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【青森】祝・世界遺産登録!三内丸山遺跡で壮大な縄文の社会を体感
2021年7月27日に新たに世界文化遺産として登録されることが決定した「北海道・北東北の縄文遺跡群」。青森市にある「三内丸山遺跡」は、特にシンボル的な存在として、古代史好きの注目の的になっています。
約5900~4200年前の集落跡が広がる壮大なこの遺跡は、アクセスが便利で、たくさんの発掘品を親しみやすい展示方式で見られるのがポイント。縄文時代の暮らしに興味が深まること間違いなしです!
目次
アクセスはJR青森駅からバスで
三内丸山遺跡はアクセスの良さが魅力の一つ。JR青森駅から「三内丸山遺跡」行きの市営バスで、約30~40分で到着します。
主要観光施設をめぐる観光ルートバス「ねぶたん号」も同駅から出ており、三内丸山遺跡は約40分で到着。市営バスは青森駅前「6 青森市営バス乗り場」から、ねぶたん号は「7 シャトルバス乗り場」から乗車です。
遺跡への入口、縄文時遊館へ。ガイドの時間をチェック!
三内丸山遺跡に到着したら、まずチケット売り場やミュージアムがある建築物「縄文時遊館」に入ります。遺跡を紹介する映像が流れる「縄文シアター」や常設展示室の「さんまるミュージアム」、遺跡全体のジオラマなど見どころがいっぱい。外の遺跡に出る前にこちらを見て、遺跡の概要を掴んでおくと、より充実した遺跡見学を楽しめます。
遺跡をめぐる際には、ボランティアガイドさんによる定時ツアーに参加するのがおすすめです。ガイド代は無料! 広大な遺跡をただ歩くだけではわからない縄文人の暮らし方について、楽しく語ってくれます。1日に8回行われるガイドツアーの集合場所は縄文シアターの前。館内に到着したら、まずガイド出発時刻のボードを確認しましょう。ガイドの所用時間は約50分です。
さんまるミュージアムで縄文人の心に触れる
縄文時遊館の左部に広がる「さんまるミュージアム」は、三内丸山遺跡の出土品が常設展示されているエリア。縄文人の生活を体感できる展示になっています。
圧巻なのは「板状土偶」が並んでいるスペース。人間の女性の姿を象った薄い板状の土偶で、出産時や病気の時に枕元に置くなど、お守りとして使われていたと考えられています。ひとつひとつの土偶はそれぞれ異なった顔を持ち、時期ごとに形や模様の付け方にも流行があるそう。縄文人の心が伝わってくるアイテムです。
縄文土器の変遷がわかる「土器ステージ」や、竪穴建物内の暮らしの実物大再現、遠隔地との交流が解る黒曜石やヒスイなども必見です。
いよいよ遺跡へ!ガイドツアーに参加
ミュージアムを見た後は、広大な遺跡へ。ボランティアガイドさんと一緒に、縄文時遊館の中心部にある「時遊トンネル」を通って外に出ます。するとそこは5000年の時を遡った縄文のムラ!竪穴住居が立ち並ぶ光景に目を奪われます。
南盛土
まず訪れたのは「南盛土」。かまぼこのような建物の中に保存されたエリアです。「盛土」とは竪穴建物などを掘ったときの土やゴミ、焼けた炭や壊れた土器などが同じ場所に長期間棄てられ、小山のように盛り上がったもの。現在は北盛土・西盛土・南盛土の三か所が確認されています。
上の写真の南盛土には、大量の土器や石器、ヒスイ製の玉などが多く埋まっていたそうです。その出土品の傾向から、単なるゴミ捨て場などではなく、祭祀的な性格を示す場所であったと考えられています。まるで縄文時代のタイムカプセルみたい!
竪穴住居
敷地内には15基の竪穴住居が復元されています。三内丸山遺跡でみつかった竪穴住居跡は550棟以上。縄文の人々が、この地で安定した共同体を築いていたことがわかります。
復元された竪穴住居は、中に入ることができます。樹皮葺き・土葺き・茅葺きの三種類の屋根を持つ円錐形の建物の中は、柱と梁がむきだしの構造。床は地面に掘りこんであり、中央には炉があります。天井が低いので、入る時には要注意!こぢんまりとした空間は不思議に居心地がよく、縄文の人々の暮らしぶりが目に浮かぶようです。
掘立柱建物
竪穴住居とともに目立つ建物は、復元された「掘立柱建物」。地面に穴を掘って柱を立てた建物で、高床式だったと考えられています。遺跡中央部分で、まとまって発見されました。
柱や床などは、栗の木で作られています。栗は建材としてだけでなく、人々の食生活も支えていました。盛土やゴミ捨て場だった「北の谷」からは、廃棄されたクリの果皮が大量に出土しており、食料としても重要だったことがうかがえます。
三内丸山遺跡の人々は、自然の植生だけでなく、人工的に栗の林を育てていたと考えられています。遺跡の中には今も栗林があります。
竪穴住居や掘立柱建物が立ち並ぶ住居地を作り、栗の林を栽培し、この地で安定的な社会を形成していた縄文の人々。縄文時代に対するイメージが変わってきますね!
大型掘立柱建物跡と巨大な復元建物
遺跡の北西端にある大型掘立柱建物は、三内丸山遺跡のシンボル。まず6本の柱穴を保存した、白い建物の中に入ります。整然と二列に並んだ柱穴は、直径・深さとも約2m。穴の間隔はすべて4.2m。縄文の人々は、既に独自の計測単位を持っていたのです!
その他の建物の柱間隔も検証した結果、35cmが長さの単位になっていたと考えられているそうです。これは人間の大人の肘から中指までの長さではないか...とガイドさんが話していました。なるほど!柱穴の中には、出土した栗の柱の一部分も残っています。
復元された大型掘立柱建物は高さ14.7m。こちらも栗の木で作られています。間近で見上げると、素朴かつ巨大なシルエットが迫力満点。用途は神殿、物見やぐら、モニュメントなどの説が唱えられているそうです。この櫓の上から見るムラの景色は、どんな眺めだったんでしょうね。
大型竪穴建物
壮大な6本柱の大型掘立柱建物跡の隣には、長ーい茅葺き屋根が目立つ「大型竪穴建物」があります。この建物の長さは32m!
復元された建物の内部は、広い土間と炉の跡があり、集会場や共同作業場として使われていたと考えられています。ムラの住民がみんなで集まって宴会などもしていたのかしら...とつい想像してしまいます。なんだか親しみが湧いてきますね!
まとめ
約1700年もの間、縄文の人々が支え合って暮らしてきた三内丸山遺跡。世界遺産に登録された記念に、ぜひ行ってみてくださいね。その際には以下のことにご注意を。
- 三内丸山遺跡へは縄文時遊館からのみ見学できます。遺跡のみの見学、通り抜けはできません。
- まず縄文時遊館内の「縄文シアター」と常設展示室の「さんまるミュージアム」を見学してから、遺跡のエリアを歩くと、より縄文時代への理解が深まります。
- 無料のボランティアガイドによる定時ツアーへの参加は絶対オススメ!所用時間は約50分です。
- 遺跡の敷地は広大で、地面の上を歩くことになります。歩きやすい靴で行きましょう。
それでは、縄文時代に思いを馳せる素敵な旅を!
特別史跡 三内丸山遺跡
- 住所:青森県青森市三内字丸山305 三内丸山遺跡センター
- 見学時間:9:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
※GW中と6/1~9/30は18:00まで開館 - 休館日:毎月第4月曜日(祝日の場合は翌日)、12/30~1/1
- 遺跡を含む常設展の観覧料:
- 一般:410円
- 高校生・大学生等:200円
- 中学生以下/無料
- ※特別展の観覧料は別途
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朝茶
- ライター/英和・和英翻訳者。出版社に11年勤務後、2009年にシンガポールに転居。東南アジアの文化と料理にハマる。2013年に帰国した後は日本文化に改めて関心を深め、今はとにかく国内各地を旅したいです!