【北海道】水道から天然水が出るって?今、人口が増えている「東川町」とはどんなところ?

東川町

こんにちは! たびこふれ編集部のシンジーノです。

今、日本では東京など大都市圏を除き、ほとんどの自治体が過疎問題を抱えています。地方でも県庁所在地はまだしも小さな町や村は限界集落化し、人が生活を営むことが難しくなっている所も増えています。そんな中、北海道に人口が増えている町(1993年から2021年2月末までの25年間に6,973人から8,445人に増加)があります。それが東川町です。

東川町とはいったいどんなところなのか、なぜ今の世の中で人口が増えているのか、探ってみたいと思います。

目次

東川町って、どこにあるの?

東川町は、北海道のほぼ真ん中にある人口約8,400人の小さな町です。東部は山岳地帯で大きな森林を形成しています。日本最大の自然公園「大雪山国立公園」の一部になっており、 北海道の峰といわれる大雪山連峰の最高峰旭岳(2,291m)は東川町にあります。田んぼと山の風景がとっても美しい所です。

地図.jpeg

旭川空港から車で約15分。羽田空港から2時間あれば到着できる、関東圏からは意外に近い場所です。旭川市の中心部からも車で30分ほどの便利なアクセスです。

水道の蛇口をひねると天然水! おいしいお水とお米に恵まれた町

東川町の主な産業は「農業」。特にお米です。5月下旬から田植えがはじまり、町にはこのような風景が広がります。

田んぼ緑

そして秋になると・・・

田んぼ 黄金色

夏に向かって田んぼは鮮やかな緑色になり、秋になるとあたり一面、黄金色に彩られます。

この田んぼを支えているのが「水」です。東川町は、全国的にも珍しい"上水道の無い町"なのです(北海道でも唯一)。

東川町の人たちは、大雪山の伏流水で生活しています。水道の蛇口をひねると出てくるのは"天然水"なのです。お米や野菜、豆腐や味噌などの町内で生産される商品もその恩恵を受けています。この「水」の良さに惹かれて東川町に移転してくるレストランも多いのだとか。

そんな東川町のグルメ情報はこちらをご覧ください。

天然水

水、土、気候の良さにより東川町は北海道屈指の米どころです。地域名を冠した「ブランド米」として商標登録されたのは「東川米」が北海道初でした(2012年)。「ゆめぴりか」という品種は「ゆめぴりかコンテス下2019」で最高金賞を受賞したお米で、ふるさと納税の返礼品にもなっています。

お米
<東川町のお米>

ふるさと納税ではなく「ひがしかわ株主制度」

東川町では、ふるさと納税を「ひがしかわ株主制度」と呼んでいます。

返礼品 野菜 水

ふるさと納税の寄付を「投資」と呼び、寄付者を「株主」、返礼品を「株主優待」と呼んでいます。

どういうことかというと、ふるさと納税で寄付をしてくれる人を「町民と共に町づくりをする人」と位置づけているのです。

寄付してくださった方を、町外在住の町民「東川町特別町民」として認定証を贈り、町指定の宿泊施設に2泊無料の優待などもしています。東川町への旅行に使う方も多いそうです。さらに「株主総会」も開いたりしているそうです。

株主制度

こうしたユニークな制度からも「東川町を知ってくれた人々ときちんと向き合う」という東川町の精神を感じますね。

「写真の町」として35年の歴史あり

東川町のキャッチフレーズは「写真の町」です。町の自然風景に価値を見出し、1985年に「写真の町宣言」をしました。今から30年以上も前に、ハードではなくソフト面での地域活性に舵を切った先進的な町なのです。

写真の町宣言

さらに2014年には「写真文化首都宣言」をしました。現在、東川町における写真イベントは大きく3つあります。

(1) 全国の高校写真部・サークルなどから優秀校18校を選抜し、東川町にて高校写真部の全国一をめざす全国高等学校写真選手権大会「写真甲子園」

写真甲子園

(2)「写真の町」東川賞授賞式、受賞作家作品展、シンポジウムや、写真が異分野の文化と出会うイベント「東川町国際写真フェスティバル」

国際写真フェスティバル

(3) 海外選抜校20校、日本選抜校2校が参加し、写真文化と世界の人々を繋ぐ「高校生国際交流写真フェスティバル」

国際交流写真フェスティバル

昨年、今年はコロナの影響で、中止・延期がありましたが、これらのイベントが例年開催されています。

"人口が増えている町" 東川がめざす「適疎」とは?

東川町をあらわす重要な言葉があります。

「適疎」です。

東川町は1993年からの25年で、人口が6,973人から8,445人(2021年2月末時点)まで増加しています。

「なぜ人口が増えているのか?」 答えはひとつではありません。

  • 交通アクセスが良い
  • 田んぼが作りだす美しい風景
  • 地下水が生活水
  • おいしいお米
  • 町の魅力に惹かれて移住してきたお店
  • ひがしかわ株主制度など、東川町の人たちの姿勢

その他にも「教育」や「国際交流」にも力を入れているなど、さまざまな要素が重なりあって、人口が増えているのだと思われます。

では東川町は「人口1万人の町」をめざしているかというと、そういうわけでもないようです。

松岡市郎町長が長年提唱している「適疎」な町づくり。ゆとりのある空間を重視し、過疎でも過密でもない「適当に疎が存在する町」=「適疎」という考え方が大切にされているのです。

こうした東川の町としてのスタンスを「東川スタイル」と名付け、町の特色を表した本があります。

『東川スタイル―人口8000人のまちが共創する未来の価値基準 (まちづくりトラベルガイド)』

筆者の感想

こんなユニークで芯のある取り組みをされている町があるんだなぁと感心しました。どこかの町の真似をするのではなく、数値目標を掲げて拡大路線を志向するのでもなく、東川町らしさとはなにかを見つめ、目先に囚われず、一歩一歩「本当の豊かさ」の実現に向かって進んでおられるスタンスはカッコイイと思いました。こういう町が日本中に増えてくると日本はもっと素敵な国になれそうですね。今はコロナ禍で自由な行き来は難しいですが、東川町から目が離せそうにありません。

>>>北海道 東川町のオフィシャルサイトはこちら

※記事内の写真:東川町役場提供

東川町へのアクセス

鉄道・バス利用の場合

東川町に鉄道は通っていません。最寄りの駅はJR 旭川駅で、東川町中心部までの移動は路線バスまたはタクシー利用となります。

■札幌・新千歳空港~旭川間のJR の所要時間

  • 札幌 ~ 旭川:約80 分
  • 新千歳空港 ~ 旭川:約120 分

車利用の場合

「旭川空港」から車で約10 分。新千歳空港利用の場合は、高速道路利用で約3時間30分で到着します。(高速道路は、道央道「旭川北IC」が便利で、比較的スムーズに東川町内まで進むことができます。)

札幌からは高速道路利用か、国道12号線を旭川経由で東川町内へ。レンタカーは旭川駅または旭川空港近辺で利用できます。

■高速道路IC から東川町への所要時間

  • 旭川北IC:約16km/約25 分
  • 旭川鷹栖IC:約28km/約40 分

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シンジーノ

3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

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