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【東京】縁結びに元祖おみくじ!? 深大寺の魅力を徹底レポート
緑豊かな森と湧き水、都内とは思えない静けさと爽やかな空気に包まれた東京調布にある深大寺。
深大寺そばやだるま市、近年は「ゲゲゲの女房」のロケ地としても話題となった深大寺は、実は縁結びにも御利益があり、加えて、おみくじの元祖とも言われる元三大師みくじを引くこともできます。
今回はそんな魅力たっぷりの深大寺を徹底レポートします。
目次
- 3.1 山門
- 3.2 鐘楼
- 3.3 本堂
- 3.4 元三大師堂
- 3.5 釈迦堂
- 3.6 開山堂
- 3.7 不動堂
- 3.8 延命観音
- 3.9 深沙堂(じんじゃどう)
- 3.10 大黒天と恵比寿尊
- 3.11 珠瓔庭
- 3.12 地蔵の郷
<9. 深大寺周辺の魅力あるスポットにも立ち寄ってみよう!>
1. 深大寺の歴史について
新宿から電車で約20分、東京都のほぼ中央に位置する調布市。市内には数多くの寺社や史跡、公園等が点在しますが、調布市の観光スポットと言えば、やはり深大寺(じんだいじ)。
そんな深大寺の魅力を探るべく、まずはその歴史から紐解いていきましょう。
1.1 深大寺の由来
深大寺の正式名称は「天台宗別格本山(べっかくほんざん)浮岳山(ふがくさん)昌楽院(しょうらくいん)深大寺」。「別格本山」とは天台宗本山比叡山延暦寺に匹敵する格式の高さを意味し、関東にあるお寺の中で古刹としても知られています。
しかし、深大寺に伝わる『縁起』によれば、その興りは奈良時代の天平5年(西暦733年)、満功上人(まんくうしょうにん)が水神・深沙大王(じんじゃだいおう)をお祀りし、(天台宗ではなく)法相宗の寺院を開いたことがはじまりとされています。
深沙大王は仏教守護神の一人であり、砂漠の危難を救い、疫病や魔事を遠ざける鬼神とされ、あの玄奘三蔵が天竺(インド)へ向かう際にも砂漠で手助けをしたと伝えられています。深大寺の名は、この深沙大王に由来すると言われています。
1.2 天台宗へ改宗、そして元三大師信仰へ
時は下って平安時代の9世紀後半、武蔵国司(むさしこくし)の蔵宗(くらむね)の乱が起こった際、朝廷の勅命を受けた比叡山の高層・恵亮(えりょう)和尚が乱の鎮圧と降伏を祈祷し、平定が図られたことから、その功をたたえて深大寺を賜り、そこから天台宗へと改宗されました。
そして正暦2年(西暦991年)、比叡山延暦寺第18代天台座主・慈恵大師良源(じえだいしりょうげん)、通称「元三大師(がんざんだいし)」が、多くの民を救うべく自ら刻んだ像を深大寺に安置し、お祀りします。
この尊像は坐像にして2mにもなる巨像で、その大きさは日本最大と言われています。厄除けの霊験あらたかな元三大師像は多くの畏敬と信仰を集め、やがて深大寺は東国一の密教道場として発展します。
この元三大師像、ご尊顔を拝観できるのは50年に一度の御開帳(本開帳)だけという秘仏中の秘仏。通常であれば次回は西暦2034年だったのですが、令和2年(西暦2020年)2月、東京都の有形文化財に指定されたことで、それを記念した特別開帳が令和3年秋、東京国立博物館にて行われます。これは、実に江戸時代以来約205年ぶりの出開帳となるので、この貴重な機会をぜひお見逃しなく!
>>東京国立博物館「伝教大師一二〇〇年御大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」の詳細はこちらをご参照ください
2. 深大寺へのアクセス
それでは次に、深大寺へのアクセス方法をご紹介しましょう。
2.1 電車、バスの場合
深大寺に向かうには、京王線調布駅とつつじヶ丘駅、JR中央線吉祥寺駅と三鷹駅のいずれかを利用します。今回は調布駅からのアクセス方法をご紹介しましょう。
調布駅は北口にあるバスターミナルが出発地点で、深大寺方面行きのバス乗り場は11番と12番。
11番発の「深大寺」直通の京王バス(調34)は、終点の「深大寺」で下車すればそこから徒歩1分でお寺に到着です。
そのほか、「吉祥寺駅」行き、「杏林大学病院」行き、「三鷹駅」行きが発車し、いずれも「深大寺小学校前」に停車。そこから5分程度歩きます。
また、12番乗り場発の「吉祥寺駅」行きおよび「三鷹駅」行きはいずれも「深大寺入口」に停車します。そこからは徒歩10分ほど歩くことになります。
そのほか、深大寺への直通バスは京王線つつじヶ丘駅北口発の「丘21」、JR吉祥寺駅発の小田急バス「吉04」や三鷹駅発の「鷹65」も利用可能。詳細はリンクをご参照ください。
2.2 車の場合
車の場合は、近隣の有料駐車場を利用することになります。もっとも近いのは深大寺目の前の高橋駐車場。このほか、タイムズやパークジャパン、神代植物公園などの時間制有料駐車場のほか、飲食店による利用者向け駐車無料サービスも賢く利用しましょう。
3. 深大寺の見どころ12選!
それでは、深大寺境内の見どころをご紹介します。位置関係はマップをご参照ください。
3.1 山門
正面に「浮岳山」の山号額を掲げる、切妻造(きりづまづくり)と茅葺(かやぶき)屋根の正門。慶応元年(西暦1865年)に起こった江戸の大火から免れた数少ない建物の一つで、深大寺境内では一番古い建物となっています。
内側から眺める山門も一興。茅葺き屋根に緑の苔がびっしりはびこって、また違った風情が楽しめます。
3.2 鐘楼
山門脇に置かれた鐘楼(しょうろう)もまた幕末の大火で焼失。明治初期に再建された鐘楼は、入母屋(いりもや)茅葺きから銅板板葺きに改められています。
また梵鐘(ぼんしょう)は平成13年(西暦2001年)に新鋳された平成新鐘と呼ばれるもので、1日3回(春分の日以降は5時、11時半、18時、秋分の日以降は6時、11時半、17時)鐘つきが行われます。また大晦日の除夜の鐘は一般の参拝客もつくことができます。
3.3 本堂
山門と本堂の間に立つ常香楼。江戸の大火の災禍から免れたもう一つの建物です。参拝前に、まずはここでお線香を焚き、煙を浴びて身を清めましょう。身体の悪いところに煙を当てると良いとされています。
本堂もまた幕末の大火で焼失し、大正7年(西暦1918年)に再建されました。御本尊は宝冠阿弥陀如来像が安置されています。
平成15年(西暦2003年)の大改修工事で銅板葺き本瓦棒(ほんがわらぼう)葺きに一新され、向拝(こうはい)などには江戸彫りの意匠を凝らした獅子や象、龍、鳳凰の彫刻が楽しめます。
本堂左手にはなんじゃもんじゃの木がそびえ立っています。4月下旬にはスノーフレイクのようなふわふわ可憐な白い花を咲かせて境内が華やぎます。
3.4 元三大師堂
本堂横の階段から上がったところにあるのが、元三大師像が安置される元三大師堂。もとは現在の手水舎近くにありましたが、幕末の大火で類焼を受け、現在の場所に再建されました。
除災招福、商家繁栄、良縁成就に交通安全等、厄除の霊験あらたかで知られる元三大師。旧堂焼失からわずか3年後の慶応3年(西暦1867年)、本堂よりも先に再興されたことからも人々の信仰の深さが伺えます。
大師堂では毎日護摩祈願(ごまきがん)が行われ、希望者は大師堂左手にある受付所で受付を行います。詳しい流れは深大寺ホームページをご参照ください。
「だるま市」で有名な深大寺。そんな深大寺ではだるまの目入れを僧侶が行い、まず左目に、物事のはじまりをあらわす「阿(あ)」の梵字(古代インド発祥の文字)を入れて開眼します。
その後、心願成就のあかつきには、僧侶が右目に「吽(うん)」を入れて寺に納めるのが古くからの習わしとなっています。
大師堂の賽銭箱の上に置かれた左目に「阿」の字が入っただるま。つまり、ここでご祈願すればだるまに目入れをしたのと同じ、という意味なのかもしれないですね。
大師堂横に鎮座するのは撫で仏の「おびんずるさま」。自身のからだの悪いところを撫でると病が治ると信じられ、そのためからだはツルツルです。残念ながらコロナ禍の現在は、触れることはできないので、今は心の中で撫でて病を払ってもらいましょう。
3.5 釈迦堂
境内の西門近くに鎮座するのは釈迦堂です。ここには、飛鳥時代後期(白鳳期)の傑作にして東日本最古の国宝仏・釈迦如来像(通称、白鳳仏)が安置されています。
釈迦堂については、別途拝観料として300円、平日は午前の部(9:30~11:30)と午後の部(12:30~16:00)に分かれ、土日祝日は9:00~16:00が拝観できる時間になっています。
古来、深大寺の御本尊である釈迦如来像は、江戸の大火の災禍は免れたものの、その混乱に乗じて大師堂の須弥壇下にずっと放置され、明治42年(西暦1909年)に再発見されるまで人々の記憶から忘れ去られてしまいます。
しかし再発見後は、大正2年(西暦1913年)に旧国宝、昭和25年(西暦1950年)には国指定重要文化財、そして平成29年(西暦2017年)には再び国宝に指定されました。
これは関東では鎌倉の大仏に次ぐ二例目であり、その制作は鎌倉の大仏よりも約500年古いと言われています。
全面ガラス張りの展示室には、国宝・白鳳仏を中央に、その脇に白鳳仏と同時期、同一工房で制作されたと考えられる法隆寺・夢違(ゆめちがい)観音像、新薬師寺・香薬師像の精巧なお身代わり像が展示されています。
ちなみに、展示室は撮影・録画禁止になっているので、注意しましょう。
拝観料は中央に設置された賽銭箱に納めます。すると、どこからともなく音声が流れ、白鳳仏に関するガイドが始まります。耳を澄ませて説明を聞きながら、ありがたいお姿をしばし拝観しましょう。
3.6 開山堂
元三大師堂脇から開山堂への参道が続きます。上りの石段ですが、数分ほどで到着します。
昭和58年(西暦1983年)、開創1250年の大法会記念事業の一環で新築された、奈良時代様式の開山堂。本尊に薬師如来像、脇に弥勒菩薩、千手観音、さらに深大寺の開基・満功上人と天台宗第一祖である恵亮和尚が祀られています。
ちなみに、開山堂裏手にある北門を出ると、神代植物公園深大寺口へつながっています。
3.7 不動堂
山門から東へおよそ100m、豊かな緑に包まれた空間に不動堂が鎮座しています。明治17年(西暦1884年)に再建されたお堂で、毎月28日には不動護摩供(ごまく)が行われています。
不動堂脇から聞こえてくる水音は、東京都の名湧水57選にも選ばれた「不動の滝」です。明治時代から使用されている湧き水で、滝の上には不動明王と二童子像が安置されています。ただし、現在は近くまで行くことができず、外から見学するのみとなっています。
3.8 延命観音
西門から出てすぐ左手にある、石垣の中に作られた延命観音窟。
昭和41年(西暦1966年)、秋田県象潟(きさかた)の海中から引き上げられた大岩に刻まれていた延命観音。それは比叡山延暦寺第3代天台座主慈覚大師円仁による自刻とされ、縁あって深大寺に寄進、奉安されました。
確かに岩の表面には「延命観音」という文字とともに観音様が彫られています。長い眠りから覚め、はるばる秋田からやってきた延命観音、ぜひご利益にあやかりましょう。
3.9 深沙堂(じんじゃどう)
延命観音をさらに進むと、突き当たりにあるのが、歴史の項でも語った深大寺開創期の御本尊・深沙大王を祀った深沙堂です。
かつては大師堂に匹敵する大きさを誇ってた大師堂、しかし明治元年(西暦1868年)、神仏分離令により取り壊しにあい、鳥居も撤去されてしまいました。
現在のお堂は昭和43年(西暦1968年)に再建されたもので、堂内に安置された江戸時代作の宮殿(くうでん)と呼ばれる厨子に秘仏・深沙大王像が納められています。
深沙大王像は秘仏として一般に見ることは叶いませんが、お堂の天井画にはそのお姿を垣間見ることができます。堂内はちょっと薄暗いですが、ガラス戸の隙間からぜひのぞいてみてください。
3.10 大黒天と恵比寿尊
深沙堂参道沿いにたたずむのは七福神の恵比寿尊と大黒天。ふっくらユーモアあふれるこの2つの像は、もとは深大寺の檀家総代であった故御林清一氏の所有物で、縁あってこの地に遷座されました。
おっとりとした2つの像とは対照的に、お隣には中国故事に出てきそうな龍と虎が対峙する迫力ある像が楽しめます。
3.11 珠瓔庭
深沙堂参道から西へおよそ270m、15m四方ほどの小さな庭園「深大寺 珠瓔庭(しゅようてい)」が存在します。
園内には敷石供養塔の地蔵尊と世界的彫刻家安田侃(かん)氏による玉石のオブジェが展示され、独特の空間が広がります。鎮魂の意が込められた心安まるこの庭園、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょう?
3.12 地蔵の郷
北門から神代植物公園正面入口に向かう途中にある深大寺墓地中央に位置するのが地蔵堂です。
地蔵堂からさらに50mほど先には地蔵の郷が存在します。あじさいや樹木などに見え隠れしながら静かに微笑むお地蔵様たちの姿に心あらわれる気持ちです。
4. 厄除け大師の深大寺、実は縁結びの神様!?
かつては深沙大王を御本尊とした深大寺。その由来は、深大寺開祖である満功上人の父・福満が、猛反対を受けた母方の両親から仲を引き裂かれ会えなくなったとき、深沙大王に祈願したところ、その霊験を授かって2人は無事再会を果たし結ばれたと伝えられています。
そんな恋のキューピッドさながらの深沙大王の伝説から、深大寺は良縁祈願・縁結びの神様としても実は信仰されているのです。
良縁祈願の絵馬(500円)や縁結びの御守(各500円)は授与所で授かることができます。絵馬は願い事をしたためたら深沙堂の絵馬掛所に吊るしましょう。
ちなみに、さらなるご利益を授かりたい方は、深沙堂にて毎月17日の15時から行われる深沙大王供を拝聴するとより強力な良縁パワーが得られると言われています。ぜひお試しを。
5. おみくじの元祖!元三大師みくじとは
お寺と言えば「おみくじ」! 物事の吉凶を占い、ご神仏のありがたいお言葉を授かるこのおみくじ、その元祖は、実は比叡山の元三大師って知っていましたか?
元三大師みくじは、通常のおみくじに比べて「吉」よりも「凶」が多いことで知られ、「凶は吉に好転する力を秘める」ことから決して悪い知らせではないとしています。
おみくじは1回200円。さっそくチャレンジしてみました。
結果は「末小吉」。深大寺の元三大師みくじは「大吉」、「吉」、「半吉」、「小吉」、「末吉」、「末小吉」、「凶」に分けられ、もっとも多いのが「吉」と「凶」、「末小吉」はもっとも数が少ないとされています。そんな末小吉を引いたのはある意味、運が良いのかもしれません。
とはいえ、このおみくじ、見るからにちょっと難解です。上段は本来の元三大師のお告げを記した漢文、中段はそれを古文に解釈し直したもの、下段はさらにそれらを少し噛み砕いた和文で記されています。下段でも結構な難読レベル。もし判読つかない場合は、授与所の方に尋ねるとそっと解釈を教えてくれますよ。
6. 深大寺で催される年中行事・イベント
それでは次に、深大寺で催される年中行事をご紹介しましょう。
6.1 初詣大護摩供
約20万人もの人出が押し寄せ、一年のうちでもっともにぎわいを見せる深大寺の正月三が日。除夜の鐘とともに新年をお迎えし、元三大師堂にてその年最初の大護摩供(おおごまく)が行われます。
「一年の計は元旦にあり」、これからはじまる新たな一年に向け、大師様の御加護を授かるべくしっかりご祈願しましょう。
6.2 節分会
豆をまいて福を招く日本の伝統行事・節分の豆まき。深大寺では毎年2月3日に、地元にゆかりのある著名人や芸能人、アスリートなども招いて豆まきが行われます。
ちなみに、元三大師をお祀りする深大寺は一般の豆まきとは異なります。まず、その類まれなる法力であらゆる姿に身を変え「魔(ま)」を「滅(めっ)」するとされる元三大師は、転じて「豆(魔滅)大師」として人々を守護してくださると信じられています。そこで深大寺の豆まきは、大師様のご利益、御守護に浴される行事とされています。
さらに、鬼に姿を変え、魔を滅する「鬼大師」としても知られる元三大師に対して、豆まきでは決して「鬼は外」は言わないルールになっています。
6.3 厄除元三大師大祭、だるま市
深大寺最大の年中行事である「厄除元三大師大祭」は毎年3月3日、4日の2日間に渡り開催されます。元三大師堂では終日大護摩供がおこなわれ、大師様のご霊験にあやかろうと例年10万人余の人々が押し寄せます。
これと同時に開催される「縁起だるま市」は、今や江戸時代から続く東京春の風物詩。多くの人が大小さまざまなだるまを買い求めては、だるまの目入れをしてもらうため、元三大師堂に集まります。
>>深大寺元三大師大祭(だるま市)に関する詳細はこちらをご参照ください
6.4 鬼燈まつり
深大寺夏の風物詩と言えば「鬼燈(ほおずき)まつり」。鮮やかな橙色のほおずきを赤の提灯に見立て、精霊たちをお迎えする催しです。
お祭りでは、ほおずき市や手作り市、大道芸などのパフォーマンスから深大寺の観音様にまつわる「八観音めぐり」のスタンプラリーまで、楽しいイベントが用意されています。
6.5 なんじゃもんじゃコンサート
毎年4月下旬から5月はじめにかけて淡雪のような白い花を咲かせる「なんじゃもんじゃの木」。その満開の頃、防災意識啓発運動の一環で、東京消防庁音楽隊による「なんじゃもんじゃ防災コンサート」が開催されます。
咲き始めたら1週間ほどで散ってしまうなんじゃもんじゃの木。ぜひうららかな春の日、満開の花の下で、美しい音色に耳を傾けてみてください。
>>「なんじゃもんじゃ防災コンサート」については「調布観光ナビ」の「イベントカレンダー」をご参照ください
6.6 そば守観音供養祭・そば献供式(深大寺そば祭り)
400年余の歴史を有し、かつては「献上そば」として一部の上流階級の人のみ食されていたそばは、今やすっかり庶民派フードに。そんなそばを通じた地域のさらなる発展を祈念して、毎年新そばの季節の11月第4土曜日にそば観音供養祭が執り行われ、同時に「深大寺そば祭り」が開催されています。
そば祭りでは地元そば店の若店主らが装束を着て本堂前でそば打ちを行うなど、貴重で珍しい儀式が執り行われます。また、深沙大王際や深大寺短編恋愛小説の表彰式、物産展などさまざまな催し物も開催され、多くの見物客で賑わいます。
7. 「ゲゲゲの鬼太郎」と深大寺
「ゲゲゲの鬼太郎」の作者で漫画家水木しげる氏とその妻の人生を描いたNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(2010年)。そのドラマの舞台は調布市で、主人公水木さんと妻・布美枝さんが結婚後、調布に新居を構えて初デートした場所がこの深大寺と言われています。
第二の故郷として、そして名誉市民として調布を愛した水木しげる氏。そんな愛すべき調布の深大寺には彼の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」の世界観が味わえる「鬼太郎茶屋」があります。深大寺を取り巻く緑の木々に溶け込んで、古き良き時代の雰囲気を漂わせながら、ユーモアあふれる妖怪キャラたちが出迎えてくれます。
店内は大きく3つのエリアに分かれ、1つはここでしか手に入らない限定商品なども取り揃えられた「妖怪ショップ」、次に妖怪たちをモチーフにした個性あふれる妖怪メニューが楽しめる「妖怪喫茶」、そして、水木氏が描いた妖怪画や妖怪フィギュアなど「水木ワールド」全開の「妖怪ギャラリー」で構成されています。
妖怪ショップの売れ筋アイテムは、御朱印好きなら外せない「鬼太郎茶屋限定・御朱印帳(2,200円税込)」、プリン風味のチョコをカラメルクッキーでサンドした「ちゃんちゃんこサンドクッキー」(12個入・1,512円税込)、シンプルながらも抜群の存在感と大容量の「一反もめんカフェオレマグ」(1,540円税込)となっています。
こちらは妖怪喫茶の人気メニュー、プルプルンの一反もめん寒天と水木さん名言orイラストのプリントクッキー(絵柄はランダム)がトッピングされた「一反もめんの茶屋サンデー」(800円税込)と鬼太郎の人気キャラを描いたラテアート入り「ゲゲゲラテ」(温/冷、600円税込)。ラテアートは鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男、ねこ娘の中から選べます。
どちらも食べるのがもったいないほど再現性が高くて、写真映えは間違いないですね。
妖怪ショップに隣接した「妖怪ギャラリー」入口。入場料100円を払ってぜひ2階へ。ディープな水木ワールドを堪能できますよ。
■鬼太郎茶屋 調布市深大寺店
- 住所:東京都調布市深大寺元町5-12-8 深大寺門前
- 営業時間:10:00~17:00
(飲食のラストオーダーは16:30まで、妖怪ギャラリーの最終入場は16:45まで) - 定休日:月曜日(祝祭日の場合は翌日振替)
- 電話:042-482-4059
- 公式サイト:鬼太郎茶屋 調布市深大寺店
8. 深大寺そばも外せない!
古来、深大寺周辺の土地は稲作よりもそば栽培に適し、加えてそばのさらし水に適した湧き水に恵まれたことからそば作りが盛んだったと言われています。時代の変化とともにそば栽培は失われましたが、伝統の深大寺そばを味わえるお蕎麦屋さんは現在20軒ほどあります。
『ゲゲゲの女房』のロケで使われた「玉乃屋」、深大寺山門前にあり江戸時代創業の「元祖 嶋田家」、行列必至の人気店「湧水(ゆうすい)」など有名店が並ぶ中、今回は「湧水」さんの深大寺そばを実食してみました。
お座敷にテーブル席、テラス席が用意され、比較的広々とした空間にどこか昭和を感じさせる懐かしいたたずまいの店内。朝10時半からのオープンですが、朝からお客様は続々来店、週末にもなれば開店30分後の11時には行列ができる人気店です。
季節に応じて、茨城産「常陸秋そば」、北海道産粗挽きそば粉、夏新そばでは福島産粗挽きそば粉を使い分け、当店自慢の国産石臼挽きそば粉の手打ちそばで、九割そばがイチオシメニューになっています。
今回は、口コミ評価が高い天ぷらセットの九割そば「湧水天もり(野菜天、海老天一尾)」(1,550円税込)をチョイス。野菜天ぷらにはししとう、大葉、茄子、かぼちゃ、せりの5種類が含まれ、これにぷりっとした海老天一尾が加わり、小気味よいサクサクの衣で極上の味わい。
お蕎麦はやや短めながら、ほどよい弾力とのどごしでツルッと一息にいただけます。蕎麦の風味がほんのりした爽やかな美味しいお蕎麦でした。
ちなみに、湧水ホームページにあるクーポン券をプリントアウトして持参すると、蕎麦羊羹一皿のプレゼント!ぜひお忘れなく!
■深大寺手打ちそば「湧水」
- 住所:東京都調布市深大寺元町5-9-1
- 営業時間:平日 10:30~18:00/土日祝日 10:30~19:00
※年末年始やGW、繁忙期には営業時間の延長あるいは早めに開店することもあり
※荒天の場合は早めに閉店することもあり - 定休日:木曜日(祝祭日は営業)
- 電話:0424-98-1323
- 公式サイト:深大寺手打ちそば「湧水」
9. 深大寺周辺の魅力あるスポットにも立ち寄ってみよう!
ぜひ参拝が終わったら深大寺周辺も散策してみましょう。
9.1 神代植物公園
敷地面積約48万平方メートル、東京ドーム約10個分に相当する都内屈指の広さを誇る都立神代植物公園。バラにつつじ、梅、あじさい、桜など約4,800種もの花や樹木が園内を彩り、来園者の心を和ませてくれます。
主な見どころは、噴水を中心にシンメトリックに設計された欧風の「ローズガーデン」、280品種12,000株もの「つつじ園」、ピクニックが楽しめる「芝生広場」。そして、春を告げる梅の香漂う「うめ園」、武蔵野の面影を残した「雑木林」、600本のソメイヨシノが咲き誇る「桜」、熱帯性の植物など約1,300品種が栽培された「大温室」となっています。
また、深大寺を挟んで、少し離れたところには入場無料の水生植物園があります。季節に応じた水辺の植物が楽しめるほか、地元小学校の子どもたちが丹精込めて育てているそば畑も鑑賞できます。花の見頃は7月上旬と10月下旬頃、かつての深大寺の風景を彷彿とさせる懐かしいそばの花畑が楽しめます。
■東京都立神代植物公園
- 住所:東京都調布市深大寺元町5-31-10
- 営業時間:9:30~17:00(入園は16:00まで)
- 定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)※年末年始休
- 電話:042-483-2300
- 入園料:一般500円/65才以上250円/中学生200円
※小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料 - 公式サイト:東京都立神代植物公園
※注意事項:2021年6月4日より当面の間、神代植物園入園には整理券が必要になりました。来園希望者は、指定のオンライン整理券予約システムにてQRコード整理券を発行してから来園しましょう。なお、入園料は現地払いにります。
>>神代植物公園のオンライン整理券予約システムについての詳細はこちらをご参照ください
9.2 深大寺天然温泉「湯守の里」
調布市ではじめて湧出した深大寺天然温泉「湯守(ゆもり)の里」。住宅街の一角にひっそりたたずみ、昔ながらの風情漂う町の日帰り温泉です。
都内に多い黒褐色の「黒湯」はミネラル豊富で保温・保湿にすぐれ、美肌効果も高く、神経痛や筋肉痛、関節痛、皮膚疾患などにも効能があります。当館の温泉は一切の加水なく、黒湯源泉本来の良さを楽しめます。
温泉は内湯と外湯に分かれ、外湯にはプロジェクションマッピングを利用した屋根付き露天の「夢の浮風呂」、赤の壁に囲まれた低周波電気風呂の「赤胴鈴の介」、「五右衛門風呂」、「滝見風呂」、「高見風呂」(女性)など、狭いながらもバラエティに富んでいます。また深大寺からの龍脈のエネルギーを取り込めるよう風水設計されているのも特徴です。
ゆったり温泉に浸かった後は、ぜひ休憩所でまったりくつろぎ、充実のデザートや美味しい軽食などをお楽しみください。
■ 深大寺温泉「湯守の里」
- 住所:東京都調布市深大寺元町2-12-2
- 営業時間:10:00~20:00
- 年中無休 ※メンテナンスで臨時休業あり
- 電話:042-499-7777
- 入館料:
平日料金:(一般 ※時間フリー)大人1,000円/幼児・小学生600円
(カラスの行水 ※60分以内利用)大人800円/幼児・小学生500円
土日祝日・繁忙期:(一般※時間フリー)1,100円/幼児・小学生650円
(カラスの行水 ※60分以内利用)大人900円/幼児・小学生600円 - 公式サイト:深大寺温泉「湯守の里」
9.3 深大寺水車館
深沙堂参道から西へおよそ50mのところにある「深大寺水車館」。明治末期、この地にあった水車小屋を復元したもので、深沙堂裏手から湧き出る湧水が水源である逆川(さかさがわ)の流れで水車が回転し、製粉や精米に役立てられていました。
事前予約をすれば、石臼での精米・製粉が体験できますが、2021年6月現在はコロナ感染防止対策の一環で、体験は一時中止、外観の見学のみになっています。
■ 深大寺水車館
- 住所:東京都調布市深大寺元町5-10-6
- 営業時間:4月~10月 9:30~17:00/11月~3月 9:30~16:00
- 定休日:月曜日 ※年末年始(12月29日~12月31日)
- 電話:042-482-7636
- 入場無料
- 公式サイト:深大寺水車館
10. 深大寺の基本情報
昔々、妖怪がまだ私たちにとって身近な存在であった頃......そんな名残を感じさせる緑豊かな深大寺。そして厄除け、縁結び、おみくじで霊験あらたか、そばどころでもある深大寺は、まさに心も身体も満たしてくれるマルチなパワースポットです。ぜひ今度、エナジーチャージに訪れてみてはいかがですか?
それでは、深大寺に関する基本情報です。
- 住所:東京都調布市深大寺元町5-15-1
- 電話:042-486-5511(9:00~17:00受付)
- 駐車場:有り(法事および車両祈願の方のみ利用可)
※駐車場利用の際は、近隣の有料駐車場を利用すること
- アクセス:
<車利用の場合>
◎中央自動車道・調布ICから国道20号、都道12号経由で約5分
<鉄道・バス利用の場合>
【京王線調布駅北口】
◎11番乗り場から「深大寺」行き(調34)で終点まで約15分。バス停から徒歩約1分
◎11番乗り場から「吉祥寺駅」行き(吉14)、「三鷹駅南口」行き(鷹66)、「杏林大学病院」行き(調35)で「深大寺小学校前」下車、約7~8分。バス停から徒歩5分
◎12番乗り場から「三鷹駅(神代植物公園前経由)」行き(鷹56)あるいは「吉祥寺駅(神代植物公園前経由)」(吉06)で「深大寺入口」下車、約8~9分。バス停から徒歩約8分
【京王線つつじヶ丘駅北口】
◎「深大寺」行き(丘21)、終点まで約18分、バス停から徒歩1分
【JR吉祥寺駅南口】
◎6番乗り場から「深大寺」行き(吉04)で終点まで約30分、バス停から徒歩1分
◎6番乗り場から「調布駅北口(野ヶ谷経由)」行き(吉05)で「深大寺入口」下車、約22分。バス停から徒歩8分
◎4番乗り場から「調布駅北口」行き(吉06)で「深大寺入口」下車、約23分。バス停から徒歩約8分
【JR三鷹駅南口】
◎3番乗り場から「深大寺」行き(鷹65)で終点まで約21分。バス停から徒歩1分
◎2番乗り場から「調布駅北口(神代植物公園前経由)」行き(鷹56)で「深大寺入口」下車、約19分。バス停から徒歩約8分
- 公式サイト:深大寺
※本記事は2021年6月に取材した情報を基にしています。期間限定の情報もありますので、最新情報は公式サイトをご確認ください
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かわいまゆみ
- 自称ミステリーハンターで絶景ハンター。訪れた国は80カ国以上。世界中の絶景を求めて地球を駆け回っています。