
福崎町の妖怪による町おこしの原点は、この辻川山公園内にある小さな池に出没するかっぱのガジロウです。あまりにリアルなので見に来た子供が泣き出すこともしばしば。メディアでも話題になりました。変にかわいいキャラクターにせず、とことんリアルで怖い河童にしたのが当たりました。
9時から17時の毎時0分・15分・30分・45分に出現します(6月~9月は18時まで)。
池のほとりにいるのは、ガジロウの兄、ガタロウです。手には、尻子玉を持っています。
今は、先ほどの写真のようにガジロウは1匹だけで出てきます。しかし、以前は2匹の子ガッパを引き連れており、このように3匹で出現していました。こちらの方が迫力はあったのですが、子ガッパたちはどこへ行ってしまったのでしょうか?この答は、後程お教えします。
池から出現する河童が3匹から1匹になってしまったのは、いろいろ大人の事情があるようです。
ガジロウに続く第2弾がこの「逆さ天狗」です。小屋の中から逆さまになって、もちむぎどら焼きを食べながら天狗が出てきます。さらに、よくわからないことをしゃべります。場所は、ガジロウが出現する池のすぐ近くです。
9時5分から17時5分の毎時5分・20分・35分・50分に小屋から出てきます。
全国妖怪造形コンテスト
福崎町では、平成26年から30年にかけて、5回の「全国妖怪造形コンテスト」を開催しました。これは、妖怪と造形を軸とした町おこしイベントで、柳田国男の「妖怪談義」に載っている妖怪を各自の想像力を駆使してフィギュア化したものを募集しました。国内外から多くの作品が寄せられました。
各回の最優秀作品をブロンズ像にしたものが、辻川山公園内に展示されています。
<第5回全国妖怪造形コンテスト 一般の部最優秀作品「輪廻の森」>
<第4回全国妖怪造形コンテスト 一般の部最優秀作品「怪しい抜け道」>
<第3回全国妖怪造形コンテスト 一般の部最優秀作品「招き鵺(ぬえ)」>
<第2回全国妖怪造形コンテスト 一般の部最優秀作品「森に吹く風」>
<第1回全国妖怪造形コンテスト 一般の部最優秀作品「天狗の森の妖翁」>
【辻川山公園】
- 住所:兵庫県福崎町西田原1038-12
- 営業時間:見学自由、柳田國男生家は9:00から16:30
- 定休日:なし 柳田國男生家は月曜・祝日の翌日・年末年始(12/28か1/4)
- 公式サイト:http://www.fukusakikankou.jp/kappa.html
福崎駅前のガジロウ
辻川山公園の池に出没するガジロウは、なんと福崎駅前にも現れます。普段は空っぽの水槽ですが、時間になるとボコボコと泡を立てながらガジロウが浮かび上がってきます。どうして、池にいたはずのガジロウが駅前に出現するのか?ガジロウだけが知る、秘密のトンネルがあると噂されています。
7時7分から20時7分までの間、毎時7分、22分、37分、52分にガジロウが出現します。
福崎町辻川観光交流センター
福崎町の観光と妖怪情報発信基地
辻川山公園から徒歩5分ほど、国道312号線に面して建つ「福崎町辻川観光交流センター」は、福崎町の観光と妖怪文化の情報発信基地です。
モダンな建物の前に、いろいろ並んでいて賑やかな感じです。
内部は木材が多く使われ、モダンでリラックスできる空間が演出されています。
自由に利用できる休憩スペースがあります。各種観光パンフレットを置いてありますので、街歩きの途中に立ち寄ってみてください。きれいで、ゆったりとしたトイレがあるのもポイントです。
妖怪造形コンテストの作品たち
ここにも全国妖怪造形コンテストの作品がたくさん展示されています。ここで、すべてご紹介するのは難しいので、特に印象的だったものを4つほどご覧いただきましょう。
<人々が食べものへの感謝を忘れたり、食べ物を粗末に扱ったりすると現れるという「牛鬼」。今の日本の状況を考えると、たくさんいそうですね>
<「座敷童」の正体は、体に石臼を乗せられて、間引かれた子供の魂だそうです。銀色の物体は、石臼から湧き出た座敷童の兄弟たち。これ、かなり怖いですね>
<トラツグミの群れが集まって「鵺(ぬえ)」になるそうです。あまりに細かい造形に驚かされます>
<「貝吹き坊」は、熊山古城跡の堀に住み法螺貝のような音を出す妖怪。これは、お堀のミジンコと融合した姿だとか。独創性がずば抜けている作品ですね>
取材に伺った際、家族連れが来られていたのですが、小さなお子さんはこの展示を見て「怖い!怖い!」と言って泣き出してしまいました。やっぱり妖怪は子供が泣き出すぐらいじゃないとだめですね。
お土産も充実
福崎町辻川観光交流センターでは、福崎町や妖怪にまつわる様々なおみやげ品を購入することもできます。
ガジロウのTシャツ、デザインが素敵です。マスクや缶バッジなどの小物もあります。
食品もあります。尻子玉入りのかっぱカレーが気になりますね。
大人気の妖怪プラモデルの第3段は、土俵入り姿の「鬼」です。第1段のガジロウと第2弾の天狗は、残念ながら売り切れです。
海彦亭(あまびこてい)
福崎町辻川観光交流センターでは、食事もできます。
海彦亭(あまびこてい)では、様々なバリエーションの海鮮丼とカレーをいただけます。
海鮮バラ丼(880円)です。海のない福崎でどうしてこんな新鮮な魚が!とうなってしまうおいしさです。サーモン、いくら、まぐろ、ハマチ、たまごと具だくさんです。他に、サーモンユッケ丼、いくら盛り丼、3色海鮮丼など、様々なタイプの海鮮丼があります。
カレーは2種類、スパイシーなキーマカレーは東ティモール仕込みの本格派で、辛口・中辛・普通から選べます。もうひとつは、マイルドなバターチキンカレー。それぞれ、単品でも注文できますが、おすすめは写真の合がけカレー(880円)です。やっぱり、両方食べてみたいですよね。キーマカレーは中辛にしましたが、程よい辛さです。辛いのが好きな人は、辛口の方がいいかもしれません。バターチキンカレーは、コクがあって優しい味です。2種類のバランスが絶妙です。
おすすめのドリンクはこの2つ、尻子玉クリームソーダとかっぱサイダーです。クリームソーダには、アイスの他、2つの尻子玉が浮いています。それぞれ味が違います。尻子玉が浮いているクリームソーダ、不気味ですがうまいです。かっぱサイダーは、すっきりおいしいゆず味です。
子ガッパたちの行方
先ほど、辻川山公園の池にガジロウと一緒にいた子ガッパはどこに行ったのか?という問題がありましたね。
福崎町辻川観光交流センターの前に、「銀の馬車道・鉱石の道」のモニュメントがあるのですが、馬の上には福崎のキャラクター「サキちゃん」が、そして荷台にいるのが・・・
これが、ガジロウと一緒にいた子ガッパたちです。ここに来ていたのですね。お皿の水、かわきそう。
ついでに紹介しますが、福崎町辻川観光交流センターの前にある、この顔出しパネル。かなりエグイですね。さっきからよく出てきますが、尻子玉って何なんでしょうね?
【福崎辻川観光交流センター】
- 住所:兵庫県神崎郡福崎町西田原 1470-1
- 営業時間:10:00-18:00
- 定休日:水曜日
- 公式サイト:https://fukusaki-fun.com/tsujikawa/
妖怪ベンチ
妖怪ベンチとは
福崎町内の様々な場所に設置されているベンチで、妖怪たちが座っています。どれも、かなりリアルかつ精巧にできており、大人が見ても楽しめます。設置場所は、飲食店やお店の前で、妖怪ベンチを探していると、思いがけずいいお店を発見できるかもしれません。
かなり広範囲にわたるので歩いて回るのは大変です。駅前の観光交流センターでレンタサイクルを借りるか、車で回るのがおすすめです。設置場所にはすべて駐車場があります。
妖怪ベンチすべて見せます
2021年7月現在設置されている妖怪ベンチ、全て撮ってきましたのでご覧ください。
<福崎辻川山観光交流センターの前にいる河童。河童の反対側に座れば対局シーンが撮れます>
<同じく、福崎辻川観光交流センター前の雪女。氷漬けの髑髏が禍々しい>
<福崎辻川観光交流センターの向かいにある「ミートショップ松井」の前にいる海坊主。サーフィンするんですね。タコもかわいい。福崎町西田原1264-3>
<辻川山公園の駐車場にいる油すまし。今にもヌルヌル動きだしそう>
<後程ご紹介する「もちむぎのやかた」にいる座敷童。ピンクの髪がチャームポイント>
<「サタディサン」という喫茶店の前にいる子啼爺(こなきじじい)。3100歳の爺がソフトクリームを落として泣いている。福崎町西田原233-3>
<一番新しい妖怪ベンチ。「食べ処居酒屋くろすけ」の前にいるのは小豆洗い。小豆バーを加えてゲームに熱中。福崎町西田原1878-1>
<スーパーマーケット「ボンマルシェ」の入口にいるのはスネコスリ。なんかちょっと哀愁が漂っています。福崎町西田原1394>
<「焼肉ハウス北山」の前で火を噴いているのは油坊。自ら肉を焼いているようですね。福崎町南田原3018>
<おいしそうな総菜がそろう「サラダ館」の前には一つ目小僧がいます。この目がすごいですね。足元のカエルも気になります。福崎町南田原2969-3>
<ファミマの前には一反もめんがいます。なかなか不気味ですね、こんなのがヒラヒラ飛んで来たらかなり怖い。福崎町南田原2184-1>
<妖怪ベンチの中でも、最もインパクトが強いもののひとつ、山姥です。これは、怖い!「株式会社マルフク」の前にいます。福崎町福崎新148>
<「ひのストア」に前には、自撮りをする筋骨隆々の鬼がいます。福崎町福崎新203-1>
<お肉や、総菜のお店「グルメミートにしおか」の前にいるのはカワイイ猫また。浴衣の柄や帯の猫マークがおしゃれ。福崎町馬田162-1>
<福崎駅近くの「天狗寿司」の前にいるのはやっぱり天狗。スーツ姿が決まっています。頭良さそうですね。福崎町福田348-3>
<「神戸医療福祉大学」の駐車場付近にいるフクちゃんとサキちゃん。福崎町のマスコットキャラクターです。福崎町高岡1966-5>
<同じく大学の構内、門を入ってすぐのところにいるタタミタタキ。吉本の芸人でこんな人いそうな感じ。団扇がみごとです>
>>>妖怪ベンチの詳細はこちら。マップもダウンロードできます。
妖怪ベンチ増設情報
今回、福崎町観光協会への取材で得た、最新情報です。
今年中に、妖怪ベンチが2つ増設されるそうです。どんな妖怪が追加されるかは極秘です。具体的な日時は発表されていませんが、楽しみに待ちましょう。
もちむぎのやかた
福崎町の妖怪たちに関してご紹介してきましたが、最後に福崎町に来たら外せないグルメ情報をお伝えします。
福崎の名産と言えばもち麦
もち麦とは、大麦の一種で普通の麦よりもちもちした食感が楽しめます。高たんぱく、高ミネラル、食物繊維のベータグルカンも含有する健康にも良い食品です。福崎町には、約60名のもち麦生産組合のメンバーがおり、愛情を込めてもち麦を生産しています。
もち麦製品を一手に製造・販売しているのが「もちむぎのやかた」です。辻川山公園のすぐ近くにあります。
充実したもち麦製品
もちむぎのやかたでは、もちむぎを使った様々な商品を販売しています。
<「もちむぎ精麦」です。お米に5から10%混ぜてとぎ、すこし水を多めにして焚き上げると、おいしくて健康にも良い麦ごはんが炊き上がります>
<もちむぎ麺は、主に半生、乾麺、そうめんの3種類です。それぞれ、食感が異なるので食べ比べてみましょう>
<食べ始めると止まらない、もちむぎ煎餅。つぶつぶしたもち麦の食感にほどよく甘辛い醬油味>
<お菓子もあります。もちむぎカステラに、天狗も食べていたもち麦どら焼き>
工場見学
おみやげコーナーの横に休憩スペースがあり、ここからガラス越しに工場内の様子を見学することができます。まさに製造直売ですね。半生麺と乾麺の微妙な工程の違いなどもわかります。
大盛況のレストラン
もちむぎのやかたには、レストランもあります。営業はお昼のみで、いつも大盛況です。
主なメニューをご紹介しましょう。
<五種麺(990円)です。夏におすすめの冷たい麺、様々な味が楽しめるのがいいですね>
<甘辛く煮た牛すじがたっぷり入った牛すじ麺(935円)。個人的には一押しの逸品>
<あんかけ揚げだし豆腐がどんと乗っている揚げ出し麺(770円)、売れ筋です>
<タズミノ卵とろとろあんかけ麺(825円)です。市川町にブランド卵を使った人気メニュー>
ここでご紹介した麺類以外にも、天ぷら、お刺身などのおかずやもちむぎご飯がセットになった定食メニューも豊富です。
【もちむぎのやかた】
- 住所:兵庫県神崎郡福崎町西田原1022番4
- 営業時間:9:00~17:00 レストランは11:00から16:00(オーダーストップ15:00)
- 定休日:月曜日 (月曜日が祝日の場合翌日の火曜日)
- 公式サイト:http://www.mochimugi.jp/
まとめ
姫路市の北側に位置する福崎町、電車ですと姫路駅で播但線に乗り換え福崎駅で下車、車では中国縦貫道と播但道の交差点に位置し、大阪や神戸から簡単にアクセスできます。
意外と行きやすい場所にある福崎町、今後も新しい展開がありそうで目が離せません。ここで、ご紹介した妖怪による町おこし以外にも、歴史のある神社仏閣、大自然に囲まれた滝や公園など、さまざまな観光資源があります。どの季節に行っても楽しめる場所ですので、機会があればぜひ訪れてみてください。
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トラベルガイド株式会社 阿部吾郎
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